ゆらぎ荘の蹴る人と殴る人   作:フリードg

9 / 39
第9話 坊主無用

 

 

 

 この町には幾つか神社やお寺があり、同様にな宗派が存在している。

 だから、別に坊さんの1人や2人、いても 不思議じゃないし、別段気にする様な事ではないのだが、嫌に気になった。

 

 何故なら、あの2人は、ゆらぎ荘を見ていたのではなかった(・・・・・・・・・・・・・・)からだ。

 

 じっと、見ていたのは コガラシが宿泊している204号室。その窓には、幽奈がいた。幽奈は、よく窓からこの町を眺めている事が多いので、ホムラは 直ぐに判った。

 

 あの坊さんの2人組が、幽奈(・・)を見ている、と言う事に。そして、その理由も……。

 

「コガラシ」

「……ああ」

 

 2人は互いに頷き合うと、足早にゆらぎ荘へと向かった。

 既に、2人組はゆらぎ荘の中へと入っており、予断を許されない事態かもしれない、と直感したのだ。

 

 

 

 

 

 

   □ ◆ □ ◆ □

 

 

 

 

 

 その頃の、幽奈はと言うと……。

 

 昨夜の件、2人に謝罪はしたとは言え、自分がした事を深く反省をしていた。

 

 

「………はぁ。ワザとじゃないとは言え、コガラシさんを川に突き落としちゃうなんて……。それに、ホムラさんにもご迷惑を掻けちゃって……。2人とも、許してくれたけど……、やっぱり怒ってると思う……。だって、普通怒るよね……。ぅぅ……」

 

 この時、幽奈が思い返していたのは、あの時のホムラの言葉だった。

 

 

『皆の事も好きだよ。……いつも、感謝している』

 

 

 ホムラは、笑顔でそう言ってくれた。

 好き、と言うのは 自分だけではなく、ゆらぎ荘に住む 皆の事を指すのは判っているけれど、それでも 恥ずかしくも、とても嬉しかった。

 だけど自分自身は、ホムラに何かしてあげれたか? と問われれば、はっきりとは答える事は出来ない。いつも迷惑を掻けている印象の方が強いから。笑って許してくれてはいるけれど……、それでも チクリとした物が幽奈の胸にあった。

 

 ホムラの友人である、コガラシが来ると判った時、何かしてあげられる事は無いか? と幽奈は考える事も多々あった。(差し当たり、まず初めは怖がらせない様に……、程度しか思いつかなかったけれど)

 

それなのに、出足からこの状況だから……、完全に空回りしている状態だと言える。

 

「ぁぅ……、っっ!?」

 

 そんな時だ。

 がらがら、と 後ろの戸が開く音がした。誰かが入ってきた、と言う事であり、この部屋で暮らしているのは、コガラシだから、幽奈は必然的にコガラシが帰ってきたのだと思い。

 

「あ、こ、コガラシさんっ! 昨日は本当に……って、あれ?」

 

 幽奈は直ぐに謝ろう、と何度も何度も頭の中で 謝罪の練習をしていた。だから、帰ってきたその次の瞬間には謝罪の言葉が直ぐに出てきたのだ。……だけど、 直ぐに戸惑う事になる。

 

「え……っと、 どなた……?」

 

 そう、実際にこの部屋に入ってきたのは、帰ってきたのはコガラシでは無かったからだ。

 

 見知らぬその人は、白装束に身を包んでいて、一見するとお坊さん?であり、2人組だった。だが、幽奈は見た事の無い人が入ってきた事に戸惑いを隠せれなかった。

 

 そして――、更に衝撃的な事が起こる。

 

「むん!!」

「はぁ!!」

 

 2人は、入って来るやいなや、その手に持った杖を幽奈に向けてきた。

 杖からは、何か妙な光が現れ、まるで稲妻の様に歪な動きをしながら、幽奈に迫る。

 

 その2つの稲妻の様な光は あっという間に幽奈の身体を縛り上げた。

 

 バリバリっ! と、本当に感電してしまったかの様な感覚に見舞われてしまう。

 

「きゃっ、こ、これは……!?  きゅ、急に何なんですか!? 一体、どちら様ですかっ!?」

 

 幽奈は、自由が全く効かなくなってしまった。そのまま縛られてしまい、抵抗できずに、引き寄せられていく。

 

