やはり私の男装生活はまちがっている。   作:空葬

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遅れてしまい申し訳ございません
今日は長いです
ドゾー


誰の領域にも地雷はある

「ここね、2店目のエンジェルと名のつく店」

 

 

俺らが来たのはホテル・ロイヤルオークラの最上階に位置するバー【エンジェル・ラダー 天使の階】

雪ノ下が言った通り、エンジェルと名の冠する最後の店

こんな洒落た店…もう来ないだろうなぁ

とここで雪ノ下に質問

 

 

「雪ノ下…ところで大人しめの格好で来た理由は?」

 

「そこそこいいお値段のホテルやレストランだったらそれなりの服装してないと入れないわよ?これ常識だから覚えておいたほうがいいわよ?」

 

 

そうなのね

あと遠回しに私に常識は無いみたいな言い方はやめてほしいです。少し傷つきます

 

あの後私たちは一度解散し(戸塚と材木座はそのまま帰った)雪ノ下に言われた通り大人しめ…といってもわからなかったのでジャケットと黒い立ち襟のカラーシャツにジーンズ、ロングノーツの革靴を履いて来た

当然バレないようにハリガネなどで細工済みだけどね

私はこれでいいだろうが…由比ヶ浜、大人しめと大人っぽいは多分イコールではないと思うよ?

 

 

「雪ノ下、由比ヶ浜のこれはいいのか?」

 

「え?この服ダメ?」

 

「女性の場合、そこまで小うるさくは無いけど…。でもエスコートするのが比企谷君だとすると、少し厳しいかもね」

 

「なんでだよ、ちゃんとした服装してるだろうが」

 

 

ほら、と見せつけるように両腕を広げる

悪いところなんて無いよ

 

 

「服は誤魔化せても目の腐り具合が危ういわ」

 

 

訂正、服じゃ無いけど悪いところありました

…コンタクトとろうかなぁ

 

 

「入店断られて二度手間になるのも嫌だし、由比ヶ浜さんはうちで着替えたほうがいいかもね」

 

「え、ゆきのんの家行けるの!?…あ、でもこんな時間に迷惑じゃない?」

 

「一人暮らしだから気にすることないわ」

 

「この子、できる女だ!」

 

 

由比ヶ浜の中では一人暮らししている人はできる人らしい

独身全員できる人になっちゃうね

 

 

「じゃあ行きましょうか。すぐそこだから」

 

 

雪ノ下が見つめる先にはここら一帯でもお高いと有名なマンションのかなり高層階

え?普通に凄くない?

2人が行った後、私は1人になった

…お腹減ったしサイゼ行こう

 

 

 

 

 

ホテルのエレベーターホール前で待ち合わせをしているので先にホテルに入る

中は高級感が漂っており、逆に緊張するような内装だ

敷き詰められた絨毯、キラキラと光るエレベーターの扉、とてつもなく広いホール

何ここ?私異世界に来た?

と心の中でふざけていると携帯が鳴った

 

 

『今着いたけど、もういるー??』

 

 

由比ヶ浜からのメールだった

周囲を見渡すと1人、緊張してる面持ちの見知った顔の女の子がいた

服だけであんなに変わるんだなぁと思いながら側による

 

 

「お、お待たせ」

 

「いや、そんなに待ってない。ところで雪ノ下は?」

 

「ここよ。目が腐ってると見えづらいのかしらね」

 

「完全に死角の位置だっただろうが」

 

 

斜め後ろあたりから声が聞こえ、振り向くと漆黒のドレスを着た雪ノ下がいた

雪ノ下は私と由比ヶ浜の前に立ち

 

 

「さあ、行きましょうか」

 

 

エレベーターに向かって歩いて行った

…私、エスコートしなくていいのかな?

 

 

 

最上階に着くと優しく穏やかな光で照らされているバーラウンジが広がっていた

私と由比ヶ浜が感動していると

 

 

「きょろきょろしないで」

 

「いっ!」

 

 

ピンヒールのヒールの部分で踏まれた

危なかった、もう少しで女の方の声が出そうになった

ここでバレるのはいろいろまずい

 

 

「背筋を伸ばして胸を張りなさい。顎は引く」

 

 

言われた通りにする

すると雪ノ下が右肘を掴んできた

あ、ここから私がエスコートするのね

 

 

「由比ヶ浜さん、同じようにして」

 

「う、うえ?」

 

 

言われた通りに由比ヶ浜は私の左肘を掴んだ

うん、これ世間一般で言う両手に花状態だ

私女だけど、ここ女3人組だけど

歩いて行くとギャルソンの男性が脇にやってきて、すっと頭を下げた

そのまま男性はバーカウンターへと私たちを導いてくれた

そこには女性のバーテンダーがグラスを磨いていた

由比ヶ浜に本人かの確認を取って声をかける

 

 

「川崎」

 

「…申し訳ございません。どちらさまでしたでしょうか?」

 

 

クラスメイトに言われるとは

まあ、私も戸塚に言ったから似たようなもんだけど

 

 

「2年F組の比企谷だ、ちょっとお前に用があって来た」

 

「…由比ヶ浜と雪ノ下もか?」

 

 

ちょっと待って

由比ヶ浜はともかく、私の名前覚えてないのに雪ノ下は覚えているの?

