ハイスクール・フリート~自衛艦隊 彼の地にて斯く戦えり~ 作:Honorific88
という思いもなくいつも通りに書いている私
これは今回の休暇も課題が終わらないパターンのような気がする
そんなことは気にせずにどうぞ!
3年も前になるのだろうか。
私はブルーマーメイドの仕事として海上の巡視活動を行っていた時だった。
横須賀港を出港して1時間ほどしたとき私は一人の人が海上に漂っているのを発見した。
それを乗艦していた艦の艦長に報告したところ直ちに救助の指示が出た。
私は第1発見者として救助作業を行うことになり、スキッパーで漂流者のところに向かった。
私はその漂流者をスキッパーの上にあげてから脈拍ほかの確認をしていたので気がつかなかったのだが彼は白色の軍服を着た状態で漂流していた。
直ぐに艦に戻り衛生科の人に後のことを任せて艦長に報告をしに行くことにした。
漂流者は危険な状況にあると分かり艦は直ぐに横須賀港に引き返すことになったため私は救助を行った人として彼の搬送に同伴することになった。
幸い峠は越えて命に別状がないと判断されたものの意識は2週間たっても回復しなかった。
その事を聞いて私は艦での自分の役目をしっかりはたあすことができなくなった。
その救助した時の航海が私のブルーマーメイドとなってから初めての航海だったのだから自分の責任と思い込んでしまい業務が滞ることが増えてしまった。
ついには艦長室にまで呼び出しを受け説教される始末。
理由を説明したら艦長は「しばらくの間休暇を取らせるので彼のもとにること」という命令を下した。
後に聞いた話ではあるが彼の持ち物から名前が判明したので保健所に問い合わせたところ「そんな人物は存在しない」ということだった。
そのことを不審に思っていた当時の私の艦長は同じ人物で悩んでいた私をその人のそばに置きあわよくばその人の素性を明かさせようとしていたらしい。
そして私はその思惑通り彼のそばにいることとなりほぼ毎日彼のそばにいた。
私が病院行き始めてから3週間のことだっただろうか、彼は意識を取り戻した。
それを受けて私の艦の艦長に連絡した上で病室に戻り彼のそばについていた。
初めはここがどこだかわからなかったようで困惑している様子だったが病院いることを説明すると彼は落ち着きを取り戻し私に尋ねた。
「今、何年の何月何日ですか」
「平成25年5月5日です」
それを聞いた彼は驚きの表情でこちらを見ていたがしばらくして口を開く。
「俺は別世界にでも来てしまったのか?」
かすれていてよく聞こえなかったが確かに彼はそういった。
これは彼の戸籍ほかがないことに関係しているのかもしれない、と思った私は彼に質問をした。
「いきなりですみませんがあなたの身元確認のため、名前、生年月日、年齢、住所、職業を答えてください」
「上里勇樹(かみさとゆうき)、平成元年5月5日生、25歳、住所は神奈川県横須賀市西逸見町1丁目無番地海上自衛隊横須賀基地護衛艦いぶき、職業は海上自衛官で階級は三等海尉」
「えっと・・・あなた夢でも見てるの?この世界に海上自衛隊なんて組織はないし貴方の言う西逸見町は今となっては海の中よ」
「どういうことだ!説明してくれ!」
「わかったから落ち着いてください」
「すまん。取り乱してしまった」
「いいえ。この国では日露戦争以後にメタンハイドレートが見つかり日本は資源輸出国となりましたがメタンハイドレートの採掘のしすぎによる地盤沈下によって国土の大半が海中に沈んでしまったんです。だから今は海の中なんです」
「そうか・・・ご丁寧にどうもありがとうございます」
私の説明に対して感謝を述べながらも何か考えていることがあるようでしばらく沈黙が続いた。
そしてその沈黙を打ち破ったのは又しても彼だった。
「今までの話を考えると私は元いた世界とは違う世界・・・つまり異世界に来てしまったということなのでしょうか」
「ええ、そういうことだと思います」
「それでは自分はこの国にとっては異国人ということになりますね」
「そうなりますね・・・・」
コンコン
突然のノックに二人して驚きながらも彼は「どうぞ」と声をかけた
『失礼します』
断りとともに入ってきた人物はブルーマーメイド最高責任者の宗谷真霜一等監督官だった。
彼女の入室とともに私は直立不動の敬礼を行い、上里君も直ぐに敬礼をした後に彼女が返礼をしてから元に戻した。
「北里舞子三等監察官お疲れ様です。ここからは私も話を聞かせてもらうけど大丈夫かしら?」
「私には問題ありません」
「同じく自分にも問題ありません」
「ありがとうございます」
彼女は私が譲ったパイプ椅子に座り彼のことを聴き始めた。
どれも先ほど私たちが話している内容ではあったがその時以上に内容の濃いものになっていたのは言うまでもない。
そして肝心の話になった
「私はこの病院を出てからどうすれば良いのでしょうか」
どうしようにも今彼には戸籍も何もない状態なのだから本当にどうしようものか、そう考えていると彼女はこう提案する。
「それならば私のいるブルーマーメイドに所属してはどうでしょうか。女子の多い場所ではありますが男性職員も少なからずいますし水上艦に勤務していただけると何かとありがたいんです。それにこちらとしても貴方の支援と監視をしやすいんです」
なんかあっさり監視なんて言っているがいいのかな?
でもあんまりいい思いはしないような気がする。
「それしか選択肢がありませんからそれに従わざるを得ませんし、なにか海に関する仕事をできるのであれば船乗りにとってありがたいことこの上ない。その話に是非とも乗らせてくださいませんか?」
「分かりました。それではこちらの世界の資料と貴方の身分等の書類の準備がありますので1週間ほどこちらでお待ちください。ここを退院するまではそこにいる北里舞子三等監察官が担当します」
「よろしくお願いします」
「それではこれで」
なんか簡単に終わっちゃったみたいだけどこれでいいのかな?
彼がいいならいいんだけど・・・・
「北里さん」
「ひゃい!?」
考え事している時に呼ばれた事に驚いて面白い声を上げてしまった・・・・
なんか彼の方震えてるし!!絶対に笑いをこらえてる!!
「・・・ふぅ。それじゃこれから宜しくお願いしますね」
「こちらこそ。でもさっきの私の声聞いて笑ってた理由をしっかり教えてもらいましょうか?」
彼は慌てて謝罪をして私は起こってそっぽを向くわけのわからない構図が出来てしまった。
そのあと面会終了時間までその状態が続いたそうだ・・・