ヒーローだらけのこの世界で   作:マスタべえしょん

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第一話 怪人化

「ああ、なんでこんな事に…」

 

そいつは落胆しながら町を歩く。といっても人通りの多い道ではなく路地裏や人気のない道ばかりをだが。

 

「ああ、なんでこんな姿に・・・」

 

ふらふらとした足取りでそいつは歩く。表情は俯いていて覇気がない。

 

 

「ああ、なんで______

 

 

 

俺は怪人になっちまったんだろう・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遡る事1時間前、ついさっきの事だ

 

俺は人間だった。麦谷 太鼓(むぎや たいこ)っていう名前もあった。田舎から上京してB市に住み、サラリーマンになって細々と暮らしていた。平日は仕事、休日は家でダラダラ。

たまにゲーセンに行って格ゲーするけど毎回負けて泣いて帰る。いや泣くなよ30のおっさん

毎日真面目に生きてるつもりだがあまり良い事ない生活

少女が空から降ってきたり転生して異世界行ったりする事のない生活

たまに怪人に襲われそうになって、それをヒーローに助けられて そんな生活をしてた。

 

 

 

 

でも1時間前、俺は突然拉致された。そして気がつけば、俺は知らない場所にいた。偶然にも家の近所だったのでなんとか帰ろうとしたが途中で窓ガラスに映った自分を見て唖然とした。

 

 

俺の姿は人間とはかけ離れたものになっていた。 といっても、羽や角が生えてきたわけではない

ただ、体全体が見違えるほどに豹変していた。

薄水色の半透明、ドロドロのプルプル、辛うじて人型を留めているがどんな形にも変形できるようなこの体、

そう スライムだ。

まあ最初に見た時の感想は・・・

 

「WHY!?」

 

この一言だ。まあ驚かない方がおかしい。何で英語かは知らん

その後なんでスライムなんだ美少女じゃないんだってずっと窓に文句言っていたがアホ臭くてやめた

 

 

 

 

なぜこうなってしまったのか。誰が俺をこんな体にしたのか。

なにも分からないが、とりあえず今は家に帰りたい。そんな気分だ

 

「はあーーーーー… 俺これからどうなっちまうんだろう」

 

 

スライムの俺がこの世界で生き抜いていけるとは到底思えない

当初はスライムになったし、俺強くなったんじゃね?とか思って試しにコンクリートの壁を思いっきり殴って崩してやろうと思ったの

俺の体がボロボロに崩れたわ

なんとかかき集めて修復したけどめっさ痛かった。もう二度としない

力の劣った自分にガッカリしとぼとぼ歩いていると、

 

急に目の前が明るくなった。顔を上げて見るとそこには悲惨な光景が広がっていた。

町は荒野と化し、人々は逃げ惑い、そこら中で火災していた。まるで地獄のようだ

 

 

しかし、これは自然災害によるものではない

 

「怪人の仕業か…」

 

ため息混じりにそう言い捨てると、俺はまた歩み始めた。すると、

 

「何者だ、お前は」

 

やはり目の前に怪人が現れた。全身が紫の生命体で頭に触角のようなものが生えている。その容姿にひっ という声をあげ俺はおののく。

 

「いや、俺はただココを通りかかっただけでして」

 

「そうか、なら・・・死ね!」

 

そう言って怪人は拳の一撃を繰り出す。それを俺は人生で一度しか使えない究極の反射神経を使い避ける

 

「危ねえっ!ちょっといきなり何すんだよ」

 

「私は人間どもが環境汚染を繰り返す事によって生み出された、ワクチンマンだ

 

地球は一個の生命体である。貴様ら人間は地球を蝕み続ける病原菌に他ならない。

 

というかお前、姿形が病原菌じゃないか。」

 

「うるせえよ」

 

こいつ頭に触角だけでなくブーメランまで生えてんのか

 

「とにかく、今ここで抹消してくれる!」

 

 

そう言って怪人は先ほどよりも鋭いパンチを繰り出す。

仕方ない、究極の反射神経を使い避け・・・れない!?

なぜだ。なぜ避けれない!?この技は最強の筈だ

俺の爺さんはこの技を使いトラックを避けた!

俺の父さんはこの技を使い落ちてきた鉄筋を躱した!

俺の兄さんは仮病を使いテストの日休んだ!

あれ、最後のやつ関係ねえや

そういえばさっき使ったときに何か言ってたような・・・

 

『俺は人生で一度しか使えない究極の反射神経を使い・・・』

 

あ、そうか一回きりなのか

てことは・・・あ、オワタ\(^o^)/

 

 

 

 

俺の体は粉々に弾け飛んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも白髪祭です。

第一話を読んでいただきありがとうございます。
不定期更新なので次回の予定が決まっていませんが気長に待っててください



それではまた次回で


ご意見ご感想お待ちしております


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