アブソリュート・デュオ 覇道神に目を付けられた兄妹   作:ザトラツェニェ

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お楽しみください〜!



第十一話

side 影月

 

「…………」

 

皆さんどうも、如月影月です。今、俺は教室にて朝のHRが始まるのを席に座って待っています。

……え?なんかテンション低くないかって?まあ、確かに少し低いですね……なぜなら……。

 

「〜♪」

 

俺の隣に座っている優月がとてもニコニコとしていて機嫌がいいから。

いや、別にそれだけなら俺だってテンションは低くないですよ?でも優月の機嫌がいい理由を考えると……。

はぁ……やっぱり昨日の俺はどうかしていたらしい。別に怖い夢を見る事は誰にだってあるだろう。でも怖い夢を見た後に怖くなって妹のベッドに入る兄がどこにいるだろうか?―――今、お前だろとか思った奴出てこい。

あの後朝になって、色々と後悔してしまったんだからな?優月に情けない姿を見せてしまったとか、無意識とはいえああいう事をしてしまった為に、優月がまたブラコンをこじらせてしまうとか……。ああ、色々な意味で本当に後悔している。

ちなみに俺が内心後悔している間にもクラスメイトは続々と教室へ集まってきており、俺や優月に朝の挨拶をしてくる。が、数人のクラスメイトたちは優月の機嫌が気になったのか、俺になんでこんなに機嫌がいいんだと聞いてくる。……というか本人に聞かないで、なぜ俺に聞くんだ?

まあ、しかし俺に聞いてくるおかげで優月が変な事を言って周りの誤解を招く可能性はかなり低い。だがいつまでこの状況が持つか……そろそろ優月本人になぜ機嫌がいいのか聞いてくる奴も出てきそうな気がするが―――

 

 

 

「影月、優月、おはようございます。―――?優月、なぜそんなに機嫌が良いんですか?」

 

 

―――と思っている側からユリエが聞きやがった。そんな質問を聞いた優月はすごくにこやかな笑顔を浮かべた。

 

「あ♪ユリエさん、聞いてください!実は兄さんが昨日の夜に―――」

 

「おはよう、影月と優月。なあユリエ、そろそろチャイムが鳴るから座るぞ?」

 

すると今度は透流がやってきて、なんとユリエにそんな事を言って連れて行こうとしてくれた。

 

「あ、トール……。ですがまだチャイムが鳴るまで時間が―――」

 

「あ、おはようございます♪そうそう!透流さんも聞いてくださいよ!実は兄さんが昨日の夜に―――」

 

「あ〜……悪い優月。今、ちょっとやる事があるから話を聞くのは後でな?」

 

「む……分かりました」

 

透流からそう言われた優月は仕方なさそうに身を引く。そしてユリエを先に行かせると、透流は俺の方に来て耳打ちしてきた。

 

『何があったか知らないが、なんか嫌そうな顔をしてたから一応助けておくぞ』

 

『すまない……ありがとう』

 

どうやら何かを察してくれたようで、俺は透流に小声でお礼を言った。

 

「はいはーい、HRはっじめるよー☆その前に今日は転入生を紹介するよー☆入ってきてー」

 

そしてそんな事を言いながら教室に入ってきた月見先生の後ろにはその転入生とやらが居て―――

 

「あんたが《異能(イレギュラー)》―――九重透流ね」

 

開口一番、転入生が発した言葉はそんなものだった。

 

その新入生の容姿を見た瞬間、ほとんどのクラスメイトが息を呑んだ。

教室に入ってきたのは黄金色の髪(イエローパーズ)蒼玉の瞳(サファイヤブルー)という誰しもが目を引く外見の外国人美少女。

髪と瞳だけではなく、出るところは出て引っ込むべきところは引っ込んだグラビアアイドル顔負けの魅力的なスタイルは、男子のみならず女子にも溜息をつかせる。

 

(…………ん?)

 

そんな事を思っていると、突然俺の視界にノイズが走る。

そのノイズの向こうに見えたのは、同じく黄金色の髪(イエローパーズ)で、深緑の眼(エメラルドグリーン)をした、白いドレスを身につけた少女だった。その少女の口元はとても優しそうな笑みを浮かべていて―――次に瞬きした時にはその少女の姿は消えていた。

 

(……今のは……?)

