魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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遅れてすいません、やっと書けました……
とにかくアリサをデレデレにしてみました…………


デート・アリサ編

「……………」

 

 俺は大抵の事なら平然としていられるが―――

 

「あら?良いタイミングね」

 

 家の前にアリサが居てその後ろにリムジンがあると流石にリアクションに困る。

 昨日の連絡でそっちから来るとは分っていたけど……

 

「何でリムジン?」

「何でって……今日はコレで行くのよ」

「……で、何処に向かうんだ?」

「着けば分るわ」

 

 どうやらお楽しみらしい。

 取り敢えずリムジンに乗り揺られて数十分。着いたのは中心部から少し離れた山にあるログハウス風のレストランだった。

 

「海鳴にこんな所があったのか」

「知らないのも無理は無いわよ、ここは有名な隠れ名所だもの。予約するの大変だったわ」

「有名?隠れなのにか?変じゃないか?」

「自分で言って何だけど、そう思うわ……」

 

 有名な隠れ名所って矛盾してるからな。

 

「で、これからどうするんだ?」

「そうね……メインは夜だし…………近くの湖で釣りが出来るわよ?」

「来たばかりで分らないからそこは任せる」

「そうだったわね、このアリサ様に任せなさい♪」

 

 アリサに手を掴まれてそのまま湖まで引っ張らられた。

 着いた湖はそこそこ大きく自分達以外にも釣りをしている人が何人もいた………しかも2,3人如何にも釣りやってますって気合入っている格好の奴がちらほらと。

 早速釣竿を借りて適当な場所で釣りを開始した。

 

「そう言えばあのレストラン。ここで釣った魚を調理してくれる見たいよ?」

「目的は時間潰しだしな……適当にやるか」

 

 適当に魚が飛び跳ねるの見えた場所を選び何の目的も無くアリサと隣同士で釣りを始めた。

 湖は山から来ているので綺麗ではあるが中流っぽいし流れは緩やかだから大した物は釣れ無さそう……

 

「……………静かね」

「……………釣りだしな」

 

 アリサと2人でただ浮きを見ている。

 ほんの少しだけ喧騒(けいそう)から離れただけなのに風と水の音しか聞こえない。

 

「偶には良いでしょ、特にアンタ達の場合は仕事とかで忙しそうだし……」

「忙しいとは思った事無いけどな……」

 

 仕事と家の事は俺しか出来ない事だったし……最近は家事はアインが手伝ってくれるし仕事は人手が増えたし……

 

「―――お」

 

 浮きが少し動いた。

 ここで引かず少し待ち深く沈んだ瞬間に竿を引くと釣れたのは10cm位のアユだった。

 

「これは………塩焼きかな」

「アユはそれが美味しいって言うものね―――あ、こっちも来た………ソレ!」

 

 タイミングを見計らいアリサが竿を引くと掛かったのは同じくアユだった。

 

「う~ん……やっぱり小さいわね~」

「食べるならこれ位が良いだろ……」

「そうだけど釣るとしたらもっと大きいのを釣ってみたいわね」

 

 アユを針から外して再び糸を垂らす。

 

「まあ頑張れ」

 

 俺は当初の目的通り頭を空にして時間を潰させて貰う―――お、また来た………またアユだった。

 お互いに会話はそこそこにただ静かに浮きを見るだけで沈んだら引いて釣り上げるを繰り返して、気付けばもう日が沈みそうだった。

 

「…………釣れないわね」

「いや、釣れてるだろ……」

「大物って意味よ」

 

 釣果は互いにアユ3匹。本当はもっと釣れていたが小さいのばかりだったので大きいのを残して他は逃がした。

 

「お~いそろそろ暗くなるからやめるぞ」

「分ってるわよ!コレが釣れたら――――来た!」

 

 浮きが沈んだ瞬間、アリサが目を見開き竿を引いたが………

 

「うわ軽っ………またアユだわ」

 

 一気に気落ちした、返ってくる感覚で小物と分ったらしい。

 竿に引かれて大きくなっていく魚影の後ろに何かが………

 

「アリサ、大物が来るぞ」

「は?何言って―――きゃっ!!!」

 

