提督の副業   作:きんにく同盟

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おまたせしました。

今回はコメディー少なめで話をすすませてみました。


虚栄と繁栄の城

夜の鎮守府で瞬く閃光と機銃掃射が鳴り響いていた。

 

 

 

愛宕「・・っく!!ここは引くしかなさそうね」

 

ビス「でもいいの?提督を利用させられたままで・・・」

 

 

高雄「仕方ないわ。相手が何手も上手だったのよ」

 

 三人は逃げ出す。

 

 深追いは愚行だと理解している瑞鶴はそれを冷ややかな目で見ると、再び太郎を陰ながら見守る作業に戻る。

 

 

瑞鶴「ふふふ・・・タロちゃんは一生、私が守ってあげるからね」

 

 

 

 

 翌日

 

 長門達は太郎の元に謝りに来ていた。

 

 昨晩、爆睡していた彼女達は戦闘音に気付くことが無かった。

 

長門「すまない!!私がふがいないばかりに」

 

 

太郎「別にいいよ~、期待してなかったからね。それよりも、もどき君の所に行きたいよ!!遊びたい!!」

 

 

大和「昨日の事もあったし、外出しても大丈夫かしら?」

 

 

太郎「そんなにやられてたの?」

 

 

ここで、コンテナだけだと言っては駄目だ。俺は被害状況を知らない筈だから。

 

 

陸奥「大丈夫よ、狙われたのは私たちの武装修復、補給コンテナだったわけだし。」

 

 

長門達は愛宕たちの襲撃だと気づいていなかった。

 

 

長門「そうだ、それに私と武蔵が護衛に着くから問題ないだろう」

 

武蔵「ふむ、勿論だ。それよりも大和と陸奥は昨日の事を上に報告してくれ、私たちの武装の運用が一ヶ月ほど不自由になるんだ。落とし前はしっかりつけてもらわなくては!」

 

 

 

こんな事態が起これば、上に報告しなければならない。

その時に、俺が子供になっている事実を隠蔽しなければならない筈。

 

そうなれば、報告に行くのは必然的に大和と陸奥。

 

 

ここまでは思惑通り。

 

 

 

 

太郎「長門お姉ちゃん、武蔵お姉ちゃん早く行こ‼︎」

 

長門「そうだな!」

 

武蔵「よし、行こう!」

 

 

 

 もどきの鎮守府に着いた太郎は、護衛の長門と武蔵を鎮守府入口で待機させたまま、執務室へと入る。

 

 そこには、もどきをあやしている愛宕たちが居た。

 

入ってくる太郎を愛宕は冷ややかな目で見ていた。

 

愛宕「・・・なんのようですか」

 

 

太郎はもどきの椅子にドカっと座ると、彼女らにDVDを投げプラスチックケースの乾いた音が響く

 

高雄「これは・・・?」

 

 

太郎「昨日の俺の鎮守府の映像だよ。面白いものが映っててね・・・なあ、おたくら調子に乗りすぎたな」

 

 

ビス「まさか・・・私たちを脅そうというの・・・⁉︎」

 

太郎「お前らがもどきにやるのとはわけが違うんだぜ。他所の鎮守府の提督を襲ったんだ。未遂でも、もどきの責任は追及されるな」

 

 

愛宕「・・・・こんなもの!!」

 

 グシャと愛宕はDVDを踏みつぶす。

 

太郎「それはコピーしたデータなんだよな~」

 

 

 椅子ごと体を回す太郎。

 

高雄「なにが目的なの・・・?」

 

 

太郎は不敵な笑みを浮かべながら言う

 

太郎「これから俺たちがすることに首を突っ込むな」

 

 

高雄「⁉︎」

 

愛宕「そんな事できるわけないじゃない!」

 

 

太郎「なら、この映像をリークする」

 

 

高雄「そんな…」

 

 

太郎「腕力より強いものが、お前らにも分かるぜ」

 

 

 

愛宕「・・・・分かったわ。それで良いのね」

 

高雄「こいつの言う事を聞けと言うの⁉︎」

 

 

ビス「でも…何も出来ないわよ」

 

 

三人は諦めざるを得なかった。何せ太郎の鎮守府を私怨で襲撃したのは事実なのだから。

 

 

太郎「あと、絵画制作を阻む自我が出始めたら潰せ」

 

 

愛宕「潰せって…どうやって・・・」

 

 

太郎「いつも、もどきにやってただろ?拷問だよ」

 

 

愛宕「それが友達の言う事なの・・・!?」

 

 

太郎「お前らの得意技だろ?」

 

 

愛宕「・・・」

 

 

 

太郎「じゃあ、よろぴく」

 

 

太郎はもどきの執務室から出る。

 

 

やれる!やれるぞ‼︎

 

今回は俺を邪魔して来たもの全てを騙し、ねじ伏せている。今度こそ金を儲けて全てを手に入れるんだ!

