魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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シャマルもシグナム同様に難しい……


デート・シャマル編

「今日はお付き合いしてくれてありがとうございます!コダイ君」

 

 朝にシャマルから連絡が入り待ち合わせ場所に向かうと既にシャマルがそこに居た。

 

「――所でその後ろにあるのは何だ?」

 

 シャマルが後ろに隠しているが少しはみ出ているバックを指した。

 

「えっとコレは………秘密です!」

 

 あ、転移した。

 

「後のお楽しみですよ♪」

「そうしておく………」

 

 シャマル笑顔でこれ以上の詮索は控えた方が良いと思った。面白そうだし……

 

「じゃあ今日は何処に行くんだ?」

 

 連絡の時『頑張ります!私、頑張りますよ~!』と言って切ったので具体的な所は聞いて無い。

 

「本屋さんです。料理関係の本を色々と―――」

 

 徐々にシャマルの声のトーンが下がる―――

 

「―――何かあったのか?」

「――――聞いてくださいよおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 突然、シャマルが涙目で俺の肩を掴んで来た。

 

「最近みんな、私を台所に立たせてくれないんですよぉ~!」

「最近と言うより前からの様な気が……」

 

 あんな色しか判別できない料理を作られたら誰だってな。

 

「皆仕事で忙しいから、頑張って栄養価の高い物を使っているのにぃ~」

「ちなみにその食材は?」

「えっと……何かの動物の肝です」

「分らないものを使うなよと言うか軽く処理がキツイ食材選ぶなよ」

 

 それより何だよ何かの動物って……

 

「コダイ君はちゃんと食べてくれるし……」

 

 食べれるがそれが良いとは一切言って無いから。

 

「と言うより前も経験がものをいうと言っただろ……」

「そう言われて何度もしているのに一向に成長している気がしないのよ……」

 

 まさかゲル状の物から進化して無いのか?………それもう一種の才能だな。

 はやて達は評価して………無いかもな、する前に潰れるか。

 

「けど、シャマルの考えは間違って無いかもな。レシピ通りにやれば大抵上手くいくし」

「私もそう思って自分に合う本を探そうと思ったの!はやてちゃんの行きつけの本屋さんを教えて貰ったからそこに行きましょう」

 

 シャマルがはやてに教えて貰った本屋は店長の趣味か掘り出し物が多いらしい……

 外観は普通の本屋、中に入ると天井まである本棚に本が隙間なく入っていた。

 

「料理関係は………あっちだな」

 

 少し奥の方の看板に『料理』と書かれていた。

 

「けっ結構ありますね……」

「目当てとかあるのか?」

「特に……呼んで見て良いのを探します」

 

 そう言って、シャマルは最初に目に入った本を取って読み始めた。

 

「俺も何かあるかな…………ん?」

 

 目の前に大層な装飾で『究極料理大全』と書かれた本があり、それを読むことにした。

 

「―――――うん」

 

 全部読み終わって棚に戻し―――

 

「絶対シャマルに見せない方が良いな」

 

 書かれていた内容はゲテモノ料理ばっかりだった………シャマルが知ったら料理から錬金術になりそうだ。

 

「コダイ君は何か良いのありました?」

「無いな………あれは何だ?」

 

 今度は少し上に興味を引く本が合った………

 手を伸ばすが届かない。

 

「……………あ」

 

 爪先立ち何とか届いた。ピッタリ詰まっているが何とか取れそうだな。

 

「あの……コダイ君?私が取りましょうか?」

 

 シャマルが俺の後ろに着ていた。

 

「大丈夫だ………取れそう……あ」

 

 取れたと思った瞬間手から本が滑り落ち、俺の頭上を通り過ぎる……

 

 

――ひゅ~

 

 

「キャっ!」

 

 

――ポヨン♪

 

 

 シャマルの胸に反射。

 

 

――ゴス!

 

 

 俺の後頭部直撃……

 

「あ、あの~」

「俺が悪い……俺が全部悪いんだ……」

 

 読みたい物が取れただけ良しとしよう……あれ?足元が暗い。

 上を見ると………何か本棚がグラグラしている。

 

「アレ傾いてるよね、シャマル」

「そう……見たいですね」

 

 これはアレか?詰め過ぎて隣の本も引っ張られてそれで―――

 

「土砂崩れや雪崩に巻き込まれた事はあるがこの対策は全く思いつかない………」

「そんな事を言っている前に早く……っ!!」

 

――ドドドドドドドドドドド!!!

