マクロスΔ 黒き翼   作:リゼルタイプC

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お待たせしました。

新元号『令和』になっても、全く時間が取れない状況が続きました。
より正確にいえば、書く時間がとれませんでした。

今回が最終話となります。
もしかしたら短編を書くかもしれませんが、『黒き翼』はこれにて終了となります。

短編を書くか、新しい小説を書くかはまだ決めていませんが、


長くお付き合いいただき、ありがとうございました。




第34話 終結

白を基調としたその機体は、要塞の目の前で佇み、こちらに通信を入れてきた。音声のみではなく、自身の機体のコクピットを開き本人がいることを確認させることも。

 

『私はウィンダミア王国宰相、ロイド・ブルーム!!ルシウス・ペンドラゴン!!私は貴公に決闘を申し入れる!!』

「・・・・・・・・・。」

『決闘って・・・・。』

『正真正銘の一騎討ちなんて、時代錯誤な。』

「・・・・・デルタ5よりデルタ1へ。」

『ああ、聞こえている。』

「俺はこの申し入れを受けます。許可を。」

『・・・・・・・・分かった。』

 

隊長に許可をとり、俺はコクピットのハッチを開き相手に自分自身をわからせるようにした。

 

『確認した。申し出を受けてくれたことに感謝する!!』

 

そう言ってハッチを閉じる。ライフルを収納し対艦刀を起動したのが見えた。こちらも、同様に構える。

 

「『ケイオス』第3飛行団所属デルタ小隊 デルタ5、ルシウス・ペンドラゴン!!」

『ウィンダミア王国宰相、ロイド・ブルーム!!』

 

互いに推進器の回転数を上げる。

 

「目標を!!」

『いざ、尋常に!!』

 

一気に互いに切りつける。

 

「駆逐する!!」

『勝負!!』

 

互いのシールドと対艦刀がスパークを放った。

 

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

「艦長!!敵要塞より全無線周波数で通信が!!」

「出せ。」

『私はウィンダミア王国現国王 ハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアである。』

「『ケイオス ラグナ支部 マクロス・エリシオン』艦長アーネスト・ジョンソンだ。」

『我々はこれ以上の戦争継続は無意味と考え、それを望まない。現時刻を以って両軍の戦闘停止に合意を願う。』

「我が方でも同様ではあるが、そちらの騎士達は納得できているのかね。」

『説得はしている。現時点で『風の歌』の危険性が露呈した以上、我々は同様の方法はとることができない。この状況では我が方に分が悪い。』

「・・・・・・・了承した。こちらの上層部とも掛け合おう。新統合軍にも仲介は行う。」

『感謝する。』

「全部隊に連絡。現時刻を以って戦闘行為停止命令を発令。」

『こちらも同様に通達をさせろ。全機帰投せよ。枝に・・・・・ウィンダミアに戻る。追撃を行う者は厳重に処罰させよ。』

 

その命令が発令された途端、徐々に戦闘光が消えていくのが確認できた。

ただ1箇所を除いてはだが。

 

『それからロイドに関してだが、こちらで処罰を行いたい。そちらの騎士にも戦闘停止を呼びかけてくれ。』

「それに関しては無理だろう。」

『・・・・・理由を聞きたい。』

「察しては、いるのだろう。」

『・・・・・・・・。』

 

言わなくてもわかっていることだ。

 

「今の二人は『命令』や『義務』といった物を聞く気はない。」

『互いに譲れない物があるからであろう。』

「その通りだ。」

 

方や『プロトカルチャーが生み出した全人類種の為に』

方や『もう二度と愛した人を利用されない為に』

 

引く気はないし、譲る気もない。

 

『承知した。ロイドと『黒騎士』との戦闘に関しては、こちらは関与しないしそちらが戦闘停止に違反したということにはしない。』

「感謝する。」

『それを踏まえて、そちらに依頼を行う。』

「聞こう。」

『ウィンダミア王国国王ハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミアの名において、『黒騎士』に依頼する。ロイド・ブルームを討て!』

「承知した。アーネスト・ジョンソンがその依頼を受諾。デルタ5 ルシウス・ペンドラゴンに命令を下す。」

『感謝する。こちらの騎士達には一切手を出させない。』

 

正式に『ウィンダミア』から宰相を討てとの依頼が来たからには、ルシウスは命令違反にはならない。

後は、ルシウス次第か。

 