「拙僧は、救沌(ぐどん)衆 降魔僧が一人、 辻昇天の洩寛!!」

「同じく、顛永!!」

 

 自己紹介? をしてくれるのだが、早口な上に難しい漢字でよく判らない。そもそも、そんな読み方をするのか? とも《愚鈍(ぐどん)》じゃ……? と思ってしまった幽奈は。

 

「え、ぐ、ぐど……?? す、すみません、もう一度……!」

 

 ご丁寧にも訊き直していたのだ。

 そんな場面じゃない、と思うのだけど……、その辺りは幽奈の性格だから仕方がない。そして、2人も 幽奈に付き合う様な事は無かった。

 

「この世を彷徨う哀れな亡者よ……我らが二人の術にて成仏させてしんぜよう」

「我らが術は、迷える亡者を導く術。安心し、身を委ねるが良い!」

 

 2人が、杖を高々と翳すと、稲光が更に瞬き出す。

 その光は、幽霊である幽奈を苦しめるのには十分過ぎる光であり……、更に言えば、邪な気を持てば、更に苦しめる事になる。

 

「あ、ああああああ………っっ!!!」

 

 つまり、この場合 邪な気、と言うのは……、『成仏したくない』と言う強い感情だ。

 

 その想いが術の威力を比例させてしまう結果になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

   □ ◆ □ ◆ □

 

 

 

 

 

 

 

 そして――、そんな事態に見舞われてしまっている事は、当然 すぐ外にいた、コガラシにもホムラにも判った。何より……聞こえたから。その、幽奈の悲痛な叫び声もはっきりと聞こえた。

 

 

「……ちっ、確かに こんな輩が来る事無い訳じゃないか! 浄霊・除霊を生業としている者であれば、ゆらぎ荘は格好の仕事場だと言えるからな……」

「確かに、あの坊主、幽奈の方はっきりと見てやがった……。間違いなく見えてる。狙ってるのは幽奈だ!」

 

 

 幽奈の悲鳴は、まだはっきりと聞こえてきている。

 だからこそ、2人は走り続けた。 そして、後少しの所で、坊主のモノであろう怒声が聞こえてきた。

 

『おのれ! 何故抵抗する!? 小娘風情が!』

『我れらが術は、抗う亡者には、一切容赦はせんのだぞ!』

 

 その声は、はっきりと外にも聞こえてくる。

 だからこそ、コガラシもホムラも 速度を上げた。幽奈の元へと行くために。

 

 だが……、この時 コガラシは僅かにだが 走る速度が落ちてしまった。

 

 何故なら――。

 

 

『成仏したくはないのか!?』

 

 

 その言葉を訊いたからだ。

 

 それは、コガラシ自身が幽奈の為に、と想っていた事だったから。

 

 

 いつか――師から訊いた言葉。

 

 それは、霊としての期間が長ければ長い程、悪霊になりやすくなる、と言う事。

 霊は、生きとし生けるものに惹かれる。その想いは、軈て嫉妬や憎しみ、負の感情に囚われてしまう。そして 負の感情は 爆発的に成長を遂げるものであり、一度その暗黒面に入り込んだが最後、最早戻る事は叶わないとさえ言われている。……つまり、悪霊となってしまうと言う事。

 生きる者を妬み、憎しみ続け、負の力を増大させ 襲い……軈て、審判の門の前に佇む冥府の王 閻魔様に 悪霊と認められ、地獄へと落とされてしまう。

 

 

 そこから先に待つのは、終わる事の無い永遠の苦痛……、そして 無である。

 

 

 そんな場所に、幽奈を逝かせる訳にはいかない。たった1日程度。知り合って間もない幽奈だが、短い時の間だけで 十分だった。幽奈の事を知るには十分過ぎる程の期間だった。

 だからこそコガラシは 迷ってしまった。

 

 

『我らの術、昇天陣は強制成仏の術。悪霊となることなく、この世を去り、極楽浄土なり、輪廻転生なり、好きな道を選べるのだぞ!?』

『そう! そして、亡者たる貴様は、もう現世に留まる事は許されぬ身なのだ。受け入れろ。それが世の理と言うモノだ。抗い続け、悪霊と成り下がれば、最早 輪廻転生も極楽浄土も無い。あるのは未来永劫の苦しみ、そして最後は、無間地獄へまで 堕ちる事になるのだぞ!?』

