モンスターの生態   作:湯たぽん

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https://novel.syosetu.org/94618/
最後のハンター、第二章の挿入話。
チャチャブー、エスピナスとバルトの3人旅。
白い塔への道中、なにやらどうでも良い雑談をしているようです。

※今回のお話は、モンハンシリーズの中でもクロスの内容からとなります。
分からない方は是非にゃんたーを。(笑)


その6 ざんねんな いきもの

「なぁ、確認なんだが」

バルトは旅の相棒二匹に語りかけた。

 

『どうした』

こちらは、飛竜のエスピナス。

 

「カくにん、っテ?」

前をのんびり歩くのは、奇面族のチャチャブー。

こちらはエスピナスとは違い、

そこまで人間の言葉に慣れておらず

言葉の頭と語尾が妙に抑揚が上がる、

奇妙なしゃべり方だ。

 

どちらも、いわゆるモンスターだ。

それが人間のバルトと

コミュニケーションを取っている。

 

「えぇと・・・・お前達は・・・・」

 

『うむ?』

 

「長く生きてるんだよな」

 

『うむ』

 

「そんで人の言葉を話す?」

 

「ウン」

 

「関係あるか?」

 

『あるだろ』

 

「ニんげんの子供だっテ、

 セい長する間にシぜんに覚えるんでしョ」

 

うぅむ・・・・低くうなって黙るバルト。

説得されてしまった。

 

「でも、まぁ俺たち人間の常識からは

 完全に外れるくらい、長く生きてるんだよな?

 たまにしか出くわさない、人間の言葉も

 自然に覚えるほどに」

 

「ソーなるネ」

 

うぅむ・・・・再び黙るバルト。

しばらく考え込んでから、低く唸るような声を発した。

 

「・・・・モンスターってのは、

 皆そんなに長生きなのか?」

ふと立ち止まり、エスピナスとチャチャブーは

二匹似たような仕草で考え込むと、口々に話し始めた。

 

『種族による、のだろうとは思うがなぁ。

 古竜は名の通り、長く生きてるのが

 多い気がする、が。』

 

「イ外と、アプトノスが長生きして

 言葉話すの多いんだよネ」

 

「マジか!?」

 

『あぁ、ハンター達は大人しくしていれば

 狙わないしな。逆にアプケロスはあまり

 話せるほど長く生きてるのを私は知らんな』

 

「あぁ・・・・生肉でもホーミングのほうには

 殺意も沸くもんなぁ」

『そうかもしれんな。・・・・ホーミング?』

妙に納得出来る説がモンスター達当人の口から

出てきて、うなるバルト。

どうやら、モンスター達の長生きの秘訣は

"ハンターに殺されないこと"のようだ。

 

「他に死因とか無いのか?

 ハンターに狙われなくても長生き出来ない

 ヤツとかいるのか」

興味が湧いてきたのか、完全に歩くのをやめて

木の根に腰を下ろして、バルトは話の続きを

催促しだした。

 

「アー、同じ大人しい草食竜でモ、

 リモセトスは無理だよネェ・・・・」

 

「?リモセトスって、あの首が長いヤツか?

 なんで?俺もあんまりあいつ倒さないぞ」

 

『あやつら、首が長すぎてすぐ立ちくらみするのだ。

 貧血が酷くて長生きできん』

 

「マジか!?」

先程と全く同じ反応をするバルト。

首が長いと心臓のポンプとしての力が

余程強くない限り、心臓から遠い頭までは

血が巡らず貧血を起こしてしまうのだ。

 

「攻撃力が無いから、弱い。

 弱いから、長生き出来ない。

 と、一瞬思ったがそうでもないんだなぁ」

感心するように、大きく頷きながら

バルトはつぶやいた。

 

ふと、何か思い出したようにエスピナスが

首を持ち上げ、得意げな声を上げた。

 

『逆に、強いのに長生き出来ない、の代表格が

 ディアブロスだな』

 

「アぁ~!ソうネ」

 

ディアブロスあるあるなのか、

チャチャブーも同調する。

 

「そうなのか?早死にするようなタマには

 とても見えねぇが」

バルトひとり理解できず、疑問の声をあげるが

 

「ディアブロス、角も凄いケド。

 キバもぶっとーいのがあるでショ」

話を引き継いで、チャチャブー。

 

「あるな。どっちも怖いぜーあれ」

 

「アの牙、生きてる限りずっと、

 太く長くどんどん大きくなるンダ」

 

「うへ、より怖いな」

 

『で、太くなりすぎて口にモノが入らなくなる』

不意にエスピナスが横槍を入れてきた。

 

「・・・・ん?」

 

「ソ。タべ物が食べれなくなって餓死してるョ」

 

「えええぇぇぇ・・・・」

げんなりしたように、ガクッと首を落とすバルト。

今のは、ちょっと聞きたくなかった・・・・

 

『餓死といえば、ティガレックスだな』

 

「ワかりやすいよネ。モちろん、ババコンガもだョ」

たたみかけるエスピナスとチャチャブー。

呆けた顔で聞いているバルトは、

夢を壊された少年のようにも見えた。

 

「あ〜分かってきた〜なんか分かってきたぞ〜」

半分投げ槍になりながら、

バルトは立ち上がり、わめいた。

 

「アオアシラとか、無駄に長生きなんだろ!?」

 

『ほう、ご明察。理由は?』

 

「・・・・健康的」

 

「ぴンポーん。はチミツ効果だよね間違いなク」

全く嬉しくない正解者であるバルトは、

頭をかきむしると、ご長寿モンスター共に

人差し指を突きつけた。

 

 

 

「・・・・お前ら、しょーもないわ!!!」

 

 

 

『我々に言われてもな』

 

「はンターに言われたくも無いよネ。

 イ然として死因ナンバーワンなわけだシ」

 

 

 

ハンター、飛竜、奇面族という

奇妙この上無いパーティーは、

言い争いながら森の中を再び歩き始めた。




ちなみに、
リモセトスはキリン(心臓の強さ動物界ナンバー1)
ディアブロスはバビルサ(牙が弧を描いて伸び続け、しまいには頭に突き刺さり死亡する・・・・という説。)
の生態を知って思いつきました。
ディアブロス好きなハンターさん、ごめんなさい。

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