魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
「あの4馬鹿が………」
今俺は神社の夏祭りに来ている………レイとマテリアルズが『夏祭り行きたい!!』と言って来たので、連れてってやった。
アインは定期メンテでマリエルの所に。エリオはフェイト達の家に泊まるらしい、フェイトとアリシアが離してくれないらしい……保護責任者だし問題無いか。
「まさか開始早々全員がバラバラになるとは……」
浴衣に着替えさせ、神社までは一緒に居たが、着いて少し目を話した瞬間に居なくなっていた。
何かやらかす前に見つけないとな………首輪付けないとどこかに行くって犬かよアイツら。
「そこのかの「消え去れチャラ男」ゴパッァ!!」
後ろから来た如何にも軽そうな男を裏拳で潰す、今弄っている場合では無い。
俺も浴衣(女物)を着ている。金と銀で刺繍された水の波紋がある浴衣を着てる。髪も当然後ろで団子にしている。
「速く見つけないと面倒臭い事に………」
まずはエルとアンズと………サクラとレイを……ってコレは全員だ。
エルは馬鹿だから何をするか分らない。アンズは見かけ常識人だがエルの次に馬鹿だ。サクラは真面目だが言動が物騒だから危険。レイは問題外、早急に回収すべき。
………だが後ろ2名は大体場所は特定されているから、動き回る前2人を探すのが先だな。
「とにかくリミッターを掛けてある僅かな魔力を見つけ「クソー!!おじちゃんもっかい!!」無くても良いな」
射的屋で何か暑くなっている青色で花火の様な模様がある浴衣を着たエルを発見。髪型はいつもと違い俺が後ろの少し上の部分で緩い団子状に纏めた。
「よし………狙い撃つぜ!!「エル」ふぇ?」
――ゴン!!
「事前に逸れるなって言ったよな」
「うぅ~……ごめんなさ~い!」
大きなタンコブを抑え、しゃがみ込むエル。
「今まで何していた?」
「えっと……チョコバナナ食べてアメリカンドック食べてフランクフルト食べてかき氷を食べてりんご飴を食べて、後はずっとここに居た!」
「他の奴は?」
「ううん、僕だけだったよ?あーでもチラッとアンズは見たよ」
アンズはこの近くか……
「じゃあソレが終わったら、探しに行くぞ」
「分った!絶対取ってやるー!!」
張り切っているエルは銃にコルクを詰め構えた………狙いはあれか?それじゃ当たらないな。
――ヒュン
「くっそ~!!」
コルクは景品の間を通り過ぎた。
「……どれが取りたいんだ?」
台に置いてある銃を取り、コルクを詰めながら聞いた。
「え………っと、あのお菓子!!」
アレなら…………大丈夫だな。
「面倒だ2,3個取るか」
「はぇ?」
景品に狙いを定めるそしてさっきエルが撃った時の誤差を含めて調節して――――
――ヒュン!
「コダイ最強~♪」
俺が取った戦利品(駄菓子)が詰まった袋を持って、反対の手で俺と手を握って嬉しそうなエル。
「けど凄かったよ!倒した景品でもう1つ景品を倒すなんて!………おっちゃん引きつってたな~!」
「これ位は余裕」
銃は剣の次に使える武器だからな。撃たなくてもチラつかせるだけで拷問にも使える。
「それでエル、ここでアンズを見たのか?」
「あ……うん!こっから動いて無ければいるは「このくじ引き風情がー!!!」いたね」
いたな……紐クジの所に。
白と水色で風車が回っている模様の入った浴衣を着てたアンズが。
「ぐぬぬぬ……もう1度だ!今度こそ!!」
背後から近寄って見ると、持たせた袋にクジで当てた物が詰まっていた。
「お~いアンズ?」
「話しかけるな!気が散る!!」
エルが後ろに回りアンズに声を掛ける。
「……アンズ」
「我に話しかけるなと―――」
今度は俺が声を掛けるとこちら振り向いたアンズが固まった……
「……ひ、姫?」
「はい、お姫様です」
――ゴン!!
