どっと増えてて驚きました。感謝致します。
ですが今回は短めです、すみません。次回は多くしたいと思います。
追記:誤字報告ありがとうございます! すみません!
配属二十八日目
我が名は筒井マモル。齢は十七であり、四月四日に生誕した魔王である。
うん、もちろん嘘だけれど。魔法も何も使えないし、世界征服とか別に狙っているわけじゃない。
そんな私がなぜこんな書き方をするかというと、周りからの畏怖の視線や『歩く兵器』とか『アラガミ絶対殺すマン』とか噂されているからだ。男とはいえ私だって人間だ、不貞腐れはする。
私は至って普通のゴッドイーターなのに……と第一部隊の面々に愚痴をこぼした。返ってきたのは「お前のような普通がいるか」だった。誠に遺憾である。
それと、最近リッカさんが神機のメンテナンスをしてくれたのだけれど、「どうしてあんな使い方して正常なんだろう」と呟いていたのが気になった。あんな使い方……と呆れられるような使用方法に心当たりはないのだが……。
それはそれとして、他のゴッドイーターはどうして空を飛ばないのだろう。真上からの奇襲はなかなか効果的なのになぁ。
不味いことになった。任務から帰投しようとした時、シオが海に飛び込んで姿を消してしまった。
それまで私達は彼方にそびえているエイジス島に目を向けていたのだが……意識を逸らしすぎていた。隊長として不甲斐ないばかりだ。
私とアリサ、サクヤさんはそのことについてペイラー博士に報告し、私は誠心誠意の土下座をしようとしたら皆から慌てた様子で止められたので頭を下げる程度でしか済まなかった。私に思うとおり謝らせてくれないとは……鬼畜だ。
ペイラー博士は何かわかれば連絡する、ゆっくりと休んで欲しいと言われたのだが、少し自室でゆったりしていた時に支部長からのお呼びがかかった。ゆっくりとはなんだったのか。まあここがブラックだという事は今に始まったことではないが。
呼び出した内容は、エイジス島周辺に異常に特殊なアラガミの反応があっただとか。そのアラガミを討伐してコアを無傷で摘出し、アナグラに持ち帰ってほしいらしい。何よりも重要な最優先任務だとか。
私はそれが間違いなくシオのことだと気づいた。いくらなんでもタイミングが良すぎるからだ。こういう時ばかりは、第一部隊の隊長でよかったと言える。
そして、ソーマさんも任務に加えようかと決定ではなく質問をしてきた支部長に疑問を持った。仮にもとても重要なアラガミのコアなのだから、私だけというより出来れば第一部隊の皆を引っ張ってきた方が成功率自体はぐんとあがるのだが、何故そんな質問をしてきたのだろう。
そのことについて尋ねると、「君は一人でも何事もそつなくこなすだろうから、こんなものも簡単だろう?」と笑いながら言われた。お前は何を言ってるんだとつっこみたくなったが、職に関わるので我慢した私は褒められていいと思う。
ソーマさんもぜひ加えてほしいと丁寧な口調で言い、私は部屋を後にした。踵を返した一歩で床がほんの少し歪んでいた気がするが、老朽化でもしてるのだろうか? 決して私が怒りのあまりに強くしすぎたという訳では無いだろう。早く直してもらいたいものだ。
物腰が柔らかくなったソーマさんとの捜索任務でシオを見つけることは出来た。ソーマさんとシオが……なんといえばいいだろう、青春している男女のような風になっていたので会話に入り込まず海を見ていたらシオが突然倒れてしまった。急いで救出しにいくソーマさんの後ろ姿はイケメンだった。
運動神経抜群のイケメンなんて……ああ、ちなみに私はリア充撲滅しろだなんていう言葉は使わない。色々な境遇や経験の賜物だし……ね?
