先に言っておきます。ヤバいです。保険としてR15タグをつけときます。
やりすぎた。でも手が止まらなかった。結果、納得のいくいい作品になった。という事で、砂糖嘔吐用にエチケット袋を用意しといてください。
それではご覧ください。
「着いたー!」
「やっとだな・・・」
電車の乗り換えを繰り返し、やってきたのは有名な温泉旅館だ。誕生日にもらった温泉旅行ペアチケットを利用させてもらっている。
「結構大きい旅館だね」
「そうだな」
俺らが泊まる旅館は、木造ではなく、近代的な風貌をしている。横にも縦にも大きい。
受付でチェックインを済ませ、俺らが泊まる部屋の鍵を渡された。部屋番号は88という奇跡。
「八兄ちゃーん!」
部屋に入り、荷物を置いた途端、八菜が突然俺の胸に飛び掛かり、抱き着いてきた。
「どうした?急に甘えだして」
そう言いながら、片方の手で頭を撫で、もう片方で八菜の背中に手を回した。
「やっと、2人きりになれたね・・・」
「そうだな。取り敢えず離れようか。座りたい」
2人で向かい合いながら、椅子に座り、窓から景色を眺める。大自然、さすがは温泉旅館だ。
「どうする?外行ってみるか?」
「んー、やめとこうかな。虫嫌いだし。室内の方がいい」
「さすが俺の妹だな」
「もっと褒めて♪」
ここで言う通りにしたら調子に乗ることもわかってるから、あえて何も言わない。
「なら、せめて旅館の中徘徊しようぜ」
「そうしよっか」
旅館って、皆は卓球台とかレトロゲームが設置されてるイメージがあるけど、実際その通りなんだな。ここ卓球台しかないけど。
折角なので、卓球勝負をすることに。
「よし、こい」
「うん。いくよ」
やる気十分の八菜。・・・だが、空振りの連続、当たっても明後日の方向へヒューン。俺はまだ一振りもしていない。
「うぅ・・何で・・・」
すっかり落ち込んでしまった八菜。・・・しょうがない、少しやる気と才能を発揮させるか。
「なぁ、八菜」
「ん?」
「俺に勝てたら、・・・・お兄ちゃんを好きにしていいぞ」
その瞬間、八菜は獲物を捉えたライオンのように、目がキランと光を出し、見違えるほど好戦的になった。いや、なってしまった。
「絶対に勝つ!」
あー、闘争心に火をつけすぎたな。こうなったら、相当厄介な相手になる。
・・・・・・
「うぅ~、負けたよ~」
あ、危なかったぁ。本当に負けそうになって途中から本気出した。八菜は俺を好きにできないことにかなり落ち込んでいる様子。ちなみに何されるか期待してたのは内緒だぞ。
「八兄ちゃんにあんなことやこんなことしたかった・・・・」
こんなにも恐怖と好奇心が煽られる発言が果たしてあっただろうか。
「ついでに聞くが、俺に何をするつもりだったんだ?」
「それはもちろん・・・・。きゃっ♪」
おい待て、何故顔を赤くした?本当に勝ってよかった。過剰なスキンシップやらボディタッチなら許せるけど、近親相姦レベルなことされると、さすがのシスコンな俺も黙っちゃいない。家族会議直行便だ。別に心配はしてないけど。
◆
「もう夕方だし。そろそろ温泉入ろうぜ」
「うん」
店員、いや旅館の場合、なんていうんだろう。まぁ、いいや。従業員に温泉へ案内された。右が男湯左が女湯。
「じゃ、しばらく離れ離れだな。楽しめよ」
「え?何言ってるの八兄ちゃん。離れ離れなんかならないよ」
・・・・はい?待て。急に頭が幼児にでもなったのか?さすがに男と女という字は読めるよな。
「私たちが入るのはこっち」
八菜が指さした先は、女湯のさらに左にある、緑色の暖簾がかかった温泉への入り口。あの場所も説明を受けたな。確か・・・家族風呂・・。
「八菜・・・お前な」
「え?家族だから問題ないでしょ?」
あー、それもそっかー。いやぁ、あまりに毎日妹といちゃつくから感覚麻痺してたよー。あははー。って違う!
