やはり私の男装生活はまちがっている。   作:空葬

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余裕あるって素晴らしい
ドゾー


優しさを突き放す勘違い

朝5時半

私は川崎と話すためマックにいる

川崎にバイトをやめてもらうため

そして…大志に嫌な思いさせないために私はやる

それにしても頭がいたい。疲れてるのかな

 

 

「来たか」

 

 

川崎が気だるそうに歩いてきた

疲れているせいか一層不機嫌そうだ

 

 

「話って何?」

 

「まあ落ち着け。みんなもうじき集まるからもう少し待ってくれ」

 

「みんな?」

 

 

川崎が私に聞いた時、自動ドアが開き、雪ノ下と由比ヶ浜が入ってきた

由比ヶ浜にこの時間雪ノ下と一緒にこの場所に来るようにメールで知らせた為来てくれたのは予定通りなのだが…由比ヶ浜さん?何故そんなに不機嫌そうなのでしょうか?

 

 

「またあんたたち?」

 

「俺が呼んだんだが…何、あいつ寝不足?」

 

「さぁ?ここに来るまではそんな素振りは無かったわよ」

 

「…まあ、あとで聞くわ」

 

 

私がそう言うと同時に小町が一人の男の子を連れてマックに入ってきた

男の子はもちろん、川崎の弟である大志だ

 

 

「大志…、あんたこんな時間に何してんの?」

 

「こんな時間ってそれこっちのセリフだよ、姉ちゃん。こんな時間まで何やってたんだよ」

 

「あんたは関係ないでしょ…」

 

 

いつものように弟との話を一方的に終わらせる

だが、今回はいつもと違い私たちがいることによって逃げ場はない状態

つまり、話し合える状況なのだ

 

 

「関係なくねぇよ、家族じゃん」

 

「…あんたは知らなくていいって言ってんの」

 

 

このまま話してても長引きそうなので気が引くけど話を始める

 

 

「川崎、なんでお前が働いてたか、金が必要だったのか当ててやろう」

 

 

川崎は私を睨みつける

それと対照的に雪ノ下と由比ヶ浜は興味津々な目で私を見る

まあ、昨日あの短時間で考えた結果だから穴ありまくりだと思うけどね

 

 

「大志、お前が中3になってから何か変わったことは?」

 

「え?えっと…塾に通い始めたことくらいっすかね」

 

「なるほど、弟さんの学費の為に…」

 

 

まあ、普通に考えるとそこで終了だけど実際は多分違う

川崎は言おうとしたことがわかったのか睨みつける目の鋭さが増した

それ以上言うなと言わんばかりに

 

 

「違うな。塾に通えてる時点で高校入学までの学費は解決しているんだろう。大志の学費は、な」

 

「そういうことね。確かに学費が必要なのは弟さんだけではないものね」

 

 

雪ノ下が全て理解したのか納得した顔をした

総武高校は進学校であり、生徒の大半が進学を希望する

結果、高校2年のこの時期から受験を意識する者も少なくなく、夏期講習について真剣に考えてる人もいる

おそらく川崎もその一人なのだろう

その時に必要な金を川崎は貯めていたのだろう

 

 

「大志が言ってたろ。姉ちゃんは昔から真面目で優しかったって。つまりそういうことなんだよ」

 

「姉ちゃん…。俺が塾行ってるから…」

 

「…だからあんたは知らなくていいって言ったじゃん」

 

 

川崎は諦めたのか肩をおとし、慰めるように大志を撫でる

いい家族の形となっていた

次は…バイトだな

 

 

「で、お金の話なんだが…スカラシップって知ってる?」

 

 

 

 

 

 

 

川崎きょうだいは二人とも礼を言って帰って行った

私も由比ヶ浜と小町を連れて帰っている(雪ノ下も送ろうとしたのだが断られた)

 

 

「いや〜、関係が修復してよかったですね〜」

 

「やっぱりきょうだいは仲良くないとね!」

 

 

と小町と由比ヶ浜は談笑している

私は黙って二人の横を歩いて行く

そして…、ある地点で止まる

 

 

「ここらへん、だったかな?」

 

「ヒッキー?どうしたの?」

 

「ここで一応由比ヶ浜と会ったんだよな」

 

 

普通の人にとってはただの道路に過ぎない場所

だけど、私はここで普通の高校生と一ヶ月近くの差を開けてしまった

 

 

「ヒッキー、覚えて、たの?」

 

「いや、お前の反応見たら誰だって勘づくだろ」

 

「そ、そっか、あはは」

 

 

由比ヶ浜は力なく笑う

あなたは本当に優しかった

私には勿体無いくらいの優しさを私に向けてくれた

でも、無理なんてしなくていいんだよ?

 

 

「悪いな、無理に話しかけたりとか気を遣わせたみたいで。まあ、でもこれからはもう気にしなくていい。俺がぼっちなのは俺自身が理由だし事故は関係ない。負い目に感じる必要も同情する必要もない。…気にして優しくしてんなら」

 

 

私は少しうつむき気味だった顔をあげ由比ヶ浜と目を合わせる

 

 

「そういうことは、やめてくれないか?」

 

 

私はそう言った

由比ヶ浜は少し驚いた後、俯いた

 

 

「そういうのじゃ、なくて…そういうのじゃ、ないのに」

 

 

ブツブツと言っているが何も聞こえない

そして由比ヶ浜が顔をあげた

キッと私を睨みつけ、その目には涙が溜まっていた

 

 

「…バカ」

 

 

そう言うと由比ヶ浜は自分の家に向かって走って行った

後ろから小町が叫ぶ

 

 

「おねえちゃん!なんでこんなことしたの!?」

 

「…ゴメン、今少し気分が悪いんだ。少し戻ってもいいかな?」

 

「そういうことじゃなくて!早く由比ヶ浜さんのところへ」

 

「いいの!これで!」

 

 

私は普段出さないような音量で小町を怒鳴る

…相当参ってるな、私

 

 

「…ゴメン小町、言い訳は後でするから…今は休ませて」

 

 

自分でもわかるくらい涙声になっていた

小町の前で泣くのはこれが初めてかな?

小町はそれで妥協したのか

 

 

「…いいよ。その代わり、ちゃんと話してよ?」

 

「うん、ゴメンね」

 

 

私たちはそのまま家に着き、私は朝ごはんを作ろうと台所に向かう途中、倒れてしまった




はい、14話目なのです
今回は思ったより早めに終わったので余裕を持てました
見直しもできたし、私、大満足
(好みな展開じゃないならすいません)

私事ですが、活動報告でも申した通りTwitterを始めました
@Karatomurai157で出てくると思います
こっちでアンケートなどするつもりなのでフォローしていただくと私が泣いて喜びます

では今日はここまで
15話でまた会いましょう
サラバダ〜ノシ

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