魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
「戸締りはよし」
玄関の扉に鍵を掛ける。
「では行きましょう」
今日はレイ達は今日は朝食を食べて直ぐに遊びに行き。俺とアインしかいなく、朝食の片付けを終えた頃にアインの用事に誘われた。
「それで、今日はどこに行くんだ?」
「えっと、ですね……喫茶店何ですけど、普通の喫茶店とは違って……」
何故か答えずらそうに目を逸らしたアイン。普通も何もたかが喫茶店を教えるのに何で途切れるんだ…………?
「ああ………
「確かにメイド服は好きですけど!桃子さんに聞いたんです!!主と2人で行くならこの喫茶店だって!」
「だから何で1番相談してはいけない人間に相談しているんだよ―――」
以前桃子の口車に乗せられてメイド服を着せられたアインだが。
どういう訳だか知らないがメイド服に嵌り家の中では勿論の事、最近では外でもメイド服を着用する様になった。
今では通常の『春秋用メイド服』と薄手で袖が短いパフスリーブの『夏用メイド服』と厚手の『冬用メイド服』とオールシーズン完備、ちなみに製作は俺な?
更に言うと今日は普通の私服。黒のノースリブに白いリボンがワンポイントのミニのプリーツスカートに黒のストッキングだった。(なのはinnocentでのアインスの服です)
桃子の事だから面白さ半分でやらかすし…………あ、面白いなら良いか。
「その桃子のお勧めに行く………と言ってもまだ時間があるな」
まだ午前だし……喫茶店に行くのは午後過ぎでもいいだろう。
「そうですね……あ、実はもう1つ主と行きたい場所が」
「なら先にそっちにするか」
「そうですね」
目的が決まりアインの案内でそこに向かう。
アインが少し後ろを着いて行く何時もの――――って。
「場所知らないんだから、先導してくれない?」
「はっ!そうでした!」
慌てて隣に移動して今度こそアインの案内でそこに向かう事に。
「所で向かっている場所は?」
「はい、雑貨屋です」
「雑貨?」
「はい……この前の『アレ』でマグカップが―――」
ああ、マテリアルズとレイが喧嘩して魔力弾やら魔力刃が飛んで食器が割れたアレか………被害がマグカップとリビングだったけど。
「全く……あれほどケンカに魔法を使うなら表で結界を張れと―――」
重い溜息を吐いて頭を押さえるアインだったが………
「愛用のマグカップが壊れたのにキレて室内でデアボリックを発動未遂の奴が言えるか……エリオ泣きそうだったぞ」
発動寸前で俺が物理的に止めたから良かったけど。気絶させたアインとエリオを一旦避難させて。
あの4馬鹿を物理的に気絶させた。部屋はもうあの子の能力で修復済みだ。
「確かにあのマグカップは良く使っていたよな」
「だってそれは……あの家に住む事になってから初めて主から頂いた物ですし大切にしないと………」
「そう言う遠慮要らないって………」
何年か経って、少しは改善したかと思ったんだけど根っこに染みついてるものは治せないか……
「とにかくお金とかはあまり気にしないで、消耗品だし長く使うから多少高くても良いし足りない分は出すつもりだから」
「は、はい……」
そう言っても自分で払うとか言いそうだな……足りない分を出すと言えば渋々だが頭を縦に振ってくれる。
少しして目的の雑貨屋に入り食器のコーナー着き、2人で手分けして探すことにした。
「にしても………」
食器が並ぶ棚を眺めてみるが………
「皿と言っても飾る用の大きいのもあるし……と言うか何でバカラとかエルメスとかが……」
一瞥しただけで普通じゃ売って無い物もあった。雑貨と言うより雑その物だろどれだけ集めているんだ?店の趣味か?
「流石エルメスは高い……買えるけど乱雑に置いていい様な物では無いな」
あれか?所謂『バラ売り』という処方か?
