ポケットの中の英霊   作:ACT 07

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1週間も更新せずにfate/goやってました。そのかいもあり見事に無人島の開拓は終了しました←遅すぎだろ。

今回の戦闘描写に四苦八苦しながらもなんとか出来上がりました!
楽しんでいただければ幸いです。


ACT 05 弓兵

僕たちはさっきまでいた教会を壊したやつと対峙している。

 

「ふむ……。さっきの攻撃で仕留めたかと思えば、まだしぶとく生きているか」

 

そいつは一言で言い表すなら‘影’。

人の形をした影だ。

だが、その影から発せられる殺気は紛れもない本物だ。

まさか。こいつが……。

 

「アーチャー。私に向かってどういうことを言ってるのよ」

 

その言葉を発したのは遠坂さんだ。

 

「凛。悪いが私はもう君のサーヴァントではない。君が私のマスターでなくなった以上、私を縛った令呪の効果も意味をなさない」

 

「くっ」

 

その言葉に歯噛みする遠坂さん。

この一連の会話から察するに遠坂さんとあいつはマスターとサーヴァントの関係だったんだろう。

 

「ほぉ。そこの君は随分と珍しいものを持っているじゃないか」

 

アーチャーと呼ばれたサーヴァントが僕に……正確には胸ポケットに視線が突き刺さる。

咄嗟に胸ポケットを抑え半身になる。

衛宮を一瞥した後僕を見ていう。

 

「ふっ。どうやら、そこに突っ立ている衛宮士郎よりもできそうだな」

 

「そうれはどうも」

 

苦笑いを浮かべながらそう返すしかなかった。

 

「さて、私もやらねばならないことが山積みなのでね。手短にするとしよう」

 

言い終えると同時に全身を走る悪寒。

 

「悪いが、三人はここで朽ち果ててもらおうか」

 

弓兵の双剣がその牙をむいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ACT05 弓兵

 

 

 

 

 

 

 

言い終えると同時に飛びだしたアーチャー。

それに反応し衛宮が同じ双剣を生み出しつばぜり合う。

 

「私の投影を模倣したか。だが、イメージ通りの外見、材質を保とうが構造に理がなければ私を倒すことなどできない!」

 

アーチャーが力押しで切り結んでいた衛宮を払う。

それと同時に衛宮の剣が破壊され後ろに後退する。

その隙に気配を感じさせずに背後に立ち回り背後から一撃で葬るための発勁を――――――――

 

「私が、衛宮士郎だけに気を取られていると思ったか?」

 

放つ前にアーチャーの回し蹴りが腹部に突き刺さる。

回し蹴りを受けた僕は4m近く吹き飛ばされる。

くそっ……なんてやつだ。

後ろに目でもついているのか?

痛む腹部を抑え立ち上がる。

まともに喰らってもいい代物じゃないぞ。

でも、ここで伸びていたら死ぬ。

 

「衛宮! 同時にかかるぞ!」

 

叫びながらアーチャーめがけて走る。

2対1で卑怯なんて言うなよ! そうでもしないと勝てるかすらわからないんだからな!

遠坂さんも指先から黒い弾丸みたいのを打ち出しているがそれもアーチャーに弾かれるか受け流される。

その援護もあり僕は右脚を強く踏み込みアーチャーの懐に迫る。

アーチャーは懐に攻め込まれる前に右手に持っていた白の剣を横凪に一閃し僕の足を止めさせる。

その間に衛宮が再び白と黒の双剣で切りかかるも数回打ち合ったのちにアーチャーに破壊される。

くそ! 攻めきれない!

 

元々、八極拳とは極めて近距離で戦うことを旨に置かれた武術だ。

その様相は『陸の船(動かないもの)』と形容されるほどに射程が短く、自分の腕の届く範囲が最大効果範囲だ。

逆に言えばこんな近距離だからこそ相手の防御を崩せるのだが『接近短打』を主に置いているために攻撃できる範囲がどうしても短い。

だがその射程に入り技が決まれば相手は吹っ飛ぶかそれに耐えたとしても内臓を経絡系を外から破壊する、まさに一撃必殺と言っても過言じゃない。

言ってしまえば、ゼロ距離で相手に向かって大砲をぶっ放つ一撃必殺命みたいな。

初見でそれを見破れるとは思えない。

それに、相手の懐に入り込んでから攻撃するパターンなど山ほどある。

でも、アーチャーはまるで僕が八極拳を使うことを知っているかのように、懐に入らぬように双剣を振るう。

 

「くそ!」

 