 

 

 続く言葉を訊けば訊く程、迷ってしまった。強制成仏をさせる術を使える筈もなく、何年も成仏せずに、現世に留まり続けている幽奈の未練を晴らす事の難しさはよく判っているつもりだ。……先へと行き続けている男、ホムラでさえ 難しい、とはっきりと言っている。3ヶ月程の期間があっという間、と言う程に 幾ら時間があっても足りないと言っている様な物だ。

 

 

 なら――、このまま―――――。

 

 

 コガラシがそこまで考え、想い馳せたその時だった。

 その脳裏、その想いに陰りが生まれた。

 

 思わず顔を上げるコガラシ。……その陰りの正体。それは 目の前の男の影だった。

 

 その男を、追い越そうと、追い越そうと、走って走って――、漸く追いついた、と思っても、また自分よりも先に行っている男。今回もそうだ。……肩を並べて走っていた筈なのに、もう抜かれてしまい、僅かではあるが 離されている。

 

 

『幽奈は、大切な友達だ』

 

 

 前を行く男の声が、耳に――、いや 心に響いてくる。

 

 

『……皆、同じ仲間だから。皆で決めて、相談して、納得した形を取りたい』

 

 

 その声に、そして行動に、迷いは一切なかった。

 そう、今は全く違う。ゆらぎ荘皆で 決めた誓いではない。……幽奈の事を知りもしない何処ぞの坊主共が、寄って集っているだけだ。あどけなさが残る少女の幽霊、幽奈を 大の大人が2人掛かりで虐めている図だ。例え、それが 悪霊とならない様に成仏させようとしていたとしても、認めたくない。

 ゆらぎ荘の皆、と言う事は 幽奈自身も含まれているのだから。幽奈も含めて、皆で決めたのだから。

 

 だからこそ、目の前の男は……、ホムラは一切迷わなかった。

 

 そして、いざと言う時は、不言実行。男なら背中で語れ、というがまさに体現していると言える。

 

 

――そんな男だからこそ、オレは……追いつきたい、追い越したい、と思ったんじゃないのか……?

 

 

 速度が落ちた足が、再び戻ってくる。

  

 そして、幽奈自身も。

 

 

「そんなの――、嫌に決まってるじゃないですか……!」

 

 強制成仏の申し出を、きっぱりと断った。

 

「何ィ……?」

「何だと……?」

 

 それは、明らかに不快感を醸し出している男たちの声だった。

 幽奈は、苦しくても、懸命に声を上げ続けた。

 

「わたしは、まだ……、まだ この世にいたい……! やりたいことも、見たいものも、まだまだいっぱいあるんです……! それに、それに、皆、皆いってくれたんです!」

 

 幽奈は目の中に溜めた涙を――散りばめながら。幽霊である筈なのに、本物としか思えない涙をぱっ! と散りばめながら、想いの丈を伝えた。

 

 

「皆が、皆が……っ 最後まで、一緒に考えてくれるって! 一緒に、楽しんでくれて、笑ってくれて。……最高の思い出を作ってくれて……、こんな、辛くて 皆にもお別れが言えないままで逝くなんて、嫌っ! 最後には、『……笑いながら 逝こう!』って 言ってくれたからっ! それに……」

 

 ぐっ、と目を瞑り そして 目をめいいっぱい開いて言った。

 

「ホムラさんや、新しく、お友達になれたコガラシさんの事だって、もっと、もっと知りたいっ……。ホムラさんやコガラシさんっ、お2人の事、もっともっと、知りたいっ……!」

 

 全ての想いを伝えた幽奈。

 だが、そんな想いも通じない人種もいるのだ。霊が絶対悪だと認識している連中。融通の利かない頭でっかち。

 

 全てが当てはまるのが、この坊主連中だ。

 

お友達(・・・)、だと! この世は生きとし生ける者の世界。あの世の住人が求むる物など、この現世には存在などせん!」

「その通りだ、莫迦めが……! 亡者如きに、この世の幸福を享受する資格などありはせんのだ!」

 

 杖を掲げて――、再度 強制成仏の術 昇天陣とやらを仕掛けようとする。

 如何に抗う事が出来たとしても……、四重の術の重ね掛けを耐えうる程の力は幽奈には無い。間違いなく、喰らえば、その存在はかき消されてしまうだろう。

 