 

幻覚……のようにも思うが、それとは少し違う感覚がする。それはまるで前にその少女と会った事があるかのような感覚なのだが……でも俺は先ほどの少女と会った記憶は無い。

 

(……いや、今はそんな事考えても仕方ないか)

 

そう思った俺は思考を中断し、意識を教室に戻す。すると透流が黄金の少女に無理矢理連れて行かれる形で教室を出ていこうとしていた。どうやら透流は早速あの子に目を付けられたらしい。

それから透流は二時間目の途中位から戻ってきたが、月見先生が授業とHRをサボった罰として学園の外周を走ってこいと言われ、とてもげんなりとした表情をしていたのを覚えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……信じられませんわ」

 

俺の目の前で理事長―――九十九朔夜はパソコンの画面を食い入るように見ながらそんな事を言った。その隣では同じく食い入るようにパソコンの画面を見ている研究員の人が唖然とした表情で首を縦に降っていた。

 

「え、え〜と……」

 

「な、何が信じられないんでしょうか……?」

 

そんな二人に俺と俺の隣に居た優月は戸惑いながらも問い掛ける。

なぜこんな事態になっているのか……それは以前の《新刃戦》の特別賞与を透流たちと一緒に受けに来たのだが……最後に残った俺たちの《位階昇華(レベルアップ)》を始めようとパソコンを操作していた研究員の方が突如、顔色を変えて理事長を呼びに行ったのだ。そして連絡を受けた理事長が来てこの状況である。

すると理事長はゆっくりと俺たちの方を見てぽつりと呟く。

 

「……貴方たち二人とも……《(レベル3)》相当になってますわ」

 

「「……えっ?」」

 

その言葉に俺と優月は揃って疑問の声を上げる。《(レベル3)》相当?……今まで一度も《昇華の儀》を受けた事が無いのに?

 

「本当……なんですか?」

 

「は、はい……こちらのデータでは体力や筋力を含めた全身体能力数値が《(レベル3)》になった《超えし者(イクシード)》相当を指しています」

 

「さらに……如月優月。貴女に至っては《(レベル4)》と称しても問題無い数値になってますわ」

 

「レ、《(レベル4)》?」

 

「……おかしいですわね……本来、《焔牙(ブレイズ)》というのはこの様な《昇華の儀》を受けないと《位階昇華(レベルアップ)》しない筈なのですが……」

 

「……つ、つまりどういう事なんですか?」

 

「……あくまで現時点の推測で一番有力なのは……やはりヴィルヘルムでしょうか。彼と死力を尽くして戦った結果《位階昇華(レベルアップ)》した―――としか考えられませんわ。あくまで現時点ですけれど」

 

ヴィルヘルムと全力で戦った結果、位階が上がった?……正直、あまりにも荒唐無稽過ぎじゃないかと思うが……それ以外に考えられる理由も無い。

 

「……一先ずお行きなさい。いずれまた原因調査の為に来てもらいますけれど……貴方たちはもしかしたら《昇華の儀》を受ける必要が無いかもしれませんわね」

 

そう言った理事長は俺たちに退室を促して、長考に入ってしまった。となればここに居る俺たちはきっと邪魔になるだろう。

 

「……分かりました。失礼します」

 

「理事長、また何かあったら相談しに来てもいいですか?」

 

「……ええ、構いませんわ。さあ、お行きなさい」

 

俺たちは最後にそう会話を交わした後、部屋から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから職員棟を出た俺たちは、一足先に外に出ていたいつものメンバーと合流する。

 

「お、影月と優月、遅かったな?」

 

「確かに。何かあったのか?」

 

すると会って開口一番、透流と橘がそんな事を聞いてきた。俺と優月はそんな二人に向かって色々な意味を込めた苦笑いを浮かべる。

 

「ああ、色々な意味で異常事態が起きてな?」

 

「異常事態だと?それは一体……?」

 

「まあ、それは後で話すとして……お前たち、《位階(レベル)》が上がったって実感、あるか?」

 

「う〜ん……私はあまり実感湧かないな……ユリエちゃんは?」

 

「ヤー、私も同じです。見た目が変わるとかなら分かりやすいのですが……」

 

「なら……月見先生?聞いているんでしょう?」

 

みやびとユリエの言葉を聞いた優月は後ろに向かって声を掛ける。すると上から月見先生がにやにやと笑みを浮かべながら降ってきた。

 

「くはっ、やっぱし気づいてたか」

 

「ええ、ずっと私たちの話を聞いていたでしょう?」

 

「ああ、だが最初から気付いていたのは影月とお前だけみてーだがな」

 

突然現れた月見先生が優月と楽しく談笑する様子を見て透流たちは驚いているような表情を浮かべる。

 

「まあ、それはいいですから早く確かめに行きましょう。正直な所、私も実感が湧きません……」

 

「そっか、分かったぜ。んじゃー全員付いて来い」

 

そう言った月見先生は俺たちの脇を通り抜けて歩き出した。俺と優月はそのすぐ後を付いていき、透流たちも月見先生を警戒しながらも付いてくる。というか危害を加えないって言ってるのにいつまで警戒しているつもりなのだろうか……。それはそうと―――

 

『月見先生』

 

『あん?』

 