無理に突き出した拳を剣の側面で受け流され、お返しとばかりに鋭いけりが再び突き刺さる。

僕は再び吹き飛ばされるがすぐさま立ち上がろうとするがすぐには立ち上がれない。

くそっ! 内臓にさっきの一撃が響いてる。

衛宮は白と黒の双剣を生み出してはそれをことごとく破壊され斬りかかるアーチャーに再び同じ剣を生み出して重ねてガードする。

しかし、ガードした剣はすぐに砕け散る。

そしてあの剣を生み出すたびに衛宮はひどく疲弊している。

 

「ふん。どうやらその魔術行使に体がついてきてないようだな」

 

「う、うるさい! お前に言われなくても俺は……!」

 

衛宮が新たに剣を生み出す。

それをアーチャーが破壊する。

新たに生み出す。

破壊する。

 

この繰り返しだった。

くそ……情けない。なんのために10年も鍛錬を重ねてきたんだ……。

 

「ぐだおくん。あなた大丈夫なの!?」

 

僕の方に走り寄ってきた遠坂さん。

 

「僕は、大丈夫……ごふ!」

 

口から血を吐いてしまう。

やばい。内側に響くな……。

 

「そんなので大丈夫なわけないでしょう!?」

 

情けない。本当に情けない。

遠坂さんが宝石を取り出して僕に回復魔術?をかける。

 

「遠坂さん……」

 

「何よ。今はじっとしてなさい!」

 

「たぶん、衛宮の奴はもう持たない。だから、一流魔術師の遠坂さんに頼みがあるんだ」

 

「何よ……場合によっては張り倒すわよ」

 

マジすか……。

でも、これは一か八かの賭けだ。

 

「僕の考えに乗ってほしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

これで、いくつ目の投影だろうか?

投影するたび減っていく少ない魔力。

打ち合う度に分かる剣の構造。

それを打ち消すばかりの地獄……。

打ち合う度に見せられるのは1を殺し9を生かすという合理的なことだった。

 

「ふん!」

 

「がぁ!」

 

アーチャーの力に押し負け俺の投影した干将獏耶は砕け散る。

 

「ッ! お前は、俺の一体何なんだ!」

 

自然と漏れた疑問。

お前は、本当に……誰なんだよ。

 

「愚門だな。衛宮士郎、一つ言えることは借り物の理想をいつまでも抱いているようならば。理想を抱いて溺死しろ!」

 

アーチャーが干将を振りかぶる。

 

「うるさい! 俺は、俺は正義の味方になるんだよ! あの夜、爺さんと約束したんだからな!」

 

俺はそれを干将で防ぐが相手は腐っても英霊。

並の人間が受けきれるはずもなく大きくバランスを崩す。

そして勢いよく放たれる蹴りが腹部に突き刺さる。

 

「かはっ!」

 

「士郎!」

 

俺は何度も地面をバウンドしながら遠坂に受け止められる。

くそっ……。

何度も打ち合う度分かるのは絶対的な差。

でも、何故だろうか。それでも、あいつには絶対に負けたくないと思う俺がいる。

 

「ぐっ……」

 

腹部を抑えながら悶絶する。

その間に遠坂からの念話に耳を傾ける。

 

……分かった。

遠坂を、ぐだおを信じる。

俺は、干将獏耶を再び投影する。

たぶん俺の投影できるのは干将獏耶6本がせいぜいだ。

 

ならばやることは決まっている。

そのすべての力を次の一撃にすべてをかけることだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

いい、士郎。これは本当に一度っきりの大博打よ。失敗したら本当に後がないんだからね。それだけはしっかりと覚えておいて

 

 

「躱さないでよね。高いんだから!」

 

遠坂さんが毒づきながら詠唱をしてアーチャーめがけていくつもの宝石を投げる

 

Sechs(六番),Ein Flus, einHalt(冬の河)!」

 

それをアーチャーは双剣で迎撃。宝石を難なく破壊していく。

するとその破壊された宝石はアーチャーを含めの周りを一瞬にして凍り付かせる。

 

「よし! かかった!」

 

渾身のガッツポーズを決める遠坂さん。

そして間髪入れずに次の宝石を投げる。

 

Funf、,Drei、,Vier(五番、三番、四番)……!

Der Riese und brennt das ein Ende(終局、炎の剣、相乗)――――――!」

 

「くっ!」

 

煌びやかに光った宝石は、アーチャーの体に張り付いた氷が彼の動きを阻害して、迎撃は不可能にされた。

ここで初めてアーチャーから苦悶の声が漏れる。

アーチャーは遠坂さんの炎の攻撃をまともに受けた。

爆炎が辺りを包み込む。

やったか……?

 

「さすがは五大元素使い(アベレージ・ワン)。といったところか」

 

煙の中から聞こえる声からして大してダメージを受けたような感じには見れないアーチャーだった。

 

「凛。残念だが、あの程度では目くらましにしかならんぞ」

 

残念だけど、その目くらましで十分なんだよ!

