魔法少女リリカルなのはvivid~守りし者~《完結》 作:オウガ・Ω
―もう行くのか……―
石造りの廊下を歩く黒鉄色のコートを纏う青年の背中へ王が呼び掛ける
足を止めた彼は振り返り王の顔を見て喋りました
―ああ、……したとは言え破られる可能性は捨てきれない、俺は騎士の血と技そして………を伝えその時に備える…イクス、ヴィヴィ、リッドにはお前から……―
―…………!何処にいかれるのですか!!……
―酷いです…黙って行かれるなんて……騎士殿…―
別れを告げ去ろうとする彼の前に二人の王が現れ詰めよりました
それを見た彼は二人の頭に優しく手を置き
―……ヴィヴィ、イクス……ア…これが永久の別れではない…何故かは解らないがいつかまた会える…俺の先にいる者に、そう思うのだ……―
そういい頭を優しく撫でる彼からは寂しさを感じとった時
背中から鳴き声が聞こえ手を離し優しく両手に抱きかかえたのは元気良く泣く赤ん坊でした
―……よ、この人達は俺の友であり、お前の……―
「う…んん…また違う夢ですか……!?」
「よう、やっと起きたか」
目を覚し起き上がった私を赤髪の女性がノーヴェ・ナカジマさんが横になり読みかけの本を置き穏やかな顔で見ていました
第二話 運命
同時刻、中等科学生寮《タカヤ・アキツキ自室》
「…キリク、コレどうしょうか」
『…浄化しに行くしかないだろ』
魔戒剣斧【煌牙】を手に握り目を凝らしみると黒みかがったオーラが邪気が見える
「……浄化封印できる場所ってアソコしかないよね…」
『聖王教会本部……だな』
以前、………に聞いた話だと聖王教会の最深部にある口を大きく開けた狼を型どったオブジェの口に剣を入れないとホラーの封印が出来ないと聞いた
正直彼処には行きたくない……
何故なら、二年前に……と用事で教会に行った時、門前でいきなり女の子に双剣で背後から切りつけられ僕は咄嗟に近くに転がってた棒で防いだ
『……嘘、防いじゃったよこの子…』
『シャンテ~貴女はなんて事をするんですか!………様、す、すいませんこの子にはきつく言って……』
『だって~強いやつのオーラ出しまくりだったから、遂…』
『ついじゃありません!シスターシャンテ!!』
あの後、僕は気にしていないと言うのに関わらず保護者?の女性は何度も謝ってきた
『……大丈夫でぃ二年も経ちゃあのお転婆娘も落ち着いてるだろうがよ』
「そうかな……キリク『魔界道』使えるかな…」
『…今からだったら行き帰り使えるぜ』
魔界道…魔戒騎士にしか使えない道、便利そうに見えて実は使いづらい
だけど迷わず使うことに決め今日学院を休むことを連絡してコートをきた僕は鏡に眼鏡…魔導身具キリクを掲げる
空間に切れ目が入り人が通れる道が開く
『行くぞ、タカヤ』
「…そうだね」
そう言い中へと入ると同時に背後の入り口がしまり蝋燭に魔導火が灯された石造りの廊下を歩きながら考える
何故僕は魔戒道を使い剣を浄化しに行くんだ
…魔戒騎士をやめたはず…
普通の生活を送ろうとしたのに何故あの二人を守りホラーを斬った?
もう嫌だった筈なのに、何故剣を振るったんだ僕は!