俺は月見先生の右後ろから、後ろに居る透流たちに聞こえないように小声で気になる事を聞いた。

 

『先生は先ほど職員棟から出てこられましたけど……もしかして俺たちの事、聞いています?』

 

『あ〜……あれだろ?《位階(レベル)》が《昇華の儀》を受けてねーのに上がってたっていう……あのお嬢様(朔夜)、お前らの事を異常だって言ってたぜ?ま、アタシも同じ事思ったけどよ』

 

『いや、まあ、はい……それで今から行くのは屋外格技場ですよね?』

 

『ああ、あのお嬢様から一つお前らの実力を見るように頼まれてな。まあ、アタシも色々気になってるから引き受けたって訳だ。もちろん、そっちの《(レベル2)》になった奴らの為ってのもあるが』

 

『……なんか色々とすみません……』

 

『てめーが謝る必要なんざねぇよ。元々アタシはなんであろうとおめーらを格技場に連れて行くつもりだったからな』

 

 

 

 

 

そして俺たちは月見先生の案内で屋外格技場に着いた。足元には砂が敷き詰められ、すり鉢状の観客席で囲まれたこの施設はローマの闘技場(コロッセオ)を彷彿とさせる。ちなみに俺たちはまだ授業でここを使った事は無い。

そんな事を思っていると、月見先生が携帯を取り出して誰かと話し始める。

 

「ちっす、アタシ。ああ、今は格技場。……そ、屋外の方。ああ、使()()()()からな。ん、じゃあ《異能(イレギュラー)》に代わるぜ」

 

そう言って月見先生は携帯を透流へと放り投げ、透流は慌ててキャッチした。透流は突然渡された携帯を見て一瞬逡巡した後、耳に当てて話しかける。

そして透流は電話相手が名乗ってきたのか、驚いた顔で電話相手の名を口にする。

 

「三國先生……!?」

 

(やっぱりか……)

 

電話相手はやっぱり三國先生か……などと思いながら横目で優月を見ると、目が合った優月は俺に苦笑いをしてきた。優月も俺と同じく、大方の電話相手を予想していたらしい。

 

「…………。分かりました。一応お願い出来ますか」

 

すると三國先生と話し終えた透流が通話を切ろうとしたので、俺はサッと透流から携帯を拝借する。

 

「お、おい影月!?」

 

「もしもし、三國先生?」

 

『その声……如月くんですか?』

 

受話器の向こう側から聞こえてくる確認の声に答えると、三國先生は何か頼み事があるのかと問い掛けてきた。

 

「はい、実は一つお願いがありまして……念の為に救護の方を数人、こちらに寄越してくれないでしょうか?」

 

『救護……ですか?』

 

「そうです。例え非殺傷で《焔牙(ブレイズ)》を振るっても、もしかしたらという事態が起こったりするかもしれません。それに俺と優月は個人的に少し試したい事があるんですよ」

 

『……もしや、殺意を込めて闘うつもりですか?』

 

「ええ、もしかしたら非殺傷時と色々勝手が違うかもしれませんからね」

 

『……分かりました。先ほど九重くんに頼まれて監視員を数人そちらに送りましたが、救護班も向かうよう指示しておきます』

 

「ありがとうございます。では―――」

 

通話を終えた俺は月見先生に携帯を投げ渡す。……横に居る透流やユリエたちの説明を求めるような視線が痛いが、特に説明する気も無いので俺は無視して話を進める。

 

「さてと、それじゃあ準備も済んだしやるとするか。お前たち、組み合わせはどうする?俺は優月とやるつもりだが……」

 

「……優月とはいつも模擬戦で手合わせしてないか?」

 

するとトラからそう指摘された。確かに俺は授業で優月と手合わせすることが多い。だから今回は別の相手と闘った方がいいのでは?という意図が伝わってくるが……。

 

「確かにそうだが……今の俺と優月は少し事情があってな。勝手が分かるまでお前たちと手合わせはしたくないんだ」

 

「それは……」

 

そう言われ、トラは少しだけ唸ったがとりあえず納得してくれたようだ。

結局、今回は普段手合わせをしていない組み合わせにしようという事になり、透流は橘と、ユリエはトラと、そしてみやびはタツと闘う事になった。

 

「よし、それじゃあ丁度監視員と救護の人たちも来た事だし……始めるか」

 

 

 

まず最初はみやびとタツの手合わせからする事となり、俺たちは邪魔にならないように客席で見守る事にした。

 

「それにしても……もう決まった事とはいえ、みやびさんの相手がタツさんでよかったんでしょうか……?」

 

確かにみやびは男性が苦手という精神的問題の他に、あまり戦闘も得意ではない。さらにタツの膂力は俺たちのクラス内でもかなりの上位だ。まあ、みやび自身は頑張ると意気込んでいたし、タツはある程度手加減すると言っていたが……確かに俺も色々と心配だった。

