魔法少女リリカルなのはvivid~守りし者~《完結》   作:オウガ・Ω

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WHERE THERES LIGHT,SHADOWS LURED AND FEAR RAINS
(光あるところに漆黒の闇ありき。古の時代より、人類は闇を恐れた)




AND BY THE BLADE KNIGHTS,MANKIND WAS GIVEN HOPE.
(しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって、人類は希望の光を得たのだ)


第二十話 盟約(前編)

「捜査を打ちきり?まだ調べ始めたばかりなのですよ?」

 

「本日付を持ち本捜査の打ちきりが決まったのだよ…どこにいく八神一佐」

 

管理局内にある一室で静かに告げる准将、だが納得がいかない様子を見せるはやては軽い敬礼をし扉へ向き直る

 

 

「上へ掛け合ってきます……では失礼しま…」

 

 

「これはその上からの命令なのだよ……私も上申したが聞き入れてもらえなかった……そしてもう一つ。八神一佐には二週間の休暇が与えられることになった……」

 

 

「な、なぜなんですか!准将も調べてよいと言いましたよね?それになぜ今になって休暇を私に」

 

「……八神一佐…これは決定事項だ。話は以上だ、下がりたまえ」

 

 

「わ、わかりました…では失礼します」

 

 

納得出来ないと言う空気を醸しださせながらはやてが退室すると准将はフウッと深くため息をつき空をあおぐ…今回の捜査中止命令は上層部より遥かに上、《伝説の三提督》、《聖王教会》直々の命令に思わず目を疑ったがアレを出されては准将と言えどなにも反論すら出来なかった

 

(……管理局創設以来から存在が噂されていた《盟約》の名は出されたら従うしかあるまい……この事件は人に知られることなく闇へ葬り去るべきなのだ…八神一佐)

 

 

そう心の中で呟くと彼はそのまま事件の捜査資料へ目を通していく。

 

 

 

…三十数年に起きた謎の皆既日食の日に起きた連続失踪事件、十四年前のアキツキインダストリ令嬢メイ・アキツキ誘拐事件、そして四年前に起きた都市型テロ《JS事件》末期にも発動した《盟約》が紐解かれる時、この世界の裏で起こる《光》と《闇》の永きに渡る戦いを知ることになる

 

 

 

第二十話 盟約《前編》

 

 

「聞いてるユーノ君!あの上司と来たら《上からの命令だ》……お決まりの言葉しか言わへんのや!」

 

 

「き、聞いてるから落ち着いて……でもいい機会じゃないかな?最近やすんでなかったし、あとミウラちゃんの試合も近いんだし」

 

「そやけど~ミウラの試合も楽しみなんはホントや……」

 

 

プウッむくれながらデスクに突っ伏すはやてに苦笑いをするユーノ…現在二人がいるのは無限書庫にあるユーノの仕事部屋。キチンと整理整頓がなされた本棚、ふかふかの絨毯、ベッドにキッチン、さらにはバスルーム迄が備え付けらたここは中々家に帰ることができない無限書庫司書長ユーノのもう一つの家でもあった

 

「まあ取り敢えずいいハーブティーの葉が入ったから飲んでみる?」

 

 

「飲む……ユーノ君は優しいなあ…」

 

 

「……ねぇ、はやては何でこの失踪事件を?」

 

「……じつはなあ、失踪した子供を探してってその子のお母さんに頼まれたんよ…最近クラナガンで失踪する事件が相次いでるからもしかしたらと思うて…」

 

 

「……そうなんだ…はい熱いから気をつけて」

 

 

差し出されたハーブティーを冷ましながら飲むはやてを見て少し笑みを浮かべた

 

 

―――――――――

――――――――

 

 

クラナガン近郊

 

秋月屋敷別邸

 

同魔導図書館。魔戒騎士、魔戒法師、魔戒導士、ホラーとの戦いに携わる者のみが入室できる聖域。その入り口に立つ少年タカヤは沈痛な面持ちを浮かべながら中へ歩く

 

