魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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あけましておめでとうございます。

コダイとヴィータ………身長的にはベストカップル。(他はレイやサクラ等チビッコズ)


デート・ヴィータ編

「時間は………10分前か」

 

 朝にヴィータから連絡が入り、言われた場所で待っていた。

 しかも誘われる際『いいか!2人きりだかんな!!コダイと私の2人きりだかんなっ!!』とすごい剣幕で言われた一体………ん?

 

「早いなヴィータ」

 

 俺がそう言うと、何故か俺の顔の横にある手が止まった。

 振り返るとそこには……

 

「む~……」

 

 頬を膨らましてむくれているヴィータがいた。

 

「折角『だ~れだ!』ってやって見たかったのに」

「何かゴメン」

 

 後ろからバレバレで近づかれたら振り返るだろ。

 

「えへへ、でも……すぐに私って分ったから許してやる」

 

 いいんだ……それにしても嬉しそうだな……

 

「そう言えばあの時聞きそびれたが何処へ行くんだ?」

「えっとここ何だけど」

 

 ヴィータが1枚のチラシを見せる。そこにはファンシーショップだった。

 

「早速行くか?」

「おう!」

 

 ヴィータが俺の腕に抱きつく………

 

「ん~♪何かコレ久しぶりだぁ~♪」

 

 いくら背が伸びたとしても、かなり低い方だしな。

 

「早く行くぞ~!」

 

 引っ張るヴィータに付いて行く事にした………

 店に着いた瞬間、ヴィータがぬいぐるみのコーナーに走り自分と大して変わらない大きさの『のろいウサギ』に抱き付いていた。

 人気あるのかあのシリーズ、名前だけで文字通り呪われそうなのに……

 

「ふわふわだぁ~」

「何か買いたい物があるのか?……もしかしてそれか?」

 

 俺は今抱き付いているのを指す。

 何か半分埋まってる様な……

 

「こんなの大きくて置けねーよ」

 

 だろうな……と言うか買えるのかよ。

 

「か、買いたいのは―――アレだ」

 

 ヴィータが指した方を見ると1組のぬいぐるみが……

 

 『のろいウサギ(ウェディングVer.)』

 

 と書かれたプレートを前にタキシードを着た黒ウサギとウェディングドレスを着た白ウサギがあった。

 説明には『それぞれのウサギにネームプレートがあり名前を入れる事が出来ます。結婚祝いや恋人にプレゼントにどうぞ』………

 

「祝っているのか呪っているのかどっちかにしろ…………ん?これ『カップル限定』って書かれているぞ?買えないだろ……」

「だ……だから」

 

――ギュ♪

 

「こうすれば見えるだろ」

 

 そう言って俺の腕に抱き付いてくるヴィータ。

 

「色々と無理があるぞ?……」

「わ、私とじゃあイヤなのか……?」

 

 突然、泣きだしそうになるヴィータ。

 見た目的な問題なんだけど……

 

「俺の容姿が原因で姉妹にしか見えだろ」

「………私がイヤじゃ無いのか?」

「嫌では無いぞ?」

「そっか………えへへ♪」

 

 泣きそうになったり、笑顔になったり大変だなヴィータ。

 ちなみにぬいぐるみは怪しまれたが、俺が生徒手帳を出して何とか買えた。

 

「で……名前はどうするんだ?」

「勿論決まってるんだ!」

 

 店員から貰ったペンで迷う事無くネームプレートに名前を書いて行く」

 

 新郎のろいウサギ『こだい』

 新婦のろいウサギ『ヴィータ』

 

「あ、新婦じゃないんだ」

「おめー男だろ?!」

 

 女装はオシャレだし……

 

「これで目的の物は買えたな。次はどこに行くんだ」

「そーだな………よし、小腹が空いたからアイス屋行くぞ!」

「何か凄いヴィータらしい」

 

 子供と変わらない楽しそうな笑顔で答える。

 ここの近くでアイス屋と言えば有名なアイスの専門店だけだった。

 

「う~ん…………」

 

 店に着きヴィータは即座にメニューと睨めっこを始めた。

 

「どれもウマそう―――ジュルリ」

「自分が今一番食べたい物を選べばいいだろう?」

「そうだけど色々あって………それに高いし」

 

 確かにこういう専門店はかなり値が張るからな。

 

「これ位奢るぞ?遠慮はするな」

「マジか!?よ~し!端から端まで全部「頼んでも良いが残したらO☆SHI☆O☆KIだぞ?」じょ、冗談だって……えっと、バニラとチョコとイチゴだ!」

「俺は……チョコミントと抹茶とシーソルトだな」

 

 注文したアイスを貰い席に着き食べ始めた。

 

「ギガウマ!!」

「ん、美味しい」

 

 アイスは家ではアイスキャンディー位だしな……それにあんなの置いたらすぐ奴らの胃袋に消える。

 

「なぁその『シーソルト』って何味だ?」

「ん?塩味だ」

「塩?そんなのがウマいのか?」

「意外と面白い味だ、食べて見るか?」

 

 シーソルト味をスプーンで掬ってヴィータの口元に持っていく。

 

「あーん」

「あ~ん♪………ん!?ウマっ!何か後味が引くっての?不思議な味がする!?」

 

 気に入ったようだ。

 

「あっヤバ。溶けねぇ内に食わないと」

 

 そう言ってペースを上げるヴィータ………あ、口元にアイスが。

 

「急がなくても間に合う……ほらコッチ向け」

 

 備え付けの紙ナプキンでヴィータの口元を拭く。

 

「ん……って子ども扱いすんなよ……あ、ありがと」

 

 少し拗ねた感じで礼を言うヴィータ、そして食べ始めるかと思ったら俺と自分のアイスを交互に見ている……

 

