やはり私の男装生活はまちがっている。   作:空葬

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宣言通り、今回は長めです
では、ドゾー


欺くことは不可能

ララポート前にて私は人を待っている

待たせた本人がこっちに向かって歩いてくるのを見て私はベンチから立ち上がる

 

 

「ごめんなさい、待ったかしら?」

 

「いや、そんなに待ってねぇ。ほら、さっさと行くぞ」

 

 

来た人はこの間爆弾発言をした雪ノ下

日曜日一緒に買い物に行こうと言われたのでこの場所で待っていた

この話だけを聞くとデートの待ち合わせにいる二人の男女の会話である

だが、実際は違った

 

 

「お兄ちゃん違うでしょ?ほら、男の人は女の人の服を褒めないと」

 

「…マジかよ」

 

 

そう、小町も付いてきていた

一昨日、あの発言の内容を聞くと由比ヶ浜の誕生日プレゼント選びに付き合って欲しいとのことだった

ややこしいと言ったら罵倒の嵐でした。解せぬ

その時に小町も連れてきて欲しいと言われた

どうやら私たち二人だとセンス的に心配らしい

…私一応友達(?)いたんだけどなぁ

 

 

「小町さんも悪いわね、付き合わせちゃって」

 

「いえいえ、むしろ呼んでいただきありがとうございます!今日は私のセンスを魅せて見せます!」

 

 

といって胸を張っている小町

…無いけどね

 

 

「お兄ちゃん」

 

「なんだ?」

 

「むしり取ってあげようか?」

 

「な、なんのことだ?ハチマンヨクワカンナイ」

 

 

妹がエスパーと感じた一瞬だった

 

 

 

 

ララポートの中は日曜日ということもあって人で賑わっていた

見渡す限り人、人、人

この人の多さに私は思わず目を細めてしまう

 

 

「比企谷君、人が多いのが嫌なのは分かったけど目をさらに腐らせるのはやめてもらえないかしら?」

 

「…無意識だ、気にするな」

 

 

この目ってさらに腐って見えるんだね

私、ビックリしました

 

 

「まあこの兄は放っておいて一通り回りましょうか、雪ノ下さん」

 

「そうね小町さん、あっちから回りましょうか」

 

 

え?私ここに一人で居ろと?

こんなところに一人で居たらいろいろ死にそうなので二人の後ろをついていく

…ストーカーじゃないよ、身内だよ

 

 

 

 

 

ゲームセンターの前を通るとき、雪ノ下が立ち止まった

 

 

「ここは?」

 

「もしかして雪ノ下さん、ゲームセンターをご存じないですか?」

 

「こんな耳が痛くなるような場所。一度行ったら忘れないもの」

 

 

確かにゲームをあまりやらなさそうな雰囲気してますよね

三人でゲームセンターを軽く見ていると、雪ノ下が突然立ち止まり一台のUFOキャッチャーを見つめていた

そのUFOキャッチャーには大人気マスコットキャラクターのパンさんが景品となっていた

 

 

「雪ノ下さんってパンさん好きなんですか?」

 

「ええ、子供のころに唯一貰ったプレゼントがパンさんだったのよ。その時からずっとパンさんにハマってしまっててね」

 

「ほうほうほう、…だってさ!お兄ちゃん」

 

「…まあ、とりやすそうだし、いいけどよ」

 

 

そう言いながら私はUFOキャッチャーに100円入れる

自慢じゃないが、私はUFOキャッチャーは得意な方だ

よく小町の為にぬいぐるみを取ったりしている

今回もいつもと同じ方法で台の中のパンさんを動かし、400円目でパンさんを落として見せた

 

 

「ほら、やるよ」

 

「…それはあなたの手で取ったものでしょう?あなたのものなのだから自分の家に飾りなさいよ」

 

「生憎今家にはぬいぐるみがいっぱいあってな、また持って帰ると母に捨てられるだけなんだ。だからお前にやるよ」

 

 

そういうと雪ノ下はゆっくりパンさんに手を伸ばし、自分の腕の中に抱えた

 

 

「…ありがとう」

 

 

雪ノ下は顔を赤くして私にそう言った

あれ?この人はほんとに雪ノ下なんですよね?いつもよりかわいいんですけど

私はそれに返事をせず、ゲームセンターを出て店を探し始めた

雪ノ下と小町もそれに付いてくる

その時、後ろから声が声が聞こえた

 

 

「あれ?雪乃ちゃん?」

 

 

声がした方を向くと美人な方が立っていらっしゃった

雪ノ下の方を向くと嫌なものを見たというような顔をしていた

 

 

「姉さん…」

 

 

え?お姉さん?あ、でも確かに似ている所はいろいろある

顔のつくりとか髪の質とかね

 

 

「やっぱり雪乃ちゃんだ!こんなところで出会うなんて珍しいね!なになに?彼とデート?」

 

「彼と?ふざけた話ね。姉さんこそ彼らとデート中じゃないの?」

 

 

雪ノ下姉の後ろを見ると男の人が3人いた

うわぁ、三股ですか

 

 

「彼らは同じ大学に居るだけのただのお友達だよ」

 

 

いや、彼らこっちをずっと見続けてますけど?

