マクロスΔ 黒き翼   作:リゼルタイプC

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沖田さーん!

土方さーん!

上記の方々のエネミー時マジ強い!どうすりゃ勝てるの!?




遅くなり申し訳ございません。




第18話 潜入とエスケープ

「どういうこと?」

 

惑星ヴォルドールの衛星軌道外に存在するデブリ帯に身を潜めている『アイテール』の一室に、民間軍事会社『SMS』ウロボロス支社からの出向者 アイシャ・ブランシェット特務少佐はいた。

彼女は先の戦闘データから戸惑いの声を隠せないでいた。

 

「ルシウス・ペンドラゴン少尉のフォールド・クォーツとの親和性が上がっている?美雲の影響?まさか・・・?」

 

先の戦闘において、アルファ小隊の隊員の一人から気がかりな情報が上がっていた。デルタ5 ルシウス・ペンドラゴン少尉の『YF-29B』のフォールド・クォーツを装備している箇所から若干の光が漏れていたと。それが先の『バジュラ戦役』終結の立役者、『早乙女アルト少尉』が行った『光の舞』の光とそっくりとはいかないが、弱いがそれに似た光だったのだ。

その報告書を前にアイシャは、現在運用している『YF-29B』の戦闘データを解析したところ、ルシウス少尉とフォールド・クォーツとの波長が少しずつだが、同調し始めていたのだ。

 

「任務が終えた少尉を捕まえないとね。」

 

機体のせいか、本人のせいか、はたまた別の要因か。どちらにせよ本人が戻ってこないことには始まらない。

 

 

 

 

偵察活動は若干のハプニング(?)があったが、順調に進んでいた。

やはり、ウィンダミアのヴァール化した人々の支配は物流の中に仕込まれたのだろう。

 

「新統合軍兵士が操られた経緯が見えてきましたね。」

「そうね、鍵となるのは。」

 

俺と美雲さんはそれぞれある物を取り出した。

 

「「ウィンダミア産の林檎。そしてウィンダミアの物流ルートで納品された、この水。」」

 

試験紙にかけてみたが、『ケイオス』内のウィンダミア産の林檎のデータとは多少の誤差はあるもの極端に大きいものではなかった。

 

「詳しい検査は『エリシオン』に戻ってからですね。」

「そうね。ん?」

 

美雲さんは近くにたたずむ『VF-171』に目を向けた。

 

「どうしました?」

「歌が聴こえる。」

 

美雲さんはそういい手を引きながら『VF-171』に近づく。

その『VF-171』には左肩にエンブレムがあった。

 

「ヴォルドール航空団のエース。アルベルト・ララサーバル大尉。エースパイロットまでもが。」

 

その近くで小さい子供が2人必死に呼びかけていた。

 

「あの子達は・・・。」

「あの機体の関係者といったところね。ってあの子は!」

「!?今はまずい!」

 

美雲さんは物陰から飛び出しある人物を暗がりへと引きづりこんだ。俺は周辺を見回し、ウィンダミア兵がいないか確認する。

 

「急いで!」

「分かってる!」

 

俺と美雲さんはある人物と共に暗がりに引きづり誰も見ていなかったことを確認してホッと息をついた。

ある人物とは、ワルキューレの新人 フレイア・ヴィオンその人だった。

 

 

「やめろ!」

「その子を放しなさい!」

 

続けて、ハヤテとミラージュさんご到着。

 

「ホント、役に立たない。」

「・・・?その声・・・。」

「フレイアさん。タイミングを考えてください。気持ちは分かりますが、今はそのタイミングではありません。」

「そうよ。あなた達も遊んでいる暇はないんじゃない?」

 

フードをとり、美雲さんは後ろのミラージュさんとハヤテに振り返る。

 

「ルシ、美雲さん。今までどこに・・・!?」

 

厳しい顔つきで近づいてきたミラージュさんは手を突き出して制した。

 