 

 この場合なんて言うんだ?………本崩(ほんだれ)?…………美味しそうだな……そんな事を言ってる間に本に呑まれた。

 何冊かの本が角から頭に落ちてきて痛かった……本の角って本当に痛い。

 

「コダイ君大丈夫ですか?!」

 

 シャマルが慌てて本を掻き分けて俺を引っ張り上げてくれた。

 

「一応……それに目当ての物も手に入ったし」

 

 本に呑まれても離さなかった本をシャマルに手渡す。

 

「え?……『主婦の味方?!超時短節約レシピ集』?」

「時短とか節約は簡単に言えばいい意味の手抜き見たいな物だから。余計な材料と作業が要らない分シャマル向きだろ」

「―――作り方も写真で載ってますし。見るからに簡単そうなのばかり……これです!こういうのを探してたのよ!ありがとうコダイ君!」

「元々それが目的だろ。さて、会計を済ませて――――の前に」

 

 落ちて来た本の山を見る……聞こえてないのか、怠けているのか店の人はまだ来てない。

 

「あ~……魔法で元に戻しておきます?」

「その方が早そうだな。頼む俺攻撃位しか使えないし」

 

 シャマルの魔法で物を直して何食わぬ顔で会計を済ませて店を後にした…………

 

「これで目的の物は買ったがこの後はどうするんだ?」

「そうですね~そろそろお昼の時間ですし………あそこにしましょう!」

 

 

 

 

 

 

 次にシャマルに誘われたのは自然公園だった……

 昼過ぎの時間に何でこんな所にと思ったが、大体今の状況で予想がついた。

 

「~♪~♪」

 

 だって大きな樹の下でシャマルがご機嫌にシートを敷いているし。

 

「シャマル……まさかとは思うが―――」

「えへへ♪実は――」

 

 魔法でシートの上に転移させた見覚えのあるバック……シャマルが最初に持っていたバックだった。

 

「じゃ~ん♪お弁当作って来たんですよ!」

 

 やっぱりシャマルの料理だった………しかも重箱。

 

「どうですか?」

「見た目は良くなったな………」

 

 蓋を開けた中身は凄いまともだった。

 おにぎり、卵焼き、唐揚げ、1口大のハンバーグ等と変色も無いし異臭も無い。

 

「はい!はやてちゃんに教わって頑張りました!」

 

 それなら安心―――

 

「更に自分流のアレンジも加えました!」

 

 じゃなかった。それ、料理ベタが1番失敗するパターン。

 

「どうしたんですか?………あっ!大丈夫ですよ?コダイ君に沢山食べてもらいから、摘み食いなどは一切してません!」

 

 頼むから摘まめ。こっちは平気だけどはやてが死ぬから。

 

「ささっ、どうぞ♪」

 

 小皿と箸が渡される。よし、作る手順から考えても安全そうなおにぎりから―――

 

 

――ガサガサッ!

 

 

「ん?」

「何でしょう?」

 

 シャマルが物音のした方を向いたその時。

 

「にゃああああああ!!」

 

 そこの茂みから野良猫が飛び出して、素早く弁当の中からハンバーグ咥えて走っていった。

 

「あ!コラ~!」

「別に1個位―――」

 

「―――――――――!!」

 

――パタン!

 

 ………突然、猫が硬直して倒れた。

 

「い、一体何が?」

「取り敢えず見てみるか……」

 

 そう言って痙攣している猫を診てみ――

 

「あ……コイツ息してない」

「…………え?」

 

 その後の行動は早かった。内容物を吐き出させて、シャマルの治療(解毒)により野良猫はすぐに走り去った……

 

「少量だったのが幸いしたが………」

 

 横を見ると……

 

「うぅ~………」

 

 体育座りで落ち込んでいるシャマルがいた。

 原因が自分の料理だからヘタに批評されるよりも辛いな………相手は猫だからフォロー位入れるか。

 

「あのハンバーグは自信作だったのにぃ……頑張って肉だけで作ったのにぃ……」

 

 肉100%………フォロー出来ない、玉ねぎは猫にとって毒だからってフォローが出来ない。

 

「はぁ~………」

 

 シャマルから負のオーラが………よし。俺は弁当箱を持って―――

 

「え!?コダイ君!?」

 

 弁当を食べ始めた。

 

「アム――――」

 

 卵焼きなのに卵の味がしない?

 ハンバーグは肉汁とは思えない何かの汁が溢れる………

 唐揚げに至っては噛んだ瞬間に溢れる肉汁と言うか肉そのものが……何で肉が液状に?食べるまで形を維持しているってどうなの?

 そして唯一安全だと思ったおにぎり………ご飯部分は問題無かったのに意味不明な具で全部台無しにしている………

 結果からして見た目や臭いは普通なのに、何で味は殆ど進歩してないんだ?本当に天才か?