「あのさ……此処に着く前に言った事……アンズは覚えてる?」
「すみません……」
頭に大きなタンコブを作って正座しているアンズ……
「浴衣汚れるから立て。今まで何をやっていた?」
「うむ……チョコバナナを食べ、アメリカンドックを食べ、フランクフルトを食べ、かき氷を食べ、りんご飴を食べ、後はココに居たぞ」
立ち上がり。タンコブを摩りながら思い返す様に話すアンズ。
「えぇっ!?最後以外僕と同じだ!?」
「何だと!?すれ違わなかったのか!?」
世の中凄いな。
「所でアンズ。何やっているの?」
エルが興味津々に紐クジを見ていた。
「コレは紐クジと言ってな、この紐の束の中から一本だけを引っ張り、向こう側にある紐で結ばれている物を引っ張り上げるとそれが貰えるのだ!」
「何か凄そう!!………で当たったの?」
「色々当たったが、目当ての物が当たらなくてな」
「目当ての物?」
「アレだ」
俺が聞くとアンズはある物を指した……
「Vita?」
「うむ」
「もう持ってるじゃん」
「姫の分が無いではないか!!」
レイ、サクラ、エル、アンズ、アイン、エリオ………本当だ。
「ゲームはしたくない」
登場人物の言動が虫唾が走るからな
「我は姫とゲームがしたいぞ!!」
「俺はゲーム自体やりたくない」
「むむ……ではこのクジでVitaを当てたら我らとゲームをすると言うのはどうだ!!」
「………置いておくのも勿体ないからそれでいい」
「ウム!ではやるぞエル!」
「うぇ!?僕も?いいけどさぁ……あ!コダイもやろう!!」
「いいけど……」
皆で1回分を払い紐を選んで………引いた。
「またしても……」
膝を着き崩れ落ちるアンズ。その手にはゆるキャラのパチモン見たいなぬいぐるみが……
「なんか良さそう!!」
引いた物を目を輝かせる見ているエルは花火詰め合わせを両手に掲げていた。
「……何と言うか体の良い在庫処分では?」
そして俺の手には結構良い感じのオリーブオイル。
「……あっても困らないから良いか」
「コダイ~アンズが凄い落ち込んでいるよ~」
エルが袖を引いてくる。うん知ってる、目に見えて落ち込んでいる。
「惜しかったなアンズ。最後まで悩んで止めたあの紐な……あれにすれば当たりだったのに」
「ヌオオオオオオオオオオォォォォォ………」
「コダイ……それはフォローじゃ無いって僕にも分るよ」
お、エルも成長したな。
「さて、最後になったが危険分子2名を捕獲するぞ」
「後生だ~!もう1度!もう1度だけ我に~!!」
「アンズ~……ムグムグ……往生際悪いよ~?……モグモグ」
襟首を掴んでアンズを紐クジから引き剥がす。それから逃れようともがくアンズを後ろから呑気に駄菓子を食べながら見ているエルだった。
紐クジが見えなくなると諦めたのかもがくのを止めたのでアンズを離した。
「ところで姫よ、サクラとレイは見つかったのか?」
「いや……だが何処に居るかはすぐに分る。だからここまで来た」
だからこいつらを先にした。
「と言う事はここにサクラとレイがいると?」
「そう言う事。ほら―――わたあめの所」
エルとアンズがわたあめ屋に目を向けると……
「じ……………」
「じ―――――」
綿飴が出来るのじっと見ているサクラとレイがいた。
「本当にいた……」
「しかし、何故わたあめ屋に……」
行く前に2人が祭り限定の食べ物を聞いて来たから定番のなのを教えたらわたあめに喰い付いてたからな。
「とにかく捕まえるぞ」
2人を連れて、レイとサクラの元に向かう。
「素晴らしい………見えていないのに、その機械に箸を回すと徐々に綿が集まっていく……まるで集束砲撃の様です……発射出来ませんかねアレ?」
「わぁ~♪スゴーイ!………コダイのジェノサイドブレイカー見たいだぁ~」
「ただの綿菓子に物騒な例えをするな」
――ゴン!!×2
「レイ、サクラ……行く前に俺の言った事覚えているよな?」
「「モウシワケアリマセン」」
頭に大きなタンコブを作って正座する2人。
「浴衣汚れるから立て」
「「ハイ」」
涙目で立ち上がる2人……
サクラは薄いピンクで金魚蜂に入ってる金魚の絵が沢山水玉模様の様に描かれた浴衣を着ていて。
レイは紺色で白く花火の模様が描かれた浴衣を着て髪型を団子2つにしている。
「……で、2人は今まで何を?サクラから」
「はい。チョコバナナ、アメリカンドック、フランクフルト、かき氷、りんご飴、の順に食べ歩き、後は此処に居ました」
「次、レイ」
「ん~と……チョコバナナ―――アメリカンドック、フランクフルト、かき氷………えっと~………あ!りんご飴!それを食べて、ずっと前にここに居たサクラにあったよ!」
「えぇ!?2人も同じ様に!?」
指を折り数えて思い出しながら話したレイに驚いたエル。アンズも声に出さないが驚いた表情をしていた。
「エル2人もと言うのは……」
「エルだけでは無い……此処に居る我らを探していた姫を除く4人が最後以外同じ様に同じ順に店を回っていたんだ……」
エルの驚きに首を傾げたサクラにアンズが簡単に事情を説明をした………何ですれ違わないんだ?