 

「はっ!」

 

衛宮が両手に持っていた白と黒の双剣をアーチャーめがけて投げつける。

白と黒の剣は互いにひかれあいアーチャーを中心に交わる。

 

「言っただろう? 目くらましにしかならんと。それぐらいはお見通しだ」

 

そういって弾かれ砕かれる衛宮の4本の剣。

 

「次に来るのはお前であることは読めている!」

 

正面から飛びながら切りかかりアーチャーが迎撃態勢をとる。

そして衛宮が切りかかる前に衛宮めがけて振りあげられる白い剣。

白い剣は衛宮の体を切り裂いた。

 

「!?」

 

正確には切り裂いたと錯覚させられた。

 

「まさか……!」

 

「そのまさかだよ!」

 

アーチャーが僕の姿を確認したときは既に遅い。

震脚を踏み相手との間合いを氷の上を滑るように一気に詰める技。

その名を活歩(かつほ)という。

アーチャーが距離を取ろうと体重を後ろに乗せる。

射程範囲内に入ったアーチャーを僕は絶対に逃さない。

 

「発勁」

 

アーチャーめがけて放たれた極限の一撃。

それは例え英雄であろうと効果はあられる。

どんなに優れていようと同じ人間だ。

今は影となっていようが実体があるなら……。

 

「がはっ!」

 

僕の一撃を受けたアーチャーは字のごとく至近距離で大砲で撃たれたかのように吹き飛ぶ。

 

ここで種明かしをしよう。

さっき、アーチャーが衛宮を切り裂いたと錯覚したのは遠坂さんが仕込んだあの攻撃にある。

遠坂さんの最初の氷での攻撃。

そこで生み出された氷を次の炎の攻撃で溶かされた時に出る『水蒸気』を使った陽動。

水蒸気によって生み出された虚像をアーチャーは実像だと勘違いした。

勘違いさせられたのだ。

虚像を実像に勘違いさせられたのは遠坂さんのガンドを受けたからだ。

遠坂さんが指先から放っていたのが『ガンド』と呼ばわれるものらしい。

ガンドは当たると相手の体調を崩させるものらしい。

そのガンドのせいでアーチャーは自分が気付かないほどではあるが感覚が鈍ったからだ。

そこで衛宮の三連撃での攻撃。

これはガードする。いや、してくる。と踏んだ。

そのガードに気が回っている間に活歩で僕の有効射程内まで接近。

最後に僕が研ぎ澄まされた極限の一撃を叩きこんだわけだ。

 

「まさか、本当に成功するとは思わなかったわ」

 

遠坂さんが嘆息しながら僕に言う。

 

「僕も本当に成功するとは思わなくて」

 

「お前な……。俺は虚像とはいえ切り裂かれたんだぞ……」

 

実は僕の中でのこの作戦は本当に博打に近い。

どこか一つでも失敗すればゲームオーバー。失敗は何一つ許されない極限状態での作戦だ。

それをやってのけた遠坂さんと衛宮は本当にすごい。

 

「早くここから離れよう。アーチャーの攻撃には手応えは感じたけど、まだ安心できないから」

 

「それもそうね」

 

僕の意見に賛同する遠坂さん。

こうして僕たち三人は衛宮を先頭に次に遠坂さん最後尾に僕という順で歩き始める。

少なくとも遠坂さんは女の子だ。

僕たち男が守らずにして男は名乗れない。

って衛宮は恥ずかしそうに言っていた。

 

そして、ふと思う。

離れるといっても僕らはどこへ行けばいいんだろうか?

一瞬、僕の視界に何かが移った。

……気のせいか?

 

「それよりも、遠坂。次はどこを目指すんだ?」

 

衛宮が振り返りながら遠坂さんに聞く。

僕。要らないんじゃないの?

 

「そんなのわからな――――――士郎! 危ない!」

 

「え?」

 

遠坂さんが衛宮を突き飛ばす。

次の瞬間、遠坂さんの左胸に短刀が突き刺さっていた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

Death surprises us in the midst of our hopes.

 

 

 

 




こんなに長い戦闘描写は初めてです……。
え? 凛ちゃんが気になる?
それは置いといてですね。最後の英語は聖書より抜粋しまして、意味は……ネタバレになるのでここでは伏せておきます。
どこかおかしな描写がありましたご報告をお願いします。

fate/goの無人島の開拓が終わったら次は海か……。
追加で邪ンヌの水着を期待した私がバカでした。結局追加なしですか! なんでアルトリアはあこそまで贔屓さえれるの!? やっぱり型月ヒロイン補正ですか!? 
うわぁーん! 庄司のばかぁぁああああ!




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