 

「コダイ君ダメです死んじゃいます!」

 

 大丈夫、死ねないから。

 

「………不味い」

「うぅ………」

 

 殆ど食べてから感想を言った。

 

「だが……今までで1番良い出来だ」

「ぇ…………?」

 

 泣きそうだな……

 

「食べ物を粗末にする訳にはいかないしな………次に期待」

「えぅ…………ゴダイグゥゥゥゥゥゥン!!!」

「あ~もう子供かよ……」

 

 シャマルが泣き付いて来た。取り敢えず頭を撫でる……

 何て言うかシグナム同様に家の末っ子みたいだな。

 

「頑張ったのに~」

「大丈夫、見た目を見る限り随分進歩したから」

 

 本当に味以外は成長してた……

 

「家の所のアインもまだ修行中だし。まだまだこれからだから……」

 

 あれと比べたらダメな様な気がするが。

 

「と言う事だから頑張れ」

「ぐす…………ふぁい」

 

 鼻声で返事をするシャマル。服を掴んで離そうともしないので、取り敢えず泣き止むまでそのままでいる事にした………

 

 

――しゅ~

 

「ぅ~…………」

「お~い大丈夫か~?」

 

 時間にして約10分。ようやく顔を離したと思ったら、急に背を向けて煙が出てる頭を抱えて小さくなりだしたシャマルだった。

 

「だ、大丈夫……本当に大丈夫(見た目も歳も私の方がお姉さんなのにコダイ君の前だと子供っぽくなっちゃう……思い出したら恥ずかしく―――)」

「そうか……取り敢えず片付けるか」

 

 俺がほぼ完食した弁当箱片付け始める。

 

「ごめんなさいコダイ君……なんか今日は色々迷惑をかけちゃったみたいで……」

「何時もの事だから気にするな……」

 

 騒動とかこっちの方が起こしている様な気がするし………

 

「とにかくだ何事も経験だ。はやての教えは間違ってはいないからそれを守ればちゃんと良くなる」

「本当ですか!?はやてちゃんやコダイ君見たくなれますか!?」

「経験しだいな………まずはシャマル」

「はぃんむっ!!」

 

 シャマルが口を開いた瞬間、弁当箱の隅に残っていた卵焼きを摘みシャマルの口に放りこんだ。

 

「~っ!!」

 

 目は涙目で見開き、口は強く引き結ばれている………この顔を見ればどんだけ不味いか一目瞭然だな。

 

「味見はするようにな?」

「(コクコク!!!)」

 

 喋れないから強く頷くシャマル。

 片付けを終えて、シャマルを家まで送る事にした……

 

 

 

 

 

 

~おまけ~

 

 シャマル帰宅後……

 

「~♪~♪」

 

 鼻歌を歌いながら楽しそうにキッチンに立つシャマル。

 

 

 

「はやてぇ~何で止めなかったんだよ~」

「ごめんなヴィータ。あのシャマルのやる気に満ちた目を見たら止められなかったんや……」

 

 それをソファーに隠れながら見ているのは今にも泣きそうなヴィータとどこか悟りを開いた遠い目をしたはやてに………

 

「また胃薬の世話になるのか。くっ……せめてトキガワと同じ胃袋があれば……!!」

「落ち着くんだシグナム……アレは誰にも真似できない………」

 

 胃薬を1瓶握りしめているシグナムと既に用量の倍の数を服用済みのザフィーラだった。

 

「コダイ君からコツ教えてもろたと言っとったから……大丈夫やろ……多分」

「でもコダイの事だから面白がってそのままにする可能性も………」

「あり得るな……トキガワなら」

「確かに………」

 

 青い顔をする4人。教えたのがコダイと言う事が更に怪しさを増した………

 それもその筈、以前にも『取り敢えず経験だ、作って誰かに感想をもらえ』とはやて達にとって死刑宣告に近いアドバイスをシャマルに教えた。

 

「――リインに強い回復魔法の準備をして貰おうか」

 

 はやてはここには居ない我が家の末っ子の安全を祈った……

 

 

――ガッシャーン!!!

 

 

「大変です、はやてちゃ~ん!シャマルが料理の味見をして気絶しましたぁ~!!」

 

 大きな物音と共にリインが大慌てで飛び込んできた。

 だがはやて達はそれどころではなかった。先程のリインのセリフが頭の中で何度も繰り返される………そして次に4人が起こした反応は――

 

 

 

「「「「自殺!?」」」」

 

 

 

 知っている者なら誰もが納得する反応だった。

 その後、シャマルの治療と料理の廃棄に大慌ての八神家だった………




頭翅様、鍛冶様、『  』様、七夜士郎様、バルサ様、マオ0118様、零崎 式様、感想を有難う御座いました。

~次回もお楽しみにしてください~

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