「と言うかなんだよコレ……こんなの使えるのか?」
マグカップに関してはメリケンサック見たいな取っ手をした物や一見すると一眼レフカメラレンズに見えてしまうマグカップとか殆ど機能性を二の次にした物ばかり………
「まともなのは無いのか?」
「どうかしましたか?」
「ん?何でも。そっちは良いのは見つかったか?」
「いえ何かこう……デザイン重視のが多くて……」
「作った奴は一体何を考えているんだろうな。それとあんまりここのを触らない方が良いぞ……1つ5桁はする物がある」
――ピシッ!
1つ手に取ったアインが固まった
「………え?」
「本来セットなのをバラで売っている見たいだから結構安価になっているけどな」
それを聞いたアインが持っていた物を本当に割れ物を扱う様にそっと元に戻した。
「今度からなるべく食器洗いの際は、割らない様に気を付けます」
「家のは安い奴だから気にするな」
その後も2人で見て回ったが特に良い物―――と言うよりまともな物が見当たらなかった。
「そろそろ良い時間だな」
「そうですね。一旦喫茶店に行きましょう。カップは何時でも探せますし」
「マグカップは帰りにでも探せるしな」
時間も丁度良く、当初の予定通り桃子がアインに勧めた喫茶店に入った。内装は普通とあんまり変わらないが………カップル多くない?
「いらっしゃいませ~」
「あの……予約した者ですが」
やって来たウェイトレスにアインが応対する。予約した?……それほど人気なのか?
「―――はい、ではこちらへどうぞ~」
そう言って店員に案内された席に座る……
「普通の喫茶店と変わらない様だが………客層がコアだが」
「はい、ここは入るのも畏れられ同時に憧れを抱かせる喫茶店なんです」
「紹介したの桃子だよな?」
絶対碌な事にならない………
「あ、そう言えば注文してない」
「大丈夫です、実は予約の際に注文しました」
要予約が必要な程凝った物なのか?
「お待たせしました~」
店員が持ってきた物は――――
「………………………何これ?」
かなり大きなグラスに着色料を使った青いジュース、南国風に添えられた果物………更に螺旋状の途中からハートの形になりそこから飲み口が2つに分かれたストローが1本入っていた。
「ラヴいちゃストロベリ~ジュースで~す」
なんだその歯の浮く様な名前は――
「何でコレが―――」
「この期間は『カップルフェアー』をやっておりましてカップル限定のメニューを出しているんです。ですけど店内で注文するのが恥ずかしいと言う方が居るので電話で予約もしているんですよ~」
「これか?これを頼んだのか?」
隣のアインは俯き気味で頷く、その顔は今まで見た事が無い位赤くなっている。
「ちなみに店内で注文した猛者は今のところは1組だけです」
「猛者って………ちなみに誰?」
嫌な予感しかしないけど一応聞いてみる。
「『たかまち』って言う若い夫婦です」
本当にやっていたし若くないし子供3人いるしあの夫婦。
――おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
――パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!
騒ぐな拍手を送るな外野。
「ちなみに10分以内に飲み干すと景品のペアアクセを一種類プレゼントです」
「ペアアクセって……「やりましょう!!」って……もしかして欲しいのか?」
「そういう訳では無くてですね……と、とにかく早くやりましょう!」
「分らないけど分ったから落ち着け」
どっちにしろ飲む以外の選択肢は無さそうだし。
2人でストローに口を付ける。
「どうぞお幸せに~!!」
と言う店員の意味不明の掛け声と共にまた外野から拍手が沸き起こった。
「んく……んく≪この量……飲めるか?≫」
「んっ……んっ≪いえ……まだ何とも≫」
念話でアインと話す、コレなら飲んだままでも話せるし。
にしても間隔が狭い。頬どころか肩や腕や脚とか側面はほぼ密着している、触れている側の腕はお互いに後ろに回している。そうでないと飲めたものじゃない。
それにさっきから顔が赤いアインに触れている部分が妙に熱い……熱暴走でも起こしてないだろうな?