「…戻ったか…どうしたタカヤ?」

 

「…すいません、刻印を解く方法が…」

 

 

謝ろうとするタカヤをジロウは静かに手で制し、ゆっくり両肩に手をおいた

 

 

「気にするな…まだ俺たちには時間がある」

 

 

「ですけど」

 

 

「秋月タカヤ、オレ達も以前、刻印を刻まれた…」

 

 

「でもね、最後まで希望を捨てなかった……レギュレイスとの戦いの時もね……それよりも」

 

 

「……記憶は大丈夫か?」

 

 

「……はい…」

 

 

「そうか、タカヤ。ホラーも残りは二体だ……レイジ探査針に反応はあるか?」

 

「……いえ、さすがに昼間は…でもコレだけの設備を整えたオウガは天才ですよ…」

 

「あの、レイジさん達は僕のご先祖様…オウガ様とは」

 

「戦友(とも)だ…俺たち以上に守りし者としての誇りを胸に共に戦った……」

 

 

「…短い間だったけど黄金騎士牙狼《ガロ》の弟子でもあったからね…オウガは」

 

「ガロ!?……まさかあの黄金騎士の」

 

 

驚くタカヤに、古の魔戒騎士三人の口から語られる真実に聞き入った

 

 

―――――――――

――――――――

 

二日後

 

 

「じゃあユーノ君、今日は一緒に調べ物してくれてありがとな~」

 

 

「ああ、別にいいよ…………」

 

無限書庫がある局内にあるロビー…休暇を利用しユーノがいる無限書庫へあるモノに関して共に調べていた…しかし進展もなく時間が過ぎていお開きにし、はやてをロビーへ送るべく共に歩くユーノの態度が少しおかしい

 

 

「なんや?もしかしてウチとわかれるん寂しいんか~」

 

「そ、そうじゃなくて……」

 

悪戯っぽく笑うはやての顔が近いことにドキドキするユーノ…その時、乾いた音が響く

 

 

「なんやコレ?……綺麗な筆やな…」

 

ユーノの足元に落ちていた一本の筆を手に取りみるはやて。不思議な装飾が施され 穂先が微かに淡く輝いたのを見たユーノは慌てて出し、まるで奪い取るよう筆を取ると懐にしまうユーノ…二人の間に気まずい空気が流れる

 

「あ、ごめん…はやて。拾ってくれたのにあんな事して…痛かったよね」

 

「え、ええんよ?あんまり痛くなかったし……………その筆って大事なものなん?」

 

「……うん…先生から貰ったんだ…」

 

 

十年前に調査に訪れた未盗掘の状態で発見されたベルカ諸王時代の遺跡でトラップに掛かり危うい所を助けてくれた不思議な人、《先生》と呼ぶ人から貰ったモノと語る表情に懐かしさと寂しさの色を見たはやて…だが時間が迫りユーノに見送られ本局を後にした

 

―――――――――

――――――――

 

「さて、買い物をせなあかんな~…」

 

「主、お迎えにあがりました」

 

「シグナム?それにシャマルにヴィータ、ザフィーラ、ミウラも?どうしたんやみんな揃って?」

 

「はやてちゃんの帰りが遅いから心配しちゃって。私は一応とめたんですけど…」

 

申しわけなさそうに説明するシャマル…ヴィータもその後ろにいるミウラもおどおどしながらうなずく姿に笑みを浮かべながら歩き出すはやてと共に行き着けのマーケットへ買い物かごを片手に食材を手にしながらミウラに話しかける

 

「ミウラ、最近調子はどうや~」

 

「え?ま、まあ、じ、順調です…師匠に鍛えて貰ってますから!今度の相手はミカヤ・シェベル選手は強敵ですけどボク負けませんよ!!」

 

「そか……じゃあタカヤ君とはどこまでいったん?」

 

 

「な、な、な、な、何でアキツキさんの名前がでるんですか!それに、その……最近ヴィヴィオさんやアインハルトさんに付きっきりで、羨ましいっていうか。ボクと二人っきりで組み手して貰いたいなあ…って何言わせてるんですか!!」