「あのな、いくら家族でも俺ら高校生だぞ。心身ともに十分に発達してるんだよ。現にお前のその胸部は大学生を圧倒してんだぞ。いいのか?」
「いやん。八兄ちゃんったら・・・。見たいならそう言えばいいのに~もう!・・何なら、好きにしても、いいよ・・・・」
ごくり・・・。い、いいのか?・・・。だから違うって!
「ほ、ほら、決まっちまったもんはしょうがない。家族風呂行くぞ」
「いえーい!」
「は、八兄ちゃん!ちゃんと前隠して!?」
「おい。毎回俺の着替えを覗く奴にそれ言われても、どう反応したらいいかわからねぇよ」
八菜は体にバスタオルを巻いている。途中ポロリとかないかなぁ。と小さく密かに期待をしてしまう俺がいる。
「そ、そんなにジロジロみられると、嬉し恥ずかし!」
「はいはい。さっさと入ろうぜ」
「むー、八兄ちゃん反応薄い」
そりゃ、家でもたまにやられるんだから耐性くらいつくわ。
「おおー、中々気持ちいい」
「うん」
頭と体も洗い終わり、タオルを巻いて入浴中。温泉にタオル入れていいのか分からなかったけど、しょうがない。外したら、俺か八菜どっちかが暴走するかもしれない。
さてその八菜は現在、凄いところにいます。俺の隣でも、背中合わせで後ろでもなく、俺の前に背中を預けて座っています。めちゃくちゃ広いのに。
「~♪」
ご満悦の八菜。上気した顔が赤くて、艶やかになっている、んじゃ、さらに赤くさせよう。
「ほーれ」
「っ!・・・えへへ~」
八菜の腹に手を回して、抱き着く形にした。
「は、八兄ちゃん・・・・。もっと、上の方を触っていいんだよ・・・」
そう言って八菜は俺の手を掴み、腹部からさらに上の胸部に俺の手をもっていこうとした。
「それはダメだ!?妹の胸を揉む兄がこの世にいてたまるかぁ!」
「う~、私は構わないよ!」
「俺が構うわぁ!?」
何だこいつ!めちゃくちゃ力強くなってる・・・。クッソ、潜在能力をこんな変なところで発揮するな八菜!
・・・・・・・
数分の激闘の末、お互い一旦離れ、呼吸を整える。温泉入ってるのに疲れた。
「八菜、もう懲りただろ?」
「う、うん・・」
「じゃ、温泉を楽しもう」
「そうするよ」
八菜は我儘だが、物わかりはいい子だ。おとなしく温泉に浸かってくれるだろう。俺も疲れた体を癒そう。
「・・・隙ありぃ!」
「どわ!」
何て思ってた時期が俺にもありました。高校生にして兄に対する反抗期ですよ。
ただ、皆も思うんじゃないか?ここで俺が、『そんなことすると、八菜の事嫌いになるぞ』って言えば、丸く収まるんじゃないかって。
そんなことできるかぁ!冗談でも妹に嫌いとか俺が言いたくない!だってシスコンだもの。そして、それを言われた八菜はとんでもないことになるぞ。これは、昔の母ちゃんと八菜の出来事だ。中学時代の回想スタート。
『八菜、また八幡のシャツ盗ったでしょ!』
『だって、嗅ぎたかったんだもん』
『まあまあ母ちゃん。八菜も反省してるようだし』
『甘い。これで何回目だと思ってるの。そんなことしてると、八幡に嫌われるよ?』
『は、八、兄ちゃんに、き、嫌われ、る・・・』
泣いてそのままショックで倒れたんだからな。それ以降、俺関連の『嫌い』という言葉は、比企谷家で禁忌と認定されている。
そして現在は、腕を掴まれて、身動きが取れない俺と向き合う形で、八菜が俺の胸板に自分の顔をくっつけている。俺の腹部には、八菜の豊満な魅惑の果実が変形しながら、押し付けられている。
「お、おい、八、菜」
そのせいか、枯れたように、途切れ途切れな声になっていた。
「八、兄ちゃん・・・」
八菜はそのまま俺に顔を近づけてきた。・・・マズい、非常にまずい。妹とのマウストゥマウスなんて世間的にダメだ。・・・・ってあれ?
