魔法少女リリカルなのはvivid~守りし者~《完結》   作:オウガ・Ω

53 / 66
《陰我》在るところ《ホラー》顕れては無辜の人を闇に紛れては血肉を喰らいつづけた、人々は闇をホラー恐れた



闇《ホラー》あるところ《光》あり。古よりホラーを狩る宿命(さだめ)を持つ者達がいた


ソウルメタルの鎧を纏い、その刃でホラーを斬り人をまもる者達の名を《魔戒騎士》という


第二十五話 鷹矢ー序ー

ーオウガの称号を剥奪する!ー

 

 

……光にあふれた場所に浮かぶ僕を見る《光》に包まれた人達の声が響く…《オウガの称号》…ナニのことか僕にはわからない。それに此処はどこなんだろ?

 

はやく戻らなきゃ……アレ?なんでそう思ったんだろ。一瞬、誰かの声と顔が頭をかすめるけどノイズと砂嵐が邪魔してる。何か大事なことなんだろうかな?

 

 

ー……もはや己自身が何者かすらも忘れたか…ー

 

 

ー……破滅と忘却の刻印で命、記憶も微かしか残されていないか………ー

 

 

ー秋月鷹矢、此の場よ……ー

 

 

 

ー……お待ちください、オウガを継承せし英霊の方々ー

 

 

光に飲まれそうななった時、別な声が静かに響く。光の玉が現れ真っ直ぐ僕の隣を抜ける。ほんの一瞬見られた気がする…八つの光の前で止まると鬼の面をつけた人が姿を現した

 

 

ー二度の心滅にお怒りは存じ上げてます。ですが今一度、彼に機会をお与えくださいー

 

 

ーならぬ。我らが纏いし鎧から輝きを失わせ二度の心滅はもってのほ……ー

 

 

ー鎧から輝きはまだ失せてはいません!ー

 

 

魔界文字があふれたしゆっくりと鎧《オウガの鎧》が姿を見せる、輝きが失われ黒く染まった鎧の周りを英霊の魂は全身をみるよう浮遊し、びたりと止まる

 

胸にまかれた鎖の向こう側に白金の輝き…ほんの小指ぐらいの広さが残っている

 

 

ー……本来ならば英霊の座す此の場にい私がいるのは無礼であるのは重々承知してます。ですが、お願い申し上げます!機会をお与えください…どうか再考を!ー

 

 

ー………ー

 

 

何故だろう。此の声…どこかで聴いた事が…ずっと昔に…何分か過ぎたときに光が僕の周りに浮かんだ

 

 

ー……秋月鷹矢。我らは今一度、機を与える……ー

 

 

ー……しかし二度の心滅へ至った事は許せぬこと………ー

 

 

ー……故に枷を与える…来い、我らが魔戒剣斧よー

 

 

僕のコート?から黒地に白金の模様が目立つ鞘に収まった剣がふわりと浮かび上がる。瞬く間に鎖が鞘と鍔をがんじがらめに巻かれ、僕の前にふわりと近づいた。恐る恐る手にした瞬間、ずしりと重くなり地面に膝をつきそうになるのをこらえた

 

 

ー……今のおまえは魔戒騎士にとって必要なモノを

失っている……ー

 

 

ー……今一度、思い出せ………その《カテナ》は得るまでは解けぬ……得ぬ限り魔戒剣斧を力ですらも抜くことも叶わぬだろう…ー

 

 

ー………秋月鷹矢。コレが我らが与える最期の機た……現世へ戻れー

 

 

声が途切れた瞬間、目の前が真っ暗になる…ただ、下へ下へ落ちていく感覚しかわからない…………

 

 

「《秋月鷹矢》って名前なんだ僕は。でも《魔戒騎士》って何だろう………わからないや……」

 

そう口にした僕は真っ暗な闇を墜ちていく事に身を任せた 

 

 

 

教えてよ………僕、《秋月鷹矢》は誰なのかを…

 

 

………教えてよ……

 

 

第二十五話 鷹矢ー序ー

 

 

同時刻、聖王教会最深部《魔戒殿》

 

 

