ベン・トーの世界に転生者がいたら   作:アキゾノ

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今回は日常会と言うことで。
次からバトル&物語進めたいです。

次回もぜひよろしくお願いします!
あと、感想、指摘、技の募集、いただけましたら嬉しいです!



6食目

「佐藤さん、白粉さんとはどういう関係なんですか?」

 

お昼休み、あまり金銭的に余裕がない僕はいつも通り水道水と家庭科室から拝借した塩でしのごうと思って席を立とうとしたとき、そんな声を聴いた。

…見栄を張りました、全然余裕がないです。

昨日だって【氷結の魔女】に負けた後、生きていくために必要な労働を行うために夜間の工事現場の警備のアルバイトへ向かった。

はっきり言ってかなりしんどかったけど、働かなければ生き残れない!

まぁ光るライトセイバーみたいなのを片手に壊れた機械みたいに振るだけの簡単なお仕事なのでなんとかやっていけている。

が、それでもしんどいものはしんどい。

昨日は気持ち的に少しマイナスであったので時間が流れるのが長く感じられた。

 

まぁそんなことは置いといて。

佐藤、という苗字に反応してしまい後ろを振り返る。

見れば佐藤君がこれまた美人な女の子、えぇと、確か白梅とかいう生徒会長だったっけ。

一年生の時からすでに生徒会長だってさ。

うん、意味わからん。

なんかこの世界に来てから頭で理解できる範囲を超えている光景によく出会う。

昨、留守電に入ってた父親を名乗る人からのメッセージもそうだ。

坂本龍馬が生きていた証拠を探してくるから云々、仕送りができない云々…まぁたちの悪いいたずら電話だろう。

 

しかし、主人公とはいえ佐藤君は美人さんに縁があるなぁ。

【氷結の魔女】しかり生徒会長しかり。

あぁ、あと小柄な女の子。

僕と佐藤君が話していたとき、教室の外から見てたあの子もそうだ。

羨ましい…精神年齢が気づいたらぬ~べ~を超えてる僕だけど、今は花の高校生なので若いのだ。

肉体が精神を超越している。

 

「どうして白粉さんに半額弁当を漁らせているんですか?」

 

おぉ、もう佐藤君も半額弁当争奪戦を行っていたのか。

というか、白粉…白粉…どっかで聞いた名前だ。

何分、原作を読んだのがかなり昔だからもうほとんど話の流れを覚えていない。

 

「いや…白粉のやつが勝手についてきてるだけで…」

 

「…彼女自身が自分からあんな見窄ぼらしい行為をやっていると佐藤さんは言うわけですね?…怒っていいですか?」

 

「いや、だか」

 

バキぃ。

 

お、おぉぉ!

見えなかった!

佐藤君の顔面を白梅さんがコークスクリューで打ち抜いた。

彼女の体術には目を見張るものがあるかもしれない!

 

「つまり白粉さんは私といるよりもあなたといるほうが楽しいと、そう言ってるわけですか?

蹴っていいですか?」

 

「ちょ、ま――」

 

ドゴォ。

 

うぅむ、素晴らしい蹴りだ。

時代が時代ならあのけり一本で天下を取っていたかもしれない!

しかし、最後まで見れないのが残念だ。

僕は早く急いで水道水と塩を摂取しなければならない。

まぁ友達でも何でもないし、佐藤君、さようなら。

そう思ってクラスを出ようとする。

 

「は、話を聞いてくれ!あいつ、小説書いてるだろ!?それの取材みたいなもんで、人間観察というか、そういうののためにあの場にいるんだって!」

 

「彼女の作品にそんな下劣な表現はありません」

 

ギリギリと佐藤君の体に足を鎮めていく白梅さん。

空腹時にあんなことをされたら辛いなぁ。

 

「いや、そっちじゃなくて【筋肉刑事】のほうだよ!僕と新道がモデルになって男にいろいろ襲われるやつ!」

 

「ファ!?」

 

あまりのことに声を出してしまった。

人間、本気で驚いたとき、出る言葉は『ファ!?』という新たな発見ができたがそんなことはどうでも良い。

詳しく話を聞かなければ、と思うものの僕の野生の感が告げる。

『逃げろ』と。

急いで教室から出ようとするが何故か教室の前列と後列くらい離れていた僕と白梅さんの距離がなかったことにされている。

キングクリムゾン、ボスかっ!?

気づけば白梅さんに襟元を後ろからつかまれていた。

 

「えっと…何でしょうか?」

 

「あなたたちは二人してそんな嘘で白粉さんを侮辱するのですね?彼女の作品にそんな不快なタイトルはありません。

そうですか…怒っていいですよね?」

 

佐藤君が、手を合わせて僕を見ている。

ま、まさかこいつ!

少しでも自分への怒りの矛先を変えるために、たまたま見つけた僕を巻き込んだのか!?

 

「何を私を無視して二人見つめあっているんですか?

まさかあななたち、自分たちが同性愛であるということを隠すために白粉さんを巻き込んでいるのではないですよね?」

 

「そ、そんなわけあるか!」

 

僕は心の底から叫ぶ。

ありえるかそんなこと!

昔も今も生前も、女の子が好きだわ!

 

「では、どうしてあなたたちは仲良く手をつないでいるのですか?」

 

「…はい?」

 

何故か、佐藤君が僕の手を握っている。

そして佐藤君は僕の後ろに隠れるような位置にいる。

直感で分かった。

こいつ、僕を生贄にして逃げる気だ。

弁当争奪戦よろしく、僕がやられている隙に逃げる気だ。

 

「そうですか。

嘘までつきますか。

怒ります。」

 

さ、さ、さ、さとうううううううううううううううううう!!!!!!

 

 

 

 

しこたま殴られました。

まさか争奪戦以外でこんな目に合うなんて。

 

最後の意地で佐藤君の手だけは離さなかった。

絶対に逃がす気はなかった。

それが理由でクラスメイト全員から

『あんなにボコボコにされているのに、それでも手を放さなかった』

ということでめでたくホモカップルと噂されるようになった。

死にたい。

 

満身創痍の中、佐藤君がとどめを刺してきた。

白粉という女の子、あの時僕と佐藤君を見ていた女の子は本当に『筋肉刑事』なるホモ小説を書いているらしく、登場人物は僕と佐藤君が主役らしい。

すでに4作目まででており、少なく見積もっても4回は穢されていることになる。

女って怖い。

 

だけど、佐藤君、お前だけは許さない。

 

 

 

 

 

 


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