『……着いたぞタカヤ…』
キリクに声をかけられ考えるのをやめた僕の目の前には教会本部に近い森が広がり風が穏やかに流れ葉っぱが音を立て揺れる
昔、父さんとあの人とよく遊びに来た場所だった
『タカヤ、フードを被れそれと【煌牙】は隠しておけよ』
フードを被った僕はそのまま森を抜け教会本部に続く道へでてしばらく歩くと石造りの立派な門の前に来た
(…同じ事は二度もあると言うけど…そんなことないよね)
そう思いながら門を潜ったとき風を切る音が耳に入りとっさに上体を反らしかわすけど、二度、三度刃が迫ってくる
「うわ!」
一度あることは二度ある…斬撃をかわした僕の目に入ったのは
双剣を降り下ろした修道服姿の少女
少し驚きの表情を浮かべるも直ぐ様、次の攻撃を仕掛ける
分厚い刃を紙一重で交わしステップを踏みかわしていく、人気がないとはいえこのまま煌牙を使うとこの子が怪我をする。そう判断した僕はもう一人の相棒をおこす
「カーン、バインディングシールド展開…」
『承知!』
インテリジェンスデバイス【カーン】起動と同時に少女の回りにバインディングシールドが展開され身動きが止まる
「え、う、嘘!?」
「……チェックメイトかな?」
動きが止まりもがく少女に近くにあった棒を突き付けそう言うと観念したみたいだ
「……あ~あ、今度こそ勝てると思ったのに…相変わらず強いね、タカヤ」
「……僕は強くなんかないさ……シャンテ」
そう、僕は強くないんだ…
「ところで今日はどうしたの?」
僕と石造りの道を歩きながらシャンテが聞いてきた
…話していいのだろうか、多分信じてくれない……
逸れにこの子を巻き込んじゃいけないんだ
「ったら……ねぇったら!タカヤ!!」
考え込む僕にしびれを切らしたシャンテがグイッと顔を近寄せ覗き込む
「う、うわ、シ、シャンテ近いから……其れに」
「其れに?」
ささやかだけど柔らかい双丘が当たってるから…て言えない
その時
「シャンテ!何処にいるんですか!シスターシャンテ!!」
遠くから声が聞こえてくる、この声ってシャッハさんだよね
「やっば、ごめんタカヤあたし逃げないと!?またね」
そう言い背を向け風のようにその場から走り去るシャンテを見送り再び歩き出した
『ふ~相変わらずだな、あのお転婆娘は』
『そうだな、キリク…若、今日はどうなされたのですか?わざわざ聖王教会にまで足を運ばれたのは?』
…カーンは僕が魔法を使える事が解った日に父さんが作ってくれた腕時計型デバイスで、少し固い口調が目立つけど僕にとって大切な友達なんだ
「…今日は『浄化』に来たんだ…カーン」
『!若、まさか甦ったと言うのですかホラーとその王が?』
「……うん、間違いなくホラーだ伝承にあった通りの姿だった……」
伝承によると昨日斬ったホラーを除き後十一体、そして王を含め十二体もいる……だけど僕は
『ならば使命を…』
「……カーン、僕は剣を振るわない…僕は魔戒騎士はやめたんだ…」
『ならば何故浄化に赴いたのです!若は魔戒騎士を目指していたのではないのですか!!』
「……僕は普通の生活を…人間らしい生活を送りたいんだ…カーン強制スリープモード」
『若!』
カーンを強制スリープモードにし目的の場所、浄化の間に辿り着く
ひんやりとした石造りの空間には口から白金色の炎を燃え上がらせる龍の彫像、その反対側に僕の身長ぐらいある高さの石に狼の頭部が彫刻された石板
コートから煌牙を取り出し大きく口を開いた狼の彫刻の口に剣を金属が擦れる音を響かせながら差し込む
狼の目が光り同時に剣から邪気が抜けホラーが魔界へと封印され目から光が消えたのを見て引き抜くと汚れた気が消えソウルメタルの輝きが甦る
『おし、浄化と封印送還終わったぜ…タカヤ、ホラーの気配でぃ!』
同じ事は二度と起こる…
僕は其れを聞くや否や走り出す
教会本部の中を風のように走りキリクが誘導する場所へひたすら走りある一室の前に辿り着き迷わずドアを蹴破る
「あ、貴方はタカヤ様!?何故ここに?!」
『―――――――――!』
短く揃え一人の少女を抱え守るように戦う女性、数年振りあうシスターシャッハを見た僕は迷わずホラーの前に立ちはだかる
「…シャッハ、早く逃げて!その子を連れて早く!!」
「は、はい…タカヤ様、ご武運を」
一礼するとその場から去るシャッハと少女が居なくなったのを確認するとカーンを再び起動させる
『若!今日という…今はそれ所ではありませんね…結界を発動します!』
言葉と同時に結界を貼るカーンに感謝しつつ僕は煌牙をホラーに向け構える
『ナジ、マキイクスバホコヒニル?メエホウヲハモルチムカ!(ナゼ魔戒騎士ガココニイル?冥王ヲ守ルタメカ!)』
冥王?誰のことだ…まさかあの女の子が?
