申し訳ございません。
身内の予定に付き合ったり、書いても修正を何度も行ったり、書いたは良かったんですが、これ本当に投稿していいのか悩んでしまいました。
ハヤテの意識が回復した。目立った外傷もなく、先の戦闘の影響は目に見えている範囲ではない。だが、その影響を重く見たケイオス上層部はレセプター自体がヴァールの要因になっている可能性があるのではないかと疑問を持ち始めていた。
そして、その一報は完全に寝耳に水だった。
「ワルキューレが逮捕されたって、どういうことです!!!!????」
俺は艦長に詰め寄り、状況の説明を求めた。
「どうもこうもない。カナメを筆頭としてマキナとレイナが協力して美雲が治療を受けている医療船に忍び込んだ。ある程度のことはこちらでもなかったことにできるが、相手が悪すぎる。」
『ケイオス』上層部が派遣してきた医療船。更にセキュリティネットを破壊してしまっての侵入。庇い建てができないのは目に見えて明らかだった。
「それよりも対処するべき事案が発生しかけている。」
「!?それは・・・・。」
「済まない遅れた。」
「失礼します。」
アラド隊長とメッサー大尉が入ってきた。
「実はヴァールが発生したにはしたんだが・・・・。」
「少々状況が妙でな。今他のメンバーを招集しているから少し待ってくれ。」
メッサー大尉が事の事態を説明しようとしたが、アラド隊長が待ったを掛けた。
そうしていく内にメンバーが集まってきた。ただし、『ワルキューレ』は一人しかおらず顔色は悪い。
「とりあえず、揃ったな。」
「アル・シャハルに緊急事態とは?」
「風の歌が響いた。」
「「「「「!?」」」」」
その場にいた全員が息を飲む。ふと、俺はフレイアさんに尋ねた。
「フレイアさん、何か感じましたか?」
「ううん。何にも。そっちは?」
「同じです。ハヤテは?」
「俺にも何も感じなかったぜ。」
レセプター所有者であるフレイアさんとハヤテも何も感じなかった。以前強い歌が響いた時に感じたのにだ。恐らく球状星団の外側に今船団がいるからそのせいもあるだろう。
「内緒話はそこまでにしておけ。監視衛星をハッキングした所、残っていた市民の85%以上が昏睡状態に陥ってる。倒れた市民達を集め、ウィンダミアが何やら調査をしているらしい。」
「昏睡ってヴァールにならずに?」
「今までにない程強力な生体フォールド波が計測されているが、それ以外の事はまるで不明だ。」
「それだけ、風の歌が強力になっているっていうことですか。」
「しかし、その分反動が大きいはずです。もしかして、幼帝の身に何かが起こったのでは?」
「何かって、ハインツ様に何かあんのね!?」
フレイアさんが俺の発言に食いついてくるが。
「あくまでも仮定の話です。今の所、ウィンダミアが仕掛ける戦いに関しては幼帝や『白騎士』ではなく、宰相殿の思惑が際立っていますしね。」
「ルシウス。そう断言する根拠は?」
「まず、第一に宰相殿の副業が理由に挙げられます。」
ロイド・ブレームの家系は代々、プロトカルチャーの遺跡を管理する神官の役目を負っていたらしい。だが、彼自身は神官としての役目を引き継がず研究者として、銀河中に名を馳せた。この一連の戦争において、ウィンダミア側が遺跡の力をうまく使えたのはこの宰相殿の力によるところが大きい。他にも研究者はいるだろうが、中心となったのは宰相殿だろう。
幼帝がこのような複雑な情勢下で最適な判断を下すのは難しい所がある。となれば、一人しかいない。
「その推測は恐らく合っているだろうが、まだ確実とはいえんぞ。」
「ですね。今までになかった昏睡状態があるということ。なぜそのような事態になったのか確信が欲しいですが。」
アーネスト艦長が咎めるようにこちらの推測した言葉を遮る。
「現在も諜報部が探りを入れている。何らかのアクションは必ずあるはずだ。」
「なぁ、話の途中で悪いんだけど・・・。」
ハヤテが一旦こちらの話を切る。
「・・・・『ワルキューレ』はどうなってんだ?医療船に侵入したとかで、警備に捕まったままなんだろ?」
確かにハヤテの言いたいことも分かる。市民が昏睡状態になってしまっても、風の歌が響いた以上、『ワルキューレ』の力が必ず必要になってくる。だが、そのメンバーは一人しかいない。
「・・・・・・皆、直に戻ってくるんよね?」
「『レディM』の判断待ちだ。」
俺は何もできない自分自身に苛立ちを覚え始めていた。
少し、気分を晴らすべくシミュレータに入る。今は『ノワール』のみしか使ってないが、もし使えなくなった時の事を考え、暇を見つけてはVF系の訓練を行っている。が、直に呼び出しを食らった。
「ルシウス・ペンドラゴン中尉、入ります。」
「すまんな。さっき退出したばかりなのに、いきなり呼び立てて。」
「いえ、って・・・・・。」