「なんだそれ?妙な虫だな。」

「ツノゼミ型マイクロドローンよ。センサーカメラ付きのね。」

「え?センサーカメラ?」

 

ハヤテのびっくり顔がみれたところで一旦場所を移すことにした。暗がりとはいえ、相手の巡回エリアに近すぎる為である。俺がまた周辺を警戒している最中に美雲さんから三人に説明を行うことにした。

 

「極秘の政府間協議ですか?」

「ええ。少しは役に立つ情報が手にはいるんじゃない?」

「戦時下になった以上、行政府に偵察または工作員を忍び込ませるのは定石です。」

 

今思ったが、ミラージュさん諜報向きじゃないな?

美雲さんが操作して設置したドローンのリアルタイム映像を出す。

 

「こんなに・・・いつの間に仕掛けたんですか?」

 

美雲さんは肩をすくめただけで、答えなかった。まぁこちらもそれはありがたかったが。

 

「丁度、始まるみたいね。」

 

映像には眼鏡に飾りがついた薄い水色髪の男性が映っていた。

 

「あっ、ロイド殿下。」

 

ヴォルドールでの戦闘の際に新統合政府に対して宣戦布告を実際に宣言した、ロイド・ブルーム宰相。気のせいかと思っていたが俺はこの人物がウィンダミアの完全独立の為だけに動いているとは到底思えなかった。

 

「(やはり、この宰相はなにか別の事を考えているか?)」

 

 

 

『統合政府の統治も悪い事ばかりではありませんでしたがね。彼らの基地のお陰で雇用が生まれ、技術が移転されたのですから。』

『そうやって飼い慣らしていくのが彼らのやり方ですよ。』

『だとしても性急過ぎやしませんかね?宣戦布告とは。』

『我々には時間がありませんので。』

『ウィンダミア人の平均寿命は確か・・・30年程。』

『・・・ええ。』

『・・・わかりました。大人しく従うとしましょう。ウィンダミア人は敵も味方もまとめて吹き飛ばすような方々ですからなぁ。次元兵器で。』

『・・・・。』

 

「次元兵器?」

 

フレイアさんがポツリとある名称を口にした。

 

 

『よもや既に、持ち込んでいるとか?』

『まさか。』

『では遺跡のアレは?』

『学術調査です。』

『ああ、そういえば宰相殿は学者でもあられましたな。プロトカルチャー研究の論文、拝読いたしました。』

『滅亡寸前のプロトカルチャーが最後に創造した人類種がこのブリージンガル球状星団の民であり、よって我々こそがプロトカルチャーの正統な後継者である。そのような話、本当に信じておられるのですか?』

『その鍵を握るのがあの遺跡かと。』

 

 

 

 

「遺跡?」

「この近くに遺跡があるのですか?」

 

ミラージュさんの言葉を引き継ぐように俺は発言をしたが、その時カナメさんから通信が入った。

 

『分かったわ。パラガナール遺跡。プロトカルチャーが残した物のようね。』

「カナメさん?」

『ヴォルドール人が聖地として崇めている場所よ。そこをウィンダミアが封鎖して何かの施設を建てたらしいわ。』

「そこで次元兵器を?」

『可能性はゼロじゃないわね。』

「了解。後で合流しましょう。」

 

美雲さんはカナメさんとドローンの通信を切った。

 

「移動しますか。」

「そうね。」

 

俺達は荷物をまとめ、その場を後にした。

 

 

近くを偶々通りかかった車をヒッチハイクして、パラガナール遺跡へと俺達は移動を開始した。その道中フレイアさんが疑問を投げかけてきた。

 

「なぁ、さっき言ってた『次元兵器』ってなんね?」

「時空間を歪ませて破壊する絶大な威力を持つ大量破壊兵器。銀河条約により、使用は禁止されているけど、7年前の独立戦争でウィンダミアが使ったと言われているわ。」

「7年前・・・。」

「フレイアさん?」

 

俺はフレイアさんの反応が些か鈍いのが気になったが。

 