「メイさん、タカヤさんは今どこに?」

 

 

「…ダメ。わからないわ…」

 

 

「わからない…どういう事なんですか?」

 

 

「……まるで《この世》から存在が消えている…いいえ何かに意図的に隠されているとしかいえないわ」

 

 

魔針盤から魔導筆をおさめ、息をつく……アインハルト様、ヴィヴィオさん、ミウラさん、ジーク様、赤が

……ノーヴェ・ナカジマが私に詰め寄る。タカヤが消えて二時間、外へ出て探しに行こうとするのを必死に止め術を使って探そうと言うことで納得して貰った。高町さんにヴィヴィオさんたちに刻まれた魔導刻印《ゲート》に関して説明を念話でした。最初は信じていなかったけど話を聞いてるうちに事の重大さに気づいてくれた。テスタロッサさん、八神さんにも同じ内容で伝えた。でもテスタロッサさんはかなり取り乱し皆に心配をかけないために念話での会話していたので表面状は普通を装えた

 

 

『テスタロッサさん、高町さん、八神さん、私が必ずヴィヴィオさんたちをお守りします。ココ魔戒殿は私と祖父しかしりません……』

 

 

『……わかりました……すいません取り乱して。今はアナタに頼るしかできませんから……でも必ずヴィヴィオを、みんなを助けてください。お願いします!』

 

 

 

テスタロッサさんの声からはヴィヴィオさんたちを強く想う心を感じ取り私は必ずまもると約束し納得してもらえた……私はそれ以上に彼女たちの未来を奪わせたくない。今はジロウ様たちもタカヤの行方を探してくれてる。でもタカヤに刻まれた破滅と忘却の刻印はジロウ様、ソウマ様、レイジ様、そしてユーノさんの破滅の刻印と繋がりがある。もしかしたらソレを通じて…

 

 

 

「なあ、メイ……なんでそんなに冷静でいられるんだよ」

 

 

「ノ、ノーヴェ?」

 

 

「タカヤがあんなのを刻まれて、あたしたちに心配をかけないためにずっと黙ってたのはわかんだ。でも、母親なんだろ!なんで気づかなかったんだよ!」

 

 

「………そうね…」

 

 

「メイ!…………っ?!」

 

 

ヴィヴィオさんの止める声に耳を貸さず強引に肩を荒々しく掴まれて揺らす赤が…ノーヴェ・ナカジマの手が止まる…頬に濡れた感覚、泣いていることにようやく気づいた……同時に堰を切ったように言葉があふれだした

 

 

「………そうよ!私は気づけなかったわ!破滅と忘却の刻印で苦しんでるのも……ホラーと戦う度に命と記憶を失ってるなんて気づけなかったわよ!私は、母親失格よ……コレで満足!!」

 

 

「………メイ、お前……」

 

 

「ノーヴェ、やめなさい。タカヤ君のお母さんだって辛いんだよ…子供を大事に想わない親なんていないんだから」

 

 

「……なのはさん」

 

 

「…そうだよノーヴェ…なのはのいうとおりだよ。今は待とうか。必ずユーノ達が見つけてくれるから」

 

 

「は、はい」

 

 

「さて、もう夜も遅いし、ヴィヴィオたちも早よ寝ないといかんやろ。あとはウチらにまかせてな」

 

 

「で、でも…」

 

 

「それに皆の寝不足の顔を見られたないやろ?タカヤ君、どう想うやろな?」

 

「は、はい!」

 

「そうですね」

 

 

「では、みなさま此方へ大浴場とお部屋へ案内いたします。さあ」

 

タカヤ君の名前だしたら、みんないそいそとデルクさんに部屋へ案内され居なくなった…ミウラの家には連絡したし問題はない。今、部屋にいるのはウチとフェイトちゃん、なのはちゃん、メイさん、カリム。コレからが本題になるやろうな………三十年前の事件、そして十五年前の誘拐立てこもり事件、そして四年前のJS事件、最近起きた不可解な事件でわかった《盟約》……ウチらをここへ呼んだ理由はそれに関わるものやと確信してた

 

 

