ラブライブ!サンシャイン!!夢の守り人   作:自由の魔弾

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自由の魔弾でございます。
話を間違えたと思われた方はご安心ください。あっていますよ。
予告通りに話を構成する予定だったのですが、急遽CSM版NEW電王ベルトの発売が決定いたしましたために、コラボ話の作成を決定しました。しかも、今回では終わりません。何話に渡って展開するか見当もつかないのが正直なところです。
楽しみにして下さった皆様、本当に申し訳ありません!
少しばかり、私の戯れにお付き合いいただけると幸いでございます!


CSM『NEW電王ベルト』発売記念① 新たなる出逢い

『新たなる邂逅』

 

とある日の出来事である。それは何の前触れもなく彼女たちの前に姿を現した。

 

「うわー、すっごぉおおい!!」

 

突然聞こえた千歌の歓喜の声に、居間で寝ていた巧は否が応でも現実に引き戻された。

それは隣に住んでいる梨子にも聞こえたようで、巧が外に出た時には既に千歌と合流していた。

 

「千歌、一体何だってんだ?」

 

巧が何事かと問いかけると、やや興奮気味の千歌が見た時の様子を言葉にする。

 

「梨子ちゃん!巧くん!電車だよ!空飛ぶ電車!いきなりバァーって出てきて、向こうの砂浜の方に行っちゃったんだよ!」

 

千歌の話を聞いても尚、話の意図が理解出来ない巧と梨子。そんな二人の様子とは対照的に、未だ興奮冷めやらない千歌は話を続けた。

 

「んもー!何でそんなに普通でいられるの!?空飛ぶ電車だよ!普通じゃないんだよ!梨子ちゃんだって気になるよね?」

 

千歌に促され、思わず勢いで賛同してしまった梨子。

 

「え?あー、うん。確かに私も気になるかも・・・。乾さん、お願いしてもいいですか?」

 

梨子が巧にその電車の場所まで連れてってくれるように頼む。

内心胡散臭いと思いながらも気になるのは巧とて同じこと。故に答えは決まっている。

 

「仕方ねぇな・・・啓太郎に言ってくるから、それまでに準備しておけよ」

 

こうして巧たちは謎の電車の場所へと急ぐのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくバイクを走らせ、目的の砂浜にたどり着いた。千歌が見たという空飛ぶ電車を探していると、物陰によく見知った人物がいることに気がついた。

 

「木場!何やってんだ、こんな所で?」

 

そこに居たのは巧の友である木場だった。しかし、木場は巧たちを見ると同時に小声で注意を促した。

 

「みんな、静かに・・・茂みの奥に誰かいる」

 

木場の言葉で空気が一変する。巧は警戒してカイザギアを装着しながら様子を伺う。

千歌と梨子も木場の背後に隠れる。

しばらく様子を見ていると、遂にその人物が姿を現した。

 

「痛てて・・・少し無茶しすぎたか。でも、早く行かないと・・・ぐっ!」

 

現れたのは巧たちと同年代と思われる青年だった。見ると体の至る所に何者かによってつけられた傷があった。

痛みに耐え切れずに膝をついた青年に、木場と梨子がすかさず手を差し伸べる。

 

「大丈夫ですか!傷だらけじゃないですか・・・桜内さん、俺の車の中に救急箱があるから取ってきてもらえるかな?」

 

「は、はい!」

 

木場に頼まれて急いで車へと向かう梨子。しかし、梨子に静止の声をかける青年。

 

「だ、駄目だ!近くに、まだ奴らが・・・」

 

青年の言葉に思わずハッ!?となる木場と巧だったが、既に梨子が複数の怪人に囚われてしまっていた。

その中で幹部と思われる怪人が青年に話をする。

 

「無様だなぁ、“ライダー”!ここが貴様の死に場所となるのだ!おっと、抵抗はするな。この女の命が惜しいならなぁ!」

 

幹部怪人の言葉と同時に、怪人たちが拘束している梨子に武器を向け脅迫をする。それを見た梨子は堪らず助けを求める。

 