 

 

 

 

 

 

 

長門「提督!!もういいのか?」

 

太郎「うん!!ねえ、これから内緒でお出かけしよう」

 

 

長門「だが、空手道場の・・・」

 

武蔵「良いじゃないか。少しくらい・・・」

 

 

太郎「僕、お姉ちゃん達と出かけるの好き!!」

 

 

長門・武蔵「フヒヒヒヒヒ・・・・」鼻血

 

 

 

 それからは順調に進む、田中が執務の合間をとって、各地に営業に回り太郎がフォローする。もどきは何もわからずに、絵を描き続けている。

 

 

 

 だが、歯車が一つかみ合わなくなると、全体が動かなくなるものなのだ。

 

 

 

 

 

 田中が駆逐艦の最大保有者であり、優秀な事から大本営は問題のある駆逐艦を彼の鎮守府に強制的に派遣した。

 

 

そして数々の鎮守府で疎まれ、たらい回しになった艦娘が今日、田中の鎮守府に赴任した。

 

 

田中「・・・君が新しい駆逐艦かお?」

 

 

田中は何故か椅子の後ろに隠れていた。

 

 

霞「そうよ。お世話になるわねクソ提督」

 

 

卯月「提督の事をそんな風に言うなんて、うーちゃんこの子嫌いだぴょん」

 

霞「フン」

 

時雨「僕たちの提督に・・・」

 

霞「・・・」

 

浜風「ちょっとお話しませんか?」

 

霞「お気遣いなく」

 

鈴谷「この子ウザーい。やっちゃう?」

 

 

 田中に依存しきった艦娘は霞に詰め寄るが・・・

 

 

田中「みんな止めるお!!」

 

 田中の一喝で収まる。

 

 

田中「霞タソよろしくだお」

 

 

田中はいつの間にかゲンドウスタイルで机についていた。

 

 

 霞は田中の顔を見る。嫌われていた彼女は嫌悪感をもった人の顔くらい分かった。

 

 

だが、田中の顔はまるで・・・どうしようもなく、負の感情が無かった。

 

 

霞「・・・お人よしなのかしら?」

 

 

田中「そんなこと言わないでくれお」田中の顔は陰っていた

 

 

 

 

 

最初の出会いは悪かったものの霞はとてつもなく有能で仕事をてきぱきとこなしていった。

 

 

 

霞「ちょっと!!もう起床時間よ!!」

 

 

田中「苦しいお・・・助けて」

 

 

 田中は無数の駆逐艦にまとわりつかれていた。

 

霞「ほら、アンタらも起きなさい!」

 

 

卯月「まだ眠いぴょん…」

 

鈴谷「邪魔するなし…」目を擦る

 

 

 

渋々出て行く艦娘たち

 

田中「助かったお。霞タソ」

 

 

霞「アンタがそんなんでどうするのよ!!提督でしょ?」

 

田中「ご、ごめんだお」

 

 

 彼女は自己管理がなってない田中を世話しながら、依存しきっていた駆逐艦たちもフォローしていく。

 

 

暁「ねえ~霞。私のローファー知らない?」

 

霞「そこに置いといたわよ」

 

 

電「あわわ・・・霞さん。髪飾りがないのです」

 

霞「ほら、洗濯籠の中に置きっぱなしだったわよ」

 

 

浜風「う~提督成分が吸収できなかった・・・」

 

霞「浜風!!髪の毛ちゃんと整えなさい!!」

 

 

 

田中「みんなでアイス食べにいくお」

 

霞「ちょっと、お金はほどほどに使いなさい!」

 

田中「分かってるお。霞も用意するお」

 

 

 霞は田中の保護者になっていた。

 