とまあ、巫山戯たことは置いておくとしよう。シオをアナグラに運んだ私達が少し休憩をとっていると、サクヤさんからターミナルへと連絡があった。
どうやら、サクヤさんとアリサは二人で勝手にエイジス島に乗り込んだらしい。そこでアーク計画とエイジス計画の全容を知った。
アラガミによる終末捕食を起こして地球上に存在する全生物を滅ぼし、完全なる再生をもたらして世界を再構築する。そして、箱舟に乗る選ばれた人間がその新世界に行くことが出来る。……アーク計画とは、なんとも馬鹿げたものだった。箱舟に乗るリストには私も入っているみたいだが、私のような落ちこぼれが乗れるはずなんて絶対にない。これは私を陥れる為の罠だと瞬時に気づいた私は賢い。
さて、サクヤさんとアリサが指名手配されるのは時間の問題であり、そうなれば場合によっては二人が敵になってしまうこともある。そうならないことを祈る、というような二人の言葉を聞いた私は、思わずサクヤさんとアリサを軽く叱ってしまった。
二人の誰かを巻き込みたくないという気持ちはよく分かるが、それでもせめて相談したりはして欲しかったのだ。それに、これでも私は第一部隊の隊長である。色々責任を問われるのは私なのだから少しは考えて欲しい、私の生存率に関わってきたらどうするのか。第一、私が部隊のメンバーを蔑ろにするような酷い隊長だと思われていたのが酷く傷ついた、それは確かに私は色んなヘマはするけれど、それでも人間関係に関しては良くも悪くもないものを築けたと思っていたのに。……とにかくだ、私は決して二人を見捨てはしないし敵にも回らない、悪いのは支部長なのだから敵に回るとしたらあの腹黒だけだ。
そのようなことを伝えると、皆して私を唖然とした様子で見ていた。そういえば、私がゴッドイーターに就職して以来こんなふうに怒ったことはなかったか。そして分かる、皆の視線が意味することが。今更、何で隊長面してやがるんだこのクズ……そう思っているに違いない。
いや、でも、仕方ないじゃない。心配だったし、その、うん、ハイごめんなさい調子に乗りました。やっぱり私に第一部隊の隊長なんて無理だったんだ……早すぎたんだ何もかも。
意気消沈している私だったが、画面の向こうの二人から感謝の言葉が聞こえてきた。そのありがとうは一体どんな意味なのだろう……いや、意味も何も無い社交辞令か。悲しくなってきた。
通信を終えて、私達四人はそれぞれどうするかを決めることになった。サクヤさんとアリサと共にアーク計画を止めるか……それとも、箱舟に乗るためにアーク計画にのるか。
ソーマさんは即箱舟に乗ることを否定していた。父親である支部長に従うつもりは無いし、身体も半分アラガミだからだそうだ。それに、シオのこともあるのだろう。
コウタはアーク計画に乗るそうだ。そのことに私は何も言うつもりは無い。コウタはいつも家族のことを気にかけていた、今回も同じことだ。そのコウタの優しさに悪意など一切ない……むしろ、私はコウタを尊重する。
ユイはアーク計画に反対した。選ばれた人間だけが生き残るだなんて間違っている、終末捕食も支部長も止めるべきだと。正義感の強いユイのことだ、正直私は予想できていた。私凄い。嘘です凄くないです。
これで、第一部隊の意見は決まった。勿論、私は何も言うつもりは無い。自分がしたいことをして欲しい。
配属二十九日目
朝早くから支部長にお呼ばれした。恐らく、サクヤさんからの連絡もバレているのだろう。その上で私にアーク計画を手伝えと言ってくる、そう確信している。
どうせ私のような落ちこぼれに席など与えられていないのに手伝うのもなぁ……気は乗らない。
……しかし、もし、もしもは私にも箱舟の席があるのなら……その時は私は(ここから先は黒く塗りつぶされている)
シオが攫われてしまった。ペイラー博士のラボのデータが奪われてしまったらしい……つまりは、シオの存在が支部長にバレてしまったということだ。シオは、終末捕食を起こすための『特異点』だった。そのことについては薄々感づいてはいたが……。
私達はその後、急いで博士を探したが見当たらなかった。立ち往生していると、なんとサクヤさんとアリサがアナグラへと戻ってきたのだ。心細いだろうから来たとはアリサの弁だったが、サクヤさんによるとエイジスへの再侵入の方法を探っていたが情報がシャットアウトされてて参っていたらしい。アリサは素直じゃないなぁという感じに茶化したらユイに軽く殴られた。何故に?