「所でわたあめ屋では見てただけなのか?」
「買いましたよ」
「見て見て~!」
サクラとレイの手にはわたあめがあった。
「何だ買っていたのか」
「はい、その後じっくりと見てました」
「店の邪魔したのを叱るか、その場で止まっていた事を褒めるべきか……」
さっき説教したから良いけど。
「見てください。ふわふわです」
袋から取り出してわたあめを掲げるサクラ。その目はイキイキしていた。
「見た所砂糖をあの機械の中心に入れて高速で回転した遠心力で溶かしながら糸状に飛ばして、それを箸をくぐらせて巻きつける見たいですね……あの機械が無いと実現できないのが残念です」
「どれだけ気に入ったんだ?」
最近では家で手軽に出来る様に小型化された物が販売されているらしいけど……
「ん~♪……そう言えばサクラ、それ3個目だよね?」
「あ、レイ言ってはダメです」
自分のわたあめをかぶり付いていたレイが顔を離して聞いた途端サクラが突然慌て始めた。
「別に売ってなんぼの商売だし、いくら買っても怒らないぞ?」
ただし材料砂糖だけのものを食べすぎて胸やけになったら自業自得だけど。
「いえ、その、そう言う事では無くて………」
サクラが何時もの無表情からあたふたと失敗が見つかった子供の様に慌てている
そんな謎の行動を見ていたら――――
「アハハハハハハハハハハ!!」
「プッ……クククッ……ッ!!」
エルの大笑いとアンズの含み笑いが後ろから聞こえた。その2人の間にはいつの間にかレイが居た。
「あ、コダイも耳貸して!」
レイが駆け寄って浴衣を引っ張ってくる。それに合わせてレイと視線を合わせるとそっと耳打ちしてきた。
その内容を聞いた瞬間――――
「ああ…………」
納得してしまった。
再びサクラを見ると思いっきり真っ赤になって俯いていた。
レイの意味不明な説明を要約すると。
わたあめには白、ピンク、緑の3種類あって、サクラは3色3種類の味があると思ったらしい。具体的には白はプレーンでピンクがイチゴで緑がメロンと言った具合に。
だが食べてみても味は変わらず、それについてわたあめ屋の人に聞いてみると苦笑しながら色はただ色着きの砂糖を使っているだけで味は変わらないと説明した。
それを聞いた瞬間サクラは恥ずかしさで真っ赤になりそこに丁度かき氷を食べ終えたレイが合流。サクラの様子に首を傾げたレイを親戚と思いさっきの事を説明した様だ。
「んで、お前は1個しか買わなかったのか?」
「うん!だってまだ……ソースせんべい?とか……クレープ……いか焼き、焼きトウモロコシ、たこ焼き、お好み焼きとか食べてないもん!」
「後半見事に焼きで固めたな~」
お前はペース配分しなくても全部食べれるだろ。
と言うか良く覚えてたな……食い物関連だからか?
「みてみて~♪ピンク~♪」
袋から取り出してレイのわたあめは桃色だった……
「モフッ!」
わたあめにかぶり付くレイ。わたあめの方が大きいから顔が埋まり掛けている……
「モムモムモムモムモムモム――」
食い進んでいる……虫みたいに。
「モムモム……ぷはぁっ!!苦しかった~」
わたあめが半分ほど顔を離すレイ。顔がわたあめだらけだ。
「ほら、わたあめ付いてる」
顔に着いてるわたあめを取ってやる。
「ありがと~!アムッ!!」
レイが突然わたあめを取った指を口に咥えた。
「おいこら」
「うゆ~?」
咥えたままでコッチを見るレイ。しっかり舐め取ると指を離した……
「あ……あはははっ………ゴメンゴメン」
暫く考え、ようやく気付いたレイが照れ臭そうに頬を掻いた。
これで全員揃ったから逸れない様に歩いていると、不意にレイに裾を掴まれた。
「コダイ、何で皆上を向いてるの?」
周りを見ていると、殆どの人間が上を向いて期待に満ちた目をしていた。
「たしか……この時間に打ち上げ花火があるんだ」
――ドーン!!
