魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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すいません……また間隔が開きました……


デート・フェイト編

「あれ?コダイ?」

「ん?フェイトか」

 

 フェイトと遭遇した。

 昨日の夜、電話でフェイトと約束をして、フェイトが言った場所へ向かう途中でだ。

 

「早いな」

「うん、早く起きちゃったから驚かせようかなって」

「遅刻とか既に居るとかならまだしも、向かう途中で合うとは………」

「アハハハ……私も」

 

 コレには流石に予想外。フェイトも苦笑いしているし。

 ん?何か違和感が………見た事あるようで無い様な…………あ。

 

「髪下ろしたのか?」

「え?……う、うん!局の方じゃこっちの方だったしこのまま通そうかな~って」

 

 気付いた違和感はフェイトの髪型が管理局で仕事している時の髪型だった。

 普段はツインテールだが管理局では髪を下ろして腰の下辺りで黒いリボンで結んでいる。その髪型を今していた。

 

「ど……どうかな?」

「うん……何か中学生みたいだな」

「私中学生だよ?!」

 

 知ってる。

 

「早めになったが今日の予定は何だ?」

「え?予定………最初は映画館かな?」

「映画?」

 

 だから待ち合わせに映画館にしたのか。

 

「リンディ母さんが『凄く泣ける』って言ってたの。ホラ、チケットもくれたよ」

 

 フェイトが映画のチケットを見せる………リンディの時点で怪しさ満点だが。

 と言うか『何の』映画かを伏せてるあたり絶対そうだ。

 

「じゃあ映画館に行くか」

「えっと………じゃあ」

 

 フェイトが恐る恐る手を伸ばしてきた。

 

「て………手を繋ご?」

「何で疑問形?良いけどさ」

 

 差し出されたフェイトの手を握り、並んで本来の待ち合わせの場所の映画館に向かう。

 

「と言うか何で手を繋ぐ必要性が?」

「えっと……何となく?(よし、普段とは髪型を変えて印象付けてそして普段より積極的に―――お母さん達のアドバイス通りに出来た)」

 

 聞かれても困る……

 映画館に着き、受付でチケット渡して整理券に書かれた指定された席に座る………だけだった。

 

「フェイト、何だそれは………」

「え?…………アイスコーヒーとキャラメルポップコーンだよ?」

「そんな事は分ってる。だから何でそんなの買っているんだ」

「え?!だって映画館に行ったらポップコーンと飲み物は常識だよ?!」

 

 聞いた事無いぞそんな常識……

 誰の差し金だ……いや、映画館に行く様に差し向けた奴だな、つまりリンディ。

 

「大丈夫だよコダイの分もって大きいの頼んだから!」

「そうじゃなくてだな………」

 

 もういいや………買った物は仕方ないし。

 諦めて指定された席にフェイトと隣同士で座る……席は真ん中位と言う良い位置。

 客層は若い男女2人組……ジャンルは恋愛か?いや、それにしては客が少ない……あのリンディが勧めた映画だ。何かある筈………とすると大人向けのか?

 

「モグモグ……あ、始まるよコダイ」

 

 呑気にフェイトがポップコーンを摘みながら俺に教えてくれた

 始めに宣伝とばかりに予告。映画が始まった。

 

「ってコレは……」

 

 やっぱりあの女碌な事考え無いな……

 

 

――きゃああああああああああああああああああああ!!!

 

 館内に響く男女混合の悲鳴。予想斜め上…………いや、ある意味予想どおりの事をやらかしたなあの女。

 

「ヒック……コダ―――ッ!!!!」

「確かにコレは『凄い泣ける』映画だな」

 

 フェイトが俺の腕にしがみ付いてと言うか、顔を抑えつけている。

 リンディが推した映画は今1番怖いと話題のホラー映画だ……腕や首が飛んだりしているしスプラッターも入ってるなコレ。

 因みに俺の良く見る映画のジャンルでもある。理由は1つ人間が惨たらしく悲惨に死んでいくのが見れるし面白い殺し方の参考にもなる……というかなった。

 

「コダイは平気「「きゃああああああああああああああ!!!!」」ひぅっ!!」

 

――ぎゅ~!!

