ポケットの中の英霊   作:ACT 07

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ええー!?
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わ、私驚きでぶっ倒れそうです。
皆さん、ありがとうございます!
人生初の戦闘描写に挑戦です。
みなさんに楽しんで貰えれば良いのですが……


ACT03 葛藤と覚悟

理解できなかった。

今、ここで起きたことが。

一瞬空がピカッ! って光ったと思ったら僕は爆風に揉まれてグラウンドで何度も転がる。

頭を打ったのか僕はしばらく気絶していたようだ。

そして、改めて目を覚まし辺りを見回す。

この光景は一度見た。

何度も夢に見た悪夢。

辺り一面を埋め尽くす炎。

充満するは死の臭い。

僕は思わず四つん這いになり手を口に当てこみあげてくる吐瀉物をこらえる。

 

なんなんだよ……なんで。

なんでまた……。

僕は……僕は……ぼくは……また……。

 

「落ち着きなさい。そして周りを否定しなさい」

 

胸ポケットから聞こえた凛とした声。

僕の相棒たるアヴェンジャーからだった。

 

「で、でも……」

 

「口答えしない。次に弱音を吐いてみなさい。弱音をはけなくさせるわよ?」

 

珍しくアヴェンジャーから言われたのは彼女なりの励ましの言葉だった。

……そうだね。

僕は吐き気を堪えながらゆっくりと立ち上がる。

 

「そうよ。あんたは弱音なんて吐かずに、前を見てればいいのよ」

 

アヴェンジャー。

 

「何よ。なにかやるの? 人命救助なら止めておいたほうがいいわよ。見てのとおりあんたの学び舎は見事に崩壊。あたりには火の手が上がっている。これで生きてるほうがおかしいわよ」

 

でもね、アヴェンジャー。

10年前の僕もこんな状況から助けを待っていたんだよ。

誰か助けてくれるって信じてさ。

 

「って本気で言ってるの? ……ふん、勝手にしなさい」

 

ありがとう。

僕は崩壊した学校へ向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

ACT03 葛藤と覚悟

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰かー! 誰かいないのか!? いるなら返事をしてくれ!」

 

瓦礫をどかし、どかしきれないものは少し乱暴だが鍛え上げた拳で破壊する。

 

「くそっ!」

 

どかしても壊しても出てくるのは瓦礫ばかり。

 

「だれか! ……誰か! 出てきてくれ! 生きててくれッ……!」

 

絞り出すように声を荒げ瓦礫をひたすらどかしていく。

 

 

 

どれだけの時間がたっただろうか。

結局、この崩壊した学校から出てきたのはたくさんの瓦礫と数名の生徒たちの亡骸だった。

全員を知っているわけでもないが、顔見知りの人もいた。

 

「………」

 

僕はその場に力なく座り込む。

結局、誰一人。僕は助けることができなかったよ。

ねぇ。アヴェンジャー。

 

「……なによ。私は死者を弔うなんてそんなことはしないわよ」

 

そうだね。なら、せめて埋葬してあげよう。

 

「勝手になさい。私は手伝わないわよ」

 

そういって胸ポケットから飛び出すアヴェンジャー。

僕の邪魔をしないためかな?

 

……よし。やろうか。

僕は立ち上がり穴瓦礫の中から使えそうな木の棒で穴を掘り始める。

すると、僕の隣でアヴェンジャーが自分の剣で穴を掘り始めた。

 

「アヴェンジャー……」

 

「か、勘違いしないで! わ、私はあんたが大変そうだから手伝ってるんじゃないから! き、気が向いただけよ!」

 

するとアヴェンジャーは顔を真っ赤にしてそっぽを向きながら穴を掘り続ける。

思わず笑みが顔から漏れる。

相変わらず素直じゃないな。

こんな時でも、アヴェンジャーはアヴェンジャーだな。

 

「……ありがとう。アヴェンジャー」

 

素直にお礼の気持ちを伝えると顔を更に真っ赤にして物凄い速さで穴を掘る。

もう君が入るほどの穴になってるじゃないか……。

 

アヴェンジャーも手伝ってくれたこともあり、僕が見つけることができた人たちを亡骸を全員埋葬する。

 

僕は両手を合わせる。

それをしり目にアヴェンジャーは身体に着いた泥や汚れを落としている。

そしてある程度、綺麗になったのを確認した後に僕は彼女を胸ポケットに入れる。

 

