謙虚、堅実をモットーに生きております!の麗華様が大好き過ぎてつい書いてしまったものです。麗華様だって恋愛してもいいじゃないがテーマです。
ホントは書き途中の作品のバックアップをさがしてたのだけど
こっちを改稿していた
この作品を生んでくれたひよこのケーキ様に感謝を
自分の中にドス黒い感情があると気づいたのはつい最近の事だが、思えのばこの感情は随分前から存在していて、何故気付かなかったのか不思議なくらいに彼女に対してはずっとこの感情に忠実に接してきた。
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自覚したのは親友の鏑木 雅哉の家に遊びに行った時のことだ。
高校三年の夏休み
普通だったら大学受験に向けて勉強をスタートさせたり、部活の最後の大会を真剣にやったりしている頃だろう。
しかし、内部進学が決まっていて、部活もやっていないためとくにやることのないので楽しいというよりはのんびりとした夏休みを過ごそうと考えていた。だが、夏休みに入って二日目の最初の日曜日。この日に僕の夏休みの予定は大幅に変わることとなるのであった。
遊びに行ったその日に雅哉の家には優理絵さんと愛羅さんがいた。
この頃の話題と同じようにこの日の話題も雅哉の恋愛の進捗具合についてだった。
僕の親友である雅哉は最近高等科からの外部生である高道 若葉に夢中なのだ。
高道さんを堕とすため日々彼女を呼び出して作戦を練っている。
雅哉の失敗の話やそのときの状況の補足をしながら会話に混ざる。主に修学旅行の話や水族館に二人で行ってきた話しを自慢げに少し照れながら雅哉が話していた。
話も一段落した所で愛羅さんがこっちに話を振ってきた。
「秀介は誰か好きな人出来たの?」
僕は恋愛に興味がないわけじゃない。他人のその手の噂話を聞くのは好きなほうだろう。
だが自分の恋愛になると…
「好きになるってどういうことなのかわからないんだよねぇ。」
決して好きという感情がわからないわけではない。
家族や親しい人への愛情は理解できるし、好きだというとは理解できる。
だが、恋愛で言うところの好きがわからないのだ。とくに近くでずっと真剣な恋をしてきた親友を見てきたから自分にあのレベルの情熱を他人に向けることがないだろうと思えてしまうのだ。
「えー、何かないの?ついつい目で追いかけてしまう娘とか、その娘のことを四六時中考えちゃうとか、誰か他の男の人が近くにいるとイライラしちゃうとか?」
そんな相手がいるわけが
そう言おうとしたところで頭の中で彼女の顔が思い浮かんだ。
とても綺麗で今にも吸い込まれそうな黒い瞳に絹のようにしなやかでありながらつやがある髪を特徴のある縦ロールに巻いていて、その黒とは反対の決め細やかな白い肌。典型的な瑞鸞のお嬢様で学園の女子のトップと言われながらどこか抜けていて、たまに全然お嬢様っぽくないところもありながら、基本的に小心者で、だけどどこか堂々としている彼女
「秀介、どうしたの顔を赤くして?」
愛羅さんが少し驚いたような顔とどこかでニヤニヤとした笑い顔をしたような表情で聞いてくる。まるで面白いものが見つかったといった風な感じで。
「おい、秀介お前にもそんな相手がいたのか?」
雅哉が驚いた顔で聞いてくる
「まぁ、秀介にそんな娘がいたのね?どんな娘かしら?」
優理絵さんはどちらかというと愛羅さんに近い表情で聞いてくる
だが僕にはもうその疑問に答えるほど頭と心に余裕がなかった。
その後どんな話をしたのかさっぱり覚えていない。まともな会話ができていなかったと思うし、なにより頭のなかが彼女のことでいっぱいになっていた。
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その日は家に帰った後もまともなことは出来なかった。
いすにぶつかり、棚にあたり、ドアに頭をうちつけ、しまいには弟の雪野に心配されてしまった。
部屋に戻ってベットに寝転ぶ。
ようやく自分のなかの感情と向き合う。
何もかもが突然のような気がして気が動転していた。
だが、あらためてこの感情に向き合って見ると心の中にあったモヤは無くなっていた。
そして代わりに目を逸らし続けてきたこのドス黒い感情を目の当たりにして、どこか憑き物が取れたような、それでいてどこか納得がいったよう、そんな感情が自分の中にあることも理解した。
最初はいつからだったのだろうか
確か最初は入学式のときだった。