「もしかしてあの時の・・・」

「・・・その時の光景があるというのであれば、無理に思い出さない方がいいですよ。」

「あ、ううん。そんなんじゃないんよ。でもあれは地球人がやったって。」

「いえ、ウィンダミアが新統合軍に対して使用したの。数百万の自国民を巻き込んで・・・。」

「でも村長さんは・・・。」

 

キリが無くなりそうだなと感じ始めた時に美雲さんはフレイアさんに人差し指を突き出した。

 

「・・・?」

「あなたが見ている私は本物?それとも・・・。」

「フレイアさん。」

「な、なんね?」

「あなたが言いたいことはわかりますが、現時点で分かっていることは『ウィンダミアの大地に次元兵器が使用された』、この一点だけです。ウィンダイア側がしたか、新統合軍がしたかはわかりません。お互い『次元兵器の投下(その事)』をプロパガンダに利用することで何が真実なのか、戦時下である以上わからなってしまいます。それに・・・」

 

俺は言葉を一旦切り、再度厳しい目でフレイアさんを見た。

 

「あなたはウィンダミア人ではありますが、所属は『ケイオス』です。ウィンダミア側にはいません。厳しい事を言うようですが、あなたは完全に矢面に立たされてます。半端に戸惑っていては心が折れますよ。」

「「「・・・」」」

 

どんな人種間の闘争でも『立場』という物は重要な物だ。味方になるか、敵となるか。信用するか、信用しないか。

フレイアさんの立場という物は、フレイアさんが思っているものより厳しいのだ。

 

 

 

 

俺達がいたところから遺跡まではそれなりに距離があるらしく、まだ時間がかかりそうだった。沈黙が流れているが、フレイアさんは船を漕いでいた。美雲さんも少しウトウトし始めていた。

 

「ドライバー?」

「ん?どうしたい?」

「あとどれくらいかかります?」

「一つ目の峠を越えたから、あと30分くらいかかるぜ。」

 

30分もかかるのか。俺は隣の美雲さんに声を掛けた。

 

「寝てていいですよ。」

「そう?じゃお言葉に甘えて。」

 

と、俺は前方を見て警戒をしていたが、その時、膝に重みがあった。

 

「・・・何してんです?」

「膝枕。」

「・・・硬いですよ。」

「気にしない。」

 

美雲さんは笑顔のまま、そのまま寝息を立て始めた。

俺は苦笑し、引き続き周辺警戒をしていた。

 

 

 

「なんか口の中が甘いんですけど。」

「だな。ブラックある?」

「ありません。目的地まで耐えるしかありません。」

「マジかよ!?」

「ほわわわわー!!」

(↑全て小声です。)

 

 

 

 

 

約30分後。

目的地である遺跡付近についた。ドライバーに礼をいい、暫く歩いていると

 

「あ、いた。」

「先についてたみたいですね。」

 

マキナさんとメッサー中尉の姿が見えた。

 

「クモクモ、お疲れ~。」

「お疲れ。」

 

二人で『W』のサインをして互いを労う。俺はメッサー中尉に話しかけていた。

 

「メッサー中尉。」

「どうした?」

「町を確認しましたが、完全に物流ルートがウィンダミア側の指定するものに置き換わっています。」

「みたいだな。」

「それだけじゃありません。ここの物でもウィンダミアの物流ルートを通ってから出しているみたいです。」

「ヴォルドール産の物もか?」

「そうです。」

「成程。隊長に報告した方がよさそうだな。ご苦労。」

 

メッサー中尉はそういい。銃器の確認に戻った。俺も同様に拳銃の弾倉を確認し、安全ロックを解除し、再度ホルスターに入れ直した。

その時だった。

 

「うぉ!?」

 

急に左腕を引っ張られた。犯人は美雲さんだった。

 

「み、美雲さん!?」

「・・・」

 