「秋月メイさん、そろそろウチらをここへ招いた理由を聞かせて貰えないでしょうか?………盟約と関わりがあることでしようか?」

 

 

「…………」

 

 

泣きはらした表情から真剣な眼差しに変わるのをみて推測は間違えてないのがわかった。カリムの真剣な眼差しの奥に迷いが巻き込みたくないとも感じた…少し目を閉じゆっくりと開いた眼には迷いは消えていた

 

 

「…はやて、コレから話すことは聖王教会、管理局の触れざる歴史、そして禁忌。口外はしないと。高町一等空尉、ハラオウン執務官も誓えますか?」

 

 

「はい。誓います」

 

 

「私も誓います」

 

 

「はい」

 

 

「…………まずは盟約が結ばれるきっかけとなった事柄から話しましょう………すべての始まりはベルカ緒王時代。黒き魔獣から民を守っていた聖王女オリヴィエ様、覇王イングヴァルド様、エレミア、冥王イクスヴェリア様、クロゼルク魔女様が《狼の騎士》と出逢った日からでした」

 

 

カリムの口から聞かされた話は驚きに満ちあふれてた。ベルカ緒王時代に聖王女オリヴィエ、覇王イングヴァルド、クロゼルク、エレミア、冥王イクスヴェリア…黒き魔獣を狩る為に遥か彼方から来た騎士との出逢い、長い戦いの末に封印した騎士の名前《秋月煌牙》の子孫がタカヤ君だと言うこと

 

しかも、その封印は70年~100年で破られるたび、子孫達が命がけで黒き魔獣の存在を隠しながら戦い封印するを何回も繰り返し、管理局創設前に若かったミゼット提督を黒き魔獣《ホラー》が襲いかかろうとした時、タカヤ君の曾祖父《秋月オウル》さんが助けてくれた事で《ホラー》の存在をしる事になってカリムのグラシア家。提督についた三人、秋月オウルさんとの間に結ばれたのが盟約

 

内容は余りにも度外視したモノ。一つ間違えば癒着ともとれる内容…でも盟約はホラーの復活、もしくはホラーが関ったとされる事件が起きたのみ秋月家の当主は管理局に対してあらゆる行動を黙認、もしくは全面的に無条件で協力する代わり、秋月家が運営する秋月インダストリアルは管理局の運営資金の八割とデバイスおよび次元航行艦、魔力炉製造、魔法関連技術に関する最新技術を随時提供する

 

そして、秋月家および運営する秋月インダストリアルに手を出すことはならない

 

以上の取り決めがなされてたこと…これでようやく納得したんやけど、肝心のウチらを呼んだ理由が聞かされてない。その時、静かなノック音が響く。乾いた音と一緒に扉からデルクさんが黒塗りの箱を大事に手に持ち運んできたのをみてカリムの盟約についての説明が終わったのと入れ替わりにメイさんが椅子から立つと私たちの前に来た

 

 

「こうして話すのは初めてですね…高町なのはさん、フェイト・テスタロッサ……いえ今はフェイト・T・ハラオウンさん、八神はやてさん……秋月家当主《秋月メイ》です。タカヤがいつもお世話になっています」

 

 

「あ、いえ、こっちもタカヤ君にはヴィヴィオがお世話になっています…私は高町なのはです」

 

 

「インターミドルの練習にいつもつきあってくれて、それに手作りお菓子も美味しいから、みんな楽しみにしてて……あ、話がそれちゃったみたいですね。改めてはじめましてフェイト・T・ハラオウンです」

 

 

「(手作りお菓子……血は争えないなあ騎士秋月も得意やったし)………ウチは八神はやてです。みんな今はお菓子作りの話はやめような」

 

 

タカヤ君のお母さん、秋月メイさんに名前を教えてもらい。突然タカヤ君のお菓子作りの才能に話しが逸れそうになりそうだったことを言うと軽くコホンと言うとデルクさんが箱を私達の前に静かに置いて蓋を開いた。その中身は杖、その握り手に黄色いAIコア?がはめられてる。後一つの小さな箱にまるで引き寄せられるように手にし開いたウチは息が止まる

 

金色に輝く円に剣十字状の飾り…十三年前の雪が降る空に還った…うちの大事な家族リインが残した形見。今はうちがつけているはず。胸元をさわると間違いなく身につけてるのに何故此処にあるん?

