では、ドゾー
戸塚君に案内されたどり着いた場所は、多くの人が並ぶカフェとたどり着いた。
恐らく昼ご飯時なのが原因なのだろう、列の中には家族連れが多いように思える。
普通のカフェではなく、アニメやドラマの主人公のような服を着て接客をしている。
いわゆるコスプレカフェである。
「材木座君にオススメされてさ、せっかくだし言ってみよっかなって♪」
「…あいつか。まぁ今回は普通だな」
少し前に『オススメの店!』という件名でメイド喫茶の名前をズラッと並べられたメールが送られてきたことがあった。
そこからしばらくは迷惑メール用アドレスの欄にあの人のアドレス入れてしまってたっけ?
何でかしらないけど後悔なんてなかったなぁ。
「それに友達に訊いたんだけど、ここのパンケーキがおいしいんだって!」
「パンケーキか、いいな」
パンケーキでお腹膨れるかは置いておいてパンケーキは好きなので断る理由なんてなかった。
…人が並んでることを除くとね。
「並んでるね…どうする?違う所行く?」
どうしよう…と少し困った顔の戸塚君。
…決めてないしここでいっか。並んでる人も少ないし。
「…いや、他も一緒だろ。ここにするか」
「!うん!」
だからその笑顔可愛いんですってば。
中に入ると、コスプレしている総武校の生徒がお客様相手になりきって接客していた。
海賊王目指す男なら「注文は何にするんだ?」と口調を真似ていたり、なかなか面白いカフェだと思う。
…知ってるキャラが少ないというのは置いとくとしてね。
「比企谷君ってマンガ読んだりするの?」
「いや、この中でも知ってるのはアレと…あとアノ人だな」
「よかった~、僕だけが置いてきぼりなのかと思った~」
まあ漫画はあまり買わずに小説ばっか買ってるからねぇ。
もう少し知識を取り込もうと思ったけど…巨人様は個人的に無理でした。
何ですか希少種って、あんな走りする人リアルで見たら私気絶しちゃいますよ!?
「ところで注文だけど、パンケーキでいいかな?」
「んー、俺はこっちを食べるわ」
私が目を付けたのはメニューに書かれてあったクレープの文字である。
クレープは人の好みによって変わるから当たりはずれの激しさはやっぱり免れない。
でもだからこそ試してみるというのが私の度胸なのです!
「クレープかぁ、確かにそっちもおいしそうかも」
「半分ぐらいやるよ。その代わりパンケーキを一口くれないか」
「半分には半分で返すよ」
苦笑いした後後ろに振り向き、戸塚君は店員さんを呼んだ。
私たち二人分の注文を終え、二人の間で少し静かな雰囲気が流れる。
…この沈黙を脱したい!そう思い声をかける。
「そういえば劇、ちょっとだけ見たぞ。あれは良かった」
「あ、ありがとう」
恥ずかしさゆえか顔を赤らめてそっぽを向く戸塚君。
褒められなれてないのかな?あんなに人気なのに?
…まあいっか
「そういえば星の王子さまって誰が提案したんだ?」
「海老名さんだよ?劇ときまった瞬間にやる気になってね、最初比企谷君を僕役に選ぼうとしてたんだよ?」
まあ止めたけどねと戸塚君が言ってくれた。
ありがとうございます!劇と委員会の両立なんて私には無理です!
一週間に七回は倒れるレベルでしんどいんだろうなぁ…
と話している間にお互い頼んだ物が運ばれてきた。
どうでもいいかもだけど侍さんがパンケーキとかクレープとか横文字を使うと違和感を感じるのは私だけでしょうか?
キリスト教が布教してた時もあったし…うーん、難しい。
「じゃあ、食べよっか♪」
「そうだな、じゃあ」
「「いただきます」」
食材に感謝の気持ちを込めた後、私はクレープにかじりつく。
…うん、おいしい!定番の味って感じがするね!
生クリームも甘すぎではないが少なくない甘みが丁度良い。
まあ、失敗しなくてよかった(安堵)
「うん!このパンケーキ美味しいよ!列が並ぶだけあるね!」
「まあ全員パンケーキってわけじゃないだろうけどな。パンケーキ貰っていいか?」
「うん!そのクレープ貰っていい?」
「ああいいぞ」
私は戸塚君にクレープを渡し、フォークとナイフを受け取りパンケーキを食べた。
うんおいし…ちょっと待って?
((もしかして…間接キッス??))
お互いそれに気づいたのか、結果最初の一口だけ食べ、あとは本人に帰してしまいました。
しばらくの間お互いの間で言葉が流れることは無かった。
私ってなんであんなに間接キッスで戸惑ったんだろう?
小町とよくやることなのに…
もしかして…ううん、これはきっと『間違い』なのだろう。
だって…私にはそんなものは無いはずなのだから。
大事な話がTwitter(@Karatomurai157)に載っているので見てくれるだけでもありがたいです。
では、サラバダ~ノシ