久しく見ていない人がその場に居た。
「ルシ・・・・。」
「美雲さん。大丈夫なんですか?体調は?」
「大丈夫よ。ありがと。」
美雲さんがこちらの手を握りながら、礼を伝える。『ケイオス』本部から派遣された黒服が艦長と隊長に敬礼を行い、退出していく。
「美雲。後でルシウスには伝えるとして、先に伝える者達がいるはずだ。」
「わかりました。じゃあルシ、後で。」
俺は頷き、先に退出していった。
「すまんな、ルシウス。できればお前にも聞いて欲しかったものでな。」
「いいんですが、凄い今更な感じがしますけど、自分は佐官クラスの人間じゃありませんよ。」
「俺とメッサーが許可した。」
「・・・・・順位的に言えばミラージュさんかチャックの方が。」
「パイロットとしてはいいが、軍人としてあいつらは、まだまだだ。」
「それに、『ワルキューレ』のエースに一番親しい人物が作戦会議に参加しないのは少々問題があるだろう。」
「どんな問題ですか、それ!?・・・・・・で、話ってのは?」
俺の抗議は封殺され、ぐぅの音もでなかった。仕方がないので、話しを促す。労わるようにメッサー大尉が肩を叩く。つまり、メッサー大尉はこう言いたいのだろう。
―――諦めろ、と。
「こちらからウィンダミアに乗り込む。美雲の歌声ならば地殻に伸びるシャフトにも生態系にも影響を与えずシステムを破壊できることが判明した。」
アーネスト艦長が球状星団の宙域図を呼び出し、表示させる。
「しかし、占領された星を一つ一つ解放していたのでは埒が明かん。プロトカルチャーシステムの中枢はウィンダミアにあるはずだ。直接そいつを叩く。」
「!?本丸に、直接ですか!?確かウィンダミアには・・・・!!」
流石にその案はいきなりすぎる。下準備すら行わずそれを行えっていうのか。
「ルシウス中尉の懸念通り、ウィンダミアには次元断層が惑星を覆っています。」
「確かに、侵入は困難。オマケに向こうは航行する技術を持っているようだな。」
「その通りだが、科学班の分析によるとある作戦を実施すれば可能らしい。」
打開策があるらしい。艦長は、ある惑星を点滅させる。
「そして、その作戦の舞台となるのが・・・・。」
「惑星『アルヴヘイム』。自分とアラド隊長、カナメさんが初めて会った星ですね。」
メッサー大尉が懐かしむように言葉を口にする。
「メッサー大尉はこの星に?」
「ああ。当時新統合軍にいてな。ヴァールと内乱で居住が困難になってしまってな。」
「俺とカナメさんがその時、鎮圧と沈静化に乗り込んでいたんだ。」
俺以外の全員が懐かしいという顔になった。昔話を挟みつつ、艦長を主体に段々と作戦を決めていく。
作戦内容自体は『ジャンプ』だ。
先にも言ったように『ウィンダミア』は惑星自体を次元断層に囲まれた惑星。直接の侵入はほぼ不可能に近い。そこで、『アルヴヘイム』にある遺跡のシステムを起動し、意図的に『アルヴヘイム』と『ウィンダミア』に直通するフォールド空間を作り出す作戦だ。『アルヴヘイム』はブリージンガル球状星団のほぼ中心宙域にある惑星であり、分析の結果ハブステーションの役割も持っているらしいので、十分作戦の遂行が可能のようだ。
「・・・・作戦の詳細は追って伝える。もう間もなくアイランド船のリアクターの修理が終わるらしいからな。修理が終わり次第、作戦を開始する。」
「「「了解。」」」
作戦会議が終了し、俺は自分の部屋に移動した。艦長からの采配で部屋割りが変更されていた。俺の部屋は美雲さんと同室になっていた。男女を同じ部屋にしていいのか、疑問が上がったが、
―――既に勝手知ったる仲だろうが、お前らは
という、艦長からお言葉を頂いたので、好意に甘えることにした。
―――確かに俺達は『ケイオス』の軍事部門ではあるが、『ケイオス』は民間企業だ。そこまで規律に厳しくする必要もないだろう。
―――それに『レディM』から命令が回っていた。
その命令というのが。
―――ルシウス・ペンドラゴン中尉を美雲・ギンヌメールの身辺警護の命に任ずる。
俺と美雲さんの関係が漏れてこの命令を出したのだろう。まぁ、美雲さんもこの命令を聞いた時は、それはそれは凄く嬉しそうな顔をなさったそうな。
「「・・・・・・・・・・・・」」
そして今の俺と紫髪の美女の状況はというと。
―――いつぞやの時と同じ状況になっております。勿論床に散乱しているのも同じ状態です。
ただ、話す内容はかなり重要な内容だ。
「カナメ達にはもう、話したけど。風の歌い手と精神が繋がったせいで、脳神経に変調が起っていたんですって。でもそれも治ったわ。」
「治ったなら良かったんですけど。」
「・・・・・・・・・聞いたわ、私。」
「・・・・・・・・・・。」
「過去が無い理由。私が・・・・・私自体が誕生したのは三年前。2064年8月17日。」
