魔法少女リリカルなのはvivid~守りし者~《完結》   作:オウガ・Ω

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WHERE THERES LIGHT,SHADOWS LURED AND FEAR RAINS
(光あるところに漆黒の闇ありき。古の時代より、人類は闇を恐れた)




AND BY THE BLADE KNIGHTS,MANKIND WAS GIVEN HOPE.
(しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって、人類は希望の光を得たのだ)


第十九話 雷鳴(前編)

「……………」

 

 

「……………」

 

 

早朝、ナカジマ家から少し離れた公園に映る二つの影…一人は青みかがったコートに髪を逆立てた目付きが鋭い青年と白地に赤、黒の装飾が施されたコートを纏った二人が槍と剣を構え相対している

 

ふわりと風が凪いだ瞬間、二人は踏み込むと同時に切りかかる…が槍に防がれ胴へ蹴りが叩き込まれるが咄嗟に後ろへ飛び威力を相殺、肩に剣を構え地を這うように駆け出す

 

 

「はあっ!」

 

 

「むん!」

 

 

激しく切り結び辺りに振動音…ソウルメタルの音が木霊し互いに蹴りを放つも激しくぶつかり合い再び間合いを開く

 

 

「…腕は落ちてないみたいだなソウマ」

 

 

「ああ、ジロウもな」

 

 

互いに構え牽制し移動する二人、心なしか楽しんでいるようだ…再び剣と槍に力を込め切り結ぼうとしたソウマとジロウ。だがその手を止め魔法衣へ互いの武器を納めた

 

 

「ジロウさ~ん」

 

 

「ソウマっち~」

 

 

「どうしたギンガさん?」

 

「あ、あの…朝御飯ができたから呼びに来たんですけど」

 

「む、もうそんな時間か…ソウマ、戻るとす………」

 

「ソウマっち、またそんな暑苦しい格好して~私が選んだ服は着ないんッスか!?」

 

 

「あんなハレンチなものが着れるか!そ、その前に抱きつくのをやめろおおお!?」

 

 

「ん~本当は嬉しいくせに…ウリウリ♪」

 

 

「ウアッ」

 

 

ソウマの背中にはTシャツ越しながら破壊力バッグんの特大スイカ二つが形をムニュンと変えながら密着、その魅惑的な感触にたまらず声をあげるソウマ

 

 

「ジ、ジロウ!見てないで助けろ!?」

 

 

 

「……………ギンガさん、若い二人に任せて戻るか」

 

「え、でも……」

 

 

「……俺はまだ魔導馬に蹴られたくないんでな……」

「?」

 

ただそれだけいいイチャイチャするソウマとウェンディを残しその場をあとにした…数十分後、妙に艶々したウェンディとやつれたソウマが戻ってきたのは言うまでもなかった

 

 

第十九話 雷鳴(前編)

 

 

「ここが聖王教会か…元老院と趣が似てるな」

 

《そうだねジロウ…》

 

 

「そんなに似てるのウルバちゃん?」

 

 

《うん、でもこの世界ってスゴいんだね~空飛べたり馬を使わない馬車があるなんて僕驚いたよ》

 

 

あれから数時間後、ジロウはギンガと共に聖王教会本部へ訪れていた。その目的はカルチャーショックという弊害をなくすためだったまだまだ現代、魔法世界の常識に不馴れなジロウたちにとってこの世界でいきる上で知識を得ることは必要不可欠だった

 

 

だが何故ジロウ、ソウマ、レイジはバラけた状態でいるのか。それはすこしばかり時間を遡る

 

 

数時間前

 

 

「あ、あのジロウさん」

 

 

朝食を終えギンガの淹れたコーヒーが入ったカップを持つジロウに話しかけてきたギンガ、どことなく顔も赤くしながらたっている

 

「あ、あの今日はお暇ですよね」

 

「ああ」

 

 

「そ、それでですね…………わ、私と出掛けませんか?まだ見てない場所ありますよね?今日私お休みですからちょうどいいかな……って…思ったんですけど…ダメ…ですか?」

 

「いいぞ、ならレイジたちも」

 

 

「あ、それなんですけどレイジさんとソウマさん用事があるみたいです」

 

 

「そうか、わかった」

 

 

ジロウのその声を聞いたギンガの笑顔は『まるで花が咲き誇ったかのようだった』と娘馬鹿な中佐がいっていたと記しておく

 

 

だがタイミングがよすぎる…何故ならば元からナカジマ家美人姉妹が想い人と二人っきりになるために打ち合わせたからであった。

当然発案者は頼れるみんなのお姉さん『チンク・ナカジマ』

 

『チンク、なんで私たちを呼んだの?』

 

 

『ギンガ、ウェンディ、単刀直入に聞く。ジロウ殿とソウマ殿のことが好きだな?』

 

 

