モンスターハンター ~人と竜と竜人と~   作:秋乃夜空

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1章 小さな狩人 06

ドスランポスを含むランポス達は強烈な光で目を焼かれ、悶絶していた。

「それっ…!」

レイナはレンヤより少し前に出て、まずはペイントボールをドスランポスへ当てた。

「やああああっ!」

そこへ大剣「ボーンブレイド改」を構えたレンヤが斬りかかる。

斬り下りし、横薙ぎ、斬り上げ。ドスランポスの青色の鱗が、徐々に鮮血で染まっていく。

レンヤが無茶をしないか見守りつつ、レイナは弓「ハンターボウI」を構える。

「当たれ…!」

視界を奪われ混乱するランポスの中でも動きが少ない個体を選び、急所を狙う。

「どうだっ!」

嬉しそうな声を聞き、目線だけを向けると、レンヤがドスランポスを横倒しにしたところだった。

レイナは頬が緩むのを感じつつ、次々とランポスへ矢を当てていく。

(これなら、無事に狩りを終えられるかも…)

レイナが僅かに気を許したその時、背後から衝撃に襲われた。

「きゃっ…!」

その場に踏み止まることができず、地面に転がる。すぐに起き上って状況を確認すると、混乱したランポスの体当たりが偶然当たってしまったようだった。

「レイナ!そろそろ閃光玉の効果が終わるから、距離を取れ!」

「わ、分かった!」

レンヤの助言に従い、レイナはランポス達から離れていく。それを横目で見ていたレンヤが視線を前に戻すと、そこにはしっかりとレンヤを見据えた、怒り心頭のドスランポスの姿があった。

「げっ…!」

ドスランポスは口を大きく開き、レンヤに飛び掛からんとする。レンヤは咄嗟に大剣「ボーンブレイド改」で防御の体勢を取るが、僅かに間に合わず、ドスランポスの攻撃によって飛ばされてしまう。

「ぐっ…!」

慌てて起き上ろうとしたが、すぐにドスランポスがレンヤの上に片脚を置き、身動きを封じる。ドスランポスは勝ち誇ったかのように天へ向かって鳴き声を上げるが、レンヤはその姿から目を外せなかった。やがてドスランポスは地面に押さえつけたレンヤを充血した眼で覗く。

(た、食べられる…っ!)

レンヤが死を覚悟したその時、レンヤの右側から飛んできた矢がドスランポスの胴体に刺さり、ドスランポスは体勢を崩してレンヤの上から転げ落ちた。他でもない、レイナの援護だ。

「お兄ちゃん!大丈夫!?」

「レイナ!助かった!」

レンヤはすぐに起き上り、地面で転げ回るドスランポスへ大剣「ボーンブレイド改」を振り下ろした。ドスランポスの悲鳴と同時に、大量の鮮血が飛び散る。

「もう一度…!」

レンヤはドスランポスへ追撃すべく、もう一度大剣を上段に構えると、一気に振り下ろした。しかし、ドスランポスは間一髪で飛び出し、レンヤの大剣は地面に刺さってしまった。

「逃げる…!」

ドスランポスは残されたランポスを率い、一目散に逃げ出す。レイナは矢を放つが、1本も当たらなかった。

「ダメか…。お兄ちゃん、大丈夫?」

「ああ…。ただ、手が痺れた…」

レンヤは地面から大剣「ボーンブレイド改」を抜くと背中に戻し、衝撃で痺れた両手をブラブラと振って見せた。

「ドスランポス、大きくダメージを受けていると思うけど…」

「だな。追撃して休ませなければ、すぐに倒せるだろう」

レンヤはそう言い、視線をドスランポスが逃げた小道から岩陰の方へと移した。

「それより、リアは大丈夫なのか?」

「そうだ、リアちゃんは…」

レンヤに言われて、レイナはリアを置いてきた岩陰に視線を移す。すると、リアは岩陰から一番近い場所で息絶えているランポスの近くに居るのを見つけることができた。ひとまず安心できたが、リアが一体何をしているのかが気になり、レンヤとレイナは歩き出す。

「リアちゃん、何しているのかな?」

レイナが覗き込むと、リアはランポスの肉を食べていた。小さな身体で一生懸命に食べる姿は可愛いものだが、食べているものが鮮血迸る生肉だけあって、なかなかにグロテスクだ。

「…」

「…」

レンヤとレイナは黙ったまま目を合わせたが、苦笑いしか出てこなかった。

 

リアが腹を満たすまで、2人はその様子を観察した。やがて満腹になったリアはレイナの頭の上に乗ると熟睡に入ってしまう。レンヤとレイナは仕方なく、そのままドスランポスを追撃することにした。

 

ドスランポスは、レンヤとレイナが戦った場所から少し離れた水辺で休んでいた。周囲をランポス達が見張る中をレンヤが気付かれずに接近するのは困難だと判断した2人は、レイナが遠くから狙撃することにした。集団から離れたランポスから順番に狙い撃ち、他のランポス達が異変に気付いた時点でドスランポスを狙った。

奇襲を受けたランポス達は混乱し、それに乗じてレイナが援護しつつ、レンヤが突撃。傷口が塞がる前に戦闘を再開したドスランポスは失血によって徐々に弱り、ついに倒れたのだった。


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