 

 更にフェイトのしがみ付く力が強くなる。

 もう上半身を乗り出して俺にこれでもかとしがみ付いている。

 ストーリーは和風ホラーの定番だな。如何にも幽霊見たいな女に誰かが殺されてそれを知った人間も殺されてと恐怖が伝染して広がっていくパターン……

 

「フェイト力緩めろ服が千切れる、それに見えにくい」

「だってこわ―――――――」

 

 

――ぎゃああああああああああああああ!!

 

 

 映画より客の悲鳴が怖い……

 よく見れば俺とフェイトと同じ状況になっている男女組が大半……逆もあるけど。

 

「っ!!」

 

 今度は抱き付いてガッチリホールドして来たよ……

 

「フェイト首を絞めるなと言うか離れろ見れないだろ」

「ゴメン。お願い、終わるまでこのままで………」

 

 そう言ってそのまま動かなくなるフェイト。まだ返事して無いけど………

 取り敢えずこのまだ大量にあるポップコーンを消費しながら時間を潰すか………お、この殺し方良いな……今度試すか。

 物語は終盤に入る。主人公が弱点を見つけそれを女に使い消滅させる、そして数日後まで飛び何気ない日常を主人公が移されて終わり………

 と思いきや最後に主人公とすれ違ったのがあの女……と言うつまらないオチでエンディングと―――

 

 

 

 

 

 

「はぁ~………」

「ほら、アイスコーヒ……要望通りミルクと砂糖多めの奴」

「あ……ありがとう」

 

 テーブルでうつぶせになっているフェイトの傍にアイスコーヒーを置く。

 映画が終わり、終わっているのに未だにしがみ付いてるフェイトを解放するために近くのファーストフードで休憩を取る事にした。

 

「リンディお母さんのばか~……」

「と言うかあの女に何て言われて渡された」

「えっと………言えない」

 

 伏せた状態のままこちらを見上げたが直ぐ顔を伏せた……

 

「別にこっちに被害が来なければ良いけどさ………学習しろよ少しは」

「うぅ~……言い返せません(理由なんて言えない……コダイと急接近出来るって言ってたけど意味が違うよ~)」

 

 何か脚をジタバタしているけど……

 暫く顔を伏せていたが、アイスコーヒーを飲んでようやく落ち着いたフェイトだった。

 

「で、これで映画を見終ったが他に何か予定があるのか?」

「ん~………あ、そうだ服を見たいんだけど良い?」

「服?……夏休み前に夏の新作を買ったばかりだろ」

 

 買うだけが目的ではないと思うが……

 

「私のじゃなくてエリオの服を見たくて……」

「エリオの?」

「うん、だって私と姉さんはエリオの保護者だし………プレゼントの1つでも送りたいな~って」

 

 そう言えばコイツが保護してたな。

 服か……春夏物はあるが秋冬物は無いな。それにマテリアルズと違って成長するからそれに合わせたサイズも大きめにしないとな。

 

「それは良いが……大丈夫か?」

「勿論。子供服が豊富なお店もバッチリ調べたし、お金も結構下ろしたし!」

 

 あ、コイツ絶対将来過保護になるな。しかも親バカもといバカ親に。

 

「フェイトのセンスの無さを心配しているんだ」

「ふぇ?!だ、大丈夫だよ!」

 

 今までのアレを見て説得力の欠片も無いぞ。

 

「今から行くか?」

「もうちょっと休んでから………」

 

 10分位休憩して、フェイトに連れられて目的の店に向かった。

 普通の店とは違い子供服が多めらしい………

 

「ねぇねぇこれはどう?」

「無いな」

 

 フェイトが早速見せてきた服を即答で切り捨てる。

 

「ちょっとコダイ!?ソレ酷いと思うんだけど?」

「ふざけるな、あり得ないだろ猫とかウサギとか」

 

 今フェイトが持っているのはアニメ調に描かれたネコやウサギとかの可愛い動物が沢山描かれている服だった。

 

