魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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デート・なのは編

「コダイく~ん!!」

 

 なのはが手を振って走って来た。

 

「ハァハァ……ゴメンね!遅れちゃって」

 

 確かになのはが約束した時間から数分遅れている。

 

「理由は何となく分るが」

 

 桃子絡みだ……

 

「うん、お母さんが色々恥ずかしい服を―――」

 

 思い出したのか顔が赤くなるなのは……

 

「……別に俺は関係無いからいいか」

「コダイ君……相変わらずだね」

 

 流石になのはは慣れたか………

 

「で、今日の予定は?」

「うん、お洋服を見たいの……成長期で服が小さくなって」

 

 ……俺には縁が無い話だな。

 来てもそのサイズに合わせて作ればいいから問題無いしな。

 

「店はここの周辺に色々あるが決まっているのか?」

「うん。下調べは済ませたし、早速行こう!」

 

 なのはが俺の手を握り、目的の場所に着いて行く事に。

 

 

「あ……コダイ君、今日の服男の子っぽい」

「コレか……アイツに男に見える格好にしろって言われてそうしているんだが……」

「ん~今までが今までだからちょっと違和感が……」

「基本女装だったしな」

 

 うん、似合っていると言われるよりマシ。

 

「治すつもりは無いんだ」

「当り前だ女装はオシャレだ」

 

 アレ?コレ久しぶりに言った様な。

 

「にゃははは……コダイ君本当に変わらないね~」

「そう言うなのはも変わって無いな」

「え?そうなの?」

 

 何時も学校でしている様なやり取りをしながら目的の店に着いた。

 なのはは他の物にも目もくれず一直線に目的の品のワンピースを手に取り試着室に入って行った。

 

「速いな、何時もなら色々品定めするのに……確かアイツが選んだのってこれだっけ?」

 

 なのはが取った物と同じ物を手に取る。

 全体的に白くレースで上品に仕上げている大人っぽいデザインだ。

 ………コレをなのはが着る?

 

「想像つかないな……」

 

 そう思っているとなのはが入った試着室のカーテンが開き持っている物と同じワンピースを着たなのはが出てきた。

 百聞は一見に如かずと言うが……

 

「コダイ君どう?」

「なのはらしいが…………似合わない」

 

 なのはは白を好んで着ている。バリアジャケットも白がメインだし……

 だけど似合わない。

 

「どう言う事?」

「服が大人っぽくて似合わない」

「コダイ君、私中学生だよ!?」

 

 充分子供だろ……

 

「私ってそんなに子供っぽく見えるの?」

「うん」

「にゃぁ~……」

 

 即答すると試着室の中で体育座りをして落ち込みだしたなのは。

 

「少なくともその口調をやめない限りな」

「にゃあ~………」

 

 ツインテールで結んだ髪も垂れている、アレは生き物か?……………ん?待てよ?

 

「なのは、立って後ろ向け」

「………ふぇ?」

 

 少し間があってなのはが立った。

 

「動くなよ」

「う、うん」

 

 なのはの髪を結んでいるリボンを解く。結構伸びているな……シニヨンは充分な量だけど似合わないからコレにしよう。

 髪を手早く纏め、リボンで結んだ。

 

「よし………やっぱり、コレで似合うな鏡見てみろ」

「え?……」

 

 なのはは呆然としている、今のなのはの髪はサイドポニー………つまり片側に纏めて結んでいる。

 

「何か私じゃないみたいなの」

「何時もツインテールだったしな。一気に雰囲気が変わってるからし……これなら申し分ないな」

 

 髪型も変えたからこの際服も選ぼうと俺もなのはの服を選んだ………この時桃子が面白がって着せそうな服を選んだらなのはに怒られて断念した。

 

「コダイ君……ありがとう」

「ん?どうした?」

 

 会計の時、なのはが顔を赤くして言った。ちなみに今着ているのは俺が選んだ服だ。

 白のワンピースだがこっちはシンプルなデザインでそれにアウターはデニムのショート丈のジャケットにしている。

 

「あの……服」

「ん?……気にするな、俺もたまには悪くないなと思って自分の分も買ったからついでだ」

 

 オシャレの参考にな。

 

「えっと……うん(コダイ君にコーディネイトされちゃった……はっ!と言う事は私は今コダイ君色に染められてる!?にゃ~)」

 