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

戦闘を開始して、俺は早々に違和感に気付いた。

あの機体はオーブ沖に見た『インパルス』とは完全に別物であると。

今目の前で対峙している機体が持つ武装は、『インパルス』というよりは『ZGMF-X42S デスティニー』に近い。

 

「(ということは、『デスティニー』の前に開発された試作機。それがここまでの完成度を誇るなんて!)」

 

『ザフト軍』の『セカンドステージシリーズ』は伊達ではないという証だ。それに見た限りでは『ノワール』に施された改造と同様、OTMの技術の恩恵が随所に現れている。更に、機体の装甲は恐らくVPS装甲だろう。あの手の機体には大抵装備されている装甲だ。

 

「(となれば、決定打はビーム兵装。何とか決めないと。)」

『この機体も中々良いものだ!!『ドラケン』よりも初期加速こそ遅いが、三次元の機動戦闘に、こちらの世界の機動兵器では歯がたたないだろう!!』

 

その言葉を放つと同時に、相手は背中のウィングを展開して光子翼を展開させる。

するとどうだ。

 

「(っ!?こちらの照準がズレる!!)」

 

あのウィングは、こちらの視覚、光学標準を狂わせる機能を持っているということだろう。

ライフルのビームがこちらの願った通りに放たれないことを見るに、間違いないだろう。

 

「ちぃ、厄介な物を!!」

 

ザフトは作ってくれたものだ。並みのパイロットならあの翼が作り出す残像に惑わされてあっという間に取りつかれて破壊されるだろう。

 

『こちらは落ちる訳にはいかんのだ!!我が悲願、いや、人類の悲願の為にも!!』

「そんな独り善がりなど!!」

 

自身の望みを、人類種の望みとした時点であってはならない。

俺たちには言葉がある。対話による理解は可能なのだ。

 

互いにライフルを放ちながら、回避を行っていく。

戦いは1対1でありながらも目に見えて激化していた。

 

 

 

 

 

だが、この戦いで俺はある事だけは覚悟していた。あの装置が必要になるだろう。

 

 

―――差し違えてでも、最悪、自爆装置を使ってでも奴を討つ。

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

美雲 SIDE

 

砂浜に着陸したミラージュの機体から降りた。

目の前にはフレイア以外のカナメ、マキナ、レイナがいる。

皆、私の姿を見て安堵の表情だ。

 

「美雲!!!」

「クモクモ!!!」

 

マキナとレイナが涙混じりに近づいて抱きついてくる。マキナの声が少し霞んでいるのに気づいた。怪我をしていたのだろう。それを押してでも私を取り戻す為に戦いに参加してくれたことに感謝しなければ。

 

「マキナ・・・・レイナ・・・・カナメ。」

「・・・・・お帰り、美雲。」

「ただいま、って言いたいんだけど。」

「ええ。」

 

空ではまだ、戦いが続いている。しかもその空で戦っているのは私の恋人だ。光線が煌めき、2つの影が交錯していく。

 

「・・・・・・カナメ。」

「ええ、分かっている。」

 

歌を歌いたい。人々の為ではなく、ただ一人、ルシの為に。

 

「・・・・・・・美雲さん。」

「・・・・・・・・・・・止めるつもりじゃないわよね?アラド。」

 

私は怒気を滲ませながらルシの上官に問いかける。

彼の背後には、チャックが彼の妹(マリアンヌだったか?)と再会しているのが見える。

 

「・・・・・・止めるつもりなんて、ある訳ねぇだろう。」

「今のルシは、相打ち覚悟であの機体を討とうとしている。」

 

機動兵器を使った戦いは私達には完全に専門外だ。そこはデルタ小隊の面々に任せるしかない。ただ、私はある一人の心だけは読み取れることができる。彼の心は『刺し違えてでも相手を倒す』ことに染まっている。

 

「そんなことは絶対させない。させてたまるものですか!」

「・・・・・・・美雲。」

 

私が愛した人が、ただでさえ私のせいで苦しんで戦ってくれたのだ。

ならば、次は私の番だ。

絶対に、命を捨てさせる真似等させない。元いた世界にも返させない。

私とルシは、無事で、無傷で、一緒に戦場から帰る。

それこそが、私の今の役目だ。

 

「・・・・・頼む。」

「ええ。」

 