だが―――

 

「い、行くよ、タツくん!てやぁああああーーーっ!!」

 

「―――っ!!」

 

刹那、透流たちの息を呑む声が聞こえた気がする。

騎兵槍(ランス)》を手に地を蹴ったみやびは目にも止まらぬ、という程の速さではないが、これまでのみやびを知っていれば思わず驚いてしまうような速さで間合いを詰めた。

その想定外の速さに驚いたタツはそのまま棒立ちとなってしまい―――次の瞬間、あまり精神的によろしくない音が響き、次に激しい衝撃が闘技場を揺らした。

その衝撃の原因―――腹部を《騎兵槍(ランス)》で貫かれ、壁へ串刺しにされたタツを見て俺たちは唖然とするか、引きつった表情を浮かべる。

 

「おおぅ……結構派手な音したな……」

 

「……《焔牙(ブレイズ)》は非殺傷って知らなければ、結構ショッキングな場面ですね……」

 

「わわっ!だだだ大丈夫、タツくん!!?」

 

慌ててタツに近寄るみやび。それを見て念の為に救護を呼んでよかったなと内心思ってしまう。というかタツの奴死んでないよな……?

 

「驚きです。トールに近い速さでした」

 

ユリエですらも僅かに目を見開いてそんな事を口にする。それに驚くべき所はその速さだけではない。男子の中ではかなりの巨体であるタツを格技場中央から壁まで押し込んだ膂力にも注視するべきだろう。

 

「《位階(レベル)》が一つ上がるだけでこれほど変わるとはな……」

 

そんな事を言いながら気持ちを昂らせている透流を見て俺も考える。

位階(レベル)》がたった一つ上がっただけであれならば、《(レベル3)》相当と言われた俺と《(レベル4)》相当の優月は一体どれほどのものになっているのか。早く闘ってみて実感してみたいと思う反面、少しばかりの恐怖が心の中で湧き上がる中、この戦闘の後始末と次の試合の準備が行われる。

気絶したタツは救護の人たちによって観客席に運ばれ、みやびは観客席に、代わりに次に闘うユリエとトラが闘場へ降り立った所で次の試合が始まる。

 

「トラ、全力で行きます」

 

「望む所だ」

 

ユリエとトラ。言うまでもなくユリエは優月に並ぶレベルの速さを持ち、トラもユリエに次ぐ速さを持っている。

どちらも速さを武器にしているが、ユリエは我流の剣技で荒削りな部分があるものの激しい攻めを、トラは長年武術を学んでいる為に鋭く正確な攻めが持ち味だ。

 

「《無手模擬戦(フィストプラクティス)》なら互角だが、《焔牙模擬戦(ブレイズプラクティス)》となると話は変わってくるな。キミはどう見る、九重?」

 

「《焔牙(ブレイズ)》を使うトラの闘いは俺も始めて見るからな。ただ、それでもユリエかなと思う。《双剣(ダブル)》を手にしたユリエはまるで別人だ。俺自身、本気で()り合って勝てるかと言われたら厳しいと思うしな」

 

「なるほど、《双剣(ダブル)》のユリエとは私も闘った事があるからキミに同意だよ―――っと、動くぞ!」

 

そしてほぼ同時に動いた二人の速さを見て、俺は小さく感嘆の声を上げる。

 

「へぇ……速いな」

 

ユリエの両手に握られた《片刃剣(セイバー)》が左右から荒々しくトラに襲い掛かる。その一撃をトラは右の刃を《印短刀(カタール)》で受け止め、左の刃は僅かに体を捻る事で躱す。

そこからさらに追撃を行おうとするユリエに対して、トラは攻撃を避けつつ鋭い突きを繰り出す。その突きはユリエの鎖骨辺りに向かったが―――制服を掠めただけに終わる。

幾度と無く交差し、刃が空を切る音が、ぶつかり合う鋼の音が辺りに響き続ける。しかしそのような闘いの舞踏も唐突に終わりを告げる。

側頭部を狙った刃をユリエが上半身を反らして躱した直後、トラは体を独楽(こま)のように回して横薙ぎを繰り出したのだ。

俺ならバックステップで間合いを離すか、一気に相手の懐まで潜り込む所だが―――ユリエの取った選択は後者だった。

瞬時にトラの攻撃に反応したユリエは地を這うように体を沈み込ませて回避する。そしてトラの攻撃が頭上を通り抜けた瞬間、ユリエは立ち上がると同時に《双剣(ダブル)》を左右から振るい、その両刃はトラの腹部を斬り裂いた。

 

 

「よう、やられたなトラ」

 

「お疲れ様です。大丈夫ですか?」

 