美雲さんは黙ったまま俺の腕を引いたまま本来の目的地であるウィンダミア側の施設ではなくパラガナール遺跡の中に入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

暫く遺跡の中を歩いていると開けた場所に出てきた。

 

「ここは・・・祭殿?」

「・・・・・・プロトカルチャー?」

 

俺は周辺を見回して警戒を強めるが、特に殺気だったものが見当たらなかった。

 

「ここに何かあるんですか?美雲さん?」

「・・・・・・」

 

美雲さんは答えず、何かに集中している雰囲気だった。

 

「????」

「・・・・・~♪」

 

唐突だった。俺は止めようと走ろうとするが、体は動かなかった。

 

邪魔してはいけない。

この歌姫の歌を止めてはならない。

 

祭壇と思しき場所の中心で歌を歌う美雲さんと、外にいる俺との間に不可視の壁があるようだった。

何秒たったのだろう。何分たったのだろう。何時間たったのだろう。

時間感覚が完全に麻痺したような感じだった。それ程までに美雲さんの歌に俺は飲まれていた。

 

 

 

「ルシ?」

「・・・・はっ!?」

 

気が付いた時には俺の目の前には美雲さんがいた。

歌は終わっていた。俺は全然気が付かなかった。

 

「大丈夫?」

 

美雲さんが右手を伸ばし俺の頬に触れてくる。俺は少し恥ずかしくてとっさに下がろうとするが、美雲さんは左腕を俺の胸元を掴んだ為離れることができなくなった。

 

「だ、大丈夫です。」

「そお?ならいいけど。」

 

その言葉と共に俺の顔から手を除けてくれた。このまま離れてくれるかと思ったがそのまま抱き着いてきた。

 

「美雲さん?」

「ごめんなさい。少しだけこのままでいて。」

「・・・・・・。」

 

俺は美雲さんの気が済むまでそのままでいた。

 

 

さらに少し時間が経ったところだった。美雲さんは体を離した。

 

「ありがとう。」

「いえ、しかしどうしたんです?」

「少し怖くなって。今は何も聞かないで。」

「・・・わかりました。ここを出ましょう。」

 

俺は美雲さんの手を引き、出口へと歩いていったが途中で美雲さんが足を止めた。

 

「美雲さん?」

「ねぇ、ルシ。何かしら、あれ?」

 

美雲さんが指した先は何もない壁だったが近くによってみると丁度近くに寄らないと分からない仕掛け扉だというのが分かった。

 

「仕掛け扉。」

「開けてみましょう。」

 

俺が扉を開けたが中には何もなく、部屋の中心にある物が置かれていた。

 

「これは・・・?」

「フォールド・クォーツ。」

 

そう、小さいフォールド・クォーツだった。それも2つで組み合わせて菱形になるものだった。ご丁寧にもチェーンが掛けられるよう金具までついていた。

美雲さんはためらいなくそれを手に取り、自身のポーチに入れた。

 

「いいんですか?」

「いいのよ。誰も気が付かないみたいだったからね。」

 

仮にも聖地と呼ばれている場所でそんなことしていいのか?

頭にそのような疑問が過ったが、その時腕時計からアラートがなった。

 

「メッサー中尉からのアラート!」

「敵に気付かれたみたいね。」

 

俺達は駆け足でその場を離れた。

 

 

 

状況は最悪とまではいかないがヤバイ状況だった。

ウィンダミア側の施設には混乱に乗じて潜入。見つかりそうな衛兵はお休みしていただいた。ビーコンでメッサー中尉達の居場所を探る。

 

「いた!」

「ルシウス少尉!」

 

俺はとっさにフォローに入るが時既に遅くメッサー中尉は負傷していた。

 

「大丈夫ですか、中尉?」

「心配するな、カスリ傷だ。」

「他の3人は!?」

「敵のトラップに引っかかって別行動中だ。」

 

俺は衛兵に向かって牽制弾を放ち、場所を移動した。だが、些かメッサー中尉の動きが鈍い。再度牽制を行うが、移動が完了しないうちにマガジンの弾が切れた。

 