 

「こ、これは……か、母さんのデバイス……なんで」

 

 

フェイトちゃんも罅が入った杖を信じられない様子で手にして、母さんって口にしてる。なのはちゃんも驚きじっと見ている

 

 

「…………八神さん、そしてフェイト・”テスタロッサ”さん。そのデバイスはあなた様たちに五代目鷹人様、六代目鷹狼様から渡すように託されたモノです……どうかお受け取りください」

 

 

「ウチに……なんで同じのを」

 

 

「待って……メイさん、なんで、なんで…アナタが母さんのデバイスを持ってるんですか、母さんは十三年前にアリシアと一緒に…虚数…間に」

 

 

混乱しているウチの隣で小さくつぶやいてる、アリシア、虚数空……少し落ち着いたウチの頭で断片的なピースが揃いはじめた…なのはちゃんとフェイトちゃん、ユーノくんが出逢ったPT事件、そしてウチの家族が皆が蒐集をはじめた闇の書事件。タカヤ君の御先祖に渡すように託されたデバイス。此処に呼ばれた理由がすべてはまり答えが出た

 

でも、あくまでも推測やけど、判断出来る材料はこの場に揃っている……少し考えウチは答えを言葉にするために口を開いた

 

 

「………秋月メイさんとタカヤ君の御先祖。秋月鷹人さんはフェイトちゃんのお母さんを、鷹狼さんリインフォースと出逢ったちゃいますか」

 

 

余りにも荒唐無稽な推測にメイさんの表情が少し変わった。カリムもだけど隣にいるデルクさんは特に驚いていた

 

 

「……きかせてもらえますか?タカヤ君の御先祖様とフェイトちゃんのお母さん、リインがどんな風に出逢ったかを」

 

 

「わかりました。でも私よりデルクがよく知っているわ…秋月鷹人様とプレシア様、鷹狼様とリインフォース様が出逢ったのかを」

 

 

「……かしこまりましたメイ様。フェイト様、はやて様、そしてなのは様。少し話しは長くなりますが構いませんね」

 

 

何故デルクさんが話すのかを疑問に思うたんけど、今はリインフォース、フェイトちゃんのお母さんの話しを聞こう。フェイトちゃん、なのはちゃんも無言で頷くのをみてデルクさんが用意した紅茶が注がれたティーカップがソーサと共に置かれる

 

でも、ウチらと話してたこの時、一人の子がココから外へ出たことに気づかんかった

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆

 

 

「はあ、はあ……」

 

 

ふらふらしながら僕は真っ暗な森の中を歩いてた…あの光から落ちて気がついた時には片手に鎖にがんじがらめに巻かれた剣がしっかり握られてて、身体中が泥だらけで痛い。ここはどこなんだろうと考える

 

突然胸と頭が激しく痛み出す。思い出すなと言わんばかりにドンドン痛みが増してく…

 

わからない。なんで僕はここにいるのか?そしてしっかり握られた重くて引きずることで精一杯なこの剣は何なのかも

 

 

ただ名前とある言葉だけがはっきりと頭にあった。声に出してみる

 

 

「僕の名前は秋月鷹矢………秋月タカヤ…アキツキタカヤ…あきつきたかや…魔戒騎士……マカイキシ………まかいきし………う、うああ?」

 

 

あまりの痛さに足元が覚束なくなり、目の前の道がぐにゃぐにゃ曲がるのが見えた時、ふと身体か軽くなる…そして落下する感覚だと気づいた時には遅かった。木の枝や葉が顔をかすめ足が何かにとらわれそのまま転がりながら墜ちていく…剣を地面に突き刺そうとしたけど重くて持ち上がらない

 

「う、うわ……」

 

 

わずかに身体が再び浮く。でも今度は冷たい水の感覚…水の中に落ちたんだと気づくけどもう遅かった。重い剣がじゃまをして水面に上がれない。それ以上にどんどん沈んでいく、息も苦しくなってきた

 

もう、だめなのかな?僕がナニモノなのか知らずにこのまま死ぬのかな…

 

再び襲いかかる痛みに正気に戻る…まだ死ねない…僕がナニモノかを思い出さなきゃ…なんで思い出さなきゃ生けないって想ったんだろ?