「んく……んく≪飲めなかったら無理をするな、俺が全部飲む≫」
「んっ……んっ≪ありがとうございます……えっと今は飲む事に集中したいので≫」
「んく……んく≪分った≫」
念話を切って俺も飲む事に集中した。
「んっ……んっ……んー!(し、しまったあのまま念話をしていれば少しは気が紛れたのに……あの時急かしたのは景品が欲しいのでは無く速くこれを飲みたかったのと恥ずかしいから早く終わらせようと思ったから何だが……どうしよう。今凄く幸せ、もう少しこのまま……はダメだ!流石に恥ずかし過ぎる!!)」
何か飲みながら唸っているし………お、もう半分以上は飲んでるな。
「残り5分で~す」
このペースなら余裕だな。
ジュースは制限時間内に飲み終わる事が出来て、景品のペアのリングを貰った。
その時の外野の喝采と拍手が倍位騒がしかった……
ウェイトレスに達成記念と写真を撮られ、更に店に飾ると言った時は正気を疑った……ちなみにあったわ。前に頼んだって言う桃子と士郎の写真が。
「何だろう、ただジュース飲むだけだったのに何でこんなに疲れるんだ?」
「そ……そうですね」
喫茶店を出て、今現在家に帰る途中だ…
アインは貰ったリング指に嵌め、俺は
「あの……主、その抱えている袋は何ですか?喫茶店までは持っていませんでしたよね?」
「これか?ほら」
脇に抱えてた紙袋をアインに渡す……
「主……コレは?」
「開けてみろ」
アインが紙袋開けて中身を取り出すとそこにあったのは小さい猫が2匹寄り添っているのがプリントされた白いマグカップだった。
「え?………コレは何処にあったんですか?」
「あの喫茶店の売店コーナーで偶然見つけた……超個性的なカップを見た後だとこれが眩しく見えた……」
「良く見つけましたね……」
本当にな……
「前のとさほど変わってませんし……主?」
「どうした?」
アインが驚いた表情でこちらを見る、その手には2つの同じマグカップがあった。
「何で2つも?」
「セット何だそれは。それに自分用のも洗う時に割れてな……ついでだ」
「えっと……その。ありがとうございます!」
マグカップを入れなおしたアインは紙袋を大事そうに抱えて微笑みながら礼を言った……
あ、何年かで変わった事が1つ、笑う様になった……そう言うのをよく見る様になった。
「どういたしまして。さて、帰りに夕食の買い出しでもするか」
「はい。今日は何にするんですか?」
「カレーが残ってるし挽肉と合わせてキーマカレーにしてそれをうどんと素揚げした夏野菜添えてみるか」
うどんとカレーは各大鍋で1度にすればいいし、添え物の野菜も切ってそのままか揚げるだけで良いので作業が非常に楽だ。
………で、その買い物をしている最中だが。
「~♪」
紙袋を嬉しそうに抱えて鼻歌混じりのアインだった。
何と言うかここまでテンションの高いアインは見た事無かったな……
~おまけ~
その日の夜――
「さて……もう少しだな」
アインは上機嫌にコダイに買って貰ったマグカップを使うために紅茶を淹れ始めた。
「~♪」
「うゆ?どうしたの~?……あ!新しい奴だ~買ったの?」
上機嫌なアインが気になり近寄ったレイが新しいマグカップに気付く。
「ああ……今日、主が買ってくれた物だ」
「うゆぅ~……あの時はごめ~ん」
「もう終わった事だから気にするな……」
物凄く落ち込んでいるレイに微笑むアイン……その時、タイマーのアラームが鳴った。
「よし、あとはマグカップに注ぐだけ――」
「あ、見せて見せて~!」
レイは妖精サイズになり紅茶を注いでるアインの邪魔にならない様に近づいた―――
「わぁ~!可愛い~!!」
「こ―――これは?!」
紅茶を注いだ時、レイは目をキラキラさせ、アインは顔を耳まで赤く染め上げた。
「ハートになってる~♪」
レイの言う通り。このマグカップは見た目こそ普通だが飲み物を注ぎ、上から見るとハート型になるマグカップだったのだ。
この事はさすがのコダイも知らなかったようでそれを知った時は『あの喫茶店本当に碌でも無いな』と感想を述べていた。
鍛冶様、零崎 式様、七夜士郎様、頭翅様、桜日紅葉雪様、アルクオン様、ミラ ランドラス様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください~