マクロスΔ 黒き翼   作:リゼルタイプC

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遅くなりました。

今年最後の投稿になってしまうかな。


第33話 決戦

俺の発言に、皆が硬直したように動かなくなってしまった。

もう、どうにも出来なくなってしまった場合。洗脳ではなく、美雲さん自身が選択し、『星の歌』を響かせるというのであれば、撃たなくてはならない。

例え、俺自身が苦しむことになろうともだ。

 

「ルシ・・・、それは、・・・。」

 

ミラージュさんが何かを言いかけるが、その前にメッサー大尉が塞ぐ。

 

「それが、お前の選択か?」

「・・・・・・はい。」

「・・・・・・・・・・そうか。」

 

メッサー大尉が俺の目の前に立ち。

 

「ルシウス中尉、お前には『借り』があったな。」

「???」

 

俺が怪訝な顔を浮かべメッサー大尉の顔を眺めていたら

 

 

――――ドゴンッ!!

 

俺は思いっきり殴られていた。頬に強烈な痛みが走っていた。

 

「・・・・・つっ!?」

「ルシ!!??」

「おい!?メッサー!?何やって・・・!?」

 

騒ぎを聞きつけたハヤテまでもがメッサー大尉を止めに入るが、ガイに止められてしまう。

 

「随分と腑抜けて、安い賭けをするようになったな。今のお前ではデルタ小隊にいる資格もなければ、戦場でも役に立たない。」

 

メッサー大尉からかかる重圧感に言葉が詰まる。

 

「その程度の覚悟では、『美雲・ギンヌメール』を殺すことも、救うことも叶わん。」

 

そうだ、俺は今なにを考えていた?

恋人を完全に殺す事を前提に話をしていた。何を躊躇う必要がある。俺はあの時、あの人に誓ったではないか。

 

 

―――美雲・ギンヌメールを信じ、愛しています。

 

 

恋人を信じられないでどうする。

あの時、誓った事はただ単に言葉のお遊びだったのか。違うだろう。自分は本気であの人を愛しているのだから。

 

俺に『火』が戻ったのに気が付いたのだろう。不敵な笑みを浮かべながらメッサー大尉は言葉を繋げる。

 

「分が悪ければ悪い程、取り分は大きい。そうだな、ルシウス・ペンドラゴン?」

「・・・・・はい!」

 

俺も力強く笑みを浮かべ答える。

 

「・・・・・良し、頭を打つヘマはしてないな?」

 

機付長の言葉が聞こえ、そちらを見やると整備班がいい笑みを浮かべ、他の整備班の人達も仕事やる気満々という空気に満ち溢れていた。

 

「さて、時間食ってしまったが、やるぞ!!」

 

――――ウィース!!!

 

その言葉を皮切りに、整備班は『ノワール』の各部に取り付いていく。俺も作業を行うべくコクピットに入るのだった。

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

ハヤテ SIDE

 

メッサーがルシを殴ったことに驚きながらも、納得したことがあった。

 

「活をいれてやったのか?」

「ああ。あいつには命を救われたからな。」

 

ルシはコクピットに入って作業をしている。

 

「・・・・・・あの時と状況は全く違うが、簡単に命の取捨選択をさせたくはなかった。ましてや自身の恋人を相手にだ。」

「・・・・・・・・・。」

 

恋人を撃つ戦いではなく、取り戻す戦いをさせる。安易な道ではなく、茨の道を歩ませる。メッサーらしいと思えばらしかった。

 

「・・・・・それにしても。」

「・・・ん?」

「整備班の連中、えらいやる気に満ちてないか?」

 

―――17番ケーブル摩耗してる!!15分で交換しておけ!!

―――了解!!10分でやりますよ!!

 

―――油圧シリンダーも交換が必要だ!!

―――オーライ!!C6倉庫から持ってきてくれ!!

 

「マキナ姐さんのご先祖さんには・・・・。」

「ん?」

「7年程前に情報公開された、50年以上前地球上で起こった統合戦争に参加していた人物がいたんだ。その人は後の世で『マヤン事変』と呼ばれる戦いで、ある機体の整備士担当として現場に乗り込んだ。」

 

ガイの話を横で聞きながら『ノワール』を眺めていた。

 

「当時の統合軍として、初めての可変戦闘機『VF-0 フェニックス』。その『VF-0』の整備士担当としてな。『中島 雷蔵』。俺達整備士にとっては、神様同然の人さ。その人からのある言葉は、ここの整備士の全員の胸に刻まれている。」

 

そこで、一旦言葉をきった。続く言葉を聴こうと静かにまっておくことにした。

 

「・・・『女の為に命を張るバカ野郎には、最大限の敬意を払え』ってな。」

 

その言葉は、何も理論的なものはなかった。なかったがその分整備士達の心意気、意地という物だった。

 

「そんな訳で、あんな調子になるわけだ。」

「・・・・・成程。」

 

正直、溜息しか出てこなかった。

 

「とりあえず俺は、フレイアに会ってくる。」

「そうしろ、そうしろ。」

 

その言葉を背中に受け、俺はその場を離れた。

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

新しいストライカーの接続は順調に終わり、『ストライクE』の部品交換と調整作業が残ったが、突如として艦内放送で呼ばれたので後の作業を整備班に任せて、会議室に向かうことにした。

 

「ルシウス・ペンドラゴン。出頭しました。」

「入れ。」

 

許可をもらい、室内に入ると艦長とアラド隊長、メッサー大尉にカナメさんがいた。

入った途端に、カナメさんから驚きの声が上がった。

 

「ちょちょちょ!?ちょっとどうしたの!?その顔!?」

 

俺の頬に貼られた湿布を見て驚愕の声を上げるが

 

「少し、上官に指導を頂きまして。」

「・・・・・・・メッサー君?」

「・・・・・・・・・・・・中途半端な覚悟を持ってほしくはなかったので。」

 

メッサー大尉の回答にカナメさんは溜め息を吐いて

 

「私はいいけど、美雲に知られたらはり倒されるわよ。」

「まさか、美雲さんはそんな事しませんよ。」

「そうかしら?ルシ君絡みだと、人が変わるからね~、あの子。」

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・(ありえそうだな。)」」」

 

俺は否定の言葉を出したが、他の皆はそうは思わなかったらしく。

 

「で?話というのは?」

 

強引に話をそらした。

 

「先程、イプシロン財団のベルガー氏からお前宛に送られてきた。」

 

机の上にはある箱が置かれていた。

 

「開けてみろ。」

「・・・・・・いいんですか?」

「ああ、俺達が確認済みだ。」

「・・・・・・・・・・・・。」

 

艦長が確認済みなら大丈夫だと思いたいが、送ってきた人が人だけに、心の中は100%の不安しかなかった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・フォールド・クォーツ?」

 

それも、俺やハヤテが持っているクォーツより遥かに大きい。

 

「なんだってこんな代物を?」

「一番必要となるのはお前だろうとさ。」

「発信機や盗聴器のような類は?」

「ないのは確認したぞ。医療班や警備班で確認した。」

「・・・・・請求書の類は?」

「なかった。」

「後から請求されるってこと、ありませんよね?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

そこは沈黙しないでほしかった。確かに美雲さんを取り戻す為には必要だと思うが。

 

「ねぇ、ルシ君?それ、私に少し預けてくれないかしら?」

「カナメさん?」

 

突然の申し出に俺は戸惑った。

 

「これからの戦いに確かに必要だと思う。けど、ただのクォーツだけじゃ味気ないし、ハヤテ君のネックレスみたいに装飾を付けようと思って。」

「いい考えだな。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・じゃあ、お言葉に甘えまして、お願いできますか?」

「はい、任されました。」

 

カナメさんに箱ごと渡して、お願いした。

 

 

 

 

 

 

その直後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『星の歌』が響いて、『ウィンダミア』を目指していた新統合軍艦隊は消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、2時間後『マクロス・エリシオン』に所属する部隊及び移民船団の直衛についていた新統合軍の部隊の決戦準備が完了した。

 

 

 

 

 

追加装備を装着した『ストライク・ノワール』の調整・補修作業も終了した。だが、予定通りこの作戦後、オーバーホールに出すことになった。

「重心は問題ない。今作戦には耐えられるだろうな。」

「全システムチェック、開始。自己診断スタート。」

 

後は実行あるのみ。

そんな中俺はコクピットの計器類に包まれながら最終確認を行っていたところ。

 

「ルシ君」

「はい?あっ、カナメさん。」

 

リーダーがコクピットを覗いていた。

 

「うわっ、狭い。」

「MSのコクピットは基本これぐらいの大きさですよ。」

「そうなの?っとそれどころじゃなかった。これ。」

 

先程のフォールド・クォーツだった。綺麗な装飾がつけられネックレスの形になっていた。

 

「ありがとうございます。」

「突貫で作ってもらったから少し強度はないけど。普通に首から掛ける分には問題ないわ。」

 

そういってカナメさんはメッサー大尉の元に駆け出していった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

俺は少しだけそのクォーツだった首飾りを眺め、首に通しパイロットスーツの中に収めた。

 

 

 

 

 

「必ず、取り戻します。」

 

 

 

 

 

『マクロス・エリシオン』がラグナへデフォールドした。

『ストライクノワール』の推進機と新型の『ノワールストライカー』の熱核反応エンジンを回し、安定させる。モニターに推進機の回転数が表示される。

 

「回転数良好!!」

『デルタ5、エンジンは良さそうだな。』

「ええ。大丈夫そうです。」

『いよいよ開始だ。』

 

作戦が開始される。各艦から機動部隊が次々に発艦していく。

 

『銀河の為に!!!!!』

『誰かの為に!!!!!』

『マキナと。』

『美雲さんの分も!!!!!!』

 

『ワルキューレ』達の人数は減っても、彼女達は揺るがない。揺るいではならない。人々に絶望の中にも希望をもたらす為に。

 

『今私達!!!!!』

『瞬間完全燃焼!!!!!』

『命懸けで楽しんじゃえ!!!!!!』

 

 

『敵艦隊捕捉!!!迎撃機多数接近!!!!』

 

 

 

 

『デルタリーダーより全小隊へ!!!!オペレーション・ラグナロク始動!!!!各自、己のベストを尽くせ!!!!』

 

アラド隊長より号令により更に士気が上がる。

 

『必ずラグナは取り戻す!!!』

『デルタ6。新しい機体は?』

『上々だ!!今までのフライトデータもうまく適合している!!』

『今日こそ私も、無心で飛びます!』

『ああ、行こうぜ!ミラージュ!!』

 

ハヤテの調子は大丈夫みたいだ。今は他人の心配より、俺も自身の事を気にしなければならない。

 

「・・・・・・・。」

『デルタ5、ルシウス中尉。進路クリアー!発進どうぞ!!』

「了解。ルシウス・ペンドラゴン、デルタ5!!『ストライクノワール』出る!!」

 

一気にペダルを踏み、宇宙空間に飛び出す。眼前に広がるデブリ帯を最大推力で躱し、敵機を蹴り上げ、撃ち抜き、切り裂いて次々に破壊していく。

 

作戦自体は単純な物。機動力に物を言わせた電撃戦。火力と機動力、防御力が飛びぬけて高い『マクロス・エリシオン』があってこその作戦だ。

その間にこちらに群がってくる迎撃機を破壊するのが俺達の任務である。

 

デブリ帯が障害物となりこちらの侵攻を鈍らせてしまうが、ピンポイントバリアを使い、強引にねじ込んでいく。

 

 

 

『敵防衛線上の敵艦隊、約半数を破壊確認!!』

『全艦隊及び出撃中の全部隊に通達!!大気圏突入可能な者から順次突入しろ!!!』

 

約20機程をはり倒した後、俺も機体を大気圏に突入させた。

 

 

 

 

 

大気圏突入の摩擦熱が収まった後に見えたのは、プロトカルチャーシステムから出撃する『ウィンダミア』の空中騎士団だ。

 

「プロトカルチャーシステムから迎撃機!!空中騎士団です!!」

『デルタ2よりデルタ5へ!!『白騎士』の相手は任せろ!!お前はプロトカルチャーシステムへ!!』

『デルタ1より、他のデルタ小隊機は空中騎士団をやるぞ!!ルシウスの花道を作ってやれ!!』

『『『了解!!!』』』

「了解!!突貫します!!」

 

推進機の回転数を更に上げ、『ノワール』のスピードを上げようとした。

 

その時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耳に聞こえたのは愛しい人の歌声だった。

 

「・・・・・み、く・・・!?敵施設に異変!!!」

『何だと!!??』

 

フォールドクォーツに似た耀きを発したプロトカルチャーシステムから出てきたのは美しい幻影だった。

かつてプロトカルチャーシステムの為に生み出された巫女。

その末裔。

 

今、惑星『ラグナ』で歌っているのは『美雲・ギンヌメール』ではなく、『星の歌い手』だった。

 

「くぅ!!」

 

歌うたびに増大される目に見えない圧力。俺の胸元にある増えたフォールドクォーツがその影響をより実感させられる物になっていた。

 

『この・・・歌・・・・。』

『まさか!?』

『美雲さん・・・。』

 

その影響はフォールドレセプターを持っていない者達にも影響が出始めていた。

 

『生体・・・フォールド波、急速増大っ!』

『これが、星の歌い手。』

 

通信機を通して聞こえるブリッジの声が苦しく聞こえていた。

徐々に美雲さんの歌は強くなっていく。

 

「美雲さん!!目を覚ましてください!!」

 

敵機を撃ち落としながらプロトカルチャーシステムに近づいていく。

 

―――おお、フォールドニューロネットが繋がっていく!

―――これは、どういうことなのだロイド!?

 

フォールドクォーツを介して聞こえてきたのは宰相と幼帝の声だった。

 

―――全人類の意識をシンクロさせ、我々は大いなる知性体へと進化する

―――進化?

―――それが星の歌の真の力。全人類が繋がり、一つの存在に進化することで銀河に聖なる平和をもたらす。

 

―――なにぃ!?

―――陛下を・・・ウィンダミアを裏切るつもりか!!

―――裏切りなどではない。人類はバジュラを凌ぐ銀河系規模の巨大な知性体へ進化する。そしてコアとなるのが我々ルンを持つウィンダミア人。数百億の意識を繋ぎ、情報処理速度を神の領域に高めることで、一瞬を永遠に変える。我らは儚き、命の限界を超え永遠に銀河を治めるのだ。

 

「結局は、それかーー!!!!!!」

 

自身の怒りが頂点に達した瞬間だった。自身の中にある力を発動させ、視界と思考をクリアにしていく。ここまでは今までと同じだったが、それだけでは済まされなかった。自分の回り一帯にかけられていた星の歌の圧力を、無にしていく。

 

―――な!?

 

「結局は自分が銀河を支配したいだけか!!!」

 

更に増速する。体に物理的な圧力が更にかかるが、構うものか。

 

―――支配などではない!!銀河の全人類を進化させ儚い命を超えるのだ!!

 

「それでは人類種ではない!!他者とわかり合えてこその人類だ!!唯繋がっただけの端末じゃないんだ!!俺達は!!!」

 

―――分かり合えるさ!!繋がり合えば!!

 

「それは自身の感情がダイレクトに伝わることだよな!!??人の感情が一つだけだと思っているのか!!??そうじゃないだろ!!」

 

嬉しさがある。怒りがある。悲しみがある。

人の感情は一つじゃない。

 

「その程度の事で!!!」

 

人類というのを消滅させてほしくなかった。

 

「大事な人を!!!」

 

それが、俺の恋人なら、なおの事。

 

「取られてたまるか!!!」

 

―――そのような激情など!!銀河その物となった私には通じぬ!!鎮まれ!!!

 

その時だった。

 

―――――好きーーーーーーーー!!!!!

 

「フレイアさん!!??」

 

思わず機体を制止させてしまった。

 

―――飛んでる時のハヤテが好き!!飛ぶことが好きなハヤテが好き!!!

―――俺も好きだ!!!フレイア!!!

 

徐々にだが美雲さんの歌が小さくなり始めた。

 

―――この歌!

―――林檎娘達!!

 

「『ワルキューレ』!!」

 

『ワルキューレ』達の歌声が復活した。

 

―――歌が・・・私は。

―――惑わされるな。ルダンジャール・ロム・マヤン!

 

僅かな勝機を物にしなければならない。更に増援で出てくる濃緑色から白に変化した『ドラケンⅢ』を撃ち抜いて要塞に接近する。

 

『行くぞ!!必ず美雲さんを取り戻せ!!』

『了解です!!』

『ウーラ・サー!!』

『了解!!!』

「行きます!!!」

『言われなくったって!!!』

 

ハヤテとミラージュさんが追い付いてきた。

 

「ハヤテ!!ミラージュさん!!」

『行くぜ!!ルシ!!ミラージュ!!特にルシ!!お前は頑張んないとな!!』

『そうですよ!!女性を待たせるなんて!!減点ものです!!』

「分かってますよ!!」

 

その時、声が後ろから響いてきた。

 

―――美雲さん!!!私、『ワルキューレ』で歌えて、好きな人ができて、ルンが生きてるって感じで一杯で。

 

フレイアさんの声だ。美雲さん自身に問いかけているのだろう。

 

―――美雲さんはなぜ、どんな想いで歌うんですか?

 

―――私は・・・・・私・・・は。

 

「美雲さん。」

 

―――!?ルシ!?

 

「あなたがどんな人であろうと関係ありません。」

 

 

 

 

 

「俺は貴方が好きです。」

 

 

 

「あなたがどれだけ遠い場所に行こうとも、あなたから羽衣を奪い俺の元に戻してみせます。」

 

―――!?あの時の。

 

「だから、帰りましょう。皆の元へ。そして帰ってきてください。俺の元へ。」

 

 

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

美雲SIDE

 

あの時。

一番最初に私は彼に言った。

 

―――あなたには私の白鳥の羽衣を奪う男になって欲しいと。

 

返ってきた言葉は望んだ答えではなかったけれど。それでも彼は私の傍にいてくれた。いつだって助けてくれた。

私は望んだではないか、彼と共に歩みたいと。

それを自ら捨ててどうするのだ。

 

「フレイア」

 

―――美雲さん!!

 

「さっきの質問を答えるわ。」

 

私は美雲・ギンヌメール。『ワルキューレ』のエース・ボーカルであり。

 

「あなた達と出会えたから・・・・あなた達と一緒に歌いたい!!そして!!!」

 

次が私にとって一番の大切な想いだ。

 

「ルシウス・ペンドラゴンに私自身の全てをあげたいと願った一人の女よ!!!」

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

勝利条件は揃った

 

―――歌は愛!

 

今ここに

 

―――歌は希望!

 

銀河に希望をもたらす

 

―――歌は命!

 

女神達が

 

―――歌は元気!

 

復活した。

 

―――歌は神秘!

 

 

 

 

 

 

『エリシオン』が被弾した影響でマキナさんとレイナさん、フレイアさんが投げ出されていた。マキナさんとレイナさんが空中騎士団の一機に回収救助され、フレイアさんがハヤテに助け出された。

 

「はああああぁぁぁぁ!!!!」

 

白く変色した『ドラケンⅢ』は宰相の端末と化してしまったようだ。こちらを殲滅しようと空中騎士団ごと撃って来る。

宰相も俺がいる場所は分かっているのだろう。システムの砲口を絶えずこちらへと向けてくるが、

 

「それが命取りだ!!」

 

海上スレスレを『エリシオン』が突貫してくる。勿論敵も馬鹿じゃない。『エリシオン』へ砲撃を行うが、その火線が俺の方にも向いている為どうしても数が減ってしまう。

その状態では接近を阻止することは不可能だ。

 

『いっけえええぇぇぇぇぇぇ!!』

 

『ヘーメラー』からの砲撃でバリアまでは貫通し、敵の表面にも突破口を開かせるが、苦し紛れの砲撃が『エリシオン』の右関節部に直撃し『ヘーメラー』が脱落してしまう。

だが、

 

『ひるむな!!!アイテールアターーーーーック!!!!』

 

更に敵要塞をえぐり、美雲さんのいる区画まで貫通させる。

 

『行け!!!!デルタ5!!!!』

「了解!!!」

 

敵の砲撃を躱して中にハヤテとミラージュさんとで突入する。傍に『白騎士』の機体も確認できたが、こちらを攻撃するつもりはないようだ。

中には多数の白い機体がいるが。

 

「邪魔だ!!!」

 

全火器を使い、連射し、グレネードランチャーをも放つ。がキリがない。

 

『キリがねぇぜ!!!』

「ですが、今は堪えて!!!」

 

救助中に墜とされてはまずいのだ。だが、そこへ

 

『星の歌い手を連れていけ!!』

「『白騎士』!!??」

『風は俺が止める!!』

 

『ドラケンⅢ』の右膝部から剣を取り出し、突貫していく。

 

『美雲さん!!』

 

ミラージュさんが美雲さんを無事回収したようだ。

後は撤退するだけだが。

 

―――ドックン

 

嫌な予感が体を駆け抜けた。

とっさに機体を翻し、『白騎士』を見る。丁度相手の白い機体と相打ちして機体から降りようとしていたが、その直上から影が走った。

 

「!?下がれ!!!!!!『白騎士』!!!!!!!」

 

俺の叫び声を感じ取ったのだろう。宰相へと向かう足をとっさに反対へと持ってきて機体から離れた。

 

「ハヤテ!!!!『白騎士』を回収しろ!!!!」

『分かった!!!』

 

とっさにシールドを掲げ、ハヤテ達を敵の射線から隠す。

 

『ハヤテが『白騎士』を回収した!!!』

「全機離脱!!!!」

 

 

 

 

掲げたシールドから弾かれたビームは重量子ビームではなく荷電粒子だった。

 

 

 

 

 

要塞から離脱したが、俺は要塞の近くに滞空していた。

近くにはハヤテとミラージュさんがいる。

 

「・・・・・・・・・。」

『ルシ・・・・・。』

『なぁ、ルシ。少し見えたんだけど。』

『ハヤテも気付きましたか?私も同じことを思いました。』

 

俺は返事をせずに先程できた大穴に注視していた。

 

 

 

 

 

 

すると、先程襲ってきた機体が出てきた。

 

 

 

VFではなく、MS。

 

その機体は純白の機体だった。

 

背面のバックパックについている翼も白。そして所々に金の配色がされている。

ただ、これまで見てきた機体の中間のような印象だった。

そして、その四肢と頭部は見覚えがあった。

 

かつてその機体は『オーブ』近海の海で、『地球連合軍』の艦隊をたった1機で全滅させた。その機体はダーダネルス海峡で『タケミカヅチ』を旗艦とする『オーブ』の艦隊を壊滅させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その機体の名は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・『ZGMF-X56S インパルス』」

 

 

 

『ザフト軍』のセカンドステージシリーズの一機だった。

 

 

 

 

 

 

 




ガンダムを出しました。

もう少し続きます。

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