幼女を愛でつつ敵をくっころし天下を統一するだけの話   作:ちびっこロリ将軍

8 / 34
7話 孔明の罠だ

 諸葛亮と劉表の出会いは数年前に遡る。

 

 当時、諸葛亮は幼くも両親を亡くし、叔母の諸葛玄の下に身を寄せていた。元々、徐州の生まれであったが、故郷を捨てて、養子となったのだ。

 

 そこでの生活は諸葛亮にとって余り幸せとは言えなかった。

 

 叔母は夫を既に亡くしていたが子供は居た。本当の子供と養子とでは扱いが違う。将来的に諸葛亮は、諸葛玄の息子の風下に立ち、補佐をする役目を担う。諸葛玄もその利の為に引き取った。両親が死んだ時、そういう立ち位置になる事に決まったのだ。

 

 歯痒かった。

 

 諸葛亮は自分の才能が管仲と楽毅に比類すると叫び、周りの人間に自分が立志するからと立場の改善を求めた。しかし、それは周りの大人の評価を大いに下げた。

 

 この時代は「孝」が重視された。簡単に言ってしまえば親孝行な子供が評価される。親が病死したときは、一度職を離れ、喪に服す事が当たり前であり、親が殺されたら、殺した一族に復讐をしなければ名声は地に落ちる。そんな時代だ。

 

 義理であれども親の言う事に逆らおうとする諸葛亮は「孝」に欠ける子という評価を受けた。

 

 後漢の地方官吏の人事は太守や郡丞といったごく一部の役職を除き、地元採用が基本である。県令や太守は地元の大豪族に功曹に命じ、官吏組織を作り上げる為、地元の評価が悪ければ、名声の高い者から人事を決定する功曹から登用してもらえず、官吏になる事すらも出来ない。

 

 幼い内に諸葛亮は官吏になる未来すらも失いかけ、将来はどこかの豪族と縁を結ぶための婚約を強制される運命にある。そんな時であった。

 

 宦官による清流派の弾圧から逃げる為に各地を転々としていた劉表がかつての部下であった諸葛玄の屋敷を訪ねてきたのは。

 

 

▽▲▽▲

 

 

 荊州へ行けという、殆ど死ねと言っているような命令を受けてから幾日か経ち、敵地に単騎で入って、兵士を集め、決起する為の準備を始めようとしたわけだ。そうして思いつくわけだ。

 

 どうやって?

 

 いや、やり方はアレだよ。袁術に反感を持っている豪族を焚き付けてあーだこーだして軍を作る。そして決起。しかし、更なる問題がある。

 

 袁術に反感を持っている豪族って誰よ?

 

 いや、不満を持っている奴は心当たりがあるんだ。しかし、反乱してまでの不満を持っている奴なんて分からない。

 

 結論 どうしよう?

 

 かっこつけておいて結局、少しの間ドキドキの旅行に行ってきただけでした。とか言ったら陳宮に怒られるか呆れられるかどっちだろう。後者だろうな。ゴミくずを見るみたいな目でこっちをにらんでくるに違いない。

 

 そんな事を考えながら、袁術の本拠地である南陽郡の茶屋で黄昏ていた俺の耳に、ある噂が入る。

 

 水鏡女学院の諸葛亮と鳳統が宜城を取った。

 

 水鏡女学院ってあの幼稚園か……太閤立志伝じゃないんだから幼少時から大の大人を無双するのはやめてもらいたい。幼稚園児が出来る事を出来ないみたいじゃないか……って、あれ? 諸葛亮? え? はっ? あれ~?

 

 ……もしかして朱里って本物の孔明さん? マリオの隠しブロックで有名なお方なの? えっ? まじで? 女体化してるし、ロリ幼女だし、羽毛扇持ってないし……はわわ、あわわとか言っている子が? まじで言ってんの? 歴史馬鹿にしすぎじゃね?

 

 とはいえ、正直、三国志でロリ時代でもそんな事しでかしそうなのは曹操と諸葛亮くらいのものだと思う。そっかー、曹操もなぜかレズになっているし、そんなもんなのかもしれない。

 

 元部下の娘が諸葛亮でしたってどんな偶然だよ。

 

 いや、しかし、これはアドバイスを貰わなくてはならないのではないだろうか? 知力100である。諸葛亮にのみ許された知力100。何度も言うが知力100。どっかの大陸で101匹で蹂躙するクリーチャーの猫耳軍師ではないのだから、的確なアドバイスをくれるに違いない。

 

 出会った時点で既に超有能すぎてドン引きしたくらいだし、歴史上のチート将軍とか軍師とかはそんなものなのかもしれないな。

 

 マジで孔明なら、さっさと洛陽に呼んでおけばよかった。宦官排除して、政権が落ち着いてから洛陽に来てもらって、太学でいい成績取ってもらって、郎中にして、それから引き抜くつもりだった。

 

 連合とか起きてそれどころではなくなり、さすがに泥舟に乗せるわけにはいかないと思ってやめたけど。

 

 いきなり押しかけてきた所を快く受け入れてくれて、散々世話になった部下の長女である。官吏として最上級の待遇でもてなしたいと思っていたのだが……孔明か、孔明なら勝手に出世していっただろうに。気にせずポンポンと出世させて部下にしておけばよかった。

 

 いや、しかし、逆に考えよう。今、気が付いたからこそ、このタイミングで城を取ってくれたのではないだろうか?

 

 これは神が与えたチャンスなのだ……まあ、神なんて宝くじとか引くときくらいしか信仰していないけど。

 

 迷惑になりそうだったら、蒯越・蒯良の所行こう。

 

 あいつら同期だし、知らないところの知らない奴についていくよりもマシだろう。あのノリツッコミは音楽性の違いを感じさせられたものだし、何進が宦官にぶっ殺される前に速攻で逃げ出しやがった奴らだが、優秀ってことは知っているし。

 

 とりあえず、朱里に会ってアドバイスを貰って、それから今後の事を考えよう。それがいい。仲良かったし、追い出さないでくれるだろう。……多分。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。