「キャッ!た、助けて・・・」

 

梨子の助けを求める声を聞いた青年は、体を動かそうとするもいうことをきいてくれずに倒れてしまう。そんな青年を見て黙っていない男がいた。

 

「おい、あんた!どういう訳か知らないが、あいつらは倒してもいいんだよな?」

 

巧は青年に目線を向けながら、カイザフォンに変身コードを入力する。

 

“9・1・3 Enter Standing by”

 

「・・・あぁ、頼む」

 

巧の言葉にどこか諦めたように答える青年。同時に巧は木場に目線を向け、青年と千歌を物陰に移動するように伝えると、再び怪人に目線を戻す。

 

「変身ッ!!」

 

巧はカイザフォンを天高く掲げ、流れるようにバックルに装填する。

 

“Complete”

 

発せられた音声とともに、ベルトから黄色いラインが全身に延びていき、カイザに変身する。

 

「・・・フッ!」

 

巧は僅かに右の手首をスナップさせ、梨子を囲む怪人たちに殴りかかった。

 

「梨子!伏せろ!」

 

「は、はい!」

 

巧に言われた通りにその場にしゃがみこむ梨子。その隙にカイザが梨子を取り囲む怪人だけを倒し、難なく梨子を助け出した。しかし、攻撃を受けた怪人たちはいつも通りに灰になる事はなく、その場で爆散してしまった。

 

「梨子、怪我してないか?」

 

梨子を庇うように前に出て幹部怪人と対峙しながら、気遣いの言葉をかけるカイザ。

 

「な、何とか・・・。一体何なんですか!?いつもの感じと違いますよね!?」

 

梨子の言葉を聞いて、内心で賛同する巧。確かに今対峙している怪人たちは、普段のオルフェノクとは明らかに違うことは見て分かっていた。黒い衣装に覆面の怪人など、スマートブレイン社の刺客とは思えない。

そんなことを考えていると、一人残った幹部と思われる怪人が苦悶の表情を浮かべる。

 

「ぬぅ・・・“ライダー”めェ!!漸く追い詰めたというのにィィィ!!このままでは我々の計画が・・・」

 

幹部怪人から聞きなれない単語が巧たちの耳に入るが気に留めず、カイザは幹部怪人にカイザブレイガンによるフォトンブラッド光弾を放つ。

 

「計画?お前らが何を考えてるかは知らねえけどなぁ・・・ハアッ!」

 

カイザは素早くカイザブレイガンにミッションメモリーをセットして、ブレードモードに切り替えて幹部怪人を何度も斬りつける。

 

「グゥッ!!?」

 

「お前らみたいなのが居ると、あいつらが輝けないんだよッ!!」

 

カイザの剣撃が幹部怪人を襲う。相手が理解するより速く、強く、的確に動きを封じるように。

 

「こ、こんなはずは・・・“ショッカー”の一員であるこの俺がァアアア!!」

 

“Exceed charge”

 

カイザフォンをスライドさせて、Enterボタンを押す。すると、ベルトから黄色い閃光が体に帯びているラインを伝ってカイザブレイガンに充填される。

 

「・・・ハッ!」

 

カイザブレイガンの銃口から発せられたポインティングマーカー光弾が怪人に直撃した瞬間、動きを拘束するように展開する。

 

「な、動けない・・・だと!?」

 

怪人がどうにか拘束を振り払おうとするも、それより先にカイザが怪人の間合いに入る。

 

「ハァ!・・・タァ!!」

 

怪人を横から一閃、続けざまに上から振り下ろすカイザ。

 

「ば、馬鹿な!?この俺が・・・だが、このままでは終わらん!この場所もいずれショッカーの手に落ちるだろう。ショッカーに、栄光あれェエエエエ!!!」

 

その言葉を最後に、怪人は爆散した。またもや灰にならずに爆発した怪人の死を見届けた巧は、変身を解いて再び青年のもとに赴く。

 

「助かったよ。あんたもライダーだったんだ」

 