 

 

ー……タカヤ!ー

 

 

一瞬だけ、たくさんの誰かの顔が見えた…誰かはわからない…でも僕は知っている気がした時、剣が軽くなった。必死に水面に上がり飛び出した。でも身体にもう力が入らない

 

「はあ……っ、はあ……」

 

 

足が草にもつれそのまま倒れそうになる。でも寸前で誰かに支えられた…みると背が高く巻き毛の髪に、白い服に黒のズボンをはいた人が支えてる、隣には骸骨のヘルメットを持った人、そして心配そうに僕をみる魔女みたいな女の子の姿を眼にしたのを最期に意識が闇に落ちた

 

 

「大丈夫か坊主!……っておい村雨。ソイツは前にお前のバイクを取った奴じゃないか?」

 

 

「そうだったな……それより今は休ませないといけないな」

 

 

「………ならコッチ……ワタシのウチ近くにあるから」

 

 

「わかった。この子は本当に君の知り合いか?」

 

 

長身の青年の言葉に横に首を振り、そっとタカヤの頬に手を添える少女《ファビア・クロゼルク》は無表情だが頬を赤く染め

 

 

「ずっと昔から……ワタシの騎士様…誰にも渡さない…コレは運命」

 

 

「(な、なあ村雨。この子色々ヤバくないか?)」

 

 

「(そうか?)……とにかくいこうか?案内してくれると助かる」

 

 

「……わかった……コッチ」

 

 

カラフルなバイクに長身の青年、髑髏のヘルメットを被った男のバイクに備え付けられたサイドカーにのるファビア、タカヤの真っ白な髪を愛おしくすきながら軽いエンジン音と共に走り出した

 

赤いテールランプはやがて森の奥深くに飲まれ消えていった

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

『う、うおおお……ぐ、ぐぬああああ!?』

 

真っ白な空間に浮く巨大な岩、石舞台でうずくまる黒い影…王の代行者にしてアルター、秋月オウマが地の底から響くような声を上げている

 

 

ー……残念だったなー

 

 

『だまれ!まさかお前が鎧と剣を与えていたとは……この私と共有してるはずだ!!』

 

 

ーすべてではない……コレでお前の計画は崩れる。諦めろー

 

 

『………まだだ、まだ手はある。バルゴよ…』

 

 

「は、ここにいます」

 

 

『………我が王復活の為のゲート、供物を探しだせ…

これより三日後の皆既日食に間に合わせココへと連れてくるのだ』

 

 

 

「はっ!アルター様………オウガの継承者はどうなさいますか?」

 

 

『……記憶と命を失っているとはいえ…念には念を押そう。それにお前にとっては仇なのだからな。供物の傍にいたら殺せ…エアリス、アクウエリアスのような失態を犯すな』

 

 

「…………では失礼します」

 

 

軽く頭を垂れ現世へ向かうバルゴ……それをみずにふらふら立ち上がるアルター。その眼前には膨大な邪気を溢れ出させ脈打つ鼓動が響く

 

 

『……お前がやったことは無駄な努力だ……王の封印もとける。そうすれば忌々しい王族の血を引く乙女の血肉、希望にあふれた瑞々しい魂は最高の供物になる。その時こそ私の願いはかなう!マヤを甦らせる…必ずな』

 

 

ーく、だが忘れるな。魔戒騎士を舐めるな……お前を必ずー

 

 

 

『だまれ!くだらぬ残りかすが!大人しくみていろ。マヤが蘇ればお前の考えも変わるのだからな!眠っていろ』

 

 

ー………く、……ー

 

 

肩で大きく息をしながら叫ぶと声は消え、アルターは封印式の解呪と供物の配置と儀式の準備を進める……ホラーの王復活まで残された時間はない

 

 

第二十五話 鷹矢ー序ー

 

 

 




魔導刻…02.0秒

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。