「え?可愛いのに……」

「男の子の服に可愛さを求めるな……」

「ん~……じゃあこのクマやライオンに―――」

「そのシリーズから離れろショタコン」

「コレも!?だってカッコいいよ?ライオン」

「確かにライオンはカッコいいと思うがそのアニメ調に描かれて迫力の『は』の字も無いライオンがカッコいい訳あるか」

 

 何だそのドーナツ店に居そうなライオンは……

 

「もっとマシなのがあるだろ」

「ならこの黒いやつで……」

「黒単色は流石にない」

 

 予想通りだった………センス無い。

 あのバリアジャケット見れば当然だけどな……

 

「じゃあ何が良いの?」

「そうだな………ん?アレなんかが丁度いいだろう」

 

 少し離れた所に3人家族みたいなマネキンに着せられてたタータンチェックのコットンシャツだった。

 

「アレなら夏から秋にかけて着られるし上に着るものだから若干大きくても問題は無さそうだな。エリオ赤好きだし」

「赤が好きなんだ……覚えておかないと」

「それでコレにするか?値は張るが……って欲しい時は店員を呼ばなければいけないらしい」

 

 値段の傍に『ご購入の際は係員にお申し付けてください』と書いていた

 

「そうなの、すいませーん!」

 

 それを聞いたフェイトがすぐ店員を呼んで

 

「このシャツを買いたいんだが何で呼ぶ必要があるんだ?」

「はい、コレは家族用3着セットで販売している『家族ペアルック』と言うものなんです」

「ペ、ペアルック?!」

 

 その単語だけフェイトが反応した。

 

「ええ、結構人気なんですよ?それに3着でこの値段ですのでご購入する人が多いんです」

「3着であの値段だったのか……なら買っても損は無さそうだな。フェイトどうする?」

「買います!!」

 

 フェイトが喰い気味で答えてきた。

 

「ではただ今お持ちしますので、失礼ですがお客様のサイズを測らせてください……えっとお子さんは」

「俺がサイズ覚えているからそのサイズを持って来てくれ」

「はい、では後ろを向いてください」

 

 店員が俺の肩幅をメジャーで測っていく。

 

「ありがとうございます。ではそちらのお客様の………お客様?」

「あぅ……ぅ~(ペアルック……ペアルック……まだ付き合ってもいないのに。コレが母さん達が言ってた急接近って事?!)」

 

 フェイトが後ろを向いて顔を手で隠している……よく見ると耳が赤い。

 

「今何しても気づかないと思うから今の内にしたら?」

「は、はぁ……」

 

 さすがの店員も苦笑い……

 サイズを測り終えた後、店員が奥に向かい暫くしてシャツの3着を持ってきた。

 その頃にはフェイトも正気に戻ったみたいでフェイトの希望で子供用はプレゼント用に包んで残りはココで着て行く事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ココココダイ?ホントにここを通るの?」

 

 フェイトが腕にしがみついてガタガタ震えている。

 

「早く帰りたいんだろ、だったらここを突っ切れば近道だ」

 

 あのシャツの他にも何着か買う頃にはもう真っ暗になっていた……

 今歩いている公園を突っ切ればすぐフェイトの家に着く。

 

「出ないよね?オバケとかで無いよね!?」

「出る訳無いだろ………」

 

 居るなら大体気配で分る………

 

「でも!!そう言いながら歩いている若いカップルがお化けに襲われるってさっきの映画で――っ!!」

「唯でさえ怖がりなのに思い出すな」

 

 と言うかしっかり見てたのかよ……怖い物見たさか?

 

「そそそそうだけど、思い出したくないのに次々と……あぁ!そう言えばその後カップルは……」

 

 面倒臭い……殴って気絶させるか?

 

 

――ガサガサ!

 

 

「ん?」

 

 本気で殴ろうと思った瞬間、茂みから音が……

 

「きゃああああああああああああああああああ!!!!」

「って抱きつくな、離れろ」

「おばけえええええええええええええええ!!!」

 

 …………何か驚き方がエルそっくりだな。

 

 

――ガサガサ!!

