魔法少女リリカルなのはvivid~守りし者~《完結》   作:オウガ・Ω

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WHERE THERES LIGHT,SHADOWS LURED AND FEAR RAINS
(光あるところに漆黒の闇ありき。古の時代より、人類は闇を恐れた)




AND BY THE BLADE KNIGHTS,MANKIND WAS GIVEN HOPE.
(しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって、人類は希望の光を得たのだ)


第二十話 盟約(後編)

(盟約…79年前、管理局創設当時にオウルお祖父様、伝説の三提督、聖王教会騎士団盟主カノン・グラシアとの間に結ばれた《管理局、聖王教会関連各位はアキツキ家当主および関係者に対し干渉しない……》)

 

 

夜空に輝く二つの月の光が立ち並ぶビル群を照らす中を一つの影が舞う

 

 

 

(《魔獣ホラーが関わったとされる事件を人目に触れることなく抹消、現れたホラーはアキツキ家当主のみが対処、その際には管理局関連部署、聖王教会関連各位は無条件でアキツキ家の言葉には従うこと……》)

 

影の正体は現アキツキ家当主にしてアキツキインダストリCEO《メイ・アキツキ》。黒くまるで絹のような振り乱しなからビルの壁を蹴り移動するメイの表情からは焦りの色が見える

 

 

(…《覇王イングヴァルト様、聖王女オリヴィエ様、冥王イクスヴェリア様、ヴィルフリッド・エレミア、ホラー封印術識を編み出した血筋の末裔を守り抜く》)

 

 

魔導衣を翻しながらまるで風を纏ったかのように夜空を駆けるメイ。その手には魔導針がある方位を指し、さらに魔界語が浮かんでいる。赤と紫に彩られた魔界語にはホラー出現と所在地、駆ける速さが増していく

 

 

(…《………そして最後の夜天の王の記憶に刻まれた初代オウガが使用した『白燐の牙』の所在を秘匿する………これらを冒さない限りアキツキ家は管理局、聖王教会への全面的に資金援助および弊社が持つ新技術を提供する》………盟約が発動したのは三十一年前に現れた《殲滅騎士魔煌》が発動させた皆既日食を用いたホラー召還ゲートを防ぐ為にオウルお祖父様、亡くなられたオウマお父様が戦ったとき、そして十四年前に私とアキツキミッドチルダ支社に立てこもり事件。混乱に乗じて次期後継者だった私を暗殺するよう、裏で示唆しアキツキインダストリ乗っ取りを画策したハーディス・ヴァイデン常務、《ヴァイデン・コーポレーション》がクリーンエネルギーとして極秘裏に研究していた原初の種《エクリプスウィルス》がホラーを引き寄せる事を誘拐立てこもり事件以前から調べていたオウルお祖父様が知り、ありとあらゆる手を使いヴァイデン・コーポレーションを逆に吸収合併、ハーディス・ヴァイデンを謹慎後に違法研究および人体実験を指示し、エクリプスウィルス研究施設の運用示唆、過程などの膨大な映像データ証拠を突きつけ関係者共々逮捕更迭、関わっていた研究員の記憶の抹消、感染者の治療とエクリプスウィルス、《原初の種》を全て魔導火で完全にこの世から消滅させた。そして四年前にユウキが死んだとき……)

 

 

移動しながら過去を振り返るメイ。しかし今は考えるときではない。それよりも為さなければならないことがあったからだ

 

(最後の夜天の王《八神はやて》……ホラーの狙いは彼女の体にとけ込み存在する歴代アキツキ当主すら知らない《白燐の牙》の所在………そしてあの方、六代目鷹狼様の妻リインフォース様との永き約束を守るために)

 

 

ビルとビルの壁を蹴り進むメイ…やがてその姿は夜の闇へと消え去った

 

 

第二十話 盟約(後編)

 

 

「みんな荷物持ってもらって悪いなあ~」

 

「いえ、主もお疲れみたいですし……」

 

 