「……よし、コダイ」

「どうした」

「さっきのお礼だ。その……食わせてやる」

 

 そう言ってイチゴのアイスが乗ったスプーンを差し出してきた……何かチョット震えてる。

 

「え?ありがとう」

「じゃあ……あ~……あ」

 

 震えていて狙いが合わなかったのか、スプーンは口元に当たる様な形で入った。

 

「あ……ゴメン」

「ん?大丈夫だ、コレ位拭けば「あ、あのさ」ん?」

「私が拭いても………いいか?」

「別に良いが……」

「うん」

 

 ヴィータは紙ナプキンを1枚取って、俺の口元を優しく丁寧に拭いていく。

 

「………よし、拭けた(うぅ……紙越しにコダイの唇の感触が)」

「ありがとう………顔赤いが大丈夫か?」

「だ、大丈夫だ!ちょっと柔らか……いいや何でもねぇ!!」

 

 やわらか?……一体何だ?

 

「何でも無いなら良いか。アム………このチョコミント美味しい」

「マジ!?」

「まじ……あーん」

「あ~ん♪ギガウマ!このチョコもギガウマだぞ?あ~ん♪」

「あーん美味しい……抹茶も試すか?」

「苦いのは苦手だけど………食べさせてくれるなら」

 

 その後も何度か食べさせ合った………

 

「ぅ~………」

 

 

――コクッコクッ

 

 

 お互いに2個目のアイスが食べ終わった頃、ヴィータが船を漕ぎ出した……

 

「………ヴィータ?」

「ク~………ハッ!どうした、コダイ!?」

 

 寝てたなさっきまで。

 

「眠いのか?」

「眠くねーよ!ただ目がショボショボするだけだ!」

「それを眠いって言うんだよ」

 

 それにさっき落ちてただろ。

 

「……昨日は寝たのか?」

「昨日は…………明日何処に行くかとかどの服を着ていくかとかイロイロ迷って」

「中々寝付けなかったと……」

「いや……一睡もしてねー……ふぁっ」

「おい」

 

 あくびをかみ殺しているヴィータ。何だその遠足前日に寝付けない小学生は……って肉体年齢それ位だったな。

 

「だいじょーぶだ……このてっついのきしがねむけなんかにまけるか……アイゼンでぶっとばして……やるぅ」

「惨敗中だぞ」

 

 睡眠不足と満腹になった事で一気に眠気が来たのか?

 

「アム………ぎがうま~」

 

 寝ながら器用にアイス食べてる……

 結局ヴィータは最後のアイスを食べたが、その直後に糸が切れた様にテーブルに突っ伏して眠ってしまった。

 

「暫く起きるまで待つか」

 

 取り敢えず追加注文して様子見るか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 追加注文を頼んでから食べ終えても、ヴィータは目を覚まさず。店にも迷惑になりそうなので背負って帰る事にした。

 

「ん~コダイの匂いがする~」

 

 どっかで聞いたことあるセリフだな~………確かこの後ヴィータが起きて……

 

「ん~………あれ?此処は?」

「おはよう、ヴィータ」

 

 あれ?………確か前はこの後死んだはず………

 

「な……なああああああああああああああああああああああ!!!」

 

――ジタバタ!!

 

「ななな何で私コダイに!?降ろせ!降ろしてくれ!!」

「暴れるな、落ちるぞ」

「うわっ!わわわわわっ!!」

 

 ヴィータは俺の首に腕を回す事で落ちるのを避けた。

 

「ゴ、ゴメン……その、重く無かったか?」

 

 顔のすぐ横でヴィータが聞いてくる。

 

「全く」

「そうか………良かった」

「家までまだあるから眠いなら眠っても良いぞ?着いたら起こす」

「分った……」

 

 小さく呟くと首に回した腕の力を抜いて楽な姿勢になったヴィータ。

 はやての家まで随分距離はあるが日が沈む前には着けるな………

 

「なぁコダイ……」

「ん?」

 

 そう考えているとヴィータが小さな声で耳打ちしてきた。まだ寝て無かったのか……

 

「お前……背伸びた?」

「一応……そっちから見てどうだ?」

「何時もはやて達と比べてたから分んなかったけど……」

 

 一向に差が縮まらないしな。

 

「で、過去形って言う事は?」

「肩並べて一緒に歩いたり、こうやっておんぶして貰ったりしてると背が伸びたって分った」

「そうか……」

「そうそう!(………コダイにおんぶして貰った~♪小さくてちょっと得した気分♪)」

 

 はやての家に着くまで終始ヴィータが嬉しそうに足をパタパタ動かしていた。

 

 

 

 

~おまけ~

 

 ヴィータ帰宅後………

 

「えへへへ~」

 

 ヴィータはコダイに初めて合った時に貰ったのろいウサギ(黒)を抱き締め、ベットの上をゴロゴロ転がった。

 

「今日な、コダイにイッパイ抱き付いたんだ~♪」

 

 頬を緩ませながら、そのウサギに話しかける。

 

「アイスもあ~んとか食べさせ合ったし、口とか拭き合ったんだ~」

 

 そう嬉しそうに言っていたが突然シュンと落ち込む。

 

「けど、昨日寝て無かったから、デートの途中で眠っちまったぁ~」

 

 落ち込んでいたがすぐまた頬が緩んだ。

 

「でも!コダイが家までおぶってくれたんだ~♪」

 

 再びウサギを抱き締めゴロゴロし始めるヴィータだった―――

 

 

 

 

「ヴィータ可愛過ぎや!!」

 

 それを扉の隙間から部屋を覗いていたはやてが悶えているとは知らずに。




桜日紅葉雪様、鍛冶様、マオ0118様、頭翅様、『 』様、バルサ様、つらら@ゆき様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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