アブソリュート・デュオ 覇道神に目を付けられた兄妹 作:ザトラツェニェ
side 優月
《
私たちはここ数日と特に変わること無く、部屋でゆったりとくつろいでいました。
どれくらいゆったりくつろいでいるのかと言うと、もし私が第三者の視点で見ていたのなら、明日から初めての戦闘訓練があるのに緊張感無さ過ぎじゃないですか!?と突っ込みたくなる程ゆったりしています。
「さて、そろそろ寝る準備でもするか……金曜ロードショーのラ○ュタももう終わるし」
「そうですね。……あ、そういえば兄さん、明日の《新刃戦》はどういう作戦で行きましょうか?」
「……特に何もこれと言った作戦は考えてないな……まあ、実際臨機応変に行くつもりだけど……基本的に小細工は無しで正面から戦うつもりだ」
「……そんなんで大丈夫なんですか?」
「特に問題無いと思うぞ。適当にうろうろして、敵と出会ったら即撃破って方針で。それに《
「?」
兄さんはそう言ってニッと笑いましたが、私は多少の不安を感じながら首を傾げました……。
side out…
side 影月
《新刃戦》開始まで後、一分。
俺たちは校舎内の講堂内―――クジ引きで決まった場所で今か今かと開始の合図を待っていた。
「……そろそろですね」
「ああ、楽しくなりそうだ」
壁に掛けられた時計を見て呟く優月にそう言う。
そんな俺は《新刃戦》で強い相手と戦えるかもしれないという楽しみを感じながら待っていた。
きっと他の《
これから始まる一年生最初のイベントに対し、おそらく全員が様々な高揚感に包まれている中で―――
リーンゴーン……リーンゴーン……リーンゴーン……。
時計塔の鐘が《新刃戦》の開始を学園中に宣言する。と同時に俺たちは揃って駆け出した。
「さあ、行くぞ!優月!」
「はい!兄さん!」
「「《
俺と優月の声が重なり、《
その焔は俺たちの体を包み込み、次第に形作っていく。そしてその焔が弾けると俺の右手には銀色に輝く槍が、優月の右手には白く輝く剣が現れる。
俺は講堂から出ると、校舎へと繋がる連絡通路に向かって走り出す。優月はそんな俺から一歩下がってついてきていた。
連絡通路を渡り、まず俺たちは自分たちの教室方面に向かった。
すると、教室の前に女子同士で組んだ一組の《
相手はそんな俺たちを見て、少し驚いたようだがすぐに《太刀》と《日本刀》を俺たちに向け、迎撃の構えを取る。
「影月くんと優月ちゃん……!」
「くっ……まさか最初から一番警戒していた《
「ははっ、運が無かったな!」
「申し訳ありませんが、サクッと終わらせてもらいます!」
そして俺たちは彼女たちの攻撃をかわして、すれ違いざまに斬り払う。
しっかりとした手応えを感じたので後ろを振り返ってみると、相手の《絆双刃》は《
「よし。一組目っと」
「兄さん、次行きましょう!」
俺たちは気絶した相手を壁に寄りかからせてから、次の《絆双刃》を倒すべく廊下を駆け出した。
時刻は十八時を少し過ぎ、辺りが暗くなってきた。
俺たちは現在四組の《絆双刃》を撃破し、他の《絆双刃》を探して様々な場所を索敵中だった。
ここまでのところ、正面から正々堂々と挑んできた者、物陰に隠れて奇襲を仕掛けてきた者(優月がいち早く気付いたおかげでカウンターで勝てた)など、様々な戦略を立てている相手ばかりだった。
俺たちは校舎内でいつまでもうろうろと探していても見つからないと思い、外に出た。
「本当に見つからないな……もっとやりごたえのある奴はいないのか?」
「そんなこと言って……皆さん結構強かったじゃないですか。それにそんな事言って油断してると、また足元をすくわれそうになりますよ?」
きっと物陰から奇襲してきた《絆双刃》の時の事を言っているのだろう。