八菜は途中で、こくんと顔を下げ、俺の肩に額を当てた。
「きゅぅ~・・」
「って、のぼせてんじゃねぇか!?」
◆
「はっ!私は何を!ここは?」
「部屋だよ」
あの後、急いで八菜に冷風を与え、着替えさせ、ここまで運んだのだ。
「八兄ちゃんが着替えさせたの?」
「そうだぞ」
そう言うと、顔を赤くして、人差し指の先同士つんつんとさせ、足をモジモジと動かした。
「さ、触った?」
「う~ん、触ったというか、着替えさせるため多少、触れちゃったかな・・・」
「そっかぁ。・・・・えへへ~」
「いや、何で嬉しそうなんだよ」
「だって~。やっと触れてくれたんだもん♪」
やっとって・・・。そんなに触れてほしかったのかよ。いや、言われても触らなかったけど。
「感想は?」
「俺の妹とは思えないほどの美貌で、綺麗で、柔らかくて、まさに理想!って感じだな。って何言わせんだよ!?」
「八兄ちゃん、そこまで私を・・・。恥ずかしい!」
お前の普段の俺に対する行動の方が恥ずかしいわ!?
「ほら、それより晩飯きたから、食おうぜ。カニだぞ」
「やったー♪」
思ってた以上に豪華だなぁ。食い切れるか?まぁ、大丈夫か。男子高校生の胃袋の大きさ舐めんなよ。八菜もそれなりに食うからな。
しばらく、料理に美味さに舌鼓を打っていると、八菜は何か思いついたのか、カニのはさみの部分を咥えてこちらに突き出した。
「ん!」
「いや、ポッキーゲームの要領で何しようとしてんだ。やらんぞ」
「ん~・・・」
さすがの八菜もこれは断念したようだ。その後もおとなしく、料理を食べてくれた。温泉で色々あったから、疲れたんだろう。なんだよ、温泉入って疲れるって・・・。
◆
「さ、もう寝ようぜ」
俺と八菜は基本早寝なんだ。テーブルを端に運び、布団を敷いた。言わなくてもわかるよね、一組です。
「あ、そう言えば貴重品。八菜、財布とか鍵とか、金庫に入れるから出してくれ」
「はーい」
危ない危ない。いくら部屋の鍵を閉めた所で油断はできない。金庫があるんだから、ちゃんと活用していこう。
八菜から貴重品を受け取り、金庫を開けると、前に来た人の忘れ物なのか、中に何か入っていた。紙袋に包まれているから、正体が分からない。
ドラマだと爆弾という事がよくあるよな。そう思いながら中身を確認すると・・・なっ!!??
う、嘘だろ・・・。何で由緒正しい温泉旅館にこんなものがあるんだよ!?ここ違うよね?俺が間違ってるなんてこと絶対ないよね!?
