ただ、テンションが上がらない。
そして、ハマってしまいました。
UBI SOFTの『ディビジョン』。面白い。
「報告は以上です。」
『こちら』の世界に転移してきたMS群の残骸の画像ファイルを見せられてから1日たった。俺は会議室で転移してきたであろうMS群をピックアップし報告していた。現在分かっているのは。
地球連合軍
GAT-02L2 『ダガーL』
GAT-04 『ウィンダム』
ザフト
ZGMF-515 『シグー』
ZGMF-600R 『ゲイツR』
ZGMF-1000 or ZGMF-1001 『ザク』 (残骸からは『ウォーリアー』と『ファントム』の両方が持つ形状の物を確認できた。)
ZGMF-2000 『グフ・イグナイテッド』
「最低でも七機種の残骸が確認できる、という訳か。」
「これらの機体群の内、『グフ』のみ単独での大気圏飛行能力を有しています。次点で『ダガー』と『ウィンダム』。最後に『シグー』『ゲイツ』『ザク』になります。」
これらの機体群がこの世界に来ていることである問題が生じた。MSの数もそうだが、荷電粒子のライフル技術がウィンダミア側に渡ったこと、そして『VF-171』の火力では破壊に時間がかかる事だ。もちろん完全破壊が不可能な訳ではない。あくまでもシミュレーションの結果ではあるが『VF-25』クラスの攻撃能力があれば、破壊は可能ではあった。しかし、敵MSの破壊に手間取ると別方向から接近した敵の攻撃を受けてしまう可能性が生じたのだ。
「シミュレーションの結果を見る限りでは手早く破壊が可能なのは『ノワール』だけか。」
「私の方でもシミュレータを流してみたけどやはり同じ結果になったわ。」
「数の問題もある。敵に複数の機体が渡ったのだ。こちらは『ノワール』のみ。いかにルシウス中尉が腕利きとは言っても数の暴力は馬鹿にならないぞ。」
各小隊の隊長格から様々な意見があがる。だが、『ケイオス』側が稼働可能な機体を有しているのは『ノワール』のみ。残骸等も『ノワール』を回収した時以来一度も回収できていない。
「相手にどれだけの機体の数が渡ったかは分からないが、我々には『ノワール』以外のMSの残骸を回収できていない。となると、現状対抗手段はルシウス中尉だけとなる。」
つまりは
「ルシウス・ペンドラゴン中尉、艦長命令だ。敵にMSの機影が発見され次第最優先でこれを破壊せよ。各小隊は敵MSの機影を確認後は牽制に徹しろ。確実に破壊できると踏んだ時だけ破壊する許可を与える。破壊可能タイミングは各隊長に一任する。」
「・・・・・・任務了解。」
俺がこの世界に来てしまったことにより生じた『あの世界』と『この世界』の繋がり。本来交わってはいけない『もの』が混じってしまった。断つ手段は見つからないけど、対症療法はできるかもしれない。その結果『自分自身』が消えるとしても。
―――ただ、その時。
―――『彼女』の涙だけは
―――見たくはなかった。
会議を終え、少しトレーニングをしようと思ったがアラド隊長から一旦奪還作戦の案を再度話し合うことになった。だが、その前にそれぞれ一息つくことにした。
「アラド隊長、メッサー君、ルシ君。お疲れ様。」
「カナメさんもご苦労様です。」
アラド隊長とメッサー大尉はカナメさんからコーヒーを受け取り、俺は美雲さんからコーヒーを受け取った。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
コーヒーを少し飲み一息をつく。
「球状星団の奪還作戦の方はどう?」
「会議は続けてるけど中々ね・・・。」
「先に出たどの案も決定打が欠けていますから。」
カナメさんとメッサー大尉がそれぞれ美雲さんの問に答える。
「一つ方法があるかも。うまくいけば」
こちらの手を握り締めデルタ小隊の隊長と『ワルキューレ』のリーダーに提案した。
「・・・・成程、そういう?ん、なんだ??」
「なんか騒がしいですね?」
廊下を歩いているとあっちこっちからざわついた雰囲気があった。
「???どうしたんですか?」
「ルシ、これを見てみろ。」
