やはり私の男装生活はまちがっている。   作:空葬

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やっと終わったぁ
では、ドゾー


花火よりも美しいもの

あの後、さがみん(仮)と別れ戸塚君と由比ヶ浜さんの三人で花火会場へと急いだのだが、思ったより人が集まるのが早く、座るところが見つからないほど人で埋まっていた。

うふふ、人がいっぱーい、いっぱーい。

 

 

「ちょ!ヒッキーしっかり!ほら、あっちとか空いてそうじゃない?」

 

「…向こうは有料エリアだよ?由比ヶ浜さん」

 

「…うっぷ」

 

「あー!ヒッキーまだ待って!トイレ向こうにあるから!まだ耐えて!」

 

「…比企谷君、人混み苦手だったんだね」

 

 

由比ヶ浜さんと戸塚君に背中さすられながらトイレへ向かう私。

ああ、情けない。

そう思いながら人の波に抗い、人気のいないところまで歩ききると

 

 

「あれー?比企谷くんじゃん」

 

 

雪ノ下陽乃さんがあらわれた▼

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、挨拶ばっかで退屈してたから。比企谷くんが居て良かったよ!」

 

「こっちこそ、トイレ貸していただき、ありがとうございます」

 

「あー、うん。次からは気をつけなさいよ?」

 

 

陽乃さんに許可をもらい、近くのトイレで軽く嘔吐してから再び戻ってきた私たちは陽乃さんと一緒に有料エリアで座っていた。

それにしても危なかった。私もここまで人に弱かったとは…。

…いや、時間帯も関係するんだろうな。

男装してて良かった。女姿だったらと思うと寒気が止まらない。

因みに戸塚君と由比ヶ浜さんは一緒に花火で盛り上がっている。

楽しそうで何よりです。

 

 

「ところで比企谷君、人混みに疲れたでしょ?お姉さんの膝を貸してあげようか?」

 

「…少し魅力的ですが、断っておきます」

 

「相変わらず用心深いなぁ」

 

 

陽乃さんは苦笑いすると、花火の方へと顔を戻した。

その顔は何処か哀愁を漂わせており、私にはそれが、花火よりも儚く見えてしまった。

一瞬の美とはこのことなのだろうか?とも思える一瞬だった。

陽乃さんは口を開く。

 

 

「雪乃ちゃんも一応誘ったんだけどね…断られちゃったんだ」

 

「…そうなんですか」

 

「もっとも、母の意思があるからあまり勝手なことできないけどね。一緒に楽しむくらいならいいかなって思ったけど…本人に断られちゃった」

 

 

たはは、と笑いながら言う陽乃さんの真意が私にはわからない。

残念に思っているのか、同情してるのか、はたまた落ち込んでいるのか。

花火に照らされて見える陽乃さんの顔は、もうすでに笑顔となっていた。

…シスコン同士、分かり合えるかもしれない。

いや、分かろうとしてないのは私の方だ。人をまだ深くまで信用出来ない私の方だ。

だから…私は私が嫌いだ。

 

 

「…いつか一緒に行けるといいですね」

 

「…えぇ」

 

 

そこから会話が続くことはなかった。

由比ヶ浜さんと戸塚君?すっごい楽しんでました。

楽しそうでな(ry

 

 

 

 

 

人で出口が混む前に帰ることになった。

由比ヶ浜さんは母が迎えに来てるようでそちらに向かっていった。

こんなところまで車でくるなんて凄いお母さんだなぁと思いながら、戸塚君と一緒に帰る。

…と思ったら戸塚君が家近いと言ってそちらに先に向かうことになった。

なにやら渡したいものがあるとのこと。

スイーツかな?ドーナツがいいなぁ。

そう思いながらついていく。

 

 

「渡したいものってなんだ?」

 

「秘密〜♪って言ってもそんなに大したものじゃないけどね」

 

なぜか楽しそうに先を急がせる戸塚君。

こうせっかちなところを見ると、男の子らしく見えて可愛く思える。

まあ、うん。こけないよう気をつけてくれたらいいや。

そう思いながら戸塚君の後を遅れないように着いていった。

 

 

 

 

戸塚君の家は住宅街の中にある3階建ての一軒家で、学校からあまり遠くもなく、花火大会会場からも歩いていけるような位置だった。

戸塚君はちょっと待ってねと言うと家の中に入っていった。

…暇だなぁ。男装してるから誰にも襲われないだろうけど、夜は不思議と孤独感を醸し出しており、少し寂しく感じた。

まだかな?もう少しかな?

声に出さないが、心の中で戸塚君を急かす。

…意味は無いけどね。

5分くらいで戸塚君は袋を持って家から出てきた。

何故か少し顔を赤くしながら。

 

 

「お、おかえり。どうした?そんな赤い顔をして」

 

「う、ううん!なんでもない!」

 

 

顔が赤い理由を聞くと、戸塚君は空いている方の腕を横にブンブンと振った。

落ち着いたのか、普通の調子に戻った戸塚君は、袋を私に渡しながらこう言った。

 

 

「ゴメンね、遅れちゃったけど誕生日プレゼントなんだ」

 

 

…ああ、なるほど。

そういえばこの前誕生日パーティ(二人)を小町とやったなぁ。

だから誕生日プレゼントは小町以外に誰からも貰えず、いつも通りの誕生日を過ごすと確信してたけど…、なんか、嬉しい。

 

 

「あ、ありがとう」

 

「ふふ、誕生日おめでとう。これからもよろしくね」

 

 

だから、うん。私の顔が赤くなるのはしょうがないことだと思う。

 

 

因みにプレゼントはマフラーとマグカップでした。

…今からは少し早いなぁ(苦笑い)




はい、32話でございます。
ゴメンナサイm(_ _)m
前話で言っていた1時間半後というのは無理でしたorz
しかもクオリティが低い…寝落ちって最悪です。

今日の分は今日の分でしっかり書かせていただくのでまたそちらも見ていただくと嬉しいです。

では早いですが今回はここまで!
最後まで見ていただきありがとうございました。
次回、33話でお会いしましょう。
サラバダ〜ノシ

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