ハイスクール・フリート~自衛艦隊 彼の地にて斯く戦えり~ 作:Honorific88
時間があまりなかったため今回は(というか今回も)短くなっています。
西之島沖
いぶき CIC
「救難隊、スクランブル!」
さるしまにみらいのSSMが命中を確認し、人命救助のための救難隊を出動させる。さるしまの現状は分からないが水上レーダーには反応がないことから沈ん出しまった可能性もある。
現在、甲板で待機しているのは艦橋前の1機のみですぐに機体は発艦用のスポットに移動させられ、2機エレベーターは直ぐに降下を始める。
移動させられたヘリは艦内から出てきたパイロットと
降下させた2機のエレベーターから合計3機のSH-60が登ってくる。
『レスキュー01、発艦準備よし』
「レスキュー01、発艦を許可する。発艦後はさるしま撃沈地点に向かえ」
『了解、発艦する。発艦後はさるしま撃沈地点に向かう』
「こちらいぶき、海上安全整備局応答せよ」
『こちら海上安全整備局、いぶきどうぞ」
「さるしまに対する攻撃を行いさるしまは撃沈した恐れ有り。救助の援護を要請す」
『海上安全整備局了解。現在、高速救援艦隊を派遣中。現場海域到着は一時間後。貴艦隊はさるしま乗員の救助および晴風の救援を行え』
「いぶき了解」
CICの内部では先の攻撃から様々な通信が行われている。いぶきではさるしま乗員の救助のためのヘリを発艦させている。
「司令、みらいを晴風に向かわせます」
「わかった。到着まではどのくらいだ」
「およそ20分です」
「晴風の被害状況を調べてくれ」
「了解しました」
司令席に座っている秋津は一息ついて次々と指示を出してゆく。
ひとまずは海上安全整備局の高速救援艦隊の到着を待つ間はさるしま乗員の捜索・救助を行い、晴風の救援をみらいが担当することになっている。ここを乗り切ればと思い気合を入れ直して指示を出してゆく
晴風 艦橋
「各部の被害状況の詳細が分かりました」
これまで各部署の被害状況を確認しに行っていた納紗が艦橋に戻ってきた。
やはり相当の被害があったためか確認を行った納紗の表情は暗い
「やはり、相当の被害だったのか?」
「はい、幸い重傷者はいませんが・・・」
「・・・わかった。教員用のデバイスに被害状況の報告書を送信してくれ。それが終わり次第休憩に入ってくれ。船が動かせない今、特にできることはないが後々納紗はこの船の書記として仕事が出てくる。休めるうちに休んでおいてくれ」
「・・・はい」
そう言うと早速納紗は手持ちのタブレットを操作するとウエストポーチに入れている教員用タブレットから着信音が鳴る。タブレットをウエストポーチから取り出して件の報告書が規定塚を確認してから納紗休憩に入って良いというとラッタルを下りて介したへと向かう。
「岬艦長被害状況の確認を行うから各科長を教室に集合させてくれ」
「了解しました」
さて、軽く見た感じの被害は相当のものだ。何をするにしてもまずは学校に連絡して、本来なら演習の補給をしてもらうためにこっちに向かているはずの明石に依頼して破損箇所を修理してもらわなくてはならないだろうな。ってことは教室に行く前に通信室に寄っていくとしよう。
『そういうことだからしろちゃん、ここよろしくね?』
『・・・艦長、副長もしくは宗谷と読んでください』
『えぇ~他人みたいだよ~』
『他人でしょう!』
・・・仲がいいんだなあの二人
通信室と書かれた扉を開き中を確認すると中には八木鶫。
「あ、上里教官。いぶきいう艦艇から被害報告を求められたあのですがどうしましょう」
「いぶきからか?・・・そうだな、機関故障、およびその他の被害のため貴艦隊の中からダメコン班と機関科員を数名送るように言ってくれ。それと学校に明石の修理を受けたいというのも一緒に頼む」
「了解しました」
扉を閉めて教室へと向かう。この間にタブレットをウエストポーチから再び取り出し今度はしっかりと被害報告書を確認する。
晴風戦闘被害報告書
二、三番主砲・・・さるしま主砲弾命中、大破使用不可(弾薬庫への誘爆はなし)
魚雷発射管 装填中の訓練用魚雷一発状況確認および整備なしには使用不可(破棄の可能性有)
爆雷投射機 破損、使用不可
爆雷 さるしま砲撃による誘爆を避けるために全弾投棄
機関 蒸気パイプが数箇所破損するもエンジン自体には現在以上は確認されない
浸水 8箇所の小破口と少量の浸水を確認(現在は4箇所を塞ぎ、残りの4箇所の該当区画を封鎖中)
正直に言えばこの程度で済んでよかったと言いたい。みらいの到着が遅れていればこれどころではなかったし下手をすれば沈没のおそれもあった。特に浸水がほかの被害と比べると軽かったことも今晴風が無事(というわけではないが)であることに関係しているだろう。
「本当、よくみんな頑張ってくれたよ・・・」
みらい 艦橋
「艦長はいられます」
艦長が艦橋にくると同時にかかった士官の掛け声に反応し、操舵手・出力変更盤の前にいる乗員以外が艦長に対して敬礼する。
「艦隊司令より指令です。機関科員、ダメコン班を編成し晴風に救援に向かえとのことです」
「わかった。晴風までは?」
「50キロです」
「よし、両舷前進強速、艦首を晴風に向けろ。副長、晴風への機関科員、ダメコン班の応援チームの編成を頼みたい」
「了解しました」
『了解、艦首を晴風に向けます。操舵担当士官、取舵30度両舷前進強速』
『取舵30度』
『両舷前進強速』
艦が左に回頭して遠心力で艦が少し右に傾く。
副長が艦内無線を使い機関室の機関長と更新する。おそらく誰を救援の部隊に編成するのかを相談しているのだろう。
「航海長。どれくらいで晴風に到着する」
「このままでしたら、1時間ほどです」
「・・・止むを得ん。ダメコン、機関科員の応援のみ先行させよう。ヘリ即時待機、応援部隊搭乗完了しだい発艦」
「艦橋CIC。ヘリ即時待機、応援部隊搭乗完了次第発艦。発艦後は晴風に向かい、応援部隊を晴風に下ろせ」
『CIC了解』
後部格納庫からSH-60が引き出され、第5分隊が飛行準備にかかる。エンジンが暖気運動に入ってからおよそ15分後、艦内からダメコン派遣班が編成されSH-60に持ち込んだ道具とともに乗り込む。発艦担当士官の指示でSH-60はローターの回転数を上昇させ、発艦してゆく。
『シーホーク021、コンタクトみらいCIC。以後はみらいCICの指示に従え』
『シーホーク021ラジャー。コンタクトみらいCIC。以後はみらいCICの指示に従う』
発艦担当士官とSH-60のパイロット(シーホーク021)との交信が艦橋に響く。シーホークは艦の左側を飛行してゆき、しばらくすると見えなくなった。