「大丈夫だよ。仮にすくわれそうになっても優月がなんとかしてくれるって信じてるしな」
そう言いながら、優月の頭を撫でる。すると優月は―――
「っ!?に、兄さん!?」
突然の事で驚いたのか、顔を真っ赤に染めながら俺を上目遣いで見てきた。
そんな優月を見て、相変わらず可愛らしい反応をするなと思いながら笑う。
「さてと、それじゃあそろそろ校舎に戻って他の《絆双刃》を―――ん?」
そう言いかけた所で、俺は視界の隅に映る花壇に何やら違和感を感じて声を上げる。
「……なあ、優月」
「は、はい!!な、なんでしょうか兄さん!?」
「……落ち着け。それよりここら辺、こんなに
「え?―――あ、確かに……ここまで咲いてなかった気がしますね。というか結構
気がつけば校舎はかなり後方の方にあり、周りの花壇には薔薇しか咲いていない場所まで来ていた。
「この薔薇……とても真っ赤な色をしているな……まるで血で染めたような赤だ……」
「そんな不吉な例えをするのやめてくださいよ……。こっちの方には誰も居ないみたいですから、早く校舎の方に戻りましょうよ」
「ああそうだな、確かにこんな端には誰も来ないだろうし、なんか居心地も悪いしな。さっさと戻って―――」
他の《
「よぉ」
気軽に。まるで久しぶりに会った友人に掛けるような挨拶が俺たちの背後から聞こえた。
「「っ!!」」
その瞬間、俺は槍を、優月は剣をその声の聞こえた方へと向ける。
そこにいたのは―――
「ほぉ……中々いい反応してるな、ガキ共」
白髪白面の軍服を纏っていて、サングラスを掛けている全く見覚えの無い男。そいつはむせかえるような血の匂いを彷彿させる死臭と、足がすくむような殺気を撒き散らしながら学園をぐるっと囲む外壁の上で俺たちを見ながら笑っていた。
「だが、よくよく考えりゃあの野郎が目を付けたガキ共ならその程度の反応は出来て当然か。しかしなんだぁ?どっちもまだまだ未熟なガキじゃねぇか。全然強そうには見えねぇが……。まあ、あの野郎とあの人が言ってたって事は、お前らには何かあんだろうな」
男はそう言いながら、コンクリートで舗装された道に飛び降りる。
瞬間、辺り一面の空気が男が放っていた殺気と死臭、そして死臭と腐臭の匂いまでもが強くなる。その匂いに堪らず顔を顰めながら問う。
「お前は……何者だ?」
「ああ?そういうのは聞いた方から名乗るのが筋ってもんじゃねぇか?まさかその程度の作法も知らねぇのかよ?」
「…………
「……同じく
「おうおう、ご丁寧に所属まで言ってくれてありがとよ。んじゃ、次は俺が名乗り返す番ってか」
お前が名乗れと言ったくせに何を言っている―――そう思ったが、男は飄々とした態度で自らも名乗った。
「聖槍十三騎士団黒円卓第四位、ヴィルヘルム・エーレンブルグ=カズィクル・ベイだ」
「……聖槍十三騎士団?」
「……黒円卓?」
聞いたことも無い名前に俺と優月は揃って首を傾げた。
「ああ?聞いたことねぇのかよ?……ってよくよく考えりゃそれも仕方ねぇことか。組織されたのは大体百八十年前位だしな。―――あの頃は懐かしくて、俺にとっちゃあ生きやすい時代だったな」
それを聞いて俺は内心驚いた。そんな昔の組織が今現在存在しているという事に、ではない。何百年も続く組織や会社などはこの世の中でも珍しくは無いからだ。ならば何に驚いたのかと言うと、目の前の男が今の発言を聞いた限り、その組織の結成時から属しているという事に驚いたのだ。
「……そんな貴方が何の目的でここに来たんですか?」
「はぁ……あそこまで言ったのに分からねぇのかよ。てめえらだよ」
「俺ら?」
「あの人―――ハイドリヒ卿が、てめえらを襲撃して来いって言ったからよ。普通ならんなめんどくせぇ事はマレウスか他の奴らに任せるが、俺にしか頼めねぇと言われたからこうして出向いてやったんだよ」