「そうですよ、せっかくお休みをいただいたのに、はやてちゃんったら無限書庫に通いつめてますし………もしかしてユーノ司書長に」

 

「そ、そんなことあらへんから!?なにいうとるんやシャマル?」

 

 

シャマルの言葉に慌てふためきブンブン手を振りながら、顔を真っ赤にしながら否定するはやてにさらに追い打ちが入る

 

 

「でも朝早くから私たちの分とは別にお弁当をつくってますよね?誰の分なんですかね~」

 

 

「あう?」

 

 

「それに笑顔で『今日はタコさんウィンナーにハンバーグ♪明日はBLTサンドにひきたて珈琲♪デザートは…………わ・た・し…………きゃ//////』って口にしてましたよ」

 

 

「確かにいってたな…」

 

 

「聴いてるこっちが恥ずかしくなるしさ……」

 

 

「ああ」

 

 

「あう?あううう~シグナム、ザフィーラ、ヴィータまで言うん?ミウラ~みんなが私をいじめるんや~助けて~」

 

 

魔導騎士にして海上司令八神はやての凛々しい姿はドコへやらミウラに泣きつくはやてに皆が笑いながら歩き出そうとした時、辺りの空気が変わりシグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラがはやてとミウラを守るように立つとはやてもミウラを守るようにあたりを伺う

 

 

(油断するなシャマル、ザフィーラ、ヴィータ)

 

 

(ああ……)

 

 

(………この感じ、ずっと昔に)

 

 

(…………くるぞ!)

 

 

暗闇から風を切るような音と共に飛来する物体をザフィーラが展開した障壁が防ぎ止め、それをヴィータのアイゼンの重い一撃で地面へ叩きつけられ跳ね、シグナムのレヴァンティンが真っ直ぐ切り払い上げると空をきりきり回りながら鈍い音と共に落ちた

 

 

だが3人から警戒の色が消えない

 

 

「イッテェナ~久し振りにあったのに、いきなりこんな挨拶するなんて酷いじゃないかよ……」

 

 

ゆっくりと身体を起こしながら服に付いたほこりを払うのは全身に鎖をこれでもかとジャラシャラつけた虎模様の髪が目だった青年がしゃべってきた

 

 

「誰だお前は?」

 

 

「悪いけど手前のことなんか知らないんだけど?」

 

 

「………へぇ、転生機能に障害があったってのはマジみたいだったな湖の騎士シャマル、烈火の蒋シグナム…盾の守護獣ザフィーラ、鉄鎚の騎士ヴィータ。忌々しい魔戒騎士と一緒に散々オレらとやり合ったことも忘れてるみたいだな…ま、今は関係ないかな!」

 

地を蹴りザフィーラの眼前に迫ると半歩進み、顔をつかみ地面へ叩きつけそのまま回転回し蹴りを胴へ叩き込まれ壁へ叩きつけられた

 

 

「ザフィーラ!テメェ!!」

 

蹴り飛ばされたザフィーラをみてヴィータがアイゼンを構え何度も殴りかかるも紙一重ですべていなされるも、僅かな隙を見逃さず大きく胴体めがけ叩き込む…

 

 

「な、なに!」

 

「焦るなったら、でも終わりにするか!」

 

 

胴体に当たるギリギリ手前でアイゼンを掴む青年はそのまま勢いをつけ頭上まで持ち上げ固い地面めがけ叩きつけた

 

「カハッ!」

 

 

「………さて次は本丸といこうか………」

 

大の字になり気絶するヴィータを見下ろしながら鎖がこすれる音を鳴らし目を向ける青年……その姿にシャマル、シグナムの身体がこわばる。ザフィーラとヴィータが簡単にあしらわれ倒されたからだ

 

(主、ここは私たちが食い止めます。ミウラを連れて安全な場所へ!)

 

 

(ダメや!みんなをここに残して逃げるわけにいかんよ!)