某マダオ司令と同じコスプレを着たチンクからのあまりにもストレートな言葉に一気にボンッと湯気が立つ二人

 

『べ、別にいいじゃないッスか!チンク姉に関係ないっすよ』

 

 

『そ、そうよ…でもなんで聞くの?』

 

 

『い、いやな…この私がお膳立てしょうかと思ってな……』

 

 

マダオ司令…チンクの元で話し合われた結果。ウェンディはソウマ、ギンガはジロウをこの世界について案内する(またはデートという)作戦が組まれたのだった

 

 

(さて、私はレイジ殿と…デ、デ、デ、デート………い、いやこの世界について教えるだけだし、まだレイジ殿の気持ちを確認してないわけだ……落ち着くんだ私!!)

などの乙女なチンクの思いがあったりしたりする

 

 

各々の思惑はうまく運び現在、ジロウはギンガと共にいるのだが妙な気配を感じていた

 

それも二つ…敵意はないと判断しながらもこれ以上は無理だと判断したジロウは声をかける事を決めた

 

「いい加減出てきたらどうだ?」

 

 

ビクッとしたのを感じとるとさほど離れた場所でない教会の建物の影から出てきた二人にギンガは驚いた

 

「ディード、それにオットーまで?一体どうしたの?」

 

「あ、あの…その…この前はごめんなさい!!」

 

 

「ん?この前…」

 

 

この前…おそらくこの世界に来たときの事(詳しくは心滅を参照)だ

 

 

「本当にごめ…」

 

 

「気にするな、お前たちは悪くない…」

 

 

「で、でも僕は」

 

 

「気にするな、それにくよくよするな。男なんだからな」

 

 

ビキッ!なんかが割れた音が響く…なにかいったか俺は?オットーが目の前で顔をうつむかせてるんだが

 

「あ、あのジロウさん。オットーは女の子ですよ!?」

 

 

「ははは、何をいってるんだギンガさん。オットーはどこからどうみても男じゃないか」

 

「ジロウ様、オットーは女の子ですから!?」

 

 

どこからみても男なんだがな…一応確かめてみるか、俺はゆっくりとオットーの股間へ手を伸ばした

 

「「あっ!?」」

 

二人の声が響くと同時に掴んだ…あれ?男ならは必ずあるアームストロング砲が影も形も無い…だと?

 

 

「……あっ…ん」

 

 

変わりに指に溝?の感覚、動かす度に熱を帯びた声をオットーがもらした………………ま、まさか…オットーは女なのか!?

 

 

「…………ジロウさん」

 

「オットーに何してるんですか」

 

底冷えするような声に思わず振り返る。笑顔で何やらタービンがついた手甲と光輝く剣を構え立つギンガとディード…な、なんだこの殺気は!?

 

 

「言いましたよね、オットーが女の子だって…」

 

 

「い、いや…落ち着いてくれギンガさ……!?」

 

「ジロウ様…あなたが私の妹にしたことは万死に値します……」

 

 

「ふ、二人とも落ち着……」

 

 

「「問答無用!!」」

 

 

背後に阿修羅、鬼を浮かび上がったのを目にした次の瞬間鈍く響く衝撃を感じたのを最後に意識が途絶えた

 

 

――――――――――

―――――――――

 

 

「へへへ、機械人形ごときが人間様の振りしてやがんなあ」

 

 

薄暗い室内でソファーに足を投げ出す彼が見るのは管理局の制服に身を包んだ腰まで長い髪が特徴の女性…ギンガ・ナカジマ

 

彼の手には複数の書類があり過去、生い立ちまで詳細に記されている

 

 

彼の職業は探偵…だがそれは名ばかりで触れられたくない弱みを握り恫喝し金を巻き上げる最低の男。彼がギンガに目をつけたのは金目的もあるが…それ以上に女であることだった

 

 

「いい身体してるなあ……これなら金には困らないぜ…」

 

 

今まで彼は弱みを握った女性から金を巻き上げるだけ巻き上げ、払えないというと暴力を奮い人身売買をしてきた

 

 

―金が払えねぇだ?だったら身体を売って作れや―

 

 

彼は《金が払えない奴が悪い》と言う理由だけで暴力をふるいつづけた結果、心身共に止んだ女性も多数いた

 

「今度は頑丈そうだからなあ……どんな風にしてやるかなああ」

 

 

下婢た笑みを浮かべながら彼は追い込むための準備を進め始める彼の背後に無数の魔導文字が溢れ近くにあった黒い帽子へ吸い込まれるよう入り込んだ

 

 

―ヌンヌンクリチミタイノチイスクヌウツヌ、ヌリニフスムウシイ―

 

 

微かな声が帽子から響いた事に彼は気づかず被ると部屋から出ていった

 

第十九話 雷鳴(前編)

 

 

 




後編に続く

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