ベン・トーの世界に転生者がいたら   作:アキゾノ

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他に書いている作品がシリアスすぎて筆休め的な感じで書いてます。
見ている人からしたら「ベン・トー」の素晴らしい作品を害してしまうかもしれませんので、それでもおkと言う方のみよろしくお願いします!!!


プロローグ

需要と供給、これら二つは商売における絶対の原則である。

この二つの要素が寄り添う流通バランスのクロスポイント…その前後に於いて必ず発生するかすかなズレ。

その僅かな領域に生きる者たちがいる。

己の資金、生活、そして誇りを懸けてカオスと化す極狭領域を狩場とする者たち。

 

 

―――――人は彼らを狼と呼んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の人生にわずかな違和感を覚えたのは自分の母親に当たる人間が実は本当の母親ではないと知った5歳の時だった。

施設の子、捨てられた子と指をさされ笑われたと母親(仮)に伝えたところ帰ってきた言葉は

 

「え、いまさら何言ってるの」

 

だった。

まぁ世間一般で言う大家族が13人ないしは20人くらいだとすれば、確かに僕の家族、というか一緒に生活する人間の数は30人を超えているから、多いなぁ・・・もしかしたらいつかTV局が来てうちも取材してくれるかもしれないと思ってた。

じゃなくって、どうやら僕は施設の子らしい。

いわゆる捨て子。

そんなに珍しくはない。

いくら日本は世界一平和な国だと言っても、あるところにはあるのだ、こういう話は。

見ないようにしているだけなのだ、そういう見たくないものを。

かくいう僕だって、あんまり不幸な話は好きではない。

いじめられるのだって好きじゃない。

僕を施設の子だと笑ってた子たちだってきっとそうに違いない。

他人を不幸だと笑うことで自分は幸せだとそう感じたいだけなのだ。

至極当然、この世は弱肉強食なのだ。

だから笑ってきたその子たちを武藤敬司よろしく、超低空ドロップキックをかまして泣きながら帰っていく姿を見て傷ついた心を癒したのは悪くない。

 

・・・また話がそれた。

施設の子、まぁそれは良い。

親だって人間だ。

きっと止むに止まれない事情があったのだ。

超大作ラブストーリーもびっくりな壮絶な理由が。

施設の母親、というか年齢的には60歳くらいなのでおばあちゃんに理由を聞いてみた(そもそもこんな年のいった女性が母親だと言われた時点で気づくべきだった)。

 

「あんたの両親は、徳川埋蔵金を探しに行くって言ってた」

 

開いた口がふさがらなかった。

なんでやねんと、生まれて初めて関西弁が出た。

徳川埋蔵金…どうやら僕の本当の両親は学がないらしい。

その遺伝子を受け継いでると思うと涙が出てくる。

部屋で一人泣いていると、同じ施設の子供たちが慰めてくれた。

優しい子たちだなと、それだけが救いだった。

だが両親、もし会うことがあればハンセンばりのラリアットをかましてやる。

 

さて、少しだけ僕の身の上話をさせてもらったが実は今話したことは地球の歴史でいう、ジュラ記とかその辺の話だ。

5歳の人間が何を言ってるんだってきっと思うことだろう。

僕だってそんなこと言う5歳児がいたら関わり合いになりたくはない。

しかし、これは本当の話だ。

5歳になってようやく理解した。

見たことない街の景色だけど、新しいと感じられたことはない。

他の子どもたちが目を輝かせるゲームやカードを僕はあらかじめ知っていた。

施設の子たちが回し読みをしている単行本コミックで、悟空はどうなるんだろうなどと言っている無邪気な言葉にもその先を知っている僕からしたら会話に混ざれなかった。

 

僕は転生者だった。

 




とりあえず簡単にプロローグを。
これからもどうかよろしくお願いします!

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