絶対下心丸出しの人達ですよ?

 

 

「とにかく、そっちのおと…ん?」

 

 

雪ノ下姉は私を見ると疑問を持った目をした

そして探るように私を見た後、少しニヤッと笑って

 

 

「雪乃ちゃん、この人と少しだけお話しするから借りていくわね!」

 

「え?ちょっt」

 

「後で戻ってくるから安心してね!」

 

「いや、そういう事じゃなくて」

 

「…バラしていいの?(小声)」

 

 

驚き、その一言に尽きた

なんで?なんで初対面でわかるの?この人は

抵抗なんてできるわけもなく雪ノ下姉について行った

 

 

 

 

 

「改めてこんにちは!私は雪乃ちゃんの姉、雪ノ下陽乃だよ!」

 

「…どうも、比企谷八幡です」

 

 

バレていると思うが、ごまかせる可能性を信じて嘘を続ける

 

 

「いやだなぁ、男みたいな話し方しちゃって。いつも通り話してくれればいいのに」

 

「勘違いしてるかもしれないですが、俺は男ですよ?」

 

「嘘は良くないなぁ、お姉ちゃん悲しいよ」

 

「嘘泣きやめて下さい、俺が困ります」

 

「あはは、いいね。でも本当に男なの?」

 

 

追い詰めるように再確認してくる

早く逃げたい

 

 

「…俺は男ですよ?」

 

「へぇ、じゃあ」

 

 

雪ノ下姉は私の胸部に手を当てた

さらしの下の女性特有の胸が相手の手に伝わる

 

 

「っ!」

 

「なんで男なのに胸があるのかなぁ」

 

 

この人、強行突破してきた!

まずい、言い訳が思いつかない

 

 

「そ、それは」

 

「それに」

 

 

私の腕に触れ、袖をめくりあげられる

そこには細々として、骨などあまり見当たらない腕が出てきた

 

 

「腕が何で細いのに骨があまり出てないのかなぁ」

 

「…」

 

「ほかにカツラやサイズの合ってないコンタクト…いろいろあるよね」

 

 

外せと言われたので言うとおりに外す

本当なら抵抗するところなのだけど…でも…

こわい…こわいよぉ

 

 

「ほかに」

 

「…グスッ」

 

「…え?」

 

 

昔の記憶がよみがえり、恐怖心が増してきた

涙が止まらない、誰か助けてよぉ

 

 

「え?うそ…あ、え?」

 

「グスッ…ヒグッ…」

 

 

私は下を向き、しゃがみこんだ

都合よく今は人が居ない場所に居るのでこの状況を見る人が居ない

泣く姿を見る人は目の前の人以外はいなかった

だから…いいよね?

その時、前から何かから抱きしめられるような感覚が襲った

 

 

「ごめんね?お姉ちゃんやりすぎちゃった、あなたが我慢してることも知らずにね」

 

「……」

 

「辛かったでしょう、苦しかったでしょう?次からはお姉ちゃんが助けてあげるから安心しなさい」

 

「!!…ヒグッ…ううう」

 

 

私はその日、雪ノ下姉の胸の中で泣いた

たすけてくれる人が居る。それだけで私は救われたような感覚になった

我慢することなく、声をできるだけ殺して

泣いた

 

 

 

だけど、誰もこの事実にはツッコまなかった

今回の元凶はお前だと




はい、19話目なのです
魔王様やっと出せました(白目)
この作品の陽乃さんは原作よりも単純で優しい所が多々あると思います
私の頭ではこれが限界なんです。許してください<(_ _)>

今回昔の記憶と言うのを出しましたが
この記憶は今まで出したトラウマとはまた別のものですね
どっちかっていうとこっちのほうが男装した理由に近いですね
どういうものかと言うのは…近いうちにヒント出すと思うので気長にお待ちください

今回はここまで
最後まで読んでいただきありがとうございます
次回の20話でお会いしましょう
では、サラバダ~ノシ

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