日置さん家のユー兄(+αで各キャラの短編)   作:多聞猫

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日置優斗とは呉海洋学校の入学式で初めて出会った。入学時の成績は5人の同期生の中で4番目だった。第一印象は普通にイケメンだな、と思っただけだった。
が、話してみると意外にも女性(その時は妹のことを言っているとは思わなかった)のことについて相談を受けた。 俺が雪風に移ってきてからはよく三重県津市の優斗の実家に遊びに行くことがよくあった。

これは日置順子が横須賀女子海洋学校に入学する、約1年前のことだ。有給を取って、叔父の家を訪問して名古屋市で一泊後に優斗の家に遊びに行ったときであった。


日置さん家のユー兄

これは日置順子が横須賀女子海洋学校に入学する前。

 

三重県津市芸濃町のどこか。日置宅

 

今日も今日とて妹を可愛がる兄、日置優斗。変態的な兄ではあるが、これでも呉の海洋学校出身で現在は舞鶴のホワイトドルフィン支部に所属している。顔はイケメンなのだが、如何せんシスコンだった。

「じゅん♪ 今日は俊作が来るから出かけるけど一緒に来るか?」

「俊兄だけならいいんだけど・・・俊兄なら変な目で見ないし、逆にバキュンときちゃうし」

「おいー 実の兄を差し置いて、俊作を兄呼ばわりしないでくれー」

「だって、スカートはくと覗き込もうとするのは誰なの?」

 

てへ。とお茶目にドたまをコツンとやると・・・また愛する妹は実の兄がいないものと見る。

まあ、自分でも思ってたがこのクセは気持ち悪いよな。 お兄ちゃん、俊作に負けんぞ!

 

ノックの音がした。今日は両親が町内会の集まりに行っているため妹と二人っきりだが、妹を喜ばせたいので仕方なく、しかたなーく。呉海洋学校からの友人、阿野岡俊作を呼んだのだ。

「おー 俊作。入っていいぞ~。俺と妹以外誰もいないからよ~」

「失礼しまーす。マジか・・・ところで、土産なんだけど・・・紅茶クッキーは食べるか?」

「俊兄~~~~!!」

 

バキュンとした勢いで俊作にタックルを決める妹を見るのは最近の定番だ。あれは妹の愛情表現なのだろう・・・俺には本気でタックル&ボッコボコにしてくる妹にはホトホト泣きそうになる。

「紅茶クッキーか・・・お茶が欲しくなるな。じゅん、入れて・・・」

「俊兄待ってて、バキュンと準備してくるよ」

「あ、いや お構いなく・・・。それにしても日に日に女らしくなったなあ。順ちゃんは」

 

俊作がそれを想うのはどうかと思うが・・・同感だ。どんどん可愛らしくなっていく妹はイイ!時々、横須賀のカレーショップ「呉」に行くが豪の彼女なんてデカイ脂肪の塊を胸に蓄えている。じゅんは・・・その逆で、慎ましいな。神々しいと思う。

「はい 俊兄。麦茶だけどどうぞ。あ、ユー兄のは無いけど?」

「what? 俊作だけって・・・」

 

 

妹はその後も俺をスルー。妹は包みを開けると、ロイヤルミルクティーのクッキーを食べ始める。ああ~ほっぺに食べかすが付いている・・・今、舐めとってあげるよ~。

「順ちゃん ほっぺにクッキーの粉が付いてるよ。」

「え?どこどこ?・・・あ!? $#☆*★」

 

俊作の奴・・・妹の可愛いほっぺに触って、さわさわって抜け駆けするとはいい度胸してるな。お兄ちゃんの怒りはマッハでMAXの大怒りだぜ。ブルルンブルーン!!とりあえず、俊作に殴りかかるぜよ。

簡単に俊作に払われ、そして・・・じゅんからの本気のタックル。おーいてぇ。

 

お兄ちゃん涙目だぞ。じゅn・・・いえ、すみません。土下座するんで許してください。

「俊作。最近、お前は何をやってるんだ?」

「ん?ああ、駐在さんをやってるよ。意外と陸は楽で助かるけど海が恋しい。」

「お前、教員だったんだろ? 東舞鶴や呉海洋とかなら内々で来てくれって言われなかったのか?」

「うーん、東舞は男子校だからな。俺が前に居たのは女子校だから出来れば、佐世保か那覇あたりの海洋学校だと良かったんだけど。どこも人は足りてるようだ。」

 

 

他愛も無い話を男2人でしているのは虚しく感じた阿野岡はとりあえず、今日のスケジュールの確認をすることに。

今日はこれから多気に唯一、残っている御桂池船上動物園に行く。御桂池船上動物園とは言わずもがな、船内に動物園があるのだ。飼育している動物はイルカ、ペンギンなどの水族館船にも居る動物や実際に海面上昇前から居るライオンやクジャク、ウサギなどの今では珍しい動物が残っている。

農業船ではウサギも食用として飼育しているところもある。山などが残っているので、野ウサギやイノシシなどの野生動物を狩猟が可能だが、数が少ないので現在は許可が無いと獲れない。

 

動物船の後は名古屋市まで足を延ばして、買い物の予定だ。すべて優斗のオゴリw

 

名古屋市 フロート商店街

人がたくさんで賑わっていた…当の日置順子は洋服選びに執心して、荷物持ちに優斗が居るので阿野岡は一時的に離れる事にした。理由は・・・恐らく、見間違いだろうと思うが従妹の楓を見かけた気がしたのだ。なぜか、男たちに言い寄られていた。

「ネェネェ キミ、カワイイね? お茶しない?」

「なぁ~ いいだろ? なんなら、そこのお店に入らない? 休憩して行こ…ゴフッ?! (気絶)」

 

とりあえず、変な事を言い出したので軽くしばくと近くにいた警官に引き渡した。万里小路楓は困り顔が驚き顔に変わり、じゅんちゃんとは比較にならない速度で近づいてきて無言で俺に身を預けた。

多少、顔を赤らめつつ…こちらに顔を向けた。

「お兄様。お兄様のお手を煩わせて申し訳ありませんでした。触れてくるようであれば、この護身用の薙刀で…?」

「いや それ逆に捕まりそうだからやめとけ。チャラ男はしばいてやるよ。ところで、こんなとこでどうしたんだ?」

 

 

 

 

 

 




日置さん家のユー兄。短編小説です。

不定期更新。


オリ設定。ユー兄は省きます。
那覇海洋学校:呉と同じく、共学。ただし男子は潜水艦。女子は航洋艦と確実に分かれている。本州が遠いため、地元の人間くらいしか通っていない。

佐世保女子海洋学校:女子校。演習には参加不参加の半々となっている。佐世保には紀伊が居るが原作では遠洋航海中。

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