紙袋に入っていたのは、・・・その、男が身に着ける・・・ヒニング、という、ゴム製の、アレです・・・アレ。
「どうしたの?八兄ちゃん」
「ッ!な、何でもないぞ・・・」
咄嗟に否定したが、じ~、と疑いの目をされている。
「八兄ちゃん、何か隠してる?」
「な、何でもないぞ。あはは」
明日には廃棄してしまおうと決め、例のブツを着物の中にしまい、八菜を布団へと連れて、寝る準備をさせた。別に深い意味はないから。同じ布団でくっついて寝るだけだから。うん、十分にヤバいですね。しかも、俺の持っているブツのせいで、余計真実味を増してしまう。そんなこと絶対ないからね。
「隠しても無駄だよ!」
八菜に飛ばされ、布団の上に押し倒されてしまった。
「私は、八兄ちゃんの全てを見てるから・・・」
そう言って、俺が隠した場所を的確に手を伸ばした。凄い観察眼だ。ここも俺に似ている。って冷静に分析してる場合じゃない。俺は八菜の腕を必死で抑えた。
「いやいや、本当に何でもないから!」
「誤魔化しても無駄だよ!何年八兄ちゃんを愛してると思ってるの!嘘くらい見破れる!」
さらっと惚気られた。
「・・・これか!」
しまった!妹の愛してる発言に気を取られてしまった。シスコンの性がここにきて仇になってしまった。
八菜はターゲットを掴んだのか、思いっきり手を自分のもとに戻し、掴んだものを確認した。
「えっ!!??」
途端に顔を真っ赤にしてしまった。
「はははは八兄ちゃん、ここここれは一体・・・!!?」
わなわなと震えながら、あまりの衝撃に目を回している。さすがの八菜も動揺するほど予想外だったらしい。
「あ、いや、違う!これは俺が持ってきたんじゃなく」
「・・そうなんだ。・・・・分かってるよ、八兄ちゃん・・・」
ん?なんだ?顔はまだ真っ赤だが、すぐに冷静になるなんて八菜らしくもない。多少違和感を感じたが、納得してくれたならそれでいいだろう。
「そ、そうか。よかっ」
「八兄ちゃんも、私とそういう事したいと思ってくれてたんだね・・・」
全っ然よくなかったぁ!?ま、待て!何着物脱がそうとしてんだ!クソッ、のしかかられてるからあまり身動きが取れない。
「おい八菜!落ち着け!そしていったん離れろ!」
「大丈夫。恥ずかしいのは私も一緒だよ」
それが大丈夫じゃないんだって!・・・おい、自分の着物にまで手をかけるな!
俺が勢いよく八菜の腕を掴むと
「あ・・・。そっか。八兄ちゃんは受けより攻めなんだね。いいよ、・・・好きに、して」
一瞬理性が飛びそうになったが、すぐ正気に戻り、このまま八菜も正気に戻させよう。きっと、掴んだブツで我を失っているんだ。
持てる力をすべて注ぎ込み、八菜を退けて起き上がった。そして、八菜の両肩を掴み、優しく揺らす。
「お、おい八菜」
「・・・あれ?私、何を・・」
「お?戻ったか八菜。よかった」
「あ、八兄ちゃん。何ではだけてるの。って・・・ひゃ!」
自分の着物もはだけてることに気づき、両手で胸を隠す態勢をとった八菜。どうやら、本当にあの時意識が飛んでいたらしいな。
「よ、よく見たら八兄ちゃんもはだけてる・・・。まさか、私が意識ないときに!」
「いやいやいや違うから!寧ろお前がやったんだからな!」
「別に八兄ちゃんとならそういう関係になっていいよ!でも、せめて心の準備とちゃんと意識があるときにやってほしかったっていうか・・・!」
「だから違うって!?」
その後も、説明に30分以上費やし、やっと理解してもらえた。
「そっか。そんなことが。・・・・・チッ」
ん?今舌打ちしたよねこの子?一体何に対する舌打ちなんだろうね。あえて何も考えないよ。
「もう寝ようぜ」
「うん。色々あって疲れたから、一気に眠気が襲ってきたよ。ついでに八兄ちゃん襲っていいよ」
「馬鹿なこと言ってないで、早く寝ろ。撫でてやるから」
「はーい♪」
八菜は俺にべったり近づき、もう寝てしまった。やっぱり寝顔は可愛い。
ちゅっ
額ならセーフだよな。お休みなさい。
「は、八兄ちゃんの、ヘタレ・・・。でも嬉しい~♪」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
どうでした?ヤバいと思いました?感想待ってます。
次回、【高校生活編】で完結です。