提督の副業   作:きんにく同盟

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平成最後に投稿しました。

では!


本編 ご注文はクズ提督ですか?

 

 海辺

 

 田中が小石を投げて時間をつぶしていると、黒いトレンチコートを羽織ったもどきがやってきた。

 

田中「もどき、印象かわったな・・・」

 

もどき「おかげさまでな」

 

 

田中「言い訳する気はない。お前を金儲けに利用したのは事実だ!どうにでもしてくれ」土下座

 

 

 

もどき「・・・・・・お前の事はひとまず置いておく」

 

 明後日の方向を向いてもどきは言った。

 

 

田中「太郎か・・・」

 

 

もどき「ああ。アイツだけは許せん」

 

 

もどき「田中。アイツはお前の金も持ち逃げしたらしいぞ。改から聞いた」

 

田中「・・・・そうか」

 

 これは改の艦娘である朝潮が左遷されてウチに来た時点で察しがついていた。

 

 自分の目を資金に向けさせない工作は拙かった。やるならもっと自然にやらなきゃバレバレだ。

 

 

もどき「欲すらなくなったか田中」

 

田中「どちらでもいいが、俺がお前に協力できるのは最低限だ」

 

 

もどき「話が早いな。じゃあ、呼んでもらいたい人がいる」

 

 

 

 

 

 

 一方、そのころ

 

 

 木材の破片や書類が散らばった、やや半壊気味の建物の中で唯一綺麗な黒革のソファーに腕を掛けて偉そうに座った太郎は考え込んでいた。

 

 

 事実、逃亡を続けられるわけがない。

 

 

 海軍も戦艦を4隻も保有していた提督を逃す訳がない。

 

 

太郎(つまり考えるべきは落としどころ)

 

 できれば自由の身にもなりたいし長門達からも解放されたい。

 

瑞鶴「ねえ、タロちゃん・・・何を考えてるの?」

 

 

太郎「心強かった味方ユニットが一番のジョーカーになってた件についてかな?」

 

 

瑞鶴「難しいこと考えてるのね・・・」

 

 

 

 

 

 

 港 もどき 田中 視点

 

 

 

田中「呼んだぞ・・・・相変わらずだった」

 

 

もどき「そうか。アイツの推理は抜群だったよな・・・太郎の居場所もすぐにわかるだろう」

 

 

 二人が噂をしていると、遠くからテンションの高い音楽が流れてくる。

 

 

 顔を向けると。

 

 そこには小学生らしき男の子が無表情なようで、何かを考え込むくらいに賢い凛とした顔を変えずに激しいパラパラを踊っていた。

 

 

???「あれれ~?田中君だけじゃなかったのか」

 

 

田中「久しぶりだな工藤」

 

 

???「バーロー、今はコナンだ」

 

 

 

 工藤 《自称 コナン》

 

 2014期生 

 

 索敵に優れた艦娘を保有し、また自身も優れた洞察力と推理力を兼ね備えている為、深海棲艦の行動を正確に推理し発見する事が出来る。

尚、自分の低身長というコンプレックスから逃れるために黒ずくめの男たちに毒薬を飲まされたという設定を妄信している。

 

 

 

工藤「ねえねえ、経緯を聞かせて~」純粋な顔

 

 

 

 田中が伝えると工藤は考え込む。

 

 

 

工藤「その日時だと他の鎮守府の五航戦・瑞鶴の失踪事件と関係がありそうだな」

 

 

 

もどき「空母まで抱え込んでいるとはな・・・」

 

 

工藤「しかも近隣の小学校で聞き込みをしてたらアサシオという転校生の女の子と一緒に行動していたと目撃情報が入った」

 

 

田中「・・・・」

 

 

 

工藤「まずい、下手したら公安が動くぞ」

 

もどき「動くわけねえだろ・・・」

 

 

 

 

 

工藤「俺の推理はこうだ」

 

 ~工藤の推理~

 

 子供になった太郎は小学校に通っていた

    ↓

 朝潮が監視という名目で来た

    ↓

 太郎が勘づき、逆に朝潮を抱え込んだ

    ↓

 空母・瑞鶴を伴って逃亡

 

 

 

 

 

もどき「待て、瑞鶴はなんで太郎と一緒に行動してるんだ」

 

 

工藤「彼女のお姉さんの翔鶴から話をしたらタロちゃんという幼馴染と再会したと言ってたそうだ」

 

 

田中「そういうことか・・・」

 

 

工藤「太郎=タロちゃんと考えるのが妥当」

 

 

 

 

もどき「じゃあ、なぜ今になって逃亡したんだ?」

 

 

 

工藤「この近くの倉庫に莫大な金が隠されていたらしい。無論、隠されていたのだから脱税金と考えてもいいな」

 

 

 

田中「そういえば海外に口座をどうのって言ってたな」

 

 

 

工藤「脱税がバレて止む無く逃亡と言ったところか」

 

 

 

 工藤が合図するとラジカセを持った艦娘が姿を現す。

 

 

 

Johnston「索敵ねアタシに任せなさい!!」

 

 

もどき「おい、その娘はどうしたんだ?」

 

 

 

工藤「ちょっと親父とハワイでな・・・・」

 

 

田中「ナンパかお」

 

 

 

Johnston「アナタは頭は良いんだけど体は丈夫じゃなくて不安なのよ!」

 

 

 二人は詳しく馴れ初めを訊く。

 

 どうやらハワイの酒場で喧嘩相手を論破した工藤がボコボコに殴られていたのだという。

 