 なのはが突然クネクネし出した……

 

「あの……お客様は大丈夫ですか?」

「元から大丈夫じゃないから心配するな」

 

 店員にそう言った……

 なんかトリップしていたなのはを猫だましで起こし、次にやって来たのは………

 

 

 

 

 

「わぁ~♪このモンブラン美味しそうなの~♪」

 

 

 

 

 

 ショーケースの中、周りの陳列棚も見渡す限り様々なケーキで埋め尽くされている。

 そう、ケーキバイキングだ………しかもなのはが入った瞬間に皿等をもって暴走した。

 

「道理でいつも時間掛ける服選びが早く終わったわけだ……コレが本来の目的か?」

「コダイく~ん!!早くしないと無くなっちゃうよ~!」

 

 聞いて無いな……

 

「そんな訳…………」

 

 なかった………他の客を見ると皿からこぼれそうな程盛ってる奴もいた……この際だ折角だから元取ってやるか。

 皿を持って、取り敢えず定番から攻める事に……で、適当にケーキとセルフのドリンクを選んで席に座った。

 なのはの前にある皿は3枚、そしてその隣にいる俺の前にある皿は4枚………だが1枚につき盛られてる量はなのはの方が多い。

 

「………大丈夫なのか?」

「うん♪甘い物は別腹って言うでしょ?」

「そう言う事ね」

 

 なんかサクラの大食いの理由が分ったかも。

 アレだけ食べたらどうなる事やら……ん?プログラムだから問題ないか?

 

「アム………にゃ~美味しいの~♪」

 

 そんな事を考えているとなのはがケーキ食べて蕩けてる。

 こっちもショートケーキを食べ始める。

 

「アム…………ん、美味しい」

 

 種類も多いが1つ1つのレベルが高い………しかもサイズが通常より少し小さい……だから女受けするのか?

 

「アム♪…………あぅ」

 

 なのはが幸せそうに何個目かのケーキを口に入れた瞬間、苦い表情をした………

 

「どうした?」

「このガト―ショコラ苦いの~」

「ガト―ショコラ?確か俺も取った筈………」

 

 自分のガト―ショコラを食べて見る………

 

「かなり甘いぞ?」

「嘘!?……味覚の違いかな~?」

「食べて見るか?あーん」

 

 フォークで1口分にしたガトーショコラを差し出しす。

 

「あ~ん…………甘~い♪」

 

 なのはが口に入れた瞬間、再び蕩けた。

 

「なのは、ソッチのも」

「うん、はい……あ~ん♪」

「アム……」

 

 差し出されたガトーショコラを口に入れると、苦い……と言うよりカカオの味が口に広がる……確かに味が違う、ミスでは無いとすると………あ。

 

「なのは、コレだ」

「え?コレ?」

 

 俺が指したのはガトーショコラの上に飾ってるなのはの方の80と俺の40と書かれたチョコだ……

 

「多分カカオの事だろ……80とか40とか」

「成程~」

 

 つまりなのはは苦いのを俺は甘いのを偶然取ったと言う事か。

 

「交換するか?」

「いいよ、私が取ってきたから全部食べる」

 

 それなら良いが……そのままなのはは若干苦い顔をしながらガトーショコラ(カカオ多め)を食べ切った。

 

「………よし、次はフルーツタルト~♪」

 

 アレから次々にケーキを取りなのはが次に取ったのはフルーツタルトだった

 こっちは……よし、苺ゼリーで覆われてるレアチーズケーキにするか。

 

「あ、これグレープフルーツも使ってる!コダイ君はい、あ~ん♪」

「ん?アム……」

 

 なのはに差し出されたタルトを口に含むとフルーツの甘さの他に爽やかな酸味と苦みが口に広がる、確かにグレープフルーツを使ってるな。

 

「コダイ君、そっちのレアチーズケーキはどう?」

「ん?美味しいぞ?あーん」

「あ~ん♪」

 

 こちらもレアチーズケーキを1口分に切って差し出す。

 

「ん~♪レアチーズを覆っている苺ゼリーが何とも………」

 

 贅沢にシロップ漬けにした苺を潰して使ってるが家では苺のジャムでも代用できそうだな………ん?