その直後大きな音と共に花火が上がった。
「すっご~い!!」
「何だアレ!?カッコいい!!」
「何と綺麗な―――」
「そう言えば今までテレビでしか見なかったんですが………やはり生で見るのは違いますね……迫力が」
と各々感想を述べている………
「あぁー!?」
全員で花火を見ていたが、レイの大声で視線をレイに降ろした。
「ビンのラムネ買うの忘れてた!!」
「「「あぁー!!」」」
マテリアルズが同じリアクションをする。
「ん?ラムネならさっき買ったぞ?」
俺は浴衣の中からラムネを4本取り出した。
四人はラムネを開け始めた。
「アレ?……コダイの分は?」
「心配するなレイ。自分の分も購入済みだ」
また浴衣の中からラムネを取り出す。
「エルよ、ラムネは脚は肩幅で空いている手は腰にして一気に飲むのが正しい飲み方だと聞いたぞ!!」
「本当に!?よし………僕も!!」
「それってもしかしなくても牛乳の飲み方で、炭酸でやったら「「ゲルゥオバナッ!!」」やっぱり」
2人は予想通り咽た。
「レイも真似「ゲルゥオバナッ!!」遅かった」
レイも咽た。
「この状況ってまさか……」
サクラの方を見ると。
「エッホッ!エホッ!」
咽ていた……
「此処まで来てお約束する必要はないだろ……」
狙って無いよな?……そう思いながらラムネを飲んだ。
「花火終わったら帰るぞ」
「「「「は~い……ゲッホッ!ゲッホ!」」」」
4人は咽ながら答えた。
~おまけ~
帰宅後。
「楽しかったね~」
「そうですね……」
トキガワ家で浴衣のまま花火で遊んでいるレイとサクラ。
帰宅してもまだ遊び足りない4人はエルが紐クジ当てた花火を庭でやっている。
コダイは買って冷やしていたスイカを切る為台所に居る。
「どうだ二刀流!!」
「甘いぞエル!我は三刀流だ!」
エルとアンズは花火を持って振り回している。
「エル~アンズ~あぶないよ~!」
「はぁ……コダイ様に怒られても知りませんよ………?」
溜息を吐いたサクラがある物に気付く……それは大きな筒状の打ち上げ花火だった。
実は打ち上げは自分が来るまでするなとコダイに言われたりしている。
「何々……『
「うわ……物騒過ぎる」
「名前からしてどんな物か想像しやすいな」
「そだね……」
名前を聞いて若干顔が引きつるエル、アンズ、レイ……
「コレは派手そうですね……皆さん離れてください」
サクラが導火線に火を付けて、皆の元に避難する。
導火線が燃えていき………そして………
――プスン…
……鎮火した。
「―――この見掛け倒しがああああああああああああああ!!」
アンズがキレて花火を蹴り倒す。
「アンズ!落ち着いてください!」
「他の花火やろうよ!ね?」
「まだまだ沢山あるから」
「う、うむ……そうだな」
暴走したアンズをサクラとエルが両脇から腕を抱えて、レイが前から押してアンズを止めに入った。
その後、アンズが落ち着きを取り戻した後は、他の花火をし始めた………
「あぁー!!」
レイが突然大声を上げる。
「どうしたんですかレイ?」
「大事な事を忘れてた!」
「大事な?………あ、しまった」
思い出したのか頭を抱えるサクラ……
「今回のデートの目的はコダイ様に私達を女として見てもらうための物……純粋に祭りを楽しんでそれすら忘れてました」
「しまったぁ……」
「無理だ……あんな状況で見てもらえるはずが無い…」
「うゆ~」
その場で崩れ落ちる4人だった………
それ以前に祭のテンションで開始早々迷子になっていたので本末転倒である。
「いや……まだです!」
「そうだ……僕は諦めない!」
「王たる我がこんな所で屈するか!!」
「頑張ってコダイに女として見て貰うぞー!!」
サクラ、エル、アンズ、レイの順に勢いよく立ち上がる。
「「「「おー!!」」」」
拳を突き上げた瞬間………
――ヒュン!!
何かの光の塊が4人の間を後ろから掠めた。
「「「「え?……」」」」
油の切れたブリキの様に後ろを振り返ったその先には………サクラが点火して、アンズが蹴り倒した打ち上げ花火が………
それを見た瞬間、全てを理解して4人の顔が一気に青くなった。
――ヒュンヒュンヒュンヒュン!!!
倒れた打ち上げ花火の光弾が4人を襲った。
「「「「にゃあああああああああああああああああああ!!!!」」」」
その後、4人は姫化したコダイに叱られた。
因みにかき氷のシロップは………
エル→ブルーハワイ
アンズ→グレープ
サクラ→イチゴ
レイ→メロン
です。
頭翅様、バルサ様、機構 永遠様、更識 天様、ミラ ランドラス様、零崎 式様、アルクオン様、桜日紅葉雪様、鍛冶様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください!~