 その時に助けたのが彼女だったらしい。

 

 

 

田中「母性本能が刺激されたって感じかお」

 

 

もどき「羨ましいな。俺なんか愛宕たちに虐げられても誰も助けてくれないのに」暗い顔

 

 

 そんな話をしていると彼女のレーダーに反応が入る。

 

 

Johnston「瑞鶴の反応があるわ。ここから南東の島ね」

 

 

 

もどき「そこは・・・とある事情で廃港になった鎮守府だな」

 

 

田中「考えたな。そこなら最小限のメンテで艦娘を運用できるお」

 

 

工藤「待てよ。何か誘われてる感じがする・・・もしかしてお前らの行動を読んで待ち構えてるのかもしれないぞ」

 

 

 

 

 工藤の推理は見事だった。

 

 太郎の事実をいくつも見破り瑞鶴までもを従えてる事が分かった。

 

 つまり、もどきと田中は対空母を想定し編隊を作れるのだ。

 

 

 

工藤「・・・・」

 

Johnston「どうかした?」

 

工藤「なんでもない鎮守府にもどるか」遠い目

 

Johnston「・・・」

 

 

 

 

 工藤 鎮守府

 

 

工藤「ったく・・・博士に疲れない薬でも作ってもらうか」

 

 彼が執務室に入ると机上に白い粉が置かれていた。

 

 

 

工藤「・・・・」

 

 

 

 

工藤「ペロ・・・・これは!睡眠薬!!」

 

 

 

 そして・・・・

 

 

 

工藤「グガー・・・」zzz

 

 

Johnston「フフフフ・・・永遠に守ってあげるからね」

 

 

 

 

 

 俺は探偵の工藤。

 全ての事件を推理し終えた俺は提督がブラックなのではないかと気付いてしまった。

 

 辞表を書くのに意識が向いた俺は机に置かれた薬の危なさに気づかず。

 目が覚めたら・・・・

 

 

 

 

 

 

工藤「パパになっていた」白目

 

Johnston「真実は一つねパパ」

 

 

 

 一方、太郎はもどき達の行動をある程度は察していた。

 全ては瑞鶴によるレーダー感知の賜物だ。

 

 

瑞鶴「タロちゃん、この後はどうするの?」

 

 

太郎「無論逃げる。太刀打ちするには戦力が欲しい」

 

 

瑞鶴「もういいんじゃない?一緒にここで楽に・・・」

 

 

太郎「おいおいおいおい・・・・・」

 

 

 

 

 

太郎(なんだこの感じ・・・・)

 

 

 味方が一気に敵っぽくなってくる。

 

 そうだ、これと同じ体験をしたな。

 

 

 

 

親戚「兄の失踪、それに弟が高卒で軍に入隊。まあまあまあ・・・・優秀だった!のにねぇ」

 

 

父「いや、めっそうもない」

 

 

親戚「ウチの坊は先月、有名大学に合格したのに」

 

 

父「アハハ!凄いスゴイ」

 

 

 

太郎「・・・」扉から覗き

 

 

親父「ハッ!!!違うんだ太郎」

 

 

 

 

 

 

 回想終了

 

 

 

太郎「俺は高卒で幹部候補生の試験に合格したんだ!!!!大学でのうのうとしてきた奴とは格が違う!!!俺はエリートなんだ!!!」

 

 

 

瑞鶴「そうね。タロちゃんは誰よりも優秀よ」頭ナデナデ

 

太郎「ムフー!!フー!!」激昂

 

 

 

 太郎の気持ちが落ち着くと直ぐに行動を再開させた。

 

 

 

 

 海上

 

太郎「手を貸してくれそうな奴を知ってる」手漕ぎボート

 

 

瑞鶴「それって頭のおかしい同期の人たち?」

 

 

太郎「知ってたのか・・・」

 

 

瑞鶴「うん、2014期生ってけっこう有名だから」

 

 

太郎「そうか。でも今回は違う」

 

 

 俺の逃亡に積極的に協力する奴を知ってる。

 

 先ず、俺を追い出したがってる人が該当する。

 そして俺が抜けた穴をすぐさま補填できる程に権力を持ち、長門達を上から押さえつけられる戦力を持つ奴。

 

 

 さっさと国外逃亡でもして、もうしがらみにとらわれない幸福な人生をつかみ取ってやるぜ。

 

 

 

 

 

 

 その頃

 

 改は太郎の鎮守府と連合という名目で合併し、最高指揮官になっていた。

 

 

北上「ふ~あいつ等も聞かないよ」

 

 

大井「ええ、ずっと私たちの提督を出せって調子でした」

 

 

 

改「だろうね。僕も鬼畜じゃないから従うかについては彼女たちの自主性を尊重するよ」

 

 

日向「だがいいのか?いつまでもこのままって訳にもいかないだろ」

 

伊勢「でもヘタに動けば提督が危ない」

 

 

 

改「正直、あの写真が出ても問題はないよ」

 

 

 

北上「そうなの?」

 

 

 

改「僕は友達が多いんだ」ニコニコ

 

 

 

 

大井「今の顔からして、罪をなくすんじゃなくて誰かを代わりにする感じなのね」

 

 

 

伊勢「あくどいわね」

 

 

 

 

改「陽をあてたら影ができるだろう?逆に影があって光源がないならおかしい。世の中は常に均衡を保っているんだ」

 

 

 それから彼はなお一層に笑みを強くする。

 

 

 

 

改「幸福を作るなんて簡単なんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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