すぐ近くにいた整備員に話しかけると端末からある映像がでてきた。
「今リアルタイムで放送されているみたいなんだ。」
「???」
映像を映しだすと、どのチャンネルも同じ映像になっていた。
一旦部屋に戻り、端末から映像を呼び出す。アラド隊長とメッサー大尉、『ワルキューレ』の二人も映像を映し出した。
「どの放送も同じ映像が出ている、ということは・・・。」
「敵のプロパガンダ放送ですか。」
メッサー大尉の独り言に答える形で俺は呟いた。
この手の放送は聞き飽きているんだが、一応聞いておくか。
『・・・あの日の屈辱を我らウィンダミア人は一日たりとも忘れたことはない!!あれから7年。我々は全銀河に真実を訴えようとしてきた。だが、その声は統合政府の巨大な力の前に握り潰されてきたのだ。時を待ち我らは耐えた。そして風の歌い手とグラミア・ネーリッヒ・ウィンダミア王の下、遂に立ち上がったのだ!悲しい事にグラミア王は先の戦でお命を風に捧げられた。しかし、陛下はその最後の羽ばたきで球状星団を奪い返して下さった!制風権は確立されたのだ!!今こそ亡き先王の為にも宣言しよう。正義は我らにありと!これがその証拠である!』
新たに映像が切り替わる。その映像は雪山の上をある機体が飛んでいた。
「この機体は?」
「監視衛星の映像・・・?」
「『
その直後、『VF-22S』からある弾頭が投下された。そして―――
ウィンダミアの大地と空の一部を飲み込んだ。
「新統合軍が次元兵器を・・・?」
「巨大な組織は決して一枚岩にはなれないと分かっていましたが、これは・・・。」
流石にひどすぎる。オーブは国力等の問題点から大量破壊兵器は保持できなかった。しかし、その悲惨さは知っている。互いの故郷を燃やし、それを排除しようとした者達を知っているから。
『次元兵器で我らの大地を汚したのは新統合軍である!彼らはこの事実を隠蔽するためウィンダミアに殺戮者の汚名を着せ撤退。その後も巧みな情報操作を続けた。その上全銀河を支配下に置こうとしているのだ!それはラグナにおける先の戦闘で反応弾を用いるという暴挙に出たことからも明らかである!我らが真の勝利を掴み統合政府の中枢を叩くより他ない!我々はこのまま制風権を拡大し銀河系の中心へと進軍、統合政府を打倒しプロトカルチャーの正統な後継者として50万年前彼らが無し得なかった大銀河文明を樹立させる!これは全銀河を地球人とそれに組する者達からの支配から解放する為の戦いである!羽ばたけ!翼の民達よ!これはグラミア陛下の遺言である!私は必ず成し遂げるとルンに誓った!そして我らが築く新たな文明の王となられるお方こそハインツ・ネーリッヒ・ウィンダミア陛下である!』
幼き王か。だが、ウィンダミアの直接的な実権を握っているのは
「やはり黒幕は宰相殿か?」
『父は常にウィンダミアの・・・皆の幸せを願っていた。父と風に私も誓おう。ウィンダミアの為、命を懸け皆の為に尽くすと。そして争いのない平和の国を・・・いや、銀河を築いてみせると!ルダンジャール・ロム・マヤン!』
「この歌、風の歌い手・・・。」
「美雲さん。」
こちらの手を強く握りしめながら映像に見入っている。
「つぅ?」
美雲さんが頭を押さえながら倒れかかったが何とか支えた。
「美雲さん!?大丈夫ですか!?」
「大丈夫。ねぇ、ルシ。」
「はい?」
「この景色・・・。私は・・・・知っているような・・・。」
こちらにしか聞こえない程小さな声で囁く。
「少し横になった方がいいでしょう。カナメさん、美雲さんを部屋に。」
「分かったわ。」
「いえ大丈夫。少しだけ手を握らせて。」
美雲さんがカナメさんと俺の手を借りながら椅子に座る。その間もずっと俺の手は離さずにいた。
「各小隊長、副隊長に緊急連絡。直ちにブリッジに集合。繰り返す・・・。」
「ルシウス。俺達はブリッジに行くからお前は美雲さんについとけ。」
「あとは任せたぞ。」
「少し水を持って来るから。ルシ君、美雲をお願いね。」
そう言い、隊長達は部屋を出て行った。