 何か微妙な視線が………女性客が顔を赤くしながら羨ましそうにこちらをチラチラと見ている……

 

「何だこの視線……何か心当たりある―――」

 

 なのはの方を見ると。

 

「――――――――」

 

 顔を真っ赤にして俯いている。今の状態は俺が差し出したフォークを咥えたまま。

 

「………どうした?」

 

 取り敢えずフォーク引き抜いて、聞いてみる。

 なのはは無言で首を横に振る。

 

「何でも無いのか?」

 

 今度は小さく頷く。

 …………絶対そうには見えないが。

 

「(うわ~!うわ~!そうだよ!!男女が普通『あ~ん』何てし合わないの!!何時もの事だから慣れちゃったけど、これって周りから見ればか………カップルだよね?!)」

 

 …………固まってるけど……残したらその分払う筈だったよな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なのは………食べ過ぎ」

「そうかな?」

 

 ケーキバイキングを出るともう夕方、帰り道を歩きながら話していた。

 

「サクラと同じ位…………将来大変だぞ?」

 

 あの後正気に戻ったなのはは残り時間を見て慌てて他のケーキ取って、それを全部食べ切った。

 俺も2回目に行ったが多分量ならなのはが上だ。

 

「うぅ……でも仕事で体いっぱい動かすしそれで落とすの!それよりも何でその細い体に沢山入るの!?」

「そうか?………別に普通だと」

 

 レイを始め、サクラ、エル、アンズ、エリオがやたら食べるから麻痺したのか?……アインも俺と同じ位だし。

 

「やっぱり非常識の非常識だよ…………あ」

「ん?どうやら着いたみたいだな」

 

 いつの間にかなのはの自宅前だった。

 

「じゃあ、またこん「待って!!」ん?」

 

 振り返ると、なのはが顔を赤くしてモジモジしている。

 

「あのね、コダイ君…………私、コダイ君の事が――――――――!!」

 

 

 

 

 

――ゴオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォ!!!!!!

 

 

 

 

 

 なのはの言葉を遮る轟音と共に大きなトラックが近くを通った………

 

「………………」

 

 思わず固まるなのは………

 

「あ~………仕切り直しで、もう1回言ってくれるか?」

「ふぇ!?……ぅ~……やっぱり何でも無いの!また今度ね!」

 

 そう言って勢いよく家に入っていったなのは……

 

「何だったんだ?………」

 

 数分間考えたが。言わないのなら大したことは無いだろうと思い。

 そのまま帰路に着いた。

 

 

 

 

 

~おまけ~

 

 なのは帰宅後……

 

「うぅ~………トラックのばか~」

 

 部屋に戻りそのままベットで不貞寝してしまったなのは………後に部屋に来た桃子に今回の事を話した。

 

「告白寸前でトラックの音で聞こえないって………これはまた、ラブコメねぇ~」

「うぅ~……折角のチャンスが~」

「大丈夫よなのは!まだチャンスは沢山あるわ!」

「ホント!?」

「えぇ!………だからその時にコダイ君を悩殺出来る服を今から選ぶのよ♪」

 

 そう言ってどっからか色んな服を取り出す………

 だがそれら全ては中学生が着るには……と言うか普通に着るには勇気や覚悟や何か捨てるのが色々と必要な服ばかりだった。

 

「お母さん!?その服……何かへそとかふとももとかいっぱい出てるよ!?」

「何を言っているの?普通の服で悩殺出来ると思っているの?逆に色気で悩殺されるわよ?」

「それは……」

 

 それはさすがに……と言いたかったなのはだが……否定できる材料は少なかった。

 

「コダイ君みたいな絶食には食って掛からないと!ちなみに私のお勧めはコレね♪コレで士郎さんに食べられちゃった♪」

「お母さん!?ソレ完璧にリボンだけだよね!!服じゃないの!!(でもコレ着たら私―――コダイ君に食べられちゃうのかな?)」

「孫は何人でもいいわよ♪」

「心読まないでよぉ!!」

 

 終始、桃子がなのはを弄ったのは言うまでもない……




コダイとなのは達6人娘の中では『あ~ん』は普通になっています(慣れ)。

鍛冶様、頭翅様、桜日紅葉雪様、ミラ ランドラス様、つらら@ゆき様、不屈の心様、バルサ様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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