そして、私は再びミラージュの機体に乗せてもらい、『アイテール』のサウンドステージに送ってもらう。

 

 

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

ハインツは感じ取っていた。

『星の歌い手』、いや、美雲・ギンヌメールが歌い始めて『黒騎士』を援護しようとしていることを。それを悪だとは思わなかった。元々こちらが先に彼らの仲を引き裂いたのだ。

 

「・・・・・・・・・・・・。」

 

大人しく、事の成り行きを見守ろう。

『黒騎士』が負けることはないだろう

ハインツは、不思議と穏やかな気持ちで画面を見据えていた。

 

 

 

キース自身も気持ち的には穏やかだった。

今彼自身は、『ケイオス』側の捕虜になった状態だ。それでも、ロイドの行おうとしていたことは納得できるものではなかった。

出来たら自分自身で討たなければならなかった。『白騎士』として、『空中騎士団』の長として、『ウィンダミア』の名を持つ者として。

そして何より、『ロイドの友』として、止めなければならなかった。

 

その役目は、『黒騎士』が行ってくれるだろう。

歯痒いが、奴なら全うしてくれるだろう。

側には『死神』と『ライト・インメルマンの息子』が立っている。

 

「・・・・・白騎士。」

「・・・・・・キース・エアロ・ウィンダミアだ。ハヤテ・インメルマン。」

 

『ライト・インメルマンの息子』にそう自身の名前を告げ、『死神』から手錠がつけられた。

移動する前に少し話しておこうと思った。

「貴様はどう見る?『死神』。」

「・・・・・メッサー・イーレフェルトだ。分かっているんだろう。」

「まぁな。」

 

互いが人型兵器で戦っているのであれば、『黒騎士』が負けること等ないだろう。

 

「腕さえあれば、1世代から2世代分の機体性能差は埋まる。」

 

例え、ロイドが操っている機体が高性能機でも大丈夫だろう。

 

 

 

 

カナメの目には美雲の姿が更に神々しく見えていた。

ヴァールに掛かった人々の為ではない。予備軍に感染している人達の為でもない。自分自身の為でもない。

『愛する人』の為。

ただそれだけ。

 

「さっきよりもレセプター数値が・・・・。」

 

遙かに強くなっている。それもただ無作為に広げている訳ではなく、ルシ君の想いを、意思を、動きを。『ノワール』に一切の漏れも無く、隙間も無く、過剰過ぎるくらいに。

 

「レセプターの全ての力を、ルシ君の為だけに使おうとしているの?」

 

褒められる事では無いのだろうが、それを咎める気は更々なかった。

 

―――私自身、以前している事だし。

 

それを真似されたのだろう。

ただ一人の為だけ。

カナメの時と違うのは、あの時は一人の為には歌ったけど、レセプターの力を一人の為だけに使ったとは言い難い。

美雲自身が持つ桁違いに強いレセプターをたった一人の為だけに使ったことで、この銀河系で最強(最凶?)タッグが出来上がってしまったことだ。。

 

 

 

 

 

「『はああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!』」

 

互いがすれ違う度に、激しいスパークが『ラグナ』の空に弾けていた。

ただ、序盤の戦闘と違うことが起こっている。

 

美雲の歌声が響き始めたこと。それによって『ノワール』の挙動が急激に良くなり始めていた。それだけでは無く、『デスティニーインパルス』の動きをより正確に捉え始めていた。

 

均衡を保っていた戦闘が崩れようとしていた。

 

『ノワール』の左腕に装着されていたシールドが切り裂かれた。ピンポイントバリア用のバッテリーが切れたのだろう。

 

「ちぃ!!」

 

咄嗟にレバーを操作し、装着を外す。その瞬間俺はスロットルを全開にして、『ノワール』を下に逃がした。

シールドの爆炎で相手から機体を隠すと、素早く接近させる。

 

『くぅ!?』

 

最接近し右手の『フラガラッハ3ビームブレイド』で相手の右腕を切り落とす。

だが、それでも相手の戦闘能力値はまだそれほど落ちてないだろう。

 

『まだまだ!!!』

「ヤロッ!!」

 

だが、右腕を切り落とした瞬間、こちらのコクピットに警告音が発せられた。

 

「ちぃ!?バッテリーが!」

 