「ふんっ、この程度、問題無い……。次は、勝つ……!」

 

決着が着き、観客席へ戻ってきたトラに声を掛けると、実にトラらしい負けず嫌いの答えが返ってきた。

しかし《魂》を斬られた事による消耗はそれなりのようで、トラは腰を下ろすと大きく息を吐いた。

 

「あ、ユリエさんもお疲れ様です。とてもいい闘いでしたよ?」

 

「ヤー、ありがとうございます」

 

そこへ少し遅れてユリエも戻ってくる。―――なぜか透流の上着を羽織って。

 

「……なんで透流の上着を着てるんだ?」

 

「……トールが女の子の肌が目立つのはよくないと言われたので」

 

……もしや先ほどの闘いで切り裂かれた鎖骨の部分の事を言っているのだろうか?別段青少年教育上は何も問題無いだろうに……。だが、透流の気持ちは分からない訳では無いのでとりあえず納得する。

そして第三戦―――透流と橘の模擬戦が始まる。

 

「行くぜ!!」

 

「―――っ!?」

 

開始の合図と共に地を蹴った透流の速さに橘が瞠目する。

透流の速さは先のユリエやトラと比べると幾分か劣るが、それでも三番目位に速かった。透流もそんな自分の速さに驚いている表情を浮かべながら突きを打ち込む。

 

「くっ……。そう簡単にはやらせんよ!!」

 

それを見て瞬時に驚きから立ち直った橘は防御姿勢を取る。

守備という技術に関して言うなら、橘の右に出る者は俺たちのクラス内に存在しない。更に言えば防御からの切り返しの技術についても同様の事が言える。

 

「せいっ!!」

 

透流の拳を掌で受けつつ、橘は身を捻り―――透流の突きの勢いを利用して投げ飛ばした。

しかし透流は宙空で体を回転させ、橘に顔を向ける形で着地する。

 

「っと……!やるな、橘!そっちも反射速度が上がって―――ってうおぉっ!?」

 

そんな透流を追撃する雫銅に気付いた彼は、咄嗟に横へ飛び退く。

 

「あっぶねぇ……」

 

「ふっ、今のをよく躱したものだ。だが、これはどうかな?」

 

そこから先は言っちゃ悪いが、先の二戦と比べるとかなり地味な展開となった。

(シールド)》という防御に特化した《焔牙(ブレイズ)》を持つ代わりに攻撃手段が殴る蹴るの接近技しか無い透流と、中、遠距離から攻撃出来る《鉄鎖(チェイン)》を持ち、接近戦もかなりの実力を誇る橘―――となれば、どんな戦闘が繰り広げられるかなんて大体は予想出来る。

つまり―――

 

「……最初に巴さんに投げられたのは辛いですね……」

 

中距離以上の距離を攻撃出来る橘が一方的に透流を攻撃するという状況になる。こういう勝負の焦点は近接攻撃しか出来ない者―――つまり透流が《鉄鎖(チェイン)》を潜り抜けて、橘の懐に入り込めるかどうかに掛かっている。

しかし橘の攻撃も完璧ではない。故に《鉄鎖(チェイン)》を避け、時には《楯》で防ぎながら、透流は隙をついて間合いを詰めていく。

そして―――

 

「ここだっ……!」

 

橘の攻撃をようやくかいくぐった透流は拳を構える。そしてそのまま決着か―――と思いきや。

 

「甘いっ!!」

 

踏み込んだ透流の足に《鉄鎖(チェイン)》が絡み付き、橘はそのまま《鉄鎖(チェイン)》を引く。

結果、透流は足を取られて大きくバランスを崩してしまう。そしてそんなその隙を逃す程、橘は甘くない。

彼女は透流の襟と袖を掴んで、大外刈りを掛けた。背中から地面に叩きつけられた透流は一瞬痛そうに表情を歪めるも、橘の動きは止まらない。橘は地面に伏せた透流の動きを封じる為、間髪を入れずに袈裟固めを仕掛ける。

 

「ーーーーーーーーっ!?」

 

「「あ」」

 

その時、透流は一瞬目を見開いた後に必死になって暴れ始める。そんな様子を見た俺と優月は揃って声を上げた。そんな俺たちを見てユリエやトラ、みやびが不思議そうな顔をしているが―――

 

「―――優月、問題発生だ。俺が橘を止める。透流の方は頼むぞ」

 

「了解です!」

 

そう告げると俺は闘場へと降り立ち、出入り口近くに立って透流たちの様子を見る。

 

「月見先生。倒すとは違いますが、完全に動きを封じたという事でこの場合は私の勝ちとしても宜しいですか?」

 

「くははっ、いいんじゃね?おっぱいプレスされて別の意味で昇天寸前って感じだし」

 

「え……?お、おっぱ……え?」

 