 

(はやてちゃん、ミウラちゃんの為にも逃げ……)

 

 

 

「バ~カ、丸聞こえなんだよ……オラアアア!」

 

 

いきなりしゃがみ込み地を蹴る青年がすさまじい加速と共にシャマル、シグナムの間をすり抜ける。その先にははやてとミウラの姿、それをみて青年の口元が耳あたりまで裂け長いグロテスクな舌が伸び狙いを定めるように動き、やがて勢いをつけた弾丸のようにミウラを抱き抱えるはやてに迫る。

 

シャマル、シグナムが駆ける。間に合わない誰もがそう思ったそのとき《黒い》何かが後僅かのところで割って入り乾いた鈴の音と共に無数の長方形の赤、緑、紫の紙が舞うと舌?を防ぎ弾き返した

 

 

「が、があああああ!?」

 

「…………」

 

たまらず声を上げ苦しむ青年の声が響く中、見えたのは真っ黒な民族衣装に身を包んだ金髪長い髪に幼さを残すも整った顔、翡翠色の瞳で青年を見下ろすようにたつ姿

 

「ユ、ユーノくん?」

 

「…………」

 

 

はやての漏らした戸惑い混じりの言葉に軽くうなずくと螺鈿模様が施された白い穂先が目立つ魔導筆を構え、左手に握られていた無数の札を軽くなでると、ふわりと浮かび上がり、ザフィーラとヴィータの身体を包み瞬く間に皆がいる場所へと来る

 

「………少ししたらケガは治るから、今のうちにみんなはその子と逃げて」

 

「待て、ユーノ……私も」

 

「…………くる!」

 

シグナムが言い掛けたと同時に赤黒い何かが飛来してくる。が再び筆をふるうと魔戒文字が浮かび上がり防ぎながらやがて消滅する、飛来して来た先には先ほどの青年がおり、その目は血走りながら爛々と邪な意志を秘め輝いている 

 

 

「や、やってくれたな《魔戒法師》!まずはテめぇから始末してやる!!」

 

 

ジャラジャラ鳴らしながら背後に雁字搦めに縛られた無数のツボを浮かばせ投げつけてくる。身構えるシグナム、シャマル、だがユーノだけは事もあろうか迫り来るツボに向け駆け出し回転胴回し蹴り、反動を利用し踵落とし、肘うち、拳で蹴り砕く姿に唖然となっていた

 

「魔戒法師じゃないのかテメェ!」

 

 

「………僕は魔戒法師じゃない!」

 

 

間合いを詰めるやいなや膝蹴りを決め、そのまま頭をつかみ固い地面へ叩きつける。しかし青年には対したダメージが見受けられない…が動きが止まる、その体には無数の鎖、いや魔導文字が絡み合い拘束している

《魔導八卦獣縛符》をみて驚く

 

 

「き、貴様、《アキツキの魔戒導師》か!………そ、それは!?」

 

ユーノの手に握られていた螺鈿模様が施された白火穂先が目だつ筆《魔導筆》を目にし顔色が変わりふるえだす青年

 

 

「…………ま、まさか、お前は、いえ!あ、《あなた様》は」

 

 

言いかけるも身体をしばりあげる痛みに苦悶の表情を浮かべる一方、はやては《アキツキ》の名にあることを思いだす

 

(………アキツキ、たしかアインハルト、ノーヴェときてたタカヤくんと同じ名前……四年前、十四年前、三十四年前に起きた不可解な事件にもあるファミリーネームが関与しとうた《秋月》………管理局のデーターベースを調べてもわからんかった、もしかしたら思うて無限書庫で調べてでてきたのは《秋月鷹流》《盟約》…………私が調べていた事件にもコレが当てはまるなら)

 

 

「………ヌズクヌジュヌヌッタ(なぜ彼女を狙った)」

 

 

「…………」

 

「ヌクリヌ!ヌズヌニイニツカ!!(答えろ!誰の命令だ!!)」

 

 

魔界語で問いただすユーノに対し、体をふるわし笑いだす青年、その顔は狂気に満ちやがてピタリト笑い声が止まる

 

 

