マクロスΔ 黒き翼   作:リゼルタイプC

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遅れました。

時間が全然取れなかった。何故だ?


第4話 初搭乗

翌朝。

ルシウスは食堂に向かったが、何やら複雑な視線を5つ受けた。

嫉妬:1

興味:2

好奇心:2

振り分けとしてはこんな感じである。

 

(なんでさ?)

 

思わず心の中で呟き、

 

「なんか皆さん俺に注目してますが、どうしました?嫉妬が1つ(チャック)、興味が2つ(カナメさん、ミラージュさん)、好奇心が2つ(マキナさん、レイナさん)の視線が俺にぶつかってますけど。」

「「「「「わかるのかよ!!」」」」」

「全員で突っ込み入れなくても。」

 

そう言い、俺はミラージュさんの隣に座る。

 

「昨日、チャックから美雲さんとデートしたって話を聞いたんですが。」

「そのことを~~ぜひ詳しく。」

「ぜひぜひ詳しく。」

「私も興味ありますね。」

「恋愛経験ゼロの俺に何を期待してるんです?昨日チャックに街案内をしてくれた時に美雲さんと会いましたけど。」

「会った後どうしたの?」

「(コクコク)」

「服とかアクセサリーとか見て回って、海を見ながらしゃべったりしてそんなとこですかね。」

「十分デートジャネーカーチキショー!!」

 

顔を手で覆いながらチャックは叫ぶ。

 

「というか、あの時、強引に俺を拉致ったのは美雲さんじゃないですか。」

 

~回想~

「あら?」

「おっ?」「ん?」

 

俺とチャックは話しを中断して声のした方を向くと『ワルキューレ』のエースがそこに立っていた。変装の為か、今は髪を緑にしてサングラスを掛けている。

 

「おっ、美雲さん。」「どうも。」

「二人で買い物?」

「街案内がてらですね。まぁだいたい終わりましたけど。」

「そう。」

「あっそうだ。これか「じゃ、ちょっと彼を借りるわよ。」・・・はい?」

「へっ?」

 

そのまま腕を捕まれた俺は元来た道を、今度は美雲さんと戻る事になった。チャックはその場で呆然とし、俺は何故美雲さんがこの行動に出たかわからずに。

その後は皆に説明した通りだ。服とアクセサリーのショップ(普段、美雲さんが懇意にしている店だった)へと行き、海を見てしゃべったり。その後は共にエリシオンに戻った。

 

~回想終了~

 

「クモクモが。」

「何が起こった?」

「美雲さんが・・・とうとう」

「へーあの美雲がねー。」

 

マキナさんとレイナさんが信じられないという表情をし、ミラージュさんは何故か顔を俯かせ、カナメさんは純粋に興味があるらしい。

 

「(混沌としてきたな。)」

 

とっとと朝食を食ってこの場から離れるのが先決だった。

 

朝食後、一旦自室に戻ろうとしたところ、目の前から長身の男性が歩いてきた。アラド隊長と一緒にいた人だ。

 

「失礼。今時間大丈夫か?」

「ええ、大丈夫ですよ。メッサー中尉ですね。」

「ああ、アラド隊長と同じデルタ小隊所属 メッサー・イーレフェルトだ。」

「先に自己紹介しましたけど、ルシウス・ペンドラゴンです。」

「少し来てくれ。」

 

そういうとメッサー中尉は通路を移動した。俺も後についていく。無言のまま通路を歩いていくとある格納庫に出た。

 

「これは・・・『VF-1』?」

「より正確に言えば『VF-1EX』。耐Gスーツ、通称EX-ギアシステム導入型の練習機だ。とはいえよく『VF-1』とわかったな?」

「アーネスト艦長から借りた端末にVFの基本一覧が載ってました。」

「ああ、なるほど。そしてこれがこの機体の取説だ。」

 

取説が記載されている端末を渡された。

 

「???」

「30分で読み終われ。」

 

俺は言われた通り、『VF-1EX』によりかかったまま取説を熟読し始めた。

30分後。

 

「読み終えたか?」

「ええ。機体の操作は大体覚えましたが。」

「なら、次だ。」

 

そういった瞬間ヘルメットを投げ渡された。既に中尉はパイロットスーツに着替えていた。

 

「これからお前の適正をはかる。シミュレーションではおそらく役には立たないだろう。」

「直接空に上がって試そうと?」

「お前がオーブ軍とかいう1人前の軍人であるならな。」

「・・・了解。」

 

そこから、俺は『VF-1EX』のコクピットに入り、機体を立ち上げた。メッサー中尉は違う機体に乗っていた。カタパルトデッキまで来て機体がカタパルトに接続される。

 

「『VF-31』 ≪ジークフリード≫か。最新鋭機ですね。」

「デルタ小隊としての鏡だからな。準備はいいか?」

「いつでも。」

「コントロール、デルタ2訓練飛行の為、発艦する。許可を。」

「OK、デルタ2、許可します。」

「デルタ2、発艦」

 

デルタ2の発艦を見ながら、俺の胸には少し別の事が浮かんでいた。

 

この世界に来て、ある程度の時間がたった。そろそろ結論を出してもいいんじゃないか。

 

覚悟を決めるべきだ。この世界で生きる覚悟を。

 

「ルシウス・ペンドラゴンです。発艦許可を。」

「OK、ルシウスさん。ご武運を。」

「サンクス。ルシウス・ペンドラゴン。出る。」

 

大きく加速Gがかかり、『VF-1EX』がカタパルトから射出される。

 

 

