ポケットモンスター 「闇」   作:紙袋18

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休日用にショートストーリー書きました。


【番外編】タケシとカスミ

「あーーはっはっはっは!そんなクソザコポケモンで私に挑もうってのー?おもしろすぎるんだけど!弱点属性くらいわかりなさいよ、それでもニビジムリーダーなの!??あっはっはっは!!!」

 

「五月蠅い!弱点属性など関係ない!僕はポケモンを粗末に扱う君を許すわけにはいかない!!!土下座させてやる!!!」

 

「やれるもんならやってみなさいよーー!!無理だけどね!」

 

 ―――――――――――――――――――

 

 数年前。

 

 ジムリーダーが一同に会した催し事にて、カスミがポケモンを卑下したことに激昂したタケシがその場で裏バトルを決行。

 

 

 ある意味、伝説的なバトルとなり、今後はジムリーダー同士の会合が原則禁止になったその日である。

 

 

 

 ―――――――――――――――――――

 

 

 

 他のジムリーダーが面白そうに眺める中、ニビジムリーダーとハナダジムリーダーの異例のバトルが開始する。

 

 

 

 

「いけ、イワーク!ショボイ水鉄砲ごと押しつぶしてやれ!」

 

「いきなさいシードラ!あんな土塊、穴だらけにしてあげなさい!」

 

 

 

 シードラ。ドラゴンポケモン。

 体中に毒の棘を持つ、凶暴なポケモン。

 

 

 

 

 イワークがその長大な身体を使って、シードラにのしかかる。

 

 それを瞬時に回避するシードラ。

 

 

 

「スピードはなかなかだな。だが、その程度―――」

 

「シードラ!『どくどく』!」

 

 

 

 カスミから笑顔が漏れる。

 相手を苛め抜くことで快楽を得るカスミの真骨頂。

 常に相手を窮地に追い詰めていく最低最悪な技。

 その凶悪さは、徐々にその毒の威力を強めていくことにある。

 

 

 

 シードラの口から、濃い紫色の粘液が、広範囲に拡散されて飛び散る。

 

 避ける間もなく、イワークはその猛毒の塊をその身に受ける。

 

 

 

「イ、イワーク!!くそ!『いわなだれ』!」

 

 

 毒に塗れた身体を大きく振り、シードラに向けて大量の岩を落とす。

 山が崩れたのかと見まごう程の勢いでシードラを押しつぶさんとする。

 

 

「シードラ、『みがわり』よ!」

 

 

 

 ―――みがわり

 体力を犠牲に、自分と全く同じ見た目の身代わりを作り出す。

 一撃で勝敗が決することが多い裏バトルにおいてはあまり活用できる技ではない。

 

 しかし、ことカスミという傑物が使用することで、その意味合いは悉く変わる。

 

 

 

 

 

「な、なにが起きている・・・!」

 

 

 

 

 本来、タダの動かぬ的であるはずの身代わりが、さも本物であるかのように動いている。

 

 

 フィールドには、二体のシードラが、お互いに本物であると主張し合うようにすばやく動き回っている。

 もはやどちらが本物か判別できるのはカスミだけだ。

 

 

「あっはっはっは!愉快!愉快ね!!どう?どっちが本物かしら?早く殺さないと毒で死ぬわよ?うふふふ、楽しいわァ、なんて楽しいの!ほらほらほらもっと舞いなさい!死の直前まで、死に怯えながら、死に悶えなさい!そして最後には死ぬの!あはははは!!!」

 

 

 

 

「サディストめ・・・ふざけやがって・・・!」

 

 

 

 タケシの言葉にはもはや勢いはない。

 そして、イワークの動きも徐々に鈍くなり、もはや死に絶え絶えという状態だ。

 

 

 

「くそ!わかった、僕の負けだ!!バトルはしゅうりょ――――」

 

 

 

 

 

 

「シードラ、『はかいこうせん』」

 

 

 

 

 

 

 刺々しいポケモンから放たれた一筋の光。

 暴力的な光ではなく、細い、一見か弱く見える光の束。

 

 その光が紫色に染まったポケモンに触れた瞬間、光と共に爆散した。

 

 

 

 

 フィールド上に散らばる石屑と紫色の粘液。

 

 それを茫然と眺めるタケシ。

 

 

 

 

「きゃーーーーっはっはっはっは!!!ああああんタマラナイ・・・!!!ありがとうニビジムリーダー・・・あなたのおかげで私のアソコはぐっしょぐしょよ。もう立ってられないくらい。こう、絶望に染まった表情が砕ける瞬間とか興奮するじゃない・・・思わず絶頂しちゃったわよ。」

 

 

 

 

「(下品な女め・・・!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、タケシはカスミに対して晴らすことのできない恨みを募らせ、発散できる機会にも恵まれずに日々を過ごしていった。

 

 

 

 

 ハナダシティジムリーダーが逃亡した、という話を聞くまでは。

 


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