 少し遅かったか……

 アリサ自身が予想だにしない強い力で引かれて竿ごと持ってかれそうな所を俺が後ろから腕を腰に回して止める。

 

「ちょっ――何が起きたのよ!」

「掛かったアユを何かが喰ったんだ。と言うか竿離せ、体勢が危ない」

 

 投げ出される寸前のアリサを後ろから抱えているのでアリサが踏ん張れない状況。

 

「嫌よ!せっかく大物が来たのだもの……ここで釣らなきゃ女が廃るわ!!」

「釣りに女関係ないだろ」

「こんのおおおおおおおおおおおお!!」

「女云々がもう手遅れなきがするぞ、それで…………ったく」

 

 意地でも釣り上げる為に竿を引くアリサ。俺もそれに合わせてアリサを思いっきり持ち上げた。

 それにより魚は水面から飛び出して高く放られて俺達の近くに落ちて来た、その魚は――――

 

「これナマズだ……」

 

 釣り上げたのは60cm以上のナマズだった。

 どうやら夕暮れの時間帯に夜行性のナマズが起きてアリサのアユを喰ったみたいだな。

 

「………食べれるの?」

「白身魚ではかなり良い」

「…………マジ?」

「マジ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ビックリしたわ……まさか自分に釣りの才能があったなんて」

「マグレな掛かりで威張んな。お前にある才能は自分を持ち上げた人間の倒し方だ」

「うっ………わ、悪かったわよ!(何言ってんのよアタシ馬鹿!そこは素直に謝りなさいよ!アイツのお陰で濡れずに済んだんだから!)」

 

 ナマズを釣ったわ良いがその直後に今の自分の体勢を思い出したアリサが持ち上げられたまま殴る蹴るなど受けた。

 痛くは無かったけどさ。

 釣った魚はレストランに持って行くと早速調理に掛かるらしい……ナマズを見た時のリアクションが新鮮だった。

 

「しかし、アリサがメインは夜と言ったのはこのためだったのか」

「そ、そうよ。折角自然に囲まれているんだし勿体無いじゃない」

 

 レストランは静かで良い雰囲気……料理もそれに合う様に美味しい、それ以外に……

 

「星空を見ながらコース料理って―――」

 

 レストランに隣接してあるテラスにある席で、明りはテーブルにある手元が見える位だけで、そのおかげか上を見ると普段見れない位の星空だった。

 俺達が釣ったアユはフライにナマズはソテーにして出てきた釣ったばかりだからどれも美味しい。

 

「成程な……ここら辺が一体となって経営しているのか……」

「最近口コミで話題になってるらしいわよ?」

 

 そんな話をしながら料理を食べ進めていき、最後にデザートのケーキがやってきた。

 

「ここのケーキも野菜を使ってて美味しいって評判なのよ……アム(よし……コレを食べ終えたらちゃんと謝ろう!)」

 

 アリサがそう言いながら食べ始める。

 美味しいのは分るがペース速くないか?もう食べ終わったし………

 

「コ、コダイ!」

「ん?」

 

 アリサが椅子から立ち上がり、テーブルに身を乗り出した。

 

「さっ……さっきはあ――――はれ?」

「アリサ?」

 

 あれ?………徐々に赤く……

 

「きゅ~」

「アリサ?………まさか」

 

 俺もケーキを食べて見るとブランデー入りだった。

 

「コレだけでとか……」

 

 アルコールの臭いだけで倒れるってどれだけ弱いんだよ。

 

「取り敢えず休める所を探すか……」

 

 店員を呼んで聞いた所。実はここはレストランでもあり宿泊施設でもあり……つまりペンションみたいな物らしい、部屋は空いているので使わせてもらう事にした。

 

「――よし」

 

 案内された部屋のベットにアリサを寝かせる。

 

「さて……一応連絡はしたから問題は無いだろう……」

 

 今の内に酔い止めの薬でも―――

 

――クィ

 

「ん?……」

 

 振り返ってみるとアリサが目を覚まし俺の袖を掴んでいた。酔っている所為で顔が赤くなっている……

 

「―――の?」

「ん?」

「いっちゃうの?」

「は?………」

 

 今にも消え入りそうな声で此方を上目づかいで見てくる……何か涙目になっている。

 