「で、これからどうするわけ?」

 

胸ポケットに入るないり次のことを聞くアヴェンジャー。

 

「とりあえず、一旦、教会へ戻るよ。神父のことも気になるしね」

 

「賢明ね」

 

短い会話を終え教会へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

ずぉ……。

 

そしてこの世をさまよう亡者は動き出す。

この世に対する強い未練を持って。

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

僕は走って教会へ向かう。

その間にも生存者がいる可能性を信じて叫びながら。

しかし、一向に生存者は見つからない。

 

「……あんたが思いつめる必要なんてないわよ。人間はいつか死ぬのよ? そんないちいち考えてたらあんたこの先、潰れるわよ?」

 

別に潰れたっていいさ。

僕は、今の僕からすれば生きてること自体が地獄だよ。

 

「「!」」

 

僕とアヴェンジャーが後ろから感じたのは殺気。

反射的に右へ地面をけり相手と相対する。

 

「なんでだよ……」

 

思わず口から零れたのは素直な言葉だった。

相手は手に武器を持った骸骨。

それだけならば僕は「なんでだよ」なんて言葉は出ない。

なぜなら……。

 

「ちっ。ずいぶんと忌々しいわね。懇切丁寧に埋めてあげた(・・・・・・)、こうして蘇られちゃわけないじゃない」

 

僕の言葉を代弁するように吐き捨てるアヴェンジャー。

そういえる決定的な証拠があった。

だって。

 

「なんでお前らが穂群原(うち)の制服を着てるんだよ!」

 

しかもその制服は泥に汚れている。

最早疑いようのない事実だった。

 

「ぐだお」

 

アヴェンジャーから珍しく名前(あだ名)を呼ばれる。

胸ポケットから顔を出し真剣な表情で伝える。

 

「こんなことを言いたくはないのだけれど、この際甘さを捨てなさい。非情になりなさい。そうしないとあなたの心情は嘘になるわよ?」

 

「ッッ!」

 

そんなこと言われても……!

 

「僕は……! 人を殺したくない!」

 

僕は無様にも相手に背を向け走り出す。

それと同時に骸骨たちも僕たちめがけ走り出す。

 

「なっ!? あなた、どういうことをしてるのかわかっているの!? 始めたことは終わるまで辞めないんでしょう!? 死者を弔うということを始めたなら最後までやりなさいよ!」

 

それでも……!

僕は……人を殺したくない! ましてや、同じ学校にいた人たちを殺すなんて……!

 

「僕にはできない!」

 

「あなたねぇ……!」

 

苛立ちの表情を見せるアヴェンジャー。

 

「誰も殺さないなんて甘ったれたこと言ってるんじゃないわよ! 相手はもう人じゃないのよ!? 何をためらう必要があるの!」

 

「でも……」

 

「ああ! もうあなたなんて知らないわ! そんなことを言ってるようなら、その理想を抱いて溺死なさい!」

 

そういい捨てるとアヴェンジャーは僕の胸ポケットから飛び出し骸骨たちと対峙する。

無茶苦茶だ! その小さな体で何ができるんだ!

僕は急ブレーキをかけ立ち止まる。

 

「小さいとはいえ私はサーヴァントよ? 情けないあなたぐらい守れるわよ!」

 

腰から剣を抜刀。

骸骨たちに突貫していく。

ダメだ……。

ここで彼女をいかせたら僕はきっと後悔する。

でも。人は殺したくない……。

僕はどうすればいいんだ……!

 

「アヴェンジャー!」

 

どうすれば……!

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

あいつの情けない姿。

本当に見てられないわ。

それにしても景気よく飛び降りたけれど、どうしようかしら。

私の本来の宝具である旗はあいつがポンコツなせいで使えないし。

ステータスも本来の半分以下だ。

おまけにこの体格でどうやって勝とうかしら。

 

私は剣を腰から勢いよく抜き、骸骨に向かって突貫する。

一番前にいた骸骨が勢いよく振り下ろした剣をサイドステップで躱し、剣の刃の上に乗り頭蓋めがけ駆け上がる。

剣から腕へ腕から頭蓋へ駆け上がると私は勢いよく剣を頭蓋骨へ突き刺し中から炎で爆散させる。

 

「喰らえ!」

 

ボンッ!