美雲さんの手はわずかだが、震えていた。3年前以前の記憶を失った訳ではなく、初めからその記憶がない。当然だ。そこから3年前にこの世に誕生したのだから。
「・・・・・・・・・私はヴァールに対抗するため、フォールドレセプターを予め細胞に植え付けられて生み出された。」
「桁違いにレセプター数値が高いのは・・・・・。」
「そう、それが理由。」
こちらの首元においていた頭を上げこちらの眼を見つめる。
「・・・・・・・あなたは、こんな私でも受け入れてくれる?」
人工的に作られた人間。自分達とは違う存在。肉親もいない。そんな自分を嫌ってしまうのが怖いのだろう。
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・あっ。」
俺は無言で美雲さんを強く抱きしめた。
「拒絶なんかしません。したくもありません。」
「・・・・・・・・。」
美雲さんからも腕の力を強くする感触が伝わる。
「俺は美雲・ギンヌメールを信じ、愛しています。」
下手な言葉等いらない。ただ単純に。心の底から。
「・・・・・・ありがとう。」
美雲さんからも感謝の言葉が返ってきた。
「・・・・・・・・・・・・・・私も、ルシウス・ペンドラゴンを信じ、愛しています。」
それから少し、時間が経った。共に言葉を交わすことなくずっと抱き合っていた。
「・・・・・・・・少し怖かったわ。」
唐突に美雲さんが口を開いた。
「・・・・・・・・・・・・あなたに拒絶されてしまうのが。」
「さっきの言葉と同じになってしまいますけど、そんな事しませんよ。」
「分かってる。あなたはそんな事しないとは分かってても、怖かった。」
体を離し、こちらの顔を上から覗きながら柔らかな笑みを浮かべる。
「だけど、もう大丈夫。あなたに受け入れてもらえたから。カナメ達にも伝えたけど、人間だろうとクローンだろうと私は、私である限り歌い続ける。」
「分かりました。俺も貴方を護る為に微力を尽くします。」
俺は美雲さんの頬に手を当て、新たに誓いを立てる。
「・・・・・・・・なら。」
「!!!!!??????」
唐突にキスをもらうが。そのキスは今までよりも深いものだった。
俺の顔の回りは紫のカーテンで覆われてしまう。更に凄い微笑み、それこそ女神のような微笑みでこちらを見下ろした。
「私とあなたの好きという感情を互いに譲りあい、交じり合いましょうか?」
「!!!!!!!!!????????」
・・・・・・・・・・詳細は省かせていただきます。
翌朝、『ワルキューレ』のメンバーは凄く嬉しく顔を綻ばせている美雲さんに質問攻めを行っていた。
ただ、美雲さんは凄い笑みを浮かべながら詳細は明かさず、お腹を撫でたらしい。
カナメさんは体ごと脱力した感じを隠さず。
「何か負けた・・・・・。」
マキナさんは頬を染めるの隠さず。
「クモクモ大胆~~~~~。」
レイナさんは興味津々に。
「初体験の感想をレポートで出して。」
フレイアさんは顔とルンを真っ赤に染め。
「はわわあわわわあああああぁぁぁぁぁ。」
ミラージュさんは何やら頬を染め言いにくそうに。
「・・・・・・・・・・・・羨ましい。」
アラド隊長とメッサー大尉、更にはハヤテから呆れたように。
「「「何やってんだ、お前ら?」」」
十人十色の反応を示していた。
対する俺は。
「チキショーーーーーーーーーー。」
チャックに首を絞められていた。
「聞いたぞ!!!一線超えやがったな!!!!!」
「待って・・・・・・チャッ・・・・・・ク・・・・・・・・・・息が。」
マジで締まってやがっていた。
意識が朦朧と仕掛けて、やばかったと明記しておく。
オマケ?
「私の伴侶となる人に何をしているのかしら?」
「ガフっ!!!???」
朦朧とする意識の中、そのような言葉と悲鳴が聞こえた。そこで俺は意識を手放した。
10分ぐらいで目を覚ましたのでその後を聞いたのだが、皆頑なにその事を話そうとしなかった。
ただ、部屋の机に置かれていた丸形の物置が歪な形に変化していた。
そして何故か、ハヤテが床を拭き掃除していたので俺も手伝おうとしたら、何故かフレイアさんとメッサー大尉から座っておけと言われ、レイナさんからコーヒーを頂いた。
後頭に包帯を巻いたチャックがカナメさんと美雲さん、ミラージュさん更にはマキナさんに土下座で謝っていた光景がシュール過ぎた。
少し悩んで、気分転換に外出した時の出来事。
1/72の『VF-25F』アーマードパックが中古店で売ってあったので、いざ買ってみました。
中古店だったので、家で中身を確認してたら。
あら、びっくり。
アーマードのシェリルとキャシーのデカールが入ってました。
まさかもう手に入らないと思っていた物が手に入って。
これはこのデカールを貼れという啓示か?