ヒーローだらけのこの世界で   作:マスタべえしょん

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第四話 決意

新生活が始まって一日が経った

住まいも見つかったしこれからは普通に生きられると思ったんだよ

でも風雨がしのげること以外は野宿の時と変わらない

飯を食べようと思ったが全く腹が空かない

そのうえ寝ようとしても眠くない

 

 

この俺的三大ないのせいで俺は朝から憂鬱だった

スライムの体になってからもう人間みたいな生活できねえのかな・・・なんて考えながら窓の外を眺める

雀か何かのさえずりは聞いているだけで心地よく、のどかな朝の陽射しは俯いている俺の心を癒してくれ

 

 

『ジリリリリリリリリリリリ』

 

 

・・・壁薄いなおい

隣の部屋からの目覚まし時計の音でのどかな雰囲気が台無しである

そういえば隣に誰か住んでたんだな

こういう時ってあいさつした方がいいのか?

しかしこの体だからな・・・

 

 

 

どっちにしろ隣人の件はなんとかしなきゃなー

日向ぼっこしながらほんわか気分に浸りつつあれこれ考えていた

外は相変わらず穏やかで静かだ『ドオン』

この平和な日々が続けばいいのに

 

 

「ふはははは、地上は我々地底人がいただいた」

 

 

 

・・・世界は俺の心の声をなんで全力で邪魔するの?

窓の外を見やると地底人とかいう怪人が騒いでいた。朝からうるせえ

 

 

「地上人には死んでもらう」

 

 

うわもうなんかセリフ雑魚っぽいなこの怪人すぐやられそう

でも光ってる剣持ってるし、あれライトセーバー?スターなウォーズなの?

 

 

「我は地底王!地上人ども覚悟し」

 

 

覚悟しろ、と言い終わる前にヒーローの姿をしたハゲの男が地底王の頭を踏みつけた

地底王は白目剥いて地中にめり込み動かなくなった。やっぱりあのセリフはフラグだったのか・・・

地底王の仲間みたいなやつらも唖然としてた。いきなりお頭がやられたんだから当然そうなるわな

 

 

「さあ、やろうか!!」

 

 

ヒーローっぽい男は仲間の怪人にも拳を向け高らかに声を上げる

その表情がいやに爽やかなのはなんでですかねぇ・・・

ま、太刀打ちできないと悟ったのか怪人達は速攻で白旗を挙げていた

それを見てどこか満足がいかなさそうに男は去っていく

 

 

俺のマンションの方に

 

 

ええ!?あの人ここに住んでんの?

俺超やべーじゃん!あんなのと会ったら瞬殺されちまうぜ

焦った俺は外へ出てここから逃げようとした

 

 

うかつだった

ドアを開けて階段に向かって走ろうと横を向いたら、さっきの男は俺の目の前にいた

しかも俺の部屋の隣でドアの鍵を開けようとしているところ

俺も男もお互いを見て数秒間固まっていた

ああ、これはやられるな俺。所詮は余生か・・・(ヴァンパイア並感)

死を覚悟し、俺は静かに目を閉じた

 

 

「お前、怪人か?」

 

 

かけられた言葉を聞いて俺は目を開けた

男は真っ直ぐに俺を見つめたまま立っていた

 

 

「あ、いや、見た目怪人なんだけど、別に人襲ったりとか迷惑かけたりとか、しないから・・・」

 

 

予想外の事だったから戸惑いどもってしまった

男はすぐに攻撃してこなかったがまだ俺の命が助かるとは言い切れない

俺は手(正確には手ではない)を顔の横まで挙げて降参のポーズをとる

 

 

「ハッ、なんだそれ。お前面白いな」

 

 

え、面白い?

俺は微笑した男をもう一度見た

ヒーローのマントやスーツ、形の綺麗なハゲ頭、怪人の血で汚れた右足

明らかに怪人を倒すヒーロー。今の俺と対極の存在

そんな奴が俺を見て面白いだって?

 

 

「俺はサイタマ、趣味でヒーローをやっている。よろしくな」

 

 

その男、サイタマはそういうと「うわ汚ねえなこの血」とか言いながら自分の部屋に入っていった

サイタマは俺を倒さなかった。怪人の姿の俺を

少しの疑問を抱きながら助かったことに安堵し、俺も自室に戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は考えた

 

 

スライムである俺を迎えてくれた管理人のヨーゼフ

面白い、と笑って俺を殺さなかったヒーローのサイタマ

他の人とは違う。二人は強い人間なんだろう

とりあえずここでなら俺は安全に暮らせそうだ

 

 

 

でもこのままというわけにもいかない

世界は俺を受け入れてはくれない

怪人である俺が生きていくには厳しい世界だ

 

 

 

それに俺は普通に暮らしたい

殺人鬼でもないしスタンドも持ってないが俺は静かに暮らしたい

平穏が、日常が、普通の生活が欲しい

 

 

 

そのためには今のままではダメだ

どうするかなんて、そんなの決まってる

 

 

俺を拉致してこんな体にしたヤツらを見つけ出してぶっとばす

そして、元の姿に戻ってやる

 

 

俺は心に固く決心した

 

 




お久しぶりですハロにちは、白髪祭です


お待たせしました久しぶりの投稿です!
楽しみにしてた方中々執筆できずすみませんでした
・・・楽しみにしてた方、いるよね?いますよね?いてくださいお願いします


まあそんな事より主人公が作中一言しか喋ってないのはなんでですかね…
次回では沢山動き回すつもりでいるからお楽しみに!

ご意見ご感想お待ちしております


以下、主人公プロフィールをひとつ


スライム

名前 まだない (誰かつけてくれると嬉しいです)

人間の時の名前は麦谷 太鼓(むぎや たいこ)。麦茶飲みながら太鼓の○人して思いついたので

性別 あんのかこいつ (人間の時は男だった)

年齢 30歳

血液型 A型

体長 160cm 体重 30kg(スライム化して軽くなった)

性格・特徴
どんな人(怪人)にも低い姿勢で向き合う人当たりのいい性格
そのため舐められることもあり、そういう人には厳しい態度で接している
実力がなさそうに見えるが行動力と決断力に優れているので会社では高成績を得ていた
しかし本人はそんな事どうでもよく、仕事の量を減らして欲しいといつも願っていたらしい

スライムとなってからはその姿に酷く驚くも元の体に戻る事を決意した
スライムの性質については未だに謎が多い
人間と比べ力は明らかに劣っているが素早さは少し上がっている

・体が自在に変形する
・どこにでもくっつける
・再生する(何で再生するのかは正確にはわかっていない)
・食事を取らない
・睡眠を取らない

以上の事が現段階で分かっている
もしかしたら他にも秘密があるかもしれない・・・


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