「美雲さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫よ。ねぇ少しこっちに来て。」
そう言い、俺の胸元に抱き着き目を瞑った。
「・・・・・・・・。」
美雲さんの呼吸が少しずつ大人しくなってきた。が、無粋な連絡が入った。
「新統合軍から緊急連絡!!救難信号を受信した!!デルタ小隊は直ちに発進準備せよ!!」
「すみませんが、美雲さん。」
「分かってる。行ってらっしゃい。」
美雲さんが微笑みながらこちらを見送る。
俺は廊下を走り、パイロットスーツに着替え『ノワール』に乗り込む。アラド隊長とメッサー大尉も同様にそれぞれの機体に乗り込んだ。少し遅れ気味で他のメンバーも機体に乗り込んだ。
「デルタ小隊全員に伝える!先の宣言後、新統合軍が即座にウィンダミア本国へ偵察を掛けた!しかし、風の歌の影響が強すぎる為、艦隊が壊滅状態に陥りかけている。その艦隊から救難信号が入った!直ちに出撃し、残存の新統合軍を救出しろ!!」
『アイテール』から各機が発進していく。俺は急遽建造されたフォールドブースター内蔵の無人機に機体を固定し、発進する。30分程かかったが、問題なく指定宙域へと到着した。
「・・・・くぅ!!」
「ひでぇ・・・!!」
「完全に・・・。」
「デルタ1、状況は?」
「救助信号の発信宙域に到着したが、間に合わなかったようだ。」
「・・・・っ?これは!!・・・こちらデルタ6!生存者発見!救助に向かう!!」
「デルタ5よりデルタ1へ。5と4はハヤテの護衛に回ります。」
「了解した。2と3は俺に続け。他の生存者がいないか探すぞ。」
だが懸命な捜索にも関わらず、新統合軍の生存者はたったの1名だけだった。
SIDE OUT
ウィンダイア SIDE
ウィンダミアの空を夕日が赤く染めていた。新統合政府に対して完全に反旗を翻したウィンダミア。その宣言の会場となった場所で幼き王は亡き父に向かい再度誓いを立てていた。
「ウィンダミアの・・・この空の為に戦います。お父様」
そんな王をある二人が眺めていた。いや眺めているだけではない。
「各惑星の遺跡は正常に作動しています。後は出力を上げさえすれば・・・。」
その人物は先の宣言時に宰相として真っ先に表舞台へと上がったロイド・ブルーム。更に王国の支援者であるイプシロン財団の代表者 ベルガー・ストーン。
「それはそうと和平交渉の申し出が来ているそうですね。つれなくお断りさせているとか?」
「統合政府はただ遺跡を狙っているに過ぎん。プロトカルチャーの遺産を受け継ぐ資格等、奴等にはない。」
そう、容易く大地を汚す奴等は滅ぶべきだ。反応弾頭や次元兵器を奴等は作り出した。翼があろうと休める場所は必要だ。なのに奴等は大地を汚してしまう。
「そういえば」
「???」
「例の人型兵器のパイロットが分かりましたが、経歴が少々分からない箇所がありましたが。」
「・・・・・・『ルシウス・ペンドラゴン』。」
この男がこちらの最大の障害だ。我らの悲願の為にも確実に排除せねばなるまい。
『アイテール』に帰還後、救出されたパイロットが運ばれていた。
「お前は・・・ロバート・キノ!?」
「・・・アラド・・・、アラド・メルダースか・・・?」
「知り合いですか?」
「まぁ、ちょっとな・・・。何があった?」
「一瞬だった・・・。たった一機のドラケンが風のように・・・。」
さも当然のように俺はその報告を聞いていた。先の戦闘ではバイタルエリアがほぼ無傷の状態だった。だから『白騎士』が無事な可能性は十二分にあった。
「わかった、もう喋るな。早く医務室に。」
「待ってくれ。・・・君のお陰で助かった。名前は?」
「ハヤテ。ハヤテ・インメルマン。」
ハヤテがそう名乗った瞬間、兵士の顔色が変わった。
「インメルマン!?まさか、ライト・インメルマンの・・・!?」
「???なんで、親父の事を?」
「アラド!!お前、どうしてあんな男の息子と!?」
「え!?」
アラド隊長とハヤテの父親が知り合い?
今回は短いですね。
もう少し内容に厚みを持たせられるよう頑張ります。