悲しすぎない?

…いや、私も雪ノ下最初から覚えてたわ

でも…川崎が雪ノ下を見るとき敵意が込められてたのはなぜ?

容姿?性格?…いや、多分お金のことかな?

 

 

「そっか、ばれちゃったか」

 

 

川崎は諦めたかのように笑うと壁にもたれかかり腕を組んだ

ため息をつき、私たちにきまり文句を言う

 

 

「何か飲む?」

 

「私はペリエを」

 

「あ、あたしも同じのを!」

 

「俺はMAXコー」

 

「彼には辛口のジンジャエールを」

 

 

かしこまりましたと言うと慣れた手つきでそれらを用意しそっとコースターの上に置いた

 

 

「で、何しに来たのさ」

 

「お前の弟が家帰るの遅いことに心配しててな、それを言いにきた」

 

「わざわざ言いにきたの?ごくろー様。でも見ず知らずのあんたに言われて辞めると思ってる?」

 

「いや、思ってねぇ」

 

 

3人にはぁ?と言いたそうな顔で見られる

まあ、うん。正直目的の10割を否定したからしょうがないけど

 

 

「どうせ理由があるんだろ?さっさとそれを言ってくれ。それをどうにかしたらバイト辞めるんだろ?それを俺は聞きに来た」

 

 

そう言うと川崎は馬鹿にしたように笑い

 

 

「言ったところであんたたちには絶対にわかんないよ。力になる?楽になるかも?そう、それじゃあんた、あたしのためにお金を用意してくれんの?」

 

 

お金が大事、2年のときから

私はいろいろ情報を集めていく

そして答えをなるべくこの場で出るように頭を回転させる

その間に話を続ける

 

 

「そこまでは言ってない。だが、他の方法があるかもしれないだろ?と言ってるんだ」

 

 

 

「うるさいね、あんたに助けなんか頼んでないのにどうしてそこまでするんだ?」

 

 

私の思考が止まった

疑問に答えるためじゃない、川崎の言葉に嫌な思い出が蘇ったのだ

 

 

「正直邪魔でしかないよ、余計に期待させないでくれる?」

 

『正直邪魔だったよ、期待させるだけで何もしないなら何もしないでくれる?』

 

 

カシャンとグラスが倒れる音がした

その音で私は現実に戻ってきた

自己嫌悪を止めて、私はお絞りでテーブルを拭く

由比ヶ浜はそれ見て、川崎に怒鳴った

 

 

「そんな言い方ないじゃん!」

 

「いや、いいんだ由比ヶ浜。クラッとしただけだ、もう大丈夫」

 

 

近くに寄ってきた由比ヶ浜を手で大丈夫と送り、私は立ち上がる

川崎に顔を向け、話を続ける

 

 

「川崎…少し話がしたいから明日5時半に通り沿いのマックに来てくれないか?今日は少し気分が悪い」

 

「…行く意味がない」

 

 

川崎はそう言い仕事のグラス拭きを続ける

来てもらえないと困るので少し付け足す

 

 

「大志のことで話しておきたいことがあってな」

 

「…何?」

 

 

これでくるだろうと思い、私は2人を連れて出て行く

お金は雪ノ下が払ってくれたようで助かった

 

 

 

本当にこれで良かったのかな?

川崎は助かることを望んでるのかな?

…もういっか、明日早いし今日は寝よう

 

 

 

その日の夢は最悪だった




はい、13話目です
謝らせてください、今回投稿遅れてしまい申し訳ございませんでしたm(_ _)m
特に時間指定はなかったのですが、ストック切れ始めてから時間がギリギリ、そしてクオリティが低くなっていくという酷さが滲み出ております
本当に申し訳ございませんでした

はい、えー川崎編やっと終わりが近づきました
最後の悪夢…というよりトラウマはまた近いうちに番外編として出すと思います

個人の話はまた活動報告にて
また14話で会いましょう
では、サラバダ〜ノシ



ストック貯める日と小説をチェックする日作ろうかな?

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