side禊
修学旅行が終わり、俺は、お土産を持って、学校から家への道を通っていた。
「はぁ〜楽しかったな…」
俺は、そんなことを呟きながら歩く。そして、あと少しで家だというところに、消防車が止まっていた。
「え…」
俺は、驚きのあまり、手に持っていた荷物を落としてしまう。
「なんで…」
俺は小さくそう言うと、家に向かって走る。
「コラ!君!!!見たらダメだ!!!」
俺が家の中に入ろうとすると、消防士の1人に止められてしまう。
「退いてくれ!!!あの中に家族がいるんだ!!!ドケェ!!!!」
俺は、なんとか消防士を跳ね退ける。すると、そこには、もう人の原型をとどめていない、黒焦げの死体があった。悔しみのあまりに涙を流す。そして、空を見上げると、コウモリの羽を生やした男が飛んでいた。
「あ…ハッ……そうか…また…お前達なのか……また俺から奪うのかよ…」
俺はそう呟くと、消防士を押し除け、男の所に向かう。
「やはり…一人足りないと思ったら、お前だったか…小僧」
俺が人気のないところに入ると、男は空から降りてくる。
「なんで家に火を放った」
俺が問うと、男は正直に答える。
「あの夫妻は、教会の人間で、尚且つ武器を作っていたそうだからな…本当はあの二人だけでよかったんだが、もう1人は俺を見たからな…殺させてもらった」
もう一人というのは、姉さんのことだろう。その言葉を聞いて、俺の中の何かが崩れた。
「あぁ…もういいよ……守るって選択が間違いだったんだ……」
俺は下を向きながら、そう言うと、胸に手を置く
「貴様…何を言っている」
俺の発言が不思議なのか、男は俺に問う。
「そうだよなぁ…あいつらは全て奪う……だったら……俺だって奪ってもイイよなぁ!!!」
俺は笑いながら答える。そして、俺は胸から、一つの杯を取り出す。
「運命の杯よ…」
俺はそう言うと、その杯に、一番最初に手に入れたカードを入れる。
「さぁ、纏え…
すると、杯から黒い泥が俺へと放たれる。すると、俺の髪の毛は白くなり、黒い衣を纏った姿になっていた。
「なんだ…その姿は…」
男は怯えたように言う。それはそうだ。その姿は、以前カードを使った時よりも恐ろしい姿だったからだ。
「ハハッ!!!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!!!!!!!!!!!」
俺は大声で狂ったように笑う。
「クソ!!!」
男は、俺に背中を向けて逃げる。
はぁ〜馬鹿な奴。敵に背中を見せるなんて…
「この世の全ての悪を一身に浴びるがいい!!!」
俺はそう叫ぶと、俺の周りにある醜悪な呪いの泥が、悪魔の方に向かう。
「グァァァァァァァァァァァ!!!」
泥が悪魔を包む。その中から悪魔の悲痛の叫び声が聞こえる。俺はその声を聞くと、自然と笑みが溢れる。
「ハハハハッ!!!絶望と恐怖と痛みの声……その声だぁ!!もっとだもっと聞かせろ!!」
そうして、泥から悪魔を出すと、その悪魔は、既に死んでいた。
「あ〜あ、あっけないなぁ〜もっと楽しませてくれよ〜さぁ〜て、取り敢えず、最初に俺の家族を奪った悪魔でも殺しに行くかな…」
俺はそう言うと、冥界への門を開き、その中へと向かって行った。
side out
ある屋敷の中、其処には、赤い髪の女性と、炭によって汚れた少女がいた。
「はぁ〜なんとか間に合った……」
赤髪の女性は、少女を見てそんな事を呟く。
「貴女は?」
目を覚ました少女は、赤髪の女性に問う。
「私?私の名前は、ーーー。貴女の主人よ」
「え〜っと、私の名前は、四条彩乃です」