(なんで火に油を注ぐかな〜……あの兎……)

 

月見先生の言葉に橘の動きが止まる。

さて、ここまで来たら俺が何を指して問題発生と言ったのか分かるだろう。すなわち袈裟固めをされた透流の顔面に橘の胸が押し当てられていたのだ。

 

「ここ九重っ!?し、昇天とはどういう事だ!そんか破廉恥な事を考えて勝負に臨んでいたというのかキミは!?し、し、し……痴れ者ぉおおおおっっ!!」

 

「誤解だーーーーーーっ!!」

 

明らかに自分からやったというのに透流に色々と叫んだ橘は顔を真っ赤にしてこちらへと走ってくる。

俺はそんな橘に対して溜息を吐き―――

 

「―――よっ……っと!!」

 

走ってきた橘の勢いを利用して、彼女を背負い投げで思いっきり地面へと叩きつけた。

 

「ぐ、がはぁ!!?」

 

パニックになっていた上に突然地面に叩きつけられた橘は正気に返ったのか、普通の顔色に戻って俺を見る。

 

「な……き、如月!キミは一体何を―――」

 

「透流が誤解だって言ってるのに走り去ろうとしてるから止めただけだ。全く……少しは人の話を聞けっての……」

 

そう言って俺は橘を起こしながら落ち着かせるように言う。

 

「寝技を掛けた以上、胸が相手の顔とかにいってしまうのは仕方ないだろう?袈裟固めとかはしっかりと押さえ付けてないと逃げられるんだからさ……」

 

「……う、うむ……」

 

「それにさぁ……月見先生はああ言ってたが、透流は一言も昇天したとか、そんな事考えて勝負してたとか言ってないだろ」

 

「…………」

 

「……そもそも自分からやったのに透流を痴れ者呼ばわりって……」

 

「…………な、なあ、如月?怒ってる……のか?」

 

そりゃあまあ……穏やかな気持ちでは無いな。

 

「俺と優月、まだ闘ってないんだぞ?それなのにお前が走り去ったらここでこの話のオチが付いちまうだろうが……」

 

「わ、悪かった!!如月、私が悪かったからそれ以上メタい事を言うのはやめたまえ!」

 

―――おっと、怒りに任せてついメタい事を言ってしまった。

 

「兄さ〜ん!透流さんも落ち着きましたよ〜!」

 

「影月、その……橘を止めてくれてありがとな」

 

「お礼は別にいい。後になって橘がまた人目も憚らずに土下座して謝るとかしたら、透流も嫌だろ?」

 

「……そうだな」

 

「うっ……」

 

苦笑いしながら肯定する透流に橘は何も言えなくなり、小さくなってしまう。

 

「はぁ……とりあえず二人とも観客席に戻れ……。それと橘、また叫びながら走り去ったりするなよ?」

 

「う、うむ……善処しよう……」

 

……正直、視線を彷徨わせながら善処すると言われても信用ならないんだが……とりあえず今は信用しておこう。

 

「さて、それじゃあ俺たちは観客席に戻るか」

 

「そうだな……如月、優月、二人の闘いも楽しませてもらうぞ?」

 

そう言い残した透流と橘は観客席へと戻っていき、俺と優月は揃って溜息を吐く。

 

「はぁ……やっと俺らの番か……なんか結構待った気がするなぁ……」

 

「ふぅ……そうですね……橘さんが走り去ろうとした時は色々と焦りましたけど、なんとか収まったみたいでよかったです」

 

俺たちはそんな事を話しながら闘場の真ん中へと移動して準備を整える。

 

「さてと……兄さん、分かってるとは思いますけど……手加減は無用ですからね?」

 

「分かってる。その代わり優月も本気で来いよ?どうせ多少怪我したって何とかなるからな」

 

その為に救護も頼んだわけだしな。そう言うと優月は苦笑いを一瞬だけ浮かべ―――すぐに真剣な顔になって俺を見据える。俺もそれを見て気を引き締める。

これから俺と優月が始めるのは()()では無く()()だ。透流たちのように《(レベル2)》に上がった実感を得る為に闘うわけじゃない。

故に俺たちの戦いは先ほどの三連戦とは違ってかなり過激なものになるだろうが……果たしてどのような事になるのだろうか。

俺はそんな事を思いながら静かに開始の合図を待った。

 

 

side out…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 透流

 

焔牙模擬戦(ブレイズプラクティス)》が終わり、橘と共にユリエたちが待つ観客席へ戻った後―――俺たちは軽く談笑しながら、影月と優月の闘いが始まるのを今か今かと待っていた。

 

「おお、《異能(イレギュラー)》におっぱいプレスかました後にテンパって逃げようとしたら《異常(アニュージュアル)》にぶん投げられて我に返った優等生が帰ってきたぜ」

 