どうするべきか迷っていた私達を救ったのは、家族をとったはずのコウタだった。戻ってきてくれたことに私はとても嬉しかった、他のみんなもそのようだ。第一部隊が再度集結し、コウタの案内で私達はエイジス島へと繋がる地下通路へと向かった。キーの解除に戸惑っていたが、ツバキ教官が激励と共にカードキーを渡してくれた。しっかりと準備をしていくように、とのことだ。
その言葉に従って、私達は各々準備に取りかかった。
ロビーに行った私は、アナグラ内に残っていた人数に驚いた。防衛班の皆やオペレーターのヒバリさん、万屋のおじさんなど箱舟に乗れるような人ばかりが残っていたからだ。ちなみに、貴族であるはずのエリックさんまでもが残っていた。「市民を放って生きるなんて華麗じゃない」、だそうだ。それと、ソーマさんに話しかけて頑張って欲しいというふうな言葉を送っていた。ソーマさんの顔を見ると、満更でもないようだ。やはり仲が良い。
防衛班の方々からも激励の言葉をもらった。「狂人らしく計画なんて狂わせてこい」とまで言われて、少し複雑な気分にはなったが。 ……だが、悪い気は起きない。なんて恵まれているのだろうと感じた。
ヒバリさんからはアーク計画阻止の任務を受けて欲しいと、オペレーターらしい言葉をもらった。こんな状況でも出来るだなんて凄い精神力だ。こういう人が将来残るべき人間なのだろう。
――私の決意は固まった。定かではない新世界で生きるよりも、今を皆で暮らす方がずっと生存率は高い。
アーク計画を阻止する。何が何でも、だ。
私達はこれからエイジスに向かう。つく頃には時間からして……日を跨いだころになるだろう。私が配属して三十日目、丁度一ヶ月だ。
もし私が還らぬ人となってもこの日記は遺る。そう思うと……この黒歴史日記が見られるのは少し勘弁したいので、戻らなければならない。日記を書いている途中見られるものだと思っていてもつい色んなことを書き出してしまうから仕方が無い。あるある……だよね?
まあ……さっさと倒してさっさと帰ってこよう。日記帳にはまだ余裕があるんだから。
追記
そういえば、明日は私の誕生日……四月四日だったか。日記をつけていなければ忘れていたかもしれない。ケーキとか食べられるかなあ……食べられるといいな。
第一部隊のみんなは多分誕生日を知らないだろう……言ってもいないし。誰かに祝われるのは慣れていないから気にしてもいないのだけれど。
誕生日を迎えるためにも終末捕食は止めに行かなければ。……待てよ、年をとるごとに生存率が下がるとすれば、もしかしたら止めない方が……? なんて、冗談だが。
……なにか不安になってきた。一応遺書としての文面も残しておこうか。
あー、もし私が死んでたらこれを焼却処分しておいてください。よろしくお願いします。
よし、これで大丈夫だろう。……あっ、でも遺書らしくもう少し書き加えておこうか。と思ったけどだめだ呼ばれたもう行くらしい。
それでは、行ってこよう。人類の存続をかけて。
「マモル、何書いてるの?」
「おっと、ユイですか。何でもありませんよ。早く行きましょう」
「え、でも今なにか引き出しに」
「さあさあさあさあ早く早くハリーハリー行くんです向かいましょう一緒に来てくださいお願いします」
「わかった、わかったから! 土下座しないでリーダー!」
次回は最終決戦(ゴッドイーターストーリーの)ですね。都合により日記形式ではありません。
ちなみに皆さんおわかりだと思いますが、私はリザレクション未プレイです。ごめんね。
バーストまでは進みたいですが、リザレクション……はどうだろうなぁ……。