 

文字通り四散した骸骨を見て気を抜いた私がまずかった。

 

「っっ!」

 

爆炎から出てきたのは次の骸骨。

槍を突き出し私を貫かんと迫る。

体中にすぐさまガードするように命令を出すが間に合わなかった。

 

「くっ!」

 

骸骨の繰り出した槍は私をかすめるように通り過ぎたがそのせいで私は後ろへ転がる羽目になった。

私はすぐさま起き上がり、ぶるぶると顔を振り前を見ると骸骨が私を捕まえようと手を出してきた。

後ろへ後退しようとするがさっきの攻撃で頭を打ったのか視界がぼけている。

案の定、私は骸骨の手につかまる。

 

「かはっ!」

 

加減ってものを知らないの!? こいつは!

私を握りつぶさんと更に骨に力を籠めはじめる。

 

ああ。柄にもなく何やったのかしら。私は……。

ぼやけている視界で最後に見たのは私を握りつぶそうとしていた骸骨を自慢の拳で殴り飛ばすあいつ(ぐだお)の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

僕は彼女を握りつぶそうとしていた骸骨の腕手刀で断つ。そしてアヴェンジャーを手から解放させた後、流れるように胸ポケットに入れ、最後に右の拳で頭蓋を殴り潰す。

僕はとんでもないバカだ。

相棒の彼女が戦っていたのに僕は茫然としていた。

彼女が僕の為に戦っている。

それなのに、相棒の僕が戦いわないのはおかしい。

 

「ごめん。アヴェンジャー……情けない姿を見せたね……」

 

返事はない。

さっき確認したけど、息はあった。

少なからず死んではいない。

 

「ごめん。みんな……」

 

謝罪の言葉を骸骨たちへ言う。

そして言い終えると同時に前を踏み出す。

目の前にいた剣を手に持っている骸骨が剣を横凪する。

僕は骸骨が横凪するより速く相手へと肉薄し力強く足を踏み込む。

そして肘を頭蓋へと打ち出す。

 

「……発勁」

 

震脚で貯めた爆発力を自分の体から相手の体へ衝撃を与える技だ。

震脚を基本動作とした八極拳の基本技にして僕の最も得意な技。

発勁をまともに受けた骸骨は吹き飛ばされ周りの骸骨たちを巻き込みながら力なく倒れる。

 

「みんなごめん……僕は。まだ死ねない。だから――――――」

 

 

必要最低限の攻撃で君たちを葬ろう。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

気が付くと、私は見慣れたところにいた。

 

「……あいつの胸ポケット」

 

いつも自分が陣取る慣れ親しんだ場所にいる。

夢ではない。

私はいつも通り胸ポケットから顔を出す。

そして斜め上を見上げると、あいつが泣いていた。

 

「くっ……ううっ……」

 

袖を濡らしながら泣いている。

……こいつの泣き顔。

本当に笑えるわね。

無様な面で鼻水たらしながら泣いて。

 

でも、今回ので改めて分かった。

あいつは……生に関する意識が歪んでいる。

自分を殺してさっきの骸骨たちを倒した。それでもあいつは、初めて人を殺したというだろう。

あのような異形を人として認識している。

そして今。罪の意識から苦しんでいる。

罪に感じる必要性はないにも関わらずに。

 

……ぐだお。

 

「ぐすっ……? どうした、アヴェンジャー?」

 

……さっきはあ、ありがとう。助かったわ。

 

「……どういたしまして」

 

涙をぬぐい無理やり笑顔を作るぐだお。

……バカ。

こういう時は、私に頼ってため込んだもの吐き出しなさいよ。

 

本当に、バカ。

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

そして少年は葛藤し覚悟を決める。

 

 

この覚悟が運命の歯車を加速させる。




自分なりに頑張って書いてみたのですが難しいですね、戦闘描写。ラノベ作家はどうやってあんなにうまく書いてるんでしょうかね?

それよりもFgoで水着イベ始まりました!
早速回すと……
私「邪ンヌの水着ないのに回す必要ないよね? でも水着は欲しいな……ポチ(10連)」
モーさん「やっほー! マスター! 遊びに来たぜ!」
私「邪ンヌ連れてきなさい」

追加で邪ンヌの水着はないのかぁぁぁ!

戦闘描写、言動などでおかしな点がありましたらご報告お願いします

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