「待ってください!!ハイドリヒ!?……それってもしかしてあの第三帝国に属していた……?」
「くくっ、それ以外に何があるってんだよ」
「「――――――」」
優月の質問を肯定するヴィルヘルムに優月と俺は揃って言葉を失う。
ハイドリヒ―――ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒとはドイツの有名な軍人だ。ドイツの政治警察権力ゲシュタポを掌握し、黄金の野獣と呼ばれた男。
その力を恐れた連合軍は戦時中に彼を暗殺した筈である。だが―――
「生きているのか!?ラインハルトが!?」
「そこら辺の事情はこの学校のお偉方にでも聞けばいいんじゃねぇか?多分この学園も
そう言ってヴィルヘルムは学園の監視カメラに視線を向けた。今日は《新刃戦》が行われているので、警備員や一部の教師の他におそらく理事長もあれで見ているのだろう。
「劣等のお偉方共、見てんだろ?っても俺の目的はこのガキ共だから、それ以外には微塵も興味ねぇけどな」
「「っ!!」」
ヴィルヘルムが一歩、足を踏み出す。
それに俺と優月は揃って警戒を強めるものの―――
「甘ぇよ、ガキが」
「―――ごっ、はぁッッ!!」
一瞬で距離を詰めたヴィルヘルムは無造作に俺の腹を蹴り、ボールのように飛ばされて俺は20m程後方にあった噴水の縁に叩きつけられた。
「が、はァッ!うう……」
幸い、ヴィルヘルムの蹴りはかなり手加減していたのか、内臓や骨などは損傷しなかったようだ。しかしそれでもアバラが一、二本は持っていかれそうになったし、20m程も蹴り飛ばされるとは……。
「兄さん!?」
「ハッ、よそ見するなんて随分余裕じゃねぇか」
「っ!!がはっ!!」
飛ばされた俺に視線を向けた優月も、ヴィルヘルムの無造作に放った蹴りを喰らって俺の方へと飛んでくる。
「優月!!」
俺は蹴られた痛みに耐えながらも立ち上がり、飛んできた優月を全身で受け止める。
「ぐ、ぅ―――、げほっ!!」
「優月!大丈夫か!?」
「う、ぐぅ……、げほっ!な、なんとか……」
優月は腹を抑えながら咳き込み、ヴィルヘルムの方を見る。
一方のヴィルヘルムは追撃すること無く、ただ俺たちを見つめていた。
「おいおい、ここは特殊な力を貰って戦闘訓練を学ぶっつー学園なんだろ?なのにあの程度の攻撃でもうそのザマかよ?案外脆いんだな、てめえらも―――よぉ!」
そう呟いたと同時にヴィルヘルムはもう一度、空を切って一瞬で距離を詰めてくる。そして繰り出してきたのは右の掌底―――いや、もはや鉤爪と呼べる一撃だ。
「くっ!!」
俺は迫り来る掌底を前に、優月を横に突き飛ばして
「っがは!!」
「兄さん!!」
「次はてめえだ」
突き飛ばされた優月が体制を立て直して声を上げるが、ヴィルヘルムは構わず優月の背後から拳を振るう。
「優月!!!」
「―――っ!」
優月は俺の叫びの意図を察したのか、ヴィルヘルムの一撃を体を捻って回避した。
「オラァ!!!」
しかしヴィルヘルムは追撃として、今度は左腕を横に振り抜いた。
それを躱せないと判断したのか、優月は自らの《
《
優月もそれを分かっているようで先ほどからヴィルヘルムの連続して放つ攻撃を弾いて
「ほぉ、ちっとは俺好みの展開になってきたじゃねぇか」
「っく……!」
「……優月ぃぃ!!」
俺は力一杯叫びながらヴィルヘルムへ向かっていく。そんな俺にヴィルヘルムは一瞬だけ俺を一瞥する。
戦闘で目の前の相手から一瞬でも視線を外すというのは致命的な隙を生み出す。その隙を優月は見逃さなかった。
しかし―――
「で?」
「え?」
優月はヴィルヘルムへ全力の袈裟斬りを叩き込んだが、当のヴィルヘルムは一歩たりとも動いていなかった。