「…………そうだよな…こんな所にあの方、アルター様がいるはずないよな……ふん!」

 

 

「!魔導八卦獣縛符が!?」

 

 

鎖状に拘束していた魔導文字を気合いと共に吹き飛ばしあたりに砕け落ちる中、コキコキ身体を鳴らしながらいびつな笑みを浮かべるも怒りの色に染まった瞳を向け叫んだ

 

 

「あの方とにた技を使う貴様だけは俺様がクッテヤルウウウ!!」

 

 

空間が揺らいだ瞬間、無数の色とりどりの大瓶が降り注ぐ。避けようとするがハッとなる。

 

(このまま避けたら、はやて達が………相手は上級ホラーアクエリアス。防ぎきれないかもしれない………でも!)

 

無数の札が音もなく現れユーノの正面に八枚並び、背後にいるはやてたちを守るように包み込む。ゆっくりと魔導筆を構え大きく真円を描くと赤、青、緑に輝く文字が舞ながら壁を作るように展開する、同時に大瓶が降り注ぎ凄まじいまでの衝撃が術を展開するユーノへ襲いかかる

 

(………まだ、あきらめるわけにはいかない……先生から託された魔導筆に誓って)

 

ビキビキひび割れ、魔導衣が破け肌が切り裂かれ血飛沫が舞わせながら耐える……が、ついに砕け防ぎきれなかった大瓶が襲いかかる

 

 

「ハアッ!」

 

凛とした声と共に無数の龍、いや魔導文字で構成された龍が巨大な顎で噛み砕く様に驚くはやて達の前には黒く絹のようにしなやかで長い髪を揺らしながら魔導衣姿のメイが魔導筆を構えている

 

 

「あ、アキツキさんのお母さん!!」

 

 

「ミウラ・リナルディさん?それに……………八神はやて…さん………少しだけご辛抱を」

 

「あ、あのアナタは?」

 

「(!…その魔導筆は!?)……今はわかっているわね……」

 

 

「(あれはアキツキの魔戒法師………得体の知れない魔戒導師と同じぐらいやっかいだな……)ち、興がさめたぜ…じゃあな……夜天の王様よ………」

 

クルリと背を向け跳び去る青年の姿を目にし、警戒を解きはやてがいる場所へ駆け寄ろうとするユーノの前にメイが近づき魔導筆が握られた手をつかみあげる

 

 

「………一つ聞いていいかしら、その魔導筆をどこに手に入れたのかしら?」

 

「…………すいません、今ははやて達を」

 

 

「…………わかったわ…」

 

それっきり顔を逸らし黙るユーノ…軽いため息をつきながら共にはやてがいる場所へと歩き出す二人………

 

 

 

そして………

 

 

 

 

「………………」

 

 

「タカヤくん!しっかりしてタカヤくん……タカヤくんっ!」

 

黒く長い髪を揺らしながら何度目かになる名前を呼ぶのは次元世界最強の少女ジークリンデ・エレミア…半ば崩れ落ちた崖の近くには赤黒く燃える魔導火と白金の魔導火、切り裂かれた岩肌と大木が散乱する中、力無くぐったりと身を任せるように抱き抱えられたタカヤに必死に呼びかけた

 

「……ん」

 

 

「タカヤくん!良かった。どこか痛いとこあらへんか?」

 

ゆっくり瞼をあけたのを見てホッとするジークをじっとみるタカヤ……だが様子がおかしい、そしてゆっくりと言葉が紡がれた

 

 

「………あの……タカヤって…誰の事ですか?僕の名前ですか?」

 

 

 

 

第二十話 盟約(後編)

 

 

 





抜け落ちていく記憶(思い出)皆に悟られないよう必死に隠しインターミドルへ向けて頑張るヴィヴィオ嬢ちゃんたちに付き合うタカヤ

そんなとき、タカヤにとっぜんの見合い話が持ち上がる!

メイがいうにはどうやらオウルが昔負けた相手の曾孫らしいんだが…


次回 鉄腕(前編)


多分、修羅場がまっているなあ

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