ザラムレッドに乗った人数が多かったせいか、予想以上の時間を要してしまったものの、ジュンキ達5人は無事にポッケ村へ着くことができた。
もちろん、村の中にザラムレッドを連れて入る訳にはいかないので、ジュンキ達は村の外でザラムレッドから降りた。
「ありがとう、ザラムレッド」
「また何かあったら、ヌシを尋ねることになるだろう」
「分かった」
「…また会おう」
ザラムレッドはそう言うと大きな翼を広げ、南へ飛び去っていった。
「よおーし!行くか!」
「新生活の始まりだー!」
ユウキとカズキが、元気にポッケ村の門をくぐって行く。
「ここなら安心だな」
「知り合いのハンターもいるから、後から紹介するよ」
ショウヘイとジュンキも、これからのことを話しながらポッケ村へと入った。
しかし、クレハだけは門の外で立ち止まり、雪雲で曇っている空を見上げた。
「…チヅルちゃん」
クレハは静かに目を閉じる。
―――私、チヅルちゃんの分も頑張って生きていくよ。
―――私、チヅルちゃんの分も笑うよ。
―――私、チヅルちゃんの分もご飯食べるよ。
―――私、チヅルちゃんの分も…。
クレハはここまで想って、ひとりで恥ずかしそうに笑った。
―――あのね、チヅルちゃん。チヅルちゃんがいつも言っていたことが、本当のことになっちゃったよ…。
―――私ね、ジュンキのこと、少しは…。
「クレハ…?」
「…!」
突然声を掛けられて、クレハは我に返る。
目を開くと、そこにはジュンキが立っていた。そのジュンキがクレハに向かって、右手を差し出す。
「…行くぞ?」
「…うん。…うん!」
クレハは笑顔で答えると、ジュンキと並んでポッケ村へと足を踏み入れたのだった。
※
これから、新しい狩猟生活が始まります。
チヅルちゃんはもういないけど、私は寂しくないよ。
むしろ、チヅルちゃんの方が心配かな。
空の上の、天国という場所が本当にあるのなら、チヅルちゃんはひとりぼっちなのかな…。
でも、空の上にチヅルちゃんが居るのなら、いつでも私達を見下ろせるはずだよね。
だったら、寂しくないかな?
でも、私がジュンキと仲良くしていたら、焼き餅焼くのかな…。
…ジュンキという人物が、全く気にならないといえば、嘘になる。
でも、チヅルちゃんが諦め、譲ってくれたから…というのは無しだ。
そんな理由で、人とお付き合いをしたくない。
それは、彼にも失礼だろうし、私自身も納得できない。
…彼とのお付き合いは、真剣に考えようと思う。
―――クレハの手記より
(2nd Story おわり)
こんにちは。
本日はMONSTER HUNTER 2nd Storyを最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。
最後まで読んで頂いた読者のみなさんはもうお分かりだと思いますが、メインキャラクターであるチヅルが死亡しました。
私としてもキャラクターを殺すことになってしまい、残念に思います。
しかし、チヅルが死亡することは、この物語を考え始めた5年も前に決まっていたことです。
ここでチヅルを生かしてしまうと、後の話に矛盾が発生してしまいます。
チヅルが助かる構成も考えてはみたのですが良い案が出ず、5年前の設定をそのまま使用しました。
読者のみなさん、どうかお許しください。
2nd Storyはチヅルが死亡し、ジュンキ達がシュレイド王国軍から逃げる形で物語は終わっています。
そして、ひとりのハンターがポッケ村に現れるところから、3rd Storyが始まります。
3rd Storyでは、ジュンキ達が竜人として目覚めた原因ともいえる、世界の均衡が崩壊する原因が登場し、それを中心としたお話になります。
どうかお楽しみに。
私としては3日に1度の更新が少々ハードですが、読者のみなさんのアクセス数を糧に、頑張っていきます(苦笑
もしかしたら力尽きて、途中から週1更新に戻るかもしれませんが…。
さて、ここからはお礼のコーナーです。
この小説を書き直すにあたって詳細な設定を一緒に考えてくれた古い友人であるT君に、ありがとうの言葉を。とても感謝しています。
そしてここまで読んで下さった読者のみなさん、どうかこれからも応援よろしくお願いします。
2011.06.22 自宅にて
2012.05.03 加筆修正
2013.06.04 再掲載にあたり、加筆修正
2014.06.23 少し修正