だけど今はホラーを倒さなきゃ…何故僕はそう思うんだ
魔戒騎士の生き方を捨てたはず、それなのに僕の体の奥からナニかが剣を握りホラーを斬れと突き動かす
《タカヤ、今は集中しろい!》
その声に我に戻った僕はホラーと対峙、魔戒剣斧を抜き放ち左手に刃を添え構える
『――――――――!』
「ハアアアア!!」
烈帛の掛け声と獣の叫び声と同時に結界が展開された狭い室内を黒鉄色と群青色の影が交差した
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“湾岸第六警防署”
アレから目を覚ました私はノーヴェさん、スバルさん、ティアナさんと共に警防署で今までの路上格闘…街頭試合をしないと約束しその手続きをしてる間考えてました
私を保護したノーヴェさんの姉、スバルさんが聖王と冥王の二人と仲がいい友人である事にも驚きました……
けど夢で見たホラーと魔戒騎士、そして昨日の夜タカヤ・アキツキさんがホラーと戦い鎧を纏い倒した事に……
「よう」
「ひやっ!!」
「スキだらけだぜ覇王様」
そこには少し悪戯っ子みたいな笑顔で缶ジュースを持ち少ししゃがんで立ってました
「もうすぐ解放だと思うけど、学校はどーする今日は休むか?」
「…行けるのなら行きます」
「真面目で結構」
その後しばらく話して見ると知り合いに古代ベルカに詳しい方々を知っていて手伝おうと言ってくれましたが
「聖王達に手を出すな……ですか?」
「違ェよ、あ、いや違わなくはねーけど……」
「ガチで立ち会ったからなんとなくわかるんだ…おまえさ…格闘技がすきだろう?」
ノーヴェさんの問いは的を得ていました…好きとか嫌いとか考えたことは今までありませんでした
「覇王流は……私の存在理由の全てですから」
其れを聞き少し悲しそうな顔をしていましたが直ぐに元の顔に戻り、それから色々と話をしていく内に徐々に打ち解けていくの感じていた時
「……少し聞いていいか?」
まるでコレからが本題であると真面目な顔をして真っ直ぐに私の目を見て戸惑いつつ聞いてきました……
「…昨日のアレ…あいつ…アキツキってのを魔戒騎士って呼んでたよな…何者なんだ?」
…私は…彼の事を…魔戒騎士であろうタカヤ・アキツキと闇の魔獣ホラーの事を話すべきかを迷いました
……
同時刻“聖王教会”同施設
狭い室内にソウルメタルの音が響き渡らせながら逆袈裟に剣斧を構える
『油断するねぃ、奴はジェミニ、虚像と実像を使い分け幸せに満ちた……特に夢を見る子供を惑わし食らうホラーだ!』
夢を……子供を……喰らうホラー…其の言葉を聞いた瞬間剣斧を強く握りしめる
無言で壁と壁を蹴り跳躍、と同時に体を捻りジェミニに袈裟斬りを仕掛け胴を剣斧で薙ぎ払う
でも横凪ぎに切り払うも妙な手応え…まるで霞を切るかのように霧散し消えるジェミニ
『キシャアアアアア!』
背後に鋭い気配を感じ咄嗟に魔戒斧に切り替え盾がわりにし防御する、鈍い衝撃音とソウルメタルから発する振動音、火花が散る音が辺りに木霊し響く
「はあああ!」
魔戒斧を軸に身体を捻り回し蹴りをジェミニの腹に見舞い壁に吹き飛ばした
『―――――――――――――!!』
『タカヤ、熱くなるじゃねぇ!怒りは剣を鈍らせるぞ!!』
…何をいってるんだ、キリク、僕は…熱くなってなんかいない
―タカヤ、どんな理由があっても『夢』だけは奪うことだけは絶対に許しちゃいけないと想うんだ…―
僕は…熱くなんかなって…ない!!
壁に打ち付けられふらつくジェミニは悪足掻きと言わんばかりに無数の虚像を生み出し迫ってくる
『―――――――――――――!!』
僕は迷わず魔戒剣斧を空に掲げ円を描き鎧を召喚する
西洋の特徴と牙を剥いた狼を型どりし仮面の意匠をを持つ鎧【煌牙の鎧】を纏う
魔導刻が刻まれるのを肌で感じつつ変化し大型化した魔戒剣斧煌牙を構え同時に横薙ぎに切り払う!