「月見先生……!あんな事を言って私と九重を弄ぶのはやめてください!」

 

「くはっ、悪りぃ悪りぃ。でも、勝手に一人でテンパって逃げようとしたのは事実だろ?」

 

「そ、それはそうですが……」

 

そんな俺たちの横でニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべつつ橘を弄る月見と、そんな月見に弄られて何も言い返せなくなっている橘を見て、俺は内心苦笑いする。まあ、正直俺もあれについては影月や月見と概ね同意見なので今回は黙って月見に存分に弄っておいてもらおう。

 

「影月くんと優月ちゃん……ど、どっちが勝つのかな……?」

 

「ふむ……どっちも武術経験がある上にあの二人の実力は互角だからな……僕も予想出来ないが……透流はどう見る?」

 

「そうだな……。速さとか正確な攻めは優月の方に分があるけど、力とか戦法とかだったら影月の方が上手いしな……」

 

正直な所、俺もトラと同じでこの勝負の結末は全く予想出来ない。二人とも武術の腕はクラスでも一、二を争う位高いし、《無手模擬戦(フィストプラクティス)》で闘ってもお互いに決定打が与えられずに決着が着かない事も多い。そんな実力が拮抗している二人が《焔牙模擬戦(ブレイズプラクティス)》を行えばどうなるのか……。

 

「さて、んじゃー始めるぞー?用意はー?」

 

「いつでも」

 

「同じく」

 

そんな事を考えていると、橘弄りを終えた月見が二人に向かって問い掛け、二人は真剣な声色で答える。

 

 

それを確認した月見は試合の合図を告げ―――

 

 

「「《焔牙(ブレイズ)》」」

 

 

その言葉が俺たちの耳に届いた時にはすでに格技場の中央でお互いの《焔牙(ブレイズ)》を打ち付け、鎌迫り合いの状態になっている影月と優月が居た。

 

『なっ!?』

 

「うおっ、はえーなおい!!」

 

俺やみやびや橘、そしてトラもユリエも《(レベル2)》になった事で想像以上の速さを手に入れたと思っていたが……この二人は文字通り次元が違った。ただ一人、月見だけはそんな二人の姿をしっかりと捉えていたのか、とても好戦的な笑みを浮かべていたが。

初手の剣閃から起こった鎌迫り合いは数秒程行われ―――次の瞬間二人は同時に飛び退いて、鋼が高速で擦れ合う金切り音を鳴り響かせながら、凄まじいまでの剣戟を始める。

(ブレード)》を振るう優月の剣速は一筋の白い閃光にしか見えず、あまりの速さに目で追いかける事が出来ない。それだけでユリエの倍以上の速さで剣を振るっているのは想像に容易かった。おそらく今の優月とユリエが闘えば、ユリエが一回《双剣(ダブル)》を振るう合間に優月は軽く二十以上は斬撃を繰り出せるだろう。

そして恐るべきなのはそんな剣速に付いていける影月だ。《(ランス)》という長物でありながらもおそらく懐に入り込んでいる優月の攻撃を何度も防御して、その上隙をついて攻撃を行うその技量は思わず唖然としてしまう。

そうした超常的な打ち合いを続けていた二人だったが、二人は突然弾かれたように大きく後ろへと下がり、揃って自分の武器に視線を落とした。

 

「ふむ……確かに前より速く振るえるようになったし、動きやすくもなったけど……」

 

「……なんというか、ヴィルヘルムと戦った時と比べて力が出てないですね……」

 

「……やっぱり殺気を込めてないからか……?よし、小手調べは終わりだ。こっから先はあれで戦うぞ」

 

「分かりました!」

 

そう言った二人は揃って目を閉じる。

 

「―――つ、月見先生……二人は……本当に私たちと同じ《(レベル2)》なのでしょうか……?」

 

その時、今までの闘いを見て呆然としていた橘が絞り出すかのような声で月見に聞く。それはここに居る俺たち全員の気持ちを代弁したものだった。

それに月見は意地の悪い―――しかしそれでいてどこか楽しそうな笑みを浮かべる。

 

「いんや、あの二人の実力はおめーらの一つ上―――《(レベル3)》に匹敵する」

 

『はぁ!!?』

 

月見の予想を超えた返答に俺とトラと橘が驚きの声を漏らし、ユリエ、みやび、タツ(いつの間にか復活した)は目を見開いて固まってしまう。さらに―――

 

「ついでにもう一つ言うと、《異常(アニュージュアル)》妹の方はもう《(レベル4)》つってもいい位の実力だ。正直な所、アタシもあいつらとは()り合いたくねぇな……あんなん勝てるかどうか分からねぇ」

 

『…………』

 

(レベル1)》の時とはいえ、圧倒的な力の差を俺とユリエに見せ付けた月見が苦笑いしながら、闘いたくないと言ってしまう程の実力。

 