SIDE OUT

 

 

アラド SIDE

 

アラドは発艦していく2つの機影をCICから見ながら、ため息をついた。

 

「まさか、メッサーの奴があの男をここまで担ぐとは。」

「だけど、ルシが使ってるのって練習機の『VF-1EX』ですよ?模擬戦をするにしてもハンディがありすぎる気がするんですけど。」

「しかも、VFの知識は30分の取説を見ただけですよ。」

 

アラドの言葉にチャックとミラージュはこのような言葉をする。

 

「俺も同意見だが、メッサーからのごり押しでな。」

「とりあえず、見守ろうじゃないか。彼が押した理由は、これからわかるんじゃないか?」

 

アーネスト艦長からの言葉で俺達は見守ることにした。

 

 

SIDE OUT

 

 

 

『VF-1EX』(練習機)ではやはり『VF-31』(最新鋭機)についていくだけで手一杯だった。ファイターのスピード、ガウォークの鋭角な方向転換等。特筆すべきはやはり前進翼を使ったファイター時の方向転換だろう。

 

「どうした?オーブ軍の将兵はその程度か?」

「くっ!」

 

強い。その一言に尽きる。可変後退翼は高速時スピードアップ、低速時の失速をなくす事に効果がある。距離を詰めるにはファイター時の馬力で無理をするしかない。

 

「反応は上々だ。機体特性を理解する能力も悪くはない。しかし、まだまだ。」

 

しかし、方向転換時の速さはやはり段違いだ。どうしても差が出てしまう。

 

「次行くぞ。」

 

その言葉と共に、突然メッサーの機体は発砲してきた。

 

「っ!」

 

俺はとっさに『VF-31』に追随していた『VF-1EX』の機首を海面に向け回避するが、翼端に1発もらってしまう。続けて撃ってくるので海面スレスレを飛行する。一旦銃撃が途切れたタイミングで俺はメッサー機に向かっていき発砲するが、容易く回避される。回避された事には驚かなった。むしろ当たり前の状態だろう。俺は回避したメッサー機を通り過ぎ、バトロイドに変形して再度撃つが、これもガウォークで回避し、撃ってくる。

俺の撃つ弾が当たらない。けどメッサー機の撃つ弾は当たる。この状態に俺は焦りを感じていた。

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

「滅多打ちだな。」

「流石にそうでしょ。」

「機体性能差、VFを操作する経験がルシには不足しています。」

「だが、理解する能力は高いようだ。」

 

アーネスト艦長の言葉にアラド、チャック、ミラージュは再度モニターを注目した。

ルシウスとメッサーの戦いはそろそろ終わりを迎えそうだった。

 

 

 

 

 

 

「残弾が残り20発。」

「そろそろ終わりだな。」

 

その言葉と共にメッサー機はガウォークでのでいきなり方向を変え、こちらに向かってきた

『VF-1EX』の特徴は可変後退翼による、高速時から低速時のどの速度域でも低い空気抵抗や高い揚力を得る事にある。なら、低速時でも失速の恐れは限りなく低い。

俺はそう判断し、ギリギリのところで銃撃を躱し、エルロン・ロールを行い、メッサー機に迫る。

 

「ちっ!」

「くっ!」

 

すれ違いざまにガンポッドを撃つが1発しか当たらなかった。とっさにメッサー中尉が機体をひねり、腹ばいになって躱していたのが見えた。

 

「1発当てただけでも上出来だ。」

「けど、こっちは機体が真っ青だ。」

 

ルシウスの言葉通り、『VF-1EX』の機体には元の機体色が見えないぐらいペイント弾がべっとりとついていた。

 

「最初の内は皆そんなものだ。戻るぞ。」

「了解。」

 

俺達は『マクロス・エリシオン』に戻った。

 

「お帰り。」

「お疲れ~、ってこれは・・・また。」

「ここまでする必要ありましたか?」

 

アラド隊長、チャック、ミラージュの順に声をかけてくる。

 

「やはり、難しいか?」

「戦闘スタイルとかみ合いませんね。慣れればそうでもないかもしれませんけど。」

「そうだな。」

 

アラド隊長と会話しながら、俺はペイント弾べっとりの『VF-1EX』を見上げため息をついた。

 

「明日から訓練を開始する。今日は休め。」

「わかりました。」

 

メッサー中尉の言葉を聞き、今日の訓練は終了した。

 

 

 

オマケ

夕方、『エリシオン』の甲板に座りながら俺は街を見下ろしていた。今回の一方的な戦闘に関しては自分の操縦の不慣れさ、機体性能差等の要因があったのだろうが、あそこまで一方的だと落ち込むしかない。故に鼻歌混じりで少し気分をごまかしていた。

 

「♪~♪~♪」

 

誰にも聞こえない程の小さな声だったのだが、

 

「いい歌ね。」

「っ!!!」

 

いつの間にやら美雲さんが立っていた。

 

「あなたの世界の歌?」

「『プラント』の代表的な歌姫の歌さ。」

「そう。」

 

そういいながら美雲さんは俺の隣にたって夕焼けの海面をみていた。そのまま俺と美雲さんは並んでいたが、

 

「♪~♪~♪」

 

唐突に歌を歌い始めた。俺はこの世界の歌は全然知らなかったが、何故かだんだんと落ち着くような気がした。

 

「♪~~♪~~♪」

 

ホントはもう少しテンポのある曲なのだろうが、俺にはゆっくりとしたリズムが好きになれそうだった。

 




歌詞はNGなんですね。

無知でした。ごめんなさい。

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