「ちぃ!カナメさん。移動しながらですが、メッサー中尉の手当を!」

「分かったわ!」

 

予備マガジンを装填するが、このままではすぐに弾がなくなる。

移動が完了したがメッサー中尉の汗が尋常じゃない。

 

「メッサー中尉!メッサー中尉!」

「!!!!」

 

「中尉、凄い汗。」

「大丈夫です。先を急ぎましょう。」

 

外に脱出する為に更に移動を始めようとしたが、待ったが掛けられた。

 

「急ごしらえだけど、始めるわよ。」

「あっ、クモクモ!」

「私達の、ワルキューレのステージを」

 

美雲さん達が準備を行っている最中に俺は足についた短刀の留め金を外し抜き放った。

 

「それは?」

「狭い場所ではこっちの方が何かと便利なんで。前衛は引き受けます。バックアップを。」

「了解だ。」

 

俺とメッサー中尉はそれぞれの得物を構え、移動を開始した。

 

 

ミラージュさんとハヤテ、フレイアさんがいる場所は案外近い場所だった。

俺とメッサー中尉は同じ場所に隠れ、タイミングを待つ。

 

「裏切者など殺してしまえば済むこと!」

「我々は新統合軍共とは違う!!」

 

敵の声が聞こえてはいるが、まだ3人とも無事のようだ。

 

 

その時、音楽が流れ始めてきた。

 

「この曲は・・・」

 

ある者には希望を。

 

「ったく!おせーよ!!」

 

ある者には安堵を。

 

「ワルキューレか!」

 

ある者達に驚愕を。

 

ワルキューレ達は歌を歌い、ドローンを使い攪乱していく。

 

「歌うな!」

「惑わされるな!ルンで感じろ!」

 

俺は物陰から飛び出し、空中騎士団の面々に斬りかかっていく。

 

「な!?」

「いつの間に!?」

 

俺は素早く駆け抜け、空中騎士団のメンバーの懐に入り込み、右手の短刀で斬り込む。相手は自らの剣で防ぐが、防がれるのは当たり前。そのままの勢いで短刀を相手の剣から離し、腹に蹴りを入れ込む。

 

「ぐぅ!?」

「ザオ!」

 

ザオと呼ばれた少年はそのまま壁に激突したが、俺は成果を見ずにそのまま別のメンバーに斬りかかる。

 

「貴様!?まさか『黒騎士』か!?」

 

一番年老いている様子の男性が驚愕の声を上げるが、俺にはどうでもよく。スモークを撒く。

その間にハヤテ達の回収に成功したようだ。

 

「!?まずい!!」

 

一人のメンバーがメッサー中尉に近づいている。俺は更にスモークを入れ込み、その場を離脱、メッサー中尉の援護に向かった。

メッサー中尉はサブマシンガンで相手の剣を防いでいる状態だった。

 

「我が風を読んだ。貴様が『死神』か!」

「お前は・・・『白騎士』!」

 

あれが『白騎士』か。俺は相手の顔を覚え、更に斬りかかる。

 

「ちぃ!?」

 

ニ振りの短刀は相手の剣に防がれる。当然だ。メッサー中尉から引き剥がすの目的だ。目的達成後更に『白騎士』と斬り合う。

 

三撃。

四撃。

五撃。

斬り結ぶ。

 

「その風、貴様、『黒騎士』だな!」

「だったら?」

「良い風を纏う。だが、我らにはその風は脅威だ!」

 

そのまま『白騎士』は離れていく。

 

「貴様と『死神』との決着は空でつけよう!」

 

そのようなセリフと共に『白騎士』は離脱していく。

 

「・・・・・・・メッサー中尉。」

「大丈夫だ。脱出するぞ。」

「了解。」

 

俺とメッサー中尉はその場を離れた。

 

 

 

 

外に出ると頼もしい援軍が来ていた。

 

