やはり私の男装生活はまちがっている。   作:空葬

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クッキーは不味くても良い

「どうなってんだ?」

 

 

私が保健室から気分が良くなり帰ってくるとそこには机に突っ伏している雪ノ下と少し落ち込み気味の由比ヶ浜がいた

 

 

「あ、ヒッキー!もう大丈夫なの?」

 

「ああ、途中で抜けてすまなかったな。で?この惨状は何だ?クッキーか?」

 

「否定できないのが悲しいことよね」

 

 

そういいながら雪ノ下は顔を上げた

なんだ、生きてたんですね

 

 

「どうしてお手本通りに教えてもあれだけ失敗するのか考えてたところよ」

 

「…ああ、なるほど」

 

 

私は少し考えた

そして一つの結論に至った

 

 

「なぜおいしいクッキーにこだわるんだ?」

 

 

二人ははぁ?と言いそうな顔でこちらを見る

やめて、そんな顔で私を見ないで

 

 

「少し時間を潰してきてくれ、俺が本当の手作りクッキーというものを教えてあげましょう」

 

 

みせてやる、私の経験談から編み出した一つの法則を!

 

 

 

 

 

 

「さぁ、食ってみろよ」

 

 

そういって私が差し出したのは焦げて黒くなったクッキーだった

二人はジトッとこっちを見た後クッキーを掴みひとかじり

そして

 

 

「うぇ、苦いよこれ」

 

「よくこんなものを自信満々で出したものね」

 

 

私はそれを聞くとがっかりした()()をして

 

 

「…そうか、すまんな。このクッキー捨てるわ」

 

 

それを聞くと由比ヶ浜は慌てて

 

 

「い、いや!捨てるのもったいないし!それに作ってくれたのは嬉しいし」

 

 

計画通り!

 

 

「まあ、これ由比ヶ浜がつくったクッキーだがな」

 

「へ?」

 

「…どういうこと?」

 

「つまりだな」

 

 

私はそう言うとクッキーの入った器を置き

 

 

「プレゼントっていうのは質より心が大事なんだ。どんなものでも心がこもってなかったら嬉しさが半減するが、祝う気持ちや感謝の気持ちがあればどんなものでも嬉しい物なんだ。人間ってのは思っている以上に単純なんだ。相手が男子ならなおさらな」

 

 

私はそういった

これは小学校の頃の…いいや、また気持ち悪くなってきた

 

 

「…ヒッキーも貰ったら嬉しいの?」

 

 

私(男)にきくってことはやはり相手は男なのかな?

 

 

「ああ、超嬉しいぞ。嬉しすぎて一日中にやけるまである」

 

「それはキモイよヒッキー…」

 

 

…泣きますよ?

 

 

「…でも…嬉しいんだ」

 

 

由比ヶ浜が何か呟いたが聞こえなかった

ほんとだよ?ワタシハウソツカナイデス

 

 

「雪ノ下さんありがとう、今日はこれでいいや」

 

「いいの?あなたはこれでも」

 

「うん、ありがとうね。じゃあまたね!」

 

 

由比ヶ浜はそういうとバッグを持って帰っていった

 

 

「…これでよかったのかしら」

 

「本人がそれでいいっていってんだからそれでいいだろ。そっから先はアイツに任せればいい」

 

「そういうものなの?」

 

「そういうものだ」

 

 

さあ、依頼も終わったし帰るか

 

 

「私これから部室の鍵を返してくるから片付けお願いね」

 

 

…鬼部長

 

 

 

 

 

「やっはろー!」

 

 

私と雪ノ下が本を読んでいると一人の女の子が謎の掛け声と一緒に奉仕部に入って来た

 

 

「由比ヶ浜さん?」

 

「やっぱり教えてもらったお礼しないとと思ってさ!はい、クッキー!」

 

「いえ、いらないのだk」

 

「礼なんていいよ~。ほら、私奉仕部の一員みたいなもんだしさ」

 

「あの、あなたは部員じゃn」

 

「あ、私あしたも放課後暇だからここにくるね!」

 

「いや、だから…」

 

 

すげぇ、雪ノ下に勝ってやがる

なかなか居ないと思うよ?雪ノ下に口で勝つ奴

私はここに居てもいたたまれない気持ちになるだけだし時間もちょうどいいから帰ろうかな

 

 

「あ、ヒッキー!はいこれ!」

 

 

私が部室から出て出口に向かっていると由比ヶ浜がこちらに向かってラッピングされた袋を投げてきた

なんだこれ?クッキー?

 

 

「昨日のお礼、ヒッキーも助けてくれたしね」

 

 

そういうと由比ヶ浜は部室に戻っていった

…これクッキーですよね?

なんか手のひらよりも大きいんですが?

かじると苦味とまずさが一緒に襲ってきた

こういうのは一気に食べたほうがいいと思い吐き気を止めながら一気に頬張った

 

 

「…しかもしょっぱい、塩入れたの?」

 

 

明日が休日でよかった

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまぁ」

 

「おかえり」

 

 

家に帰ると妹の小町が晩御飯を作っていた

最近ずっと作らせてごめんと心の中で謝罪をしてリビングのソファに座る

 

 

「最近遅いけど学校で何かしているの?」

 

「うん、部活に入った」

 

「へぇ…………え?」

 

「部活に入った」

 

「いやいやいや!え?なんで?部活入る事凄い嫌がってたじゃん!」

 

「まあ、うん。背に腹は代えられぬというか強制というか」

 

 

まあ、うん

わたしにもいろいろあったのだよ

 

 

「ま、まあいいや。それも含めて明日教えてよ?」

 

「うん、分かった」

 

 

そういえば明日出かける約束してたなぁ

胃腸薬飲もうかな?

 




はいどうも空葬でございます
3話目いかがだったでしょうか
原作に無理やり引き戻そうとした結果がこれですよ
個人的に無理やり感があるからまた書き直すかもしれないです
あともう一点、小町との買い物の話は本編とあまり関係ないので番外編としてアニメで言う一期の終わり、つまり文化祭の終わりに書いてみるかもです

あと個人の話は全て活動報告にて
ではサラバダ~ノシ

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