田中「霞~歯ブラシ何処だお?」

 

霞「変えておいたわよ。これ使いなさい」

 

田中「ありがとうだお」

 

 

ダメな田中には私がいないとダメ、これもある種の依存なのかもしれない。

 

 

 

 

 ある日

 

太郎「たーなーかー君、あそぼ!!」

 

 田中の鎮守府に太郎が来る。

 

 

霞は頭を出して太郎を見る。

 

 

霞「クソ提督。あの子と遊んじゃダメ」

 

 

田中「なんでだお?」

 

 

霞「・・・とにかくダメ」

 

 

田中「でも・・・友達」

 

 

霞「アンタ!!私が間違ってたことあった?」

 

田中「それもそうだお」

 

 

 

 

 

 

 外

 

太郎(アイツ・・・あのガキに仕込まれたのか?)

 

 

 

 

二週間前

 

「たーなかくん!あーそーぼー。」

 

田中「太郎がきたお!」

 

霞「ちょ、ちょっと!まだ仕事終わってないじゃない‼︎」

 

田中「後で島風の如くやるお」田中は執務室を出て廊下を走り階段を降りて行った

 

霞「もう・・・本当に世話がやけるんだから!」霞は執務室の窓から下を見ると武蔵と長門、そして長門に抱えられた太郎を見た。

 

霞「あの子が太郎?まだ子供じゃない」

 

 

田中「お待たせだお」

 

太郎「あのね!今日は田中と積み木で遊びたいな〜」

 

積み木で遊びたいとは儲けたお金がいくらか集計すると言う太郎たちの隠語である

 

田中「わかったお、今部屋を用意するお」

 

長門「申し訳ない、いつも突然押しかけてしまって…」

 

田中「いいんだお、いつでも来てもらっても。さぁ太郎、お姉ちゃん達に行って来ますを言うお」

 

太郎「いってきます。お姉ちゃん」手を振る太郎

 

武蔵「あぁ、いってらっしゃい。」

 

長門「なんだか私たち太郎を幼稚園に連れて来たみたいだな」

 

武蔵「あぁ…」

 

長門・武蔵「フヒヒヒヒヒ・・・・・」鼻血

 

 

 

 

 

 

そして田中に手を握られて歩く太郎は建物の中に入りドアを閉める

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「その子が、太郎提督ね」霞は階段の上から太郎達を見ていた

 

 

 

太郎(このガキ・・・上から俺を見下ろすなんてなに様なんだ!待て待て、平常心だ)

 

 

 

太郎「あの子が田中くんの鎮守府に赴任した霞お姉ちゃん?可愛い子だね!」

 

 

霞「お世辞はいいわ。で、どこの部屋を使うの?」

 

 

 

田中「執務室の向かいの会議室を使うお」

 

 

 

太郎達は会議室へと向かう

 

そして、会議室の前

 

 

 

太郎「霞お姉ちゃん、これからも田中くんの事をよろしくね!」太郎は握手をするために手を出す

 

霞(お姉ちゃんって…まあ、私よりも四つくらい下かもしれないわね)

 

霞と太郎は手を握り合い太郎の目をふと見た

 

霞(っ!!瞳の奥に光が全くない…)

 

太郎「どうしたの?霞お姉ちゃん」

 

霞「なんでもないわ・・・」(この子ヤバイかもしれない・・・提督から遠ざけなくちゃ)

 

 

 

 

 

 

そして今に至る

 

 

 

 

 だが、田中が会わなくなっても太郎とは電話で情報交換している。

 

 全ては太郎の手の中にあるのだ。

 

 太郎たちは着々と巨万の富を築いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 一方変わって、ここは元帥の鎮守府。

 

 実はここでも波乱が起こっていた。元帥は海軍の幹部である友人を鎮守府に呼んだ。

 

 

幹部「久しいな元帥殿。今日はどうした?」

 

元帥「実はな・・・ある事が分かったんだ。艦娘の新たなレベルアップについてだ」

 

 

 幹部は食いつく。

 

 それに呼応して、元帥が意気揚々と頬を赤らめて説明しだす。

 

 

幹部「そうか・・・提督以外の異性と手を触れる事で絆を強固していくのか!!」

 

 

元帥「その通りだ。では私の榛名と手を繋いでくれないか?」

 

