モンスターの生態   作:湯たぽん

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モンスターハンター4Gにて。

森を探索中にプーギーパールというアイテムを見つけました。
それなりの額になる精算アイテムのようでしたが、
出現率が結構低いらしく、「なんだこれ???」となりましたが
よーく考えてみると・・・・





その4 豚に真珠

「あれ・・・・ヤシロ」

 

他人のペットを見分けるのはとても難しい事ではあるが。

 

「あ、やっぱりヤシロだ。

 どうしたのースズナ居ないの~?♪」

 

当然のように自分の家族として接する事が出来るのが

シュナという女ハンターの特技であった。

 

雪山のポッケ村はずれで、マフモフなセーターを着た豚、

プーギーのヤシロを見つけてシュナは抱き上げた。

 

「プゴ?プップップ・・・・ブギ」

 

シュナの友人、同じく女ハンターのスズナが

飼っているプーギーだが、ヤシロは

飼い主にも特に懐いておらず、当然シュナに対しても

無関心で、マイペースに腕の中でもがいていた。

 

 

 

「んー♪良いねーこのクールに無視する豚ちゃん」

 

雪が積もった地面に降ろすと、何事も無かったかのように

スタスタ歩き出すヤシロ。

にっこにこ笑いながらついてくるシュナを完全に

無視しながら、日当たりの良い雪が解けた地面を

探し出すと、ヤシロはその場でぐるぐる回り始めた。

 

 

 

「ブゴー・・・・ブゴー・・・・」

 

「・・・・?」

 

太陽に祈りでもささげるかのように

ヤシロはしばらく雪の無い地面の上で

ぐるぐるぐるぐる回り続けた。

 

 

 

 

「・・・・あれ、シュナ」

 

飽きもせずにぐるぐる回り続けるヤシロと

飽きもせずそれを幸せそうに見つめるシュナ。

 

ヤシロの飼い主、スズナが通りかかったのは

舞いが始まってからかれこれ30分も

経ったであろう時だった。

 

 

 

「あ、やっぱりシュナ。何してるのー」

 

先ほどシュナがヤシロを見つけた時と同じような

声をあげながら、かがみこんだシュナに近づいてくる。

 

 

 

「あ、スズナー」

 

目の前まで来てようやく気付いて、シュナは顔を上げた。

 

「ビグ。ブーブーグーグー」

 

対してヤシロは、飼い主が来ても動じる事無く

儀式(?)を続けていた。

 

 

 

「ねね、スズナ。これって・・・・」

 

「あ。そうねもうすぐだったっけ」

 

女ハンター2人が意味ありげに頷きあっている横で

ようやく儀式(?)を終えたヤシロは

 

今度は穴を掘り始めた。

 

 

 

「ブゴッ!ブゴッゴッゴッゴ」

 

瞬く間に穴は深くなり、ヤシロは見えなくなる。

 

「ぉー、やっぱりね」

 

小さく拍手すると、ようやく立ち上がるシュナ。

 

 

 

「2、3日後になるのかな。貰っていい?」

 

飼い主の許諾を求めるシュナに、スズナはにっこり頷いた。

 

「もちろん。両方ね」

 

 

 

 

 

そして、2日後。

ヤシロはその間掘った穴から出てこなかった。

そして、シュナもその穴の前からほとんど動かなかった。

 

 

 

「やったー♪居た居たっ」

 

服が汚れるのも厭わず、穴に潜り込むと

シュナが引っ張り出したのは

 

 

 

「プピップー」

 

「かわいいっっっ!」

 

プーギーの赤ん坊だった。

 

「あ、早かったのね。産まれた~?」

 

すんでのところで間に合わなかったが、

スズナも駆けつけてきた。

 

「へへへー。約束どおり貰うわよ」

 

泥と雪まみれの顔で、シュナは満面の笑みで

産まれたばかりのプーギーを太陽に向けてかかげた。

 

 

 

「プギ。プーギーギー」

 

すると、シュナの足元へヤシロがすり寄って来た。

鼻の穴に光るものがある。

 

「あは。ありがとーヤシロ」

 

鼻水でべたべたのそれを、全く気にする事無く

受け取るシュナ。

 

それは、真珠のように輝く白く丸い宝玉だった。

 

 

 

「それ、いくつめのプーギーパール?」

 

「ウチの子の数だけあるから、5個目だと思う!」

 

 

 

プーギーが出産を終えると、その胎盤の一部が

凝縮、結晶化し子供と一緒に出てくる。

火竜の天鱗や崩天玉に匹敵するほどの価値で取引される

プーギーパールと呼ばれるその高価な真珠を、

しかし無造作に適当なポケットへ

しまい込むシュナ。

 

強欲なようで、呆れるほどプーギーを愛するハンターであった・・・・

 

 

 

 

 

 

「なーに一人で渋いナレーションしてんの、

 マスター・ネコノフ?」

 

「ニャニャッ!?」

 

不意にスズナに声をかけられ、飛び上がったのは

シュナ、スズナの盟友、マコノフの

オトモ猫、ネコノフだった。

 

「ニャ、ニャんでもニャいニャ!

 ちょっとプーギーが・・・・って!

 マスターってニャんの事ニャ!?まさか秘密の・・・・ッ」

 

物陰で一部始終を見守り、ナレーションごっこをしていた

ネコノフはあわてふためいてごまかそうとしていたが。

 

何一つごまかせていない上にボロが出そうなのに気付き、

口を両手で大げさにおおった。

 

 

 

「マスター?んー知らないよ?そんな事、ウチの

 白銀のオモチが言ってたなんて知らないからねー♪」

 

「は、は、はくぎん!?」

 

なおもからかうスズナから逃げるように、

走り去っていくネコノフ。

 

追い討ちをかけるようにスズナがその背中に声をかける。

 

「ねー!あなた達もいつになったら

 アイルーコインくれるのーっ!?」

 

 

 

「だからそんニャものニャいんだってばー!!」

 

つんのめって転びながら、ネコノフは叫び返してきた。

 

 

 

世の中、何が価値あるのか分からないものなのである・・・・ニャ。




プーギーパール。豚に真珠があるのだから
アイルーコインも絶対あると信じています。

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