その事に呆気にとられる優月の腕をヴィルヘルムは掴み、俺の方へ放り投げてきた。
「そら、プレゼントだ」
「きゃあああ!」
「うおっ!?―――ぐふっ!」
まさかこちらに放り投げてくると思っていなかった俺は驚きながらも再び受け止めるが、かなりの速さで投げられた勢いを受け止めきれず、俺はまたしても噴水に叩きつけられる。
「ぐ……!ゆ、優月……無事か……?」
「ううっ……は、はい……っ!!兄さん、血が!」
俺の呼びかけに答えながらこちらを見た優月は悲鳴のような声を上げる。それと同時に俺のこめかみ部分に何か液体の様なものが流れてくる感覚を感じた。視線を下に向けると少量ながらも、ポタポタと赤い液体が舗装された道に垂れていた。どうやら優月の言う通り、頭から出血したようだ。
「弱ぇなぁ……。《
俺たちを見ながら、心底つまらなそうに呟いたヴィルヘルムの体からは赤黒い杭のようなものを生やしてきた。
「―――なんですか……あれ」
「―――てめえら、俺にここまで譲歩させておきながらこんな萎えるオチつけるなんてよ……マジで興醒めだわ。もうこれ以上シケた戦いなんざ続ける気もねぇし、さっさと終わらせてもらうぜ」
「優月!逃げるぞ!!」
あの杭みたいなものが何かは分からないが、どう見てもヤバそうなものだと思った俺は優月に向かって叫んだ。
それを聞いた優月は俺に肩を貸して急いで校舎へ向かおうとするが―――俺が先ほど頭を打ったせいか、足取りがおぼつかない故に優月の足手まといになってしまう。
「っ……!優月、俺の事はいいから早く逃げろ!」
「っ!嫌です!!兄さんを置いて逃げるなんて……!」
「―――さあ、目を開け、肌で感じろ。これで俺からの譲歩も最後だ、いつもより遅くしてやるよ。もしかしたら最後の最後で化けるかもしれねぇからよ」
「っ!」
ヴィルヘルムはそう言って右手を上げた。そこに何か凶念のようなものが集中しているのを感じた俺は振り返りながら
投げられた槍はヴィルヘルムが打ち出した凶念の塊である杭に当たり―――
「っなぁ!?ぐっ!!」
それに驚き、動きが止まったヴィルヘルムの右胸へ俺の投げた槍が生々しい音を響かせながら深々と突き刺さる。
「攻撃が通った……!?」
「やっぱりか……。なあ、優月一つ確認だ。《
「え?は、はい!確か理事長や月見先生がそんな事を言ってました。だから《資格の儀》でも《
「なら一つ聞くが、その《資格の儀》の時を思い出せ。《
「……え?あ……それは……」
「普通に考えてみればおかしくよな……。《資格の儀》の時は床や壁に大きな傷が沢山出来てたのに、なんで人だけは傷付けられない?」
「…………」
「……なるほどな。つまりそっちのお偉方はてめえらに、《
その言葉を聞き、ヴィルヘルムを見ると彼は槍を体からゆっくりと引き抜いていた。
「だが、人を傷付ける事が出来るって自覚して、殺意を乗せて攻撃すりゃ殺傷武器になりえるって事か。現にこいつは俺の体を傷付けたしよ。それに―――」
「!!!」
ヴィルヘルムはそう言いながら無造作に右腕を振りかぶって《
「チッ……《
「……やはり本人の魂だって見抜いてたか」
「ハッ!こちとら魂に関しちゃ見るのも、扱うのも慣れてんだよ。勿論魂の特性もな」
「……兄さん、どうしますか?いくらそんな事が分かってもさっきみたいに《
確かにその事実に気が付いても状況は芳しくない。殺意を込めた《
「……刺し違える覚悟で攻撃する!」
「ハッ……夢見てんじゃねぇぞ」
ヴィルヘルムは俺の言葉を聞き、鼻で笑いながら一瞬で踏み込んでくる。
その速さは今までとは比べ物にならないもので、俺がマズいと気づいた時にはすでに拳が目の前に迫っていた。もはや回避も間に合わない。
(しまっ……!)