初等部のときの入学式のときに目を吸い寄せられた。
違うクラスだと知って落ち込んだけど、同じピヴォワーヌだと分かってからはとくに落ち込むことはなかった。
サロンで彼女の事を盗み見ると彼女は雅哉の方をよく見ていた。
彼女も雅哉のことが気になるのだろう。小さいころからいつも周りにいる女の子は雅哉ばかり見ていた。
だから彼女もそうなのだろうと少し落ち込んだ。
それからは彼女が雅哉を見ている時を見計らって雅哉に話しかけることが多くなった。
初めての夏休みでのピヴォワーヌのパーティーで彼女が彼女の兄と鐘を鳴らしているのを見て彼女の兄に嫉妬した。
その後で見た彼女のワルツは美しく声をかけようとしたらどこかに行ってしまった。
初めてのクラス変えで彼女と同じクラスになれなくて少し落ち込んだ。
同じクラスの秋澤君が彼女と仲良く話してるを見てわざと体育祭の前に怪我をしてアンカーを変わりにやってもらって雅哉に抜かされて恥をかかせようよ思った。いざ、体育祭になってみるとこんなことしないで普通に走ってかっこいいところ見せればいいと気づいた。ホントにバカなことをした。
四年生になって優理絵さんと雅哉の仲がギクシャクしたときに彼女が雅哉の手伝いをしたときがあった。
このときに雅哉に気がないとわかってうれしかったけど、うわさで雅哉と彼女の仲が囁かれたときに自分が雅哉だったらいいのにと思った。
五年生のとき彼女が運動会の実行委員をやると知って実行委員になった。けれど周りの女子がうるさくて彼女とほとんどしゃべる機会がなかった。
六年生のときは同じクラスの委員が彼女と仲良くなったあせったけれどどうやら恋愛相談で相手は彼女ではない事を物陰にかくれて聞いていたためすぐ安心できた。
修学旅行ではなんとか同じ写真に写りこもうとしたが自分の周りにいる女子たちのせいでなかなかうまくいかなかった。
ピヴォワーヌの卒業写真では隣にと言ってくれてうれしかったけど緊張してしまうから咄嗟に断ってしまい後で物凄い後悔をした。でも写真でにやけていて彼女に悪い印象を与えるよりましだという事で無理やり納得した。
中学に入ると最初のテストで彼女にいいとこみせようと頑張ったけど二位だった。雅哉をとことん恨んだ。
彼女はこの頃生徒会によくクラス委員として行っていた。どうも生徒会長に気があるみたいな反応だった。話を直接聞いたわけでは無いけどサロンに来るのがよく遅れていて理由にそういう事を言っていたのを聞いて一回生徒会室を覗いた時の彼女の反応がその様な反応だったのだ。彼女の周りの男性は彼女の兄しかいなかったので、やはり彼女は年上が好きなのでは無いだろうか。この頃から彼女に対しては大人の男の対応を心がける様にした
2年になると同じクラスにやっとなれた。でも彼女から僕に話しかけて来る事はほとんど無く、いつだったかさりげなくサロンで理由を聞いたところ彼女曰く、特に話す事も無いだからそうだ。じゃぁ、僕から話しかけてみようかとも思ったけど共通の話題も毎回あるわけでもなく、変に話すと彼女に迷惑がかかって嫌われるかも知れない。というか周りの女子が煩すぎて話せる時がなかなか無かった。
ああ、でも彼女の従姉妹が雅哉にまとわりついていた時に借りが1つできたから今年の収穫はこれでとか思ってた気がする。
結局3年の頭で彼女を雅哉と同じクラスになったから上手くクラスが纏まる様に彼女を委員にするのに使ちゃってすごく後悔した
後同じクラスになったのに何の反応を見せない雅哉にものすごくイライラした。
ああ、この年は上手く取り巻きの女子を纏めていなかった雅哉と僕に彼女が怒ったんだっけ。怒った顔もすごく綺麗で絵になっていた。
その後雅哉と僕が彼女の相手に…って噂になったのは僕が彼女と…ってやつより雅哉の方が噂になってて悔しかったなぁ。
高校になっても彼女の事ばかり考えていた気がする
一年のときは運動会で生徒会長と…って話題になった時は徹底的に彼の周りを調べたら彼女がいる事が分かったので安心した。その運動会で彼女はネズミのコスプレをして仮装リレーに出ていたけどとても上品な雰囲気を纏っていて素晴らしかった。
ホワイトデーに雅哉が限定の桃のギモーブを貰ったって言ってたから自分も同じものを速攻で買った。
買ったはいいけど何で彼女から貰えなかったものを買ってしまったのかと後悔した。
去年は彼女と弟の雪野が知り合いになって雪野は彼女に懐いた。兄弟だからか女の趣味も似ているのだろうか?