 

幹部「だが、いいのか・・・」

 

 

元帥「勿論!!では私は別の部屋で待機してるからよろしくな!!」

 

 

 部屋を出ると同時に、榛名が部屋に入る。

 

榛名「・・・よろしくお願い致します」

 

 

幹部「あ、ああ・・・よろしく」

 

 

 

 

 その状況をマジックミラー越しに元帥は見ながら涙を流している。

 

 

元帥「僕のママが・・・悔ちい・・・」

 

五月雨「大丈夫ですよ。私がずっといますからね」

 

 

 元帥は五月雨に膝枕されながら、隣の部屋の光景を見ている。

 

 手を触れさせる程度だが、彼は新たな性癖に目覚めていた。

 

 

 

太郎が榛名のスカートを脱がせた時が忘れられなく・・・元帥はNTR属性を開眼していたのだ!!

 

 

 

元帥「他の男の手を握るママ・・・僕は見てるだけ」恍惚

 

五月雨「うふふふ・・・」恍惚

 

 

 

 されど時は進み・・・

 

 

 

 

 数か月後

 

 田中は電話で太郎にある報告をする。

 

田中「大変だお!!もどきが絵を描かなくなったらしいお!!」

 

太郎「なに!?」

 

 すぐさま、もどきの鎮守府に電話をして事情を聴く。

 

 

 

愛宕「チッ!!だから反抗期なのよ」

 

太郎「反抗期だぁ・・・んなもん力で分からせちまえよ」

 

 

愛宕「でもまだ・・・幼いのよ」

 

太郎「あぁ!?お前は艦娘だろ?提督様の言う事が聞けねえのか!!」

 

愛宕「・・・分かったわ」ッピ!ツーツーツー

 

 

太郎「使えねえ乳袋だぜ」

 

 

 

 だが、これは方向転換のいい時期だ。

 

 ここで執着すれば、結果が良くならない事など学習済み。ならば、手持ちの金をいかに守るかが分岐点。

 

 田中は太郎に任せるおの一点張り、霞とか言う餓鬼がアイツを腑抜けにして行っているがこれは好機!!

 

 

 先日から鎮守府に集まっている銀行員と慈善寄付団体。寄付などするつもりはないが、銀行員の方だけでも話を聞いておく必要があるな。

 

後日

 

銀行員「単刀直入に言います。投資に興味はありませんか?」

 

太郎「と言うと・・?」

 

 

行員「実は私が推し進めている仮想通貨プロジェクトがありまして・・・太郎さんに支援してもらいたいんですよ・・・」

 

 

太郎「ほう・・・では事業計画書を見せてください」

 

 

 見ると、なるほど・・・無理は多少あるが、流行るだろう計画である。

 

 

 太郎の中にある感情が芽吹く。

 

 

太郎「前向きに検討させていただきます」

 

行員「ありがとうございます!!」

 

 

太郎はすぐさま田中に連絡を入れる

 

 

 

太郎「もしもし田中か?お前の当座の金だが、艦娘にバレないように俺なりに隠すけどいいか?」

 

 

田中「おお!!感謝するお」

 

 

 

 

 田中 鎮守府

 

田中「さあ、今日も執務だお!!」

 

霞「アンタ!今月いくら使ったの?」

 

田中「え~と、みんなで出かけた分で・・・忘れたお」

 

 

霞「クレジットカードの明細来てたけど・・・これじゃあ、給料溜まらないわよ!」

 

田中「別にいいお」

 

霞「良くない!!少しは倹約しなさい!!」

 

田中「あんまりだお・・・」

 

霞「全く・・・クソ提督は・・・」ブツブツ

 

 

 

 

 もどき 鎮守府

 

もどき「もう絵なんて描きたくないよ!!」投げる

 

ビス「こら!!そんな事しちゃダメでしょ!!」

 

 

 

 

愛宕「どうにかしなきゃいけないわね・・・・」

 

高雄「あの太郎とか言うクソガキ・・・」

 

 

愛宕「でも私たちがなんかしたら・・・・あの映像が」

 

 

高雄「・・・・」

 

 

愛宕「・・・そうだったわね。何も私たちがしなければいいのよ・・・」

 

高雄「え?」

 

愛宕「あの女を連れてきなさい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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