俺は反射的に目を瞑り、来るだろう衝撃に備えた。だが―――
「―――づォッ!」
いつまで待っても衝撃は来ず、短いヴィルヘルムの呻き声だけ耳へと届いた。それを聞いて恐る恐る目を開けてみると―――
「兄さん!諦めないでください!」
「優月……」
どうやら優月が俺とヴィルヘルムの間に素早く入り、剣で拳を弾いた後にヴィルヘルムを斬り払って距離を取らせたようだった。
「ガキがぁ……舐めてんじゃねぇぞ!!!」
ヴィルヘルムはそう叫ぶと、全身から赤黒い杭をいくつも生やし、何かを唱え始めた。
それと同時にサングラス越しのヴィルヘルムの目の色が紅蓮の炎の如くに燃え上がる。
「
ヴィルヘルムの口から唱えられたのは詠唱。謳うヴィルヘルムを中心にして、周囲の位層がズレていく。
「
「
「
その詠唱が謳われると同時に凄まじい重圧と闇が辺りを包み、俺たちはその場から動くことが出来なかった。
「
「
「――
「
舗装された地面がひび割れ、周囲の薔薇が枯渇し、萎れていく。
「
「
「
「
瞬間、爆発した夜が、夜に重ね塗りしていく。
「――
重ね塗りされた夜に煌々と輝いていた月が徐々に赤く、血のような色になっていく。
「
そしてついにその詠唱が完成する。
「
「―――ぐっ!?」
「―――うっ!?」
その詠唱が終わると同時に体を凄まじい脱力感が襲った。花壇に咲いている薔薇ももはや姿形も無く枯れ果てている。
しっかりと意識を保っていないとすぐに倒れてしまい、あの薔薇のように枯れ果てて崩れ落ちてしまいそうだ。
「こ、この力は……」
「いい夜だろう?俺にとってはとても居心地がいい、最高の夜だぜ」
「うっ……まさか力を吸い取っているんですか!?……学園までも……飲み込んで……」
その優月の発言で俺ははっとする。今日は《新刃戦》で気絶や負傷している生徒も多くいるだろう。それに先輩たちや教員たちもいるので、ここだけでは無く、校内にも少なくない影響が出ているのは容易に予想出来た。
「くそっ……」
「……許せないです」
「あん?」
「私は兄さんに……皆さんに笑っていてほしいだけなのに……。それなのに貴方は皆さんの笑顔を……こうやって奪うような真似をして……絶対に許せません!」
「優月……?」
「許さねぇだぁ?なら俺をどうする気なんだ?倒すつもりかよ?」
俺は優月が珍しく怒っているという事を悟った。今まで他人思いで優しく、温厚な優月が怒っているのだ。俺も優月が怒ってる所などほとんど見た事が無い。
そして優月はヴィルヘルムに向かって剣を向けながら、声高らかに謳う。
「
「
「ええ、絶対に―――貴方を倒して見せます!」
次回は後編です。誤字脱字・感想等よろしくお願いします!