「あんた、一体何者なんだ?あんな奴ら、見たことねぇぜ。なぁ、木場?」

 

木場に同意を求める巧だったが、どうやら木場の意見は違ったようだ。

 

「“ショッカー”か・・・もしかしたら!」

 

木場は何かを思い出したかのようにスマートパッドを取り出して、カードを挿入した。

 

「やっぱりそうだ。みんな、これを見て。スマートブレインのデータベースに残ってたんだ。“ショッカー”は世界征服を企む悪の秘密結社だったみたいです。でも、随分前に“仮面ライダー”によって倒されているはずですけど・・・」

 

木場の説明を受けて巧と梨子は概ね理解したようだが、千歌の頭上にははっきりと?マークが浮かんでいた。不思議と千歌のアホ毛が?に見えなくもなかった。

呆れた青年が改めて説明を補足する。

 

「要するに、悪者ってわけ。で、その倒されたはずのショッカーがどういう訳か復活してて、また世界征服を狙ってるらしいから、俺が止めに来たんだ。この“NEWデンライナー”でね」

 

青年が服を叩きながら指を鳴らすと、千歌たちの頭上から列車がどこからともなく現れた。

 

「これ!私が見たのってこの電車だよ!」

 

「千歌ちゃんが言ってたのって、本当だったんだ・・・」

 

その列車を見て興奮する千歌に対して、実際に見るまで千歌の言葉を疑っていた梨子。木場と巧に至っては、もはや何が起こっているのかすら理解できないようで、次の言葉が出なかった。

青年の前で列車が完全に停車すると、中から乗客と思われる人物が降りてきた。

 

「幸太郎!無事だったのだな!?」

 

「当然だろ・・・って言いたいけど、ちょっと不味かったかも。この時代にもライダーがいてくれて助かったよ。変身してたあんたのおかげで助かったよ」

 

出てきた人物の姿は、一言で表すならば鬼。

やけに低姿勢で礼儀正しい蒼い鬼だ。

 

(梨子ちゃん・・・あれ、着ぐるみかな?)

 

(千歌ちゃんもそう思う?よく出来てるよね・・・)

 

千歌と梨子が当人に隠れて話しているが、木場と巧は気にしなかった。それよりも怪人が残していった計画、仮面ライダーという言葉について考察をしていた。

しかし、それについては目の前の青年が何かを知っていると思われるため、まずは青年の素性を明らかにするため千歌、梨子、木場、巧の順番で自己紹介をする。

 

「一応、Aqoursのリーダーやってます!高海千歌です!」

 

「同じくAqoursの桜内梨子です。よろしくお願いします」

 

「俺は木場勇治です。よろしく」

 

「名前くらいは言っておくか・・・俺は乾 巧だ。色々あって、今はこのカイザギアの持ち主ってことになってる」

 

全員が名乗り終わったところで、青年と鬼へと順番が移る。

 

「俺は野上 幸太郎。乾、あんたと同じ仮面ライダーだ。んで、こいつが相棒のテディだ」

 

「幸太郎共々、よろしく頼む」

 

自己紹介が終わったところで、幸太郎たちの目的を木場が聞くことに。

 

「それで、どうしてここに来たのかな?何が追われる理由があったとか?」

 

幸太郎は少し黙り込んだ。何かを言うべきかを決めかねているのだろうか。

 

「幸太郎、巻き込んでしまった以上には、きちんと話すべきだと私は思う」

 

意外にもその言葉を紡いだのはテディだった。幸太郎の気持ちを汲み取ってなのか、彼を後押しするよう言葉を投げかける。そして、吹っ切れたのか幸太郎はここに来た真実を話し始めた。

 

「まぁ、あんたたちになら話してもいいかな・・・ショッカーが仮面ライダーの歴史を消そうとしてる。俺はそんな計画を阻止するために、時を超えて未来から来たんだ」

 

これが、交わるはずのなかった3つの物語が初めて交差した瞬間だった。

 

 

 

 


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