バッテリーパワーがいつの間にか、警告域に到達していた。

最初期に比べたら大分持ったほうではあったが、やはり『セカンドステージシリーズ』と遣り合うにはエネルギー切れが一番の敵となるだろう。

 

「それでも!!」

 

奴を破壊するんだ。

 

聞こえているんだ。美雲さんが歌ってくれていることを。

 

―――帰ってきて。

 

願ってくれているんだ。彼女の元に帰ることを。

 

―――私の元へ。

 

もう、最初に過った自爆装置を使った相打ち覚悟の戦法など採るものか。

 

―――私は一人ぼっちで生きるのは、嫌。

 

こいつを破壊して、必ず戻る。

 

 

相手もエネルギー砲を放ちながら、シールドをパージした左手に対艦刀を装備させ振りかぶってくる。

相手に決定打を与えるという意味合いでは、コクピットを直接潰すという点で一番効率が良い。それはMS・VF両方にその点は共通だ。MSは機体にもよるが、腹部もしくは胸部の中央にあたる。その点、VFはバトロイド形態では機体事にコクピットの位置は変化しているが、ファイター・ガウォーク形態では機首の部分になり、視認性の確保の為、キャノピー仕様となっている。

 

今回の『インパルス』の場合は、推測(ルシ視点での推測)装甲はVPS装甲。胸部、腹部は人に限らずMSでも主要な部分だ。そこに致命傷を与えるなら、有効なのはビーム兵装である。

遠距離系なら、ライフルがある。近距離なら『ビームライフルショーティー』か『フラガラッハ3ビームブレイド』になる。

ライフル系の武器での決定打はそう悩むことではない。

問題は『フラガラッハ3ビームブレイド』だ。対艦刀はその特性上、実体剣とビーム刃の2つを兼ね備えた武器だ。鋩部分が実体剣となっているため、アクティブ状態のVPS装甲には効かない。つまり、刺突による破壊ができないのだ。

(『ZGMF-X56S インパルス』がエクスカリバー対艦刀の刺突で『ZGMF-X10A フリーダム』を破壊できたのは、ビーム刃の出力を咄嗟に再調整したシン・アスカの技量によるところが大きい。)

 

なら、どうするか?

 

ライフル系による射撃、対艦刀による鋩以外による切り倒し。

この方法しかない。

 

『そちらもエネルギーがキツイはずだ!!そろそろ終わりにしよう!!』

「ああ!!」

 

どうやら、向こうもエネルギー切れが近いらしい。

またしても『インパルス』は背中の翼を広げ、左手に対艦刀を構える。

こちらも対艦刀を右手だけに装備させ、眼前に構える。

 

 

 

 

 

 

 

「『行くぞ!!!』」

 

 

 

 

互いに推進器を最大出力で加速させ、またしても二つの影が交錯した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時ばかりは美雲も歌をやめ、見入ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

すれ違った後に残ったのは、対艦刀が破壊されて得物を投げ捨て振り返る『ノワール』。

対艦刀を振り切った状態の『インパルス』。

 

寸でのところで反応が遅れた『インパルス』だったが、『ノワール』がいる方向に再度振りかぶろうとした瞬間。

 

 

 

 

左腕が吹き飛んだ。

 

『なっ!!!???』

 

ロイドが見たのは、拳銃タイプの兵装を構えた『ノワール』だった。

VPS装甲といえど、高出力ビームには歯が立たない。拳銃サイズにまで切り詰めた『ビームライフルショーティー』の恐ろしい所は切り詰めた所為で、射程距離は落ちているがその間の威力は落ちていない点だ。射程内にいれば、『ザク』や『ウィンダム』が使うビームライフルと同等の威力が発揮できる。 

両腕を損失したロイドは咄嗟に『テレスコピック バレル延伸式ビーム砲塔』から牽制弾を放つが、それも見切られた。

 

後ろに回った『ノワール』が左手に持った『ビームブレイド』で左肩と左側の『ビーム砲塔』ごと、左翼を切り飛ばし、右手の『ビームライフルショーティー』で左翼と同じく砲塔と右翼を吹き飛ばす。

 

攻撃手段、飛行手段を失った『インパルス』は文字通り自由落下状態になるが、ルシウスはコクピット付近と思われる腹部に、両手に持ち直した2丁の『ビームライフルショーティー』を構え、容赦なく連射をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