 

 

「アレ?………音が大きくなって無い?」

「近づいてる」

「えぇ!?」

 

 段々音が大きくなるにつれ、フェイトの抱きつく力が強くなる………

 

 

――ガサッ!!!

 

 

「きゃああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 茂みから出て来たのは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にゃ?」

 

 野良猫だった

 

「ね、ねこぉ~?………」

 

 緊張が緩んで力が抜けてその場で座り込んだフェイト。

 

「にゃ~」

 

 えっと……『お嬢さん方、こんな夜に一体何を?(CV.某黒執事)』って?

 

「帰る所だ……気にせず徘徊してくれ」

「にゃ~」

 

 元に茂みに戻る猫、『では私はコレで』か………何だあの礼儀正しい野良猫は。

 

「はぁ……早く帰るぞ「待って!!」ん?」

 

 振り返ると、まだその場でへたり込んでいるフェイトが………

 

「えっとね……………腰………抜けちゃった」

 

 仕方ない……これしかないか。

 

――ひょい♪

 

「っ!?」

 

 フェイトを横抱えで持ち上げた……確か桃子達が言うには『お姫様だっこ』だったか?

 

「このまま家に送る」

「えぇっ!?は、恥ずかしいよ!まだ人がいるかもしれないのに!」

「腰を抜かした貴様が悪い、ソレに俺は恥ずかしく無い」

 

 この状態のまま、フェイトのマンションの家の前まで送る事にした。

 

「あぅ~(お姫様だっこされちゃった………何だろう、今日はコダイに凄く近づけた様な気がする…………)」

 

 

 

 

 

~おまけ~

 

 フェイト(コダイにお姫様だっこで)帰宅後……

 

「フェイト~何でコダイにお姫様だっこで帰って来たのかな~」(ゴゴゴゴゴゴゴ……)

「ね、姉さん?」

 

 コダイがフェイトを自室まで運び帰った後、アリシアの纏う黒いオーラに震えている。

 

「それに………それに何で行く時と服が違うの?!しかもコダイとペアルック!!!すっっっっっっごい羨ましい!!!」

「えっとね、順番に話すから落ち着いて姉さん!」

 

 震えながらもこの場から逃れる為順を追って話し始めたフェイト。

 

「最初に運ばれたのはチョット公園で色々あって………それでその……腰が―――」

 

 と言った所でコダイにお姫様抱っこされたのを思い出して再び赤面…………

 

 

 

 

「つまり、フェイトは夜の公園でコダイ君に足腰立たなくされて。そしてそのペアルックに着替えたって事ね?若いって良いわね~♪」

「リンディ母さん?!」

 

 

 それを確信犯の如く爆弾発言をしたリンディ。

 そんな事を聞いて黙っていないのは……

 

「フェイト?」

 

「少しO☆HA☆NA☆SHIを」

 

「聞かせて――」

 

「くれますよね?」

 

 アリシア、プレシア、アルフ、リニスのテスタロッサ家だった。

 バインドで拘束され、引きずられて行くフェイトをリンディはリンディ茶を飲んで………

 

「ん~半分成功で半分失敗って事かしら?」

 

 フェイトの様子を見て今回のデートの結果を推測した。

 今回のフェイトのデートをヒントを与えたのはリンディだった。映画は何故ホラーにしたのかと言うと消去法でしかなかった。

 鉄板の恋愛映画の場合恋愛映画に欠かせないベットシーンが流れたりすると初心なフェイトが意識し過ぎて消極的になってしまうかもしれない。

 さらにアクションやSFなどのはそんな要素は皆無な上にコダイの嫌いなジャンルでもある。ならば残るはホラーのみ……

 これならば意味合いは違うとはいえコダイと急接近できる上にコダイの好きなジャンルなのでこれしか無かった。

 

「さ~って今度はアリシアのデートプランを考えましょ~っと♪」

 

 軽快に鼻歌を歌いながら次のプランを練り出したリンディだった。




因みに作者が印象に残っているホラー映画は『富江』って映画です……知っている人いるかな?


鍛冶様、ミラ ランドラス様、頭翅様、龍賀様、都牟刈様、武御雷参型様、影の契約者様、つらら@ゆき様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください!!~

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