俺がPだ   作:あおのん

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Cランクへ

 

 

 

 

 

 

 目が覚めたらプロデューサーだった。

 

 

 

 

 

 

 何を言ってるかわからねーと思う。俺もだ。

 

 

「プロデューサー? ボーっとしすぎだぞ」

「ああ……悪い、響」

 

 

 そう言って突っ立っている俺の目を下から覗き込んでくる黒髪ポニーテールの女の子──我那覇響。

 

 

 

 

 かわいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!! いや天使なんだが!?!?!?!? 響ちっちゃい!! ちっちゃいから下から凄いこうね!! 上目遣いなわけですよ!!! ああってかもうアホ毛ぴょこぴょこ揺れてるのめちゃんこかわいい!!!!!

 

 

 

 なんて内心が悟られてはいけない。返事をした俺は響に微笑みかけてから表情を戻し、改めて話しかけた。

 

 

 

「さて、響。Cランクのランクアップライブだ……いけるな?」

「へへん、勿論だぞー! だからプロデューサーは大船に乗ったつもりでいてよね!」

「ああ。じゃあゆったり海でも眺めさせてもらおうかな」

「いやプロデューサーは自分を見てないとダメだぞ!」

 

 

 

 響可愛以下略。大丈夫、穴が開くくらい見てるよいつも。これほんと。プロデューサーって全てにおいて特等席なんだぜ。ライブ後に疲れて車の高等部座席で居眠りしてる時の響のかわいさ知ってんの? もう無駄に遠回りして帰ったよね。時が止まればいいのにって感じだったわ

 

 

「いやそういうことじゃ……って、そろそろ時間だな。よし行ってこい! ずっと見てるから」

「うんっ! やってやるさー!」

 

 

 知名度も少しずつ上がってきたDランクアイドル、我那覇響。

 

 元気に舞台袖から飛び出していく彼女は、眩しくて、キラキラしていて。

 俺はその背中を眺められることを本当に幸せだと感じた。

 

 

 あ、いやちなみにそのサイドには美希と千早がいるんだけどな。ランクアップライブの時は他のアイドルは静かである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、どうして俺が『アイドルマスター プラチナスターズ』というゲームの中の世界にいるのか。

 どうして俺が765プロダクションの新人プロデューサーとなっているのか。

 俺はもともとどんな人間でどんな所に住んでいたのか。

 

 どうして俺はこの『ゲーム』を知っているのか。

 

 

 まだまだ謎な要素が多い。ふと目覚めたら社長室で担当アイドルを選ぶように言われ、アイドルマスターというゲームの中の世界を知っていた俺は直感で響を選んだ。

 あれよあれよというままに流されて気づいたら響をプロデュースすることになっていた。

 

 

 

 

 俺には前世らしき記憶の一部がある。

 

 だが住んでいた場所、自分のこと、家族、友達……そういうものは一切思い出せないのである。

 

 

 といってもこの記憶が目覚めてからまだ一年も経過していない。目覚めてすぐは知らない知識に怯え、脳外科にも行ってしまったほどだ。何の以上もなくただの疲れでは? と一蹴されてしまったが。

 

 

 

 さて、記憶にはエピソード記憶と意味記憶というものがある。といっても最近調べてしったばかりなのだが。

 

 ざっくり言ってしまえばエピソード記憶とは感情に関わる記憶……つまりどんなことをどこで体験してどう思ったか、そんな記憶のことである。普通『記憶』という言葉でよく指されるのはこちらの記憶の方である。

 

 意味記憶はいわゆる知識などのことを指す。日本語、世界地図、歴史、数学、その他もろもろ……そして俺が知っている『アイドルマスター』という作品。こちらもプレイしたなどというエピソード記憶は持っていないが、作品としてどのようなストーリーで、どのようなキャラがいて、どのようなコミュニケーションがあって、どのような曲があるのか。そんなことは知っているのである。

 

 

 

 どうやら俺はエピソード記憶がまるっと消えてしまっているらしい。

 

 いやむしろ意味記憶だけを前世──かどうかはわからないが、今持っている意味記憶を得た世界──から引き継いでいるようなのだ。

 

 この世界での俺は新卒一年目の社会人で。就職に失敗し町をブラブラしていたところ765プロダクションの高木社長にスカウトされ今に至っている。

 

 ちなみにここまでのエピソード記憶は残っている。家族、友人、学校、部活、受験……体験してないのに体験した記憶はあるというのはとても気味が悪いものだ。

 

 この世界での俺の名は……いや、いいだろう。俺はただの765プロの新人プロデューサーだ。アイドルからはプロデューサーと呼ばれ、社長からはキミと呼ばれるだけの存在である。

 

 

 

 さて、まあ何はともあれ俺の記憶が目覚め、響のプロデュースを初めてそろそろ一年……ようやくCランクアイドルになれるところまでやってきた。

 

 『アイドルマスター プラチナスターズ』というゲームのとりあえずの目標は、アイドルをBランクにして、エクストリームライブという特別なライブをアイドル達に成功させることである。

 

 そのために、ライブを開催し、営業をかけて、レッスンをしてアイドルを鍛えていくものなのだが……。

 

 

 

 

 いや、まあいい。今は響を見ていよう。

 俺はステージでファンを魅了する自分のアイドル達に意識を移した。




いや響かわいくなりすぎなんだよなぁ……結婚しよ。
とりあえず響美希千早をAランクにしたので投稿。

やる気があれば続けます。

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