 それを確信しているからこそ、再び杖を掲げたのだ。

 

「「力ずくで――ッッ!」」

 

 そう、力ずくで……、幽奈を逝かせようとした。

 だが、それは叶わない。幽奈の願いが叶ったとしても、男達の行為は、成就する事は無かった。

 

 幽奈と男達の間に、割って入る影が2つ。

 

 その影は、新たに伸びる稲妻を、その稲妻よりも輝く光を纏っているかの様な脚で弾き飛ばし。もう1つの影は、幽奈の身体を縛っている光を、力付くで引き千切った。

 

「「なっ!!!」」

 

 男達は、一瞬何が起こったのか、理解する事ができなかった。それ程までに、衝撃的で、突然の出来事だったから。

 直ぐに判ったのは、自分達の術が完全に弾き飛ばされ、更には消滅させられた、と言う事実である。

 

 そして、幽奈は直ぐに誰が来たのかが判った。はっきりと……、判った。

 

「ホムラさんっっ! コガラシさんっっ!!」

 

 助けてくれた2人を見て、涙が止まらない幽奈。

 

 そして、戸惑いを隠せられないのは男達だ。

 

「莫迦な……、我らの二重方陣を弾き……、いや、け、蹴り飛ばしただと!?」

「それに結界をも破壊してのけた……、貴様ら、霊能力者か! ならば何故我らの邪魔を『黙れ』っ……!?」

 

 男達の言葉を遮るのは、地の底から響く様な低く……重い言葉。

 

 

「……幽奈の行く末を、何も関係の無いお前らが決めるな」

 

 

 その言葉は、重く 目には見えない威圧感を含むものだったが、ただ 黙っている訳が無かった。

 

「貴様! 亡者に組すると申すか! その様な所業、生者への背徳行為に他ならぬわ!」

 

 杖を掲げ、物理的に攻撃を仕掛けようとするのだが……。出来なかった。

 

 

「訊いてなかったのか……? 『黙れ(・・)』」

「っっ!!!!」

 

 

 凄まじいその威圧は、ホムラの眼を媒介にして、相手の眼に叩き込まれた。

 

 全身に痺れるような感覚が 頭の天辺から両足のつま先にまで迸り……、軈て 膝、腰、最後は頭が完全に地に付き、倒れ込んでしまった。

 

 何が起きているのか判らないのは、もう1人の男の方だ。

 

「ほ、ホムラさん……っ? 一体何が……」

 

 ゆらぎ荘で それなりに長く過ごした幽奈も 何が起きているのか、ホムラが何をしているのかが判らなかった。そんな幽奈に説明をするのはコガラシ。

 

「ホムラが怒った時によくする。生者も亡者も等しく関係ない 圧倒的な眼力。威圧だ。覚悟無しじゃ、当然だわな。……それと、まぁ」

 

 コガラシは、ぐりんっ! と右腕を一度回す。

 

 

「き、貴様! 一体何をした!? 妖術の類!? 貴様は、妖かぁぁ!!」

 

 ホムラの眼力をまともに受けたのは坊主の顛永の方で、もう1人の洩寛は難を逃れていた様だ。そして、仲間が倒れた事実を目の当たりにし、引くに引けない状態で襲い掛かるが……、それも意味をなさない。

 

「ぐええええっっ!!!?」

 

 どごんっっ!! と言う強烈な衝撃音と共に、吹っ飛ばされてしまったから。

 

 

 

「―――怒ってるのは、オレも同じだ」

 

 

 

 素早く間合いを詰めたコガラシの右拳が、正確に相手の顎に直撃したから。

 幽奈を苦しめた事への怒りと……。

 

「お前ら! オレの部屋を土足で! 不法侵入してんじゃねぇよ!! ここは、永遠にオレの部屋になるんだからな!!」

 

 げしっ! げしっっ!! と追撃をするコガラシ。

 そう、自分が借りている部屋を踏み荒らされれば、当然怒りも湧くと言うモノだ。

 

「わ、わぁ、コガラシさんっ、も、もうその辺で……」

 

 慌てて止めようとした幽奈。そんな時、自身の頭に感触があった事に気付いた。

 丁度、ホムラが幽奈の頭を撫でている様だった。

 