「待たせたな!デルタ小隊名物『ジークフリード』3機と『パーツィバル』お届け!」

「ありがとうチャック!」

 

俺はすぐさま乗り込み機体を戦闘ステータスに移行させる。

 

「全機、相手側も出てくるぞ!」

 

アラド隊長の掛け声とともに『ワルキューレ』の退路確保の為に制空権の確保に向かうが。

歌が響いてきた。男の子の声の歌。

 

「!?ちぃ!また!?」

「!?なんだ!?何か聞こえないか?」

「これがハヤテの言っていた・・・。」

「・・・あの歌だ・・・。」

「『風の歌』・・・。」

「・・・・・・・。」

 

今回は全員に聞こえるようだ。

 

「歌が聴こえるってことは俺達もヴァールになっちまうってことか!」

「落ち着け!ワルキューレがついている!」

 

チャックの戸惑いの声にアラド隊長の一喝が響いた。

 

「必要な情報は入手した。とっととラグナに帰るとしよう。戻ったらクラゲラーメンを奢ってやるぞ!ラグナエビも乗せてやる!」

「了解!」

「月光アワビもな!」

「毎度有り!」

 

皆さん奢りと聞いたらやる気が上がりましたな。

 

 

「ふっ、全機!フォーメーション・エレボス!」

 

その言葉と共に全機散開して各個撃破に移る。

新統合軍の機体を順次武装解除していくが、さっきから『ワルキューレ』の歌と『風の歌』が重く感じていた。

 

「・・・・ちぃ!」

 

---『黒騎士』!

---さっきの借りを返してやる!

 

また敵の声が頭に響いてきた。空中騎士団だ。恐らくは顔がそっくりだったあの二人。

 

「悪いが急いでるんでね。」

 

俺はエンジンをカットし風の流れに身を任せる。相手の攻撃を難なくかわす。

 

 

---こいつ

---風に乗っただと!

 

「空中騎士団といえどハイテクに頼り過ぎだ。」

 

俺はその2機をガンポッドの重量子ビーム 1射で落とす。

 

---穢れた歌を・・・やめろぉー

 

「邪魔はさせない!」

 

1機の『ドラケンⅢ』が迫るがハヤテがピンポイント・バリアで防ぐ。

そのまま交戦状態に持っていく。だが。

 

「?なんだ、あの光?それに・・・」

「速い!」

 

ハヤテの機体が金色に発光しているのだ。

初めて見る。

『ドラケンⅢ』と戦闘を演じていたハヤテだがそれにも終わりが見えてきた。『ドラケンⅢ』がエア・ブレーキをかけ背後を取ったかに見えたが、同タイミングでハヤテもブレーキをかけて相手を落とした。

 

「ハヤテ・・・。」

「お見事。」

「ヒヨッコが、風と踊りやがった。ったく、よく似てるぜ。あの人に。」

 

ハヤテと共に急上昇し、他の面々と合流する。

 

---おのれ・・・地を這う虫けらめ。

 

相手の呪詛が聴こえてきたが、その声に俺は完全に冷めていた思いを抱いていた。

 

「(相手を見下しすぎだ。阿呆。)」

 

自身が優良種だと自負し、相手を見下し続けていては必ず足元を掬われる。そんなに優しいものではないのだ。世界という物は。

呪詛を発した相手は恐らく、先程ハヤテが落とした奴なのだろう。

 

「リーダー!ワルキューレはみんな無事か!?」

「はい!みんなクラゲラーメンを楽しみにしてますよ!」

「上等だ。よし、ズラかるぞ!!」

 

デルタ小隊と『ワルキューレ』を載せた輸送機は高度を上げ、惑星『ヴォルドール』から離脱し、『アイテール』へと帰還した。

 

 

 




皆さんは今回のピックアップ召喚は引けましたでしょうか。

自分は土方さんが召喚できましたが、ニコラ・テスラさんがカスリもしなかったです。orz


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