『ヤ、ヤサクヌルググンヌイヲヒリクキヌチ(マ、マサカワガウミダシタゲンエイヲキリサクトハ)』
魔導力を込めた斬撃に産み出した虚像を全て切り裂かれジェミニのみが取り残される、しかし負けじと口から緑色の液体を僕に向け吐き出す
それを魔戒斧に切り替え跳躍と同時に切り払い徐々に間合いを詰め迫る僕にジェミニも負けじと腕を異形の大剣に変え魔戒剣に切り替えた煌牙と激しく斬り合うたびに火花が散る
『カ・ハマ・ナ…アカナラハサタイナユカ・ナヤアナ・ハタカナヤハタカナ!(ナ、ナゼダ…モハヤ冥王ヲシルモノモナクタダネムリツヅケルダケノ、夢ヲミルダケノガキナンゾ、クッテモカマワンダロウ!)』
『違う!』
切り結び、ソウルメタルの音が部屋全体に響き渡る中、僕は叫んだ
『例え、冥お…あの子が眠り続ける事しかできなくても…いつか誰かと再会できる願いを……夢を奪う権利は……お前には無いんだ!』
烈帛の気合いを込め大剣ごと押しきり、ジェミニを部屋の外に向け吹き飛ばした
『―――――――――――――――?!』
同時に僕も外へ飛び出し落下する砕け散乱するガラスと共に落下しながら魔戒剣の柄を回し乾いた音と共に魔戒斧へ変え大きく上段に構え迫る
『ハアアアアアアア!』
落下のスピードを利用し体を捻り無防備状態でもがくジェミニを頭から唐竹割りの応用で硬い外皮を力任せに切り裂く
『カナタ…ハナカラヤナサハナカアナ…ヤナカ…タヒアアアアアアア!(ナ、ナゼダアア?魔戒…騎士…マタワレラノ邪魔ヲ…ガアアアアアア!)』
魔戒斧に真っ二つにされ魔導文字を吹き出しながらジェミニはその言葉と断末魔をあげ爆散、やがてチリと変わり風に流れ去った
其れを見届けると徐々に地面が近づきのを見た僕は着地と同時に鎧を返還し背後に気配を感じ振り返る
「お見事でした、タカヤ様…いえ白煌(びゃくおう)騎士【煌牙】(オウガ)様」
「…シャッハ、僕は魔戒騎士はもう……」
《…そういうこったシャッハ嬢ちゃん…タカヤは魔戒騎士を辞めちまっ…ん?…シャッハ嬢ちゃん、そのお嬢ちゃんはまさかイクスヴェリアか!?》
「キリク、この子を知ってるの?」
《知っているも何も、イクスヴェリアはホラーの王を倒すために共に戦った王の一人だ、共に過ごしたあの日々の事は昨日の事のように思えるぜぃ……》
ソウルメタルを軋ませ懐かしそうに喋り続けるキリク…だけどこのまま話続けるのはまずいと考えカーンに結界を解くように頼むと別な部屋へシャッハと女の子…イクスヴェリア?を連れていきベッドに寝かせる
「……シャッハ、さっきの話、キリクが言った事は事実なのかな?」
「…はい、このお方は冥府の炎王イクスヴェリア様ご本人です…」
シャッハが言うには二年前、イクスヴェリアを利用しょうとした『マリアージュ事件』が起こり、一度目を覚ましたのだが再び眠りについた彼女を此所、聖王教会本部に保護と護衛していると聞いた。
『タカヤ、ホラー避けの護符と教会本部全体に結界を張るから、俺をイクスヴェリアの手の上に置いてくれ』
僕はキリクを外し手に置くと、再びイクスヴェリアの顔を見る
…… 冥府の炎王イクスヴェリアって、もっとゴッツイ女の人だと思っていたんだけど…
…実際はこんなに小さい女の子だったなんて…
「…伝承やお伽噺って当てにならないんだね……」
「タカヤ様?」
「な、何でもないよ…また剣を浄化しないといけないな…」
キリク特製のホラー避けの護符と結界を教会本部全体に展開し終えると、僕は再び煌牙の浄化を終え帰ろうと門からを出ようとした時だ……
「タカヤ!覚悟~!!」
二度目があるって事は、三度目ってのもあるんだね…はああ…………
僕は再びシャンテの双剣の攻撃をかわす……だけど何かおかしい
まるで起死回生の一撃を狙っているみたいだ、シャンテのバトルスタイルは双剣と足の速さが特徴だ
「……双輪剣舞!」
「うわ!?」
考えながら戦うと何時もこうだ……に言われていたのをすっかり忘れていた僕は紙一重でターンを無数に繰り返しながらかわしきった、次の瞬間
「かかったね、タカヤ!」
双剣を捨ていきなり跳躍し踵落としを仕掛けてきた
(これなら受け止められる!)
そう思っていた僕は後悔した
何故ならシャンテは上から落下するのにたいし、僕は見上げる形で防御しょうとしている
シャンテは修道服を着ている…つまり今現在スカートは広がってて、そこから見えるのは当然…下着、真っ白な下着がタカヤの目にモロに入った次の瞬間、
「ブウウウウウウウウウ!!」
噴水の様に鼻血を盛大に吹き、出し尽くすとまるで糸が切れたようにタカヤは倒れてしまった
「タ、タカヤ?ねえったら!?ど、どうしたの!?」
「シャンテ!貴女は、何てはしたないことをするんですか!!」
(は、鼻血が止まらないよ……だ、誰か助・け・て……)
二人の声を聞きながら心の中で助けを求めながら僕はそのまま意識を手放した
第二話 運命
了
キリク
『……タカヤ、少しは免疫つけろい…こういうとこはユウキそっくりだぜ…聖王教会から魔界道を使い寮へ戻るが違う場所に出てしまったタカヤ…なんだあの嬢ちゃん?オリヴィエに似てるな?次回、聖王!三人目の王との出会い!!』
次回は幕間はさんでの投稿になります