「コガラシも、幽奈の事が心配だったんだ。……勿論、オレもな。無事でよかった」

「ぁ……」

 

 ホムラの、顔を見て ほっとした表情を見て……、張り詰めていた気が、抜けていくのを感じた幽奈。

 

「……幽奈」

 

 そして、コガラシも 振り返る。

 

「全部、ホムラに訊いたよ。皆で、皆で決めるって事も。……でもな、地獄に落ちる可能性だって、当然あるんだ。……寧ろ、高いと言っていい」

「…………」

 

 コガラシの言葉に、ホムラも異論は挟まなかった。

 数多の悪霊を殴り飛ばしてきたコガラシと、蹴り飛ばしてきたホムラだからこそ、幽霊と悪霊の境が判る様だ。その確率も……。

 

「はぃ……。皆さんは、本当に私の事を、考えてくださってて……、私も 甘えてはいけない、そう思うんですが……、本当に温かくって……、まだ、皆さんと一緒に、いたくって……」

 

 ぽろぽろ、と涙を流す幽奈。

 

 自分が悪霊となってしまい、地獄に行く様な事になれば、ここまでしてくれた皆に申し訳が立たない、と言う理由もあるだろう。……何より、心優しい人たちばかりだから、皆の心を痛めてしまう。それが 自分自身が地獄へ行くよりも、辛い事だった。

 

「心配するな。幽奈。……厄介事なら、コガラシは十八番だ。慣れてる」

「……えっ!?」

「って、変な言い方すんなよ。ホムラ! っと……こほんっ」

 

 コガラシは茶々を入れられ、出鼻を挫かれてしまったが、咳払いを1つして、はっきりと告げた。

 

「オレも、昨日から ゆらぎ荘の一員なんだ! 幽奈やホムラの言う()の中にオレだってもう入ってるつもりなんだ。……その、全力で、手伝ってやる! 寧ろ、お前の未練、オレが晴らしてやる! 地獄になんか、逝かせねぇよ」

「っ…………」

 

 幽奈は、その言葉を訊いて、また 涙があふれた。その涙を見たコガラシは 少々気恥ずかしそうにしつつも声を上げた。

 

「その、ホムラが苦労してる様な案件だしな! オレがきっちり解決出来りゃ、もう 完璧だしなっ! その上、無料永住権なんて、おいしすぎる!!」

「自分で言って、照れるなって。……こっちまで恥ずかしくなってくるだろ」

「う、うっせっっ!!」

 

 もう、幽奈はそれ以上我慢できなかった。

 

 

 

 

「う、うわぁぁぁんっっ! うわぁぁぁぁぁぁぁっっ」

 

 

 

 

 大声をあげて、泣きあげていた。

 

 たった3ヶ月で、ここまで変わる事が出来るのか、と。

 これまでの苦労を、悲しみを全て洗い流すかの様に、幽奈は泣き続けたのだった。

 

 

 

 

~因みに~

 

 

 感動して、これで終わり~ と言う訳は有りません。

 その後、必死に泣きやまそうとしたコガラシ君が、ホムラ君が威圧して、手も触れずに倒してしまったお坊さんの身体に足を取られて、転倒。

 

 その際に、幽奈の身体にダイブっ! してしまい……………その後の展開は言うまで無いだろう。

 

 また、昨日と同じ様に 2人仲良く外へと吹き飛ばされ~ はせず、ホムラはしっかりと学習した様で、がっちり柱に身体をロックし、コガラシだけが、身体を張った幕引きをしたのだった。

 

 

 

『だぁぁぁぁぁ! またかぁぁぁぁぁ!! って、オレをオチにするんじゃねぇ!!!』

 

 

 

 便利便利っ♪ 

 

 

 

 





Q:「坊さんが増えてる?」

A: ご都合主義。



Q:「ホムラくんの眼力と脚力、どっちが強いの?」

A: 圧倒的に蹴り。眼は、驚かし、猫騙しみたいなもの。師匠直伝。



Q:「ここじゃ、コガラシさんも 眼、使える?」

A: 使える。でも 真似っぽくなるから、と言う事で使ってない。



Q:「最後……、あの場面は、皆入浴温泉サービスシーンじゃ……??」

A: ホムラ事件(告白《笑》事件)が尾を引いてて、まだ入浴時間じゃなかった。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。