「ありさをおいて……どっかいっちゃうの?」

 

 あ、もう完全に出来上がっている……しかも地雷だなこれ。

 アリサがとんでもなく酒に弱かったようだ。

 

「今から薬を買ってくるから大人しく「やぁ!!」って」

 

 更に強く掴まれ、アリサの隣に座らされた。

 

「やぁ!!ありさを一人にしないで!!」

 

 今度は腕に抱きついてくる。しかも手加減抜きかよ……

 

「すぐ戻る………」

「やぁだぁ~いっしょにいてょ~」

 

 呂律がもう回って無い……今にも泣きそうだ………

 酔っ払いには正論は通じないし……こういうのは満足させて寝かせるしかないか。

 

「分った、居てやる………」

 

 こういうのは満足させて寝かせるしかないか。

 

「ホント!?ウソつかない?」

「本当だ」

「じゃあ……………ありさのあたまなでて」

「……………は?」

 

 普段のアイツなら絶対言いそうにない言葉が出てきた……酒で前後不覚になっている所為でもあるが。

 ―――酔いが醒めたらどうなるんだコイツ。こんな感じどっかで見た事が……あ、レイだ。

 つまりこいつも犬だ大型犬クラスの……犬種的にはゴールデン。レイの場合は泣くよりくっ付いて離れないが……

 

「…………うぅ」

 

 少しでも間が空くと泣きそうになっている………

 

「えへへ~」

 

 取り敢えず後の事は全部アリサの所為にして頭を撫でてやる。

 見事にだらしない顔になっている。

 

「………あ」

 

 と思ったら今度は離れて俺に向かい正座をした。何がしたいんだよ……

 

「しゃっきはごめんなしゃい」

「は?さっき?」

「ありさ……コダイいっぱいなぐった……たしゅけてくりぇたにょに……こだいにゃぐった」

 

 殴った?……あ、釣りの時か。

 

「気にするな、何処も痛くもないし」

「ほんと?いたくない?」

 

 大丈夫だから、顔をペタペタ触るな。

 

「ん~…………ん!」

 

 暫く触っていると今度は抱き着いて来た。

 

「ん~……ねぇねぇ!こんどはギュ~ってして!」

 

 どうやら理解してもらえたらしい………この際だからコイツの泥酔行動を録って公開するか?

 そうと決まればコイツのわがままを聞いてやるか…………

 

「すぅ…………すぅ……」

 

 え?寝てる………まさかの寝落ち?………録り損ねた。

 それに薬買いに行くにも思いっ切り抱きつかれているので動けない。

 

「………薬は明日にするか」

 

 俺も寝る事にした………

 

 

 

 

~おまけ~

 

「ん~………………っ!!!」

 

 翌朝、頭痛によりかなり早く目を覚ましたアリサは飛び起きて周囲を確認する、そこには自分以外誰もいなかった。

 それを確認して………

 

「~っ!!!」

 

 ベットの上で頭を抱え足をジタバタさせた。

 昨夜にあった事はしっかりと覚えていた、これ程優秀な自分の頭の良さを恨んだ事はない。

 因みにコダイは早朝に起きて薬を買いに行った。

 

「酔っていたとは言え、コダイに抱きついたり頬ずりしたり子供みたいに甘えたり、酒の力恐るべしね………と言うか酔って無いと素直になれないとかどんだけヘタレよ…………ん?」

 

 軽く自己嫌悪に入ったアリサだがふと自分が掴んでいるものに気づいた。

 初めはシートかと思ったがそれにしては小さすぎるので広げてみると、コダイが来ていた白いオフショルダーだった。

 

「そう言えば、アイツに抱き着いたまま寝落ちしたのよね…………」

 

 何を思ったのかそれをギュッと抱き締めた……

 

「…………えへへ♪」

 

 まだ、温もりが残っているのを感じて頬が緩むのを『まだ酔っている所為』と決めつけたアリサ。

 コダイが帰って来るまでこの温もりを感じていたアリサだった……




武御雷参型様、雷の使い様、鍛冶様、アキ様、頭翅様、桜日紅葉雪様、不屈の心様、ストーム11様、つらら@ゆき様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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