 

 

「いやいや、ミウラも女の子なんやな~だから最近心ここにあらずやったんやな」

 

 

「か、からかわないでくださいよ~」

 

にんまり笑いながら顔を真っ赤にしながら手を慌ただしく振るミウラを暖かい目で見るはやて、後ろでカーゴを推すシグナム達はというと

 

(あの少年に想いを寄せていたのか……だが騎士アキツキの血を引いてるならば)

 

(鈍いだろうな…同時に剣の腕は達人の域を超えていたと聞く)

 

(それにあの時作ってくれたフルーツケーキはギガウマだったからな~もしかしたらソイツもお菓子作り激うまなんだろうなあ~)

 

(アキツキ一尉ってスゴくきれいだったし、その子もスゴく可愛いのかしら…フフ、ミウラちゃんの好きな子に会うのが楽しみね)

 

などなど様々な思惑があったことに気づかず、やがて必要なモノをカゴに入れレジへ進み会計をすませ外へ歩き出した

 

 

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーー

 

 

「……………来たかアクエリアス」

 

「は、アルター様、ようやく顕現する事が出来たぜ………」

 

薄暗くゴミが散乱する路地裏に現れた影……黒衣に身を包んだアルターに恭しく頭を下げるジャラジャラ鎖をならしながら応えるアクエリアスに手をかざす

 

「…お前に新たな力を授けよう。そしてオウガの血を引く騎士、そして最後の夜天の王《八神はやて》の中にあるアレに関する記憶を奪え、叶わぬ時は喰うがいい」

 

「八神はやて………美味そうだなあ…、フヒヒヒ女の肉は柔らかくて止められないんだよなあああ」

 

ジュルリとよだれをたらすアクエリアスに翳したアルターの手から幾重にも重なった魔導文字が溢れその身体に吸い込まれていく

 

「フヒ、力が溢れるぜ~じゃあいってくるぜぇ……アヒャアアアア!!」

 

瞳を爛々と輝かせ夜の空へ飛び上がり溶けるように消え去るのを見るアルター…その場から去ろうと歩き出しかけた時、激しい頭痛が襲いかかりたまらずうずくまる

 

ーもう止めろ!こんな事をしてナニになる!!ー

 

 

「ま、また貴様か!いい加減消えろ!」

 

ーお前が手に掛けようとしているのは……ー

 

「だまれぇ!くだらない存在が!…………まあいい所詮おまえは見ているだけしかできないのだからな…歯噛みして視ていろ」

 

 

 ふらふら立ち上がりながら懐からナニかを取りだすアルター。螺鈿にも似た装飾が施された筆にしては大きい筆の穂先に光が溢れさせながら振るうと無数の花びらに代わり風に乗り消え去った頃

 

 

「……迂闊だったわ、まさか《盟約》の存在を知るなんて」

 

クラナガン中央区にある高層ビル、アキツキインダストリ本社の中にある執務室で聖王教会の騎士カリム、管理局三提督からのメールを見て驚きの表情を浮かべるメイ……内容は《盟約にたどり着く人物あり、現秋月当主の判断を乞いたい》の一文。そしてその人物についての詳細な資料に目を通し思わず声をもらし窓の外を見ると二つの月と星に照らされる街の風景

 

 

 

「…………最後の夜天の主……八神はやて……コレも運命、いえ貴女の血がなせる業なのかしら…………」

 

 

そう独り言を呟き魔蔵庫へ入り目を向けるのは一枚の絵……白銀に輝く美しく長い髪に深紅の瞳、この世の者とは思えない美しい女性と虹彩異色の瞳に鋭く突き刺すような眼光を見せる黒衣のコートを身にまとった男性が描かれている。今から二百年前、六代目オウガ《秋月鷹狼》とその妻の絵にそっとふれるとそのまま奥へ向け歩み始めた

 

 

 

 

第二十話 盟約《前編》

 

 

 

 

 

 

 




後編に続く

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