「しかもあいつら、《()()()()()()()()()()()()あれなんだぜ?本っ当に異常だよなぁ……」

 

『――――――』

 

《昇華の儀》を受けていない……?その意味を尋ねようと俺は月見に詰め寄ったが―――

 

 

 

「「Yetzirah(形成)―」」

 

 

 

そんな聞き慣れない言葉と共に襲い掛かってきた圧倒的な重圧に、俺たちは揃って片膝を付いてしまった。

 

「ぐっ……!こ、これは……!?」

 

「ト、トール……!」

 

「な、何が……!?」

 

「―――やべぇな……《(レベル3)》でここまで化けんのかよ……」

 

俺たちは全身に襲い掛かる殺意とは全く違う重圧に耐えながらなんとか立ち上がる。

そして引きつっている笑みを浮かべる月見の視線の先を見ると―――

 

「「――――――」」

 

先ほどよりも強く銀色に光り輝いている《槍》を持つ影月と、こちらも先ほどより強く光り輝いている《刀》を持った優月が薄っすらと笑みを浮かべて立っていた。

 

「―――へぇ、殺意が無くてもこれくらいの力は出せるのか」

 

「なら―――殺意を込めたらどれほどになるんでしょう―――ねっ!!」

 

その言葉と共に優月の姿が突如俺たちの視界から()()()。と、思った次の瞬間から弾ける剣戟の轟音が数テンポ遅れて聞こえてきた。その速さはもはや先ほどの超常的な打ち合いがまるで遊びだったかのように感じてしまう。

「―――凄い……」

 

みやびが発した呟きに俺たちは全く同じ事を思ってしまう。それと同時に俺の中には様々な疑問が思い浮かんでくる。

二人はあの《新刃戦》を通じて、一体どうやってこれ程の力をつけたのか?

二人が闘った侵入者によってこれ程までに成長したのだろうか?

そして―――この二人程の力が無いとあいつには届かないのか。

そんな事を考えながら俺はいつ終わるか分からない超人同士の闘いをただただ食い入るように見ていた。しかしそんな闘いも長くは続かない。

 

「っ!!」

 

その時は唐突に訪れた。目にも止まらぬ速さで優月の攻撃を捌いていたであろう影月の左腕から()()が舞い散ったのだ。

 

「っ!?ちょっと待て!」

 

その鮮血を見て、二人の剣戟に見惚れていた俺は我に返る。本来《焔牙(ブレイズ)》は非殺傷だと思って振るえば、相手に傷を負わせることは無い。しかし今の優月の一撃は影月に()()()()()()。それが意味するのは一つ―――

 

「あの二人……まさか殺意を……!?」

 

「ああ、その通りだ。俺たちはお互いを傷付ける気で戦っている」

 

トラの言葉に影月が答える。その答えを聞いた途端、俺は即座に月見を見る。

そんな俺の視線に気付いた月見はにやりと不快な笑みを俺へと向けてきた。その笑みを見た俺は反射的に月見に掴みかかろうとして―――

 

「やめろ、透流。これは俺と優月が個人的に試したいと言ってやってるんだ。月見先生や三國先生には許可ももらってる」

 

「っ!だがっ!!」

 

「心配すんな。こうなる事を見越した上で救護を頼んだんだし、どっちかが一撃もらったから終わるって決めてたからこれで終わる」

 

そう言って影月は《焔牙(ブレイズ)》を消し、大きく後ろへ飛び退いていた優月も《焔牙(ブレイズ)》を消して、影月の元へと向かっていった。

 

「兄さん!大丈夫ですか?」

 

「ああ、この程度なら包帯巻くだけで治るさ」

 

その後、客席に戻ってきた影月は救護班の人に軽く応急処置をしてもらい、包帯を巻いて治療を済ませる。

その治療中、俺は影月になぜ最後に殺傷設定で闘ったのか聞いてみたのだが―――

 

「そうだな……ちょっと色々と試してみたかったから、とでも言っておこうか。まあ、結果として色々な事が分かったし、学園側としても中々興味深いデータが取れたんじゃないか?」

 

「くはっ、確かにそうだな。んじゃこれにて今日の模擬戦はしゅーりょーん♡というわけでアタシはお嬢様の所でおめーらの事を報告してくるぜ。とゆーことでみんな、お疲れさまでしたー☆」

 

そう告げた月見は呆気に取られる俺たちにひらひらと手を振りつつ、格技場から立ち去ってしまった。

その後、影月も優月に介護されながら寮へと戻っていき、後に残った俺たちはお互いの顔を見合わせる。

こうして初の屋外格技場で行われた《焔牙模擬戦》は様々な疑問と不安を抱えたまま終了したのだった。




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