連射をやめるとビームの影響で、その腹部の箇所は赤くなっていたが見事に機体を貫通していた。ただ、向こうの宰相の体も見え、無惨な姿になっていた。

 

「・・・・・・・・・・。」

 

ボロボロになった『インパルス』を見ても何も感じられなかった。

最大の敵を撃ったのにだ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・。」

 

『インパルス』は完全に光を失い、落下していく。

海に叩きつけられる前にスパークが発生し、推進剤に引火したのだろう。

 

 

 

 

爆発により、消えた。

 

 

 

 

『インパルス』が落下していった地点を見やり、俺は静かに敬礼を捧げた。

 

 

 

 

 

 

 

『ラグナ』に残って『ウィンダミア軍』は撤退した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

艦長からは、停戦協定には違反しないから交渉には影響ないと後から連絡を受けた。

 

 

 

俺は『アイテール』に機体を着艦させ、膝をつかせてからコクピットから出る。

回りにはデルタ小隊や他の小隊、新統合軍のパイロット、整備班の人達が、拍手をしながら迎えてくれた。

彼らに礼を言いながら、正面に顔を向けると『ワルキューレ』と共に最愛の人が笑顔で立っていた。

 

「・・・・・・ルシ。」

「・・・・・・お帰りなさい。美雲さん。」

 

笑顔でそういうと美雲さんは泣きながらこちらに抱きついてきた。

俺も強く抱きしめ返す。

 

「・・・・・ただいま。・・・・・ただいま!ルシ!!」

「お帰りなさい。美雲さん。そして、ありがとうございます。帰ってきてくれて。」

 

体を離すと、美雲さんからは大粒の涙が見えた。

それでも、とびっきり奇麗な笑顔で笑ってくれた。

 

「ええ。私は如何なる理由でもルシウス・ペンドラゴンの元に戻り、もう二度と離れません。」

 

そう言い、また抱きついてくる。

 

「そして!!私は!!美雲・ギンヌメールは!!ルシウス・ペンドラゴンを愛しています!!」

「俺もです!!俺は美雲・ギンヌメールを愛しています!!」

 

 

互いに笑顔で、声高らかにその場で、宣伝した。

 

 

 

後の世に伝えられる、『第二次ウィンダミア独立戦争』が終結した。

 

 




機体解説


ZGMF-X56S/θ デスティニーインパルス
ザフト軍の試験用MS。その存在は確認されていたが、所在不明となっていた2号機。
ルシウスが転移してくる以前に、イプシロン財団によって回収された機体。ベルガーがロイドに話していた通りに無傷な状態で回収されていた。リバースエンジニアリングを行うことでC.E.の技術の入手は勿論のこと、試運転を行っていた。しかし、財団傘下の技術者は、『この機体を開発した軍が望んだポテンシャルには、この機体構造では発揮できない』と結論付けた。
理由として、『人型兵器に不要な合体機構が付いていること』『過剰なビーム兵装による消費電力の増大』が挙がった。
(C.E.の世界情勢を知る由もない)財団傘下の技術者は、この機体が本来持つべきポテンシャルへ引き上げる為、改造を行うことにした。
『合体・分離機構の廃止』、『推進器を熱核反応エンジンに換装』する等を行ったが、そもそも『デスティニーインパルス』以外のMSに関する機体情報を持たなかったが為、改造は難航。一時は凍結することになりかけたが、ルシウスが転移してきたことにより状況が一変。『ストライクノワール』の機体情報を入手。更には『ウィンダミア』近くの宙域で『GATシリーズ』『ニューミレニアムシリーズ』を入手できたことによって、手元に数多くのMS技術情報が集まった。
内部フレームを合体・分離型から通常の人体に近いフレームへ。合体用の推進器・推進剤用のタンクが無くなったので、生じた余剰スペースを整理してのバッテリーの大型化。コクピット周辺もコアスプレンダーを廃止して内部フレームに組み込む形を取り、更にOTMを組み込む等した為、開発元が望んだ本来のポテンシャルへと引き上げられた。
消費電力の問題も『ワルキューレ・ワークス』が『ノワールストライカー』に行ったように、熱核反応エンジンを組み込み、電力供給を行うことにより稼働時間が延長。
諸問題をクリアした『デスティニーインパルス』は、ロイド・ブルームの要望により機体色は白を基調にアクセントとして金色が配色されるよう装甲が調整された。


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