後この時期彼女と市ノ倉家の晴斗さんとよく一緒に食事をしている様だった。彼女はよく食べるらしくみるみる肥えていった。けれども彼女は肥えていてもその美しさに一分の隙も無くその姿はその姿で一種の芸術の様に美しかった。何というのだろうか。普段の体型と違う分、違う魅力と美しさを身に纏っているのだ。雅哉も「あいつは太ってるのに醜くならねぇな」ってつぶやきを残したのだから僕の目が節穴ということは無いだろう。
今年は雅哉の恋愛相談をよく受けているようだ。彼女は社会勉強としてよく庶民文化を理解している。彼女が何でそんなに庶民の文化について詳しのかは知らないが普段のお嬢様然とした態度とのギャップがありすぎてとても可愛く思える。これがギャップ萌えというやつなのだと最近悟った。水崎のやつと仲良くなったけど杞憂だったとこの間発覚したので一安心だ。
ここまで考えて思った。
これどう考えても惚れてるよね。
何で今まで気づかなかったのかホント不思議だよ。
彼女の周りに男の影があるたびに嫉妬していた。
唯衣子を彼女に婚約者候補と紹介したのは彼女に僕を男として見て欲しくて嫉妬して欲しかったからだ。ホントは婚約になんて話は向こうが断ってそれっきり来ていないのに。
彼女と仲良く話している女子生徒を見ると羨ましく思う。
最近は雪野を利用して一緒にいるけど雪野を利用してるからどうしても雪野の方が彼女と多く話している。だから最近ではこのドス黒い感情が雪野に向く事が多い気がする。止めようと思っても止められないのだ。
実の弟--それも10個も年が下のまだ子供にすら嫉妬する事を止められないのだ。
ああ、認めるしかない。
僕は、彼女の事が--吉祥院麗華さんの事が好きなんだ。大好きなんだ。愛しているのだ。
彼女の事は年下であっても、弟であっても、身内であっても渡したくない。同性の友達であっても彼女に対する嫉妬は隠す事が出来ないのだ。彼女の瞳に映るものを僕だけで独占したい。僕の事を第一に考えてもらいたい。彼女の世界を僕だけで埋め尽くしたい。
あの彼女の黒い瞳に映っていいのは僕だけだ。彼女の髪に触っていいのは僕だけだ。彼女に認められる男は僕だけだ‼︎
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一人で盛り上がってしまったが、1つの疑問が僕を冷静にさせた。
これからどうすれば良いのか?
確かに僕は彼女の事が好きだ。
それは認めざるを得ないというか全力で肯定をしなくてはいけない事だ。
だがこれでは僕の気持ちに整理がついただけである。
彼女の気持ちは?
この気持ちを彼女に伝えるには?
彼女に振り向いてもらうには?
どうすれば良いのか答えは出ないのだ。
これは僕にとっては間違いなく初恋なのだ。12年間彼女だけを見てきたし、彼女だけを考えてきた。
だが時期はもうすでに高校3年の夏だ。めぼしいイベントはほとんど終わってしまった。
出来る事は限られているし、時間も限られてきている。
連絡を取ろうにもまだメーアドすら手に入れてない状況なのだ。
これからは8月の終わりに向けてパーティーの季節だが彼女はあまり社交のためにパーティーに出てこない。
雅哉のところのパーティかイベント、それに毎年行われるピヴォワーヌのパーティくらいだ。
出会える場所があまりに限られているのだ。
ということは毎年行っていない雅哉のところのお茶会には絶対行かなくてはならないし、旅行前だからどうしようかと考えていたピヴォワーヌのパーティーにも参加しないわけには行かなくなる。
去年は雪野が誘っていたが今年は僕が彼女をダンスに誘ってみよう。
後は雅哉の事で困ったらとか言って彼女からメーアドを手に入れよう。
夏休みには会える時間が少ないからこのくらいを目標で良いだろ。最終的には卒業までに告白、そして付き合うまで持って行きたい。
彼女がどう思うかなんてしばらくは置いておこう。
とりあえず、自己満足でいいから少しでも彼女とも距離をつめておきたいのだ。
初恋はかなわないなんて言うけれどそれがどうしたと言うのだろうか。
伝えずに終わる方が何より怖いのだ。
彼女がどのような結論を出すのかは置いておいて、彼女には知っていて欲しいのだ。
僕がどれだけ彼女を愛していたのか、好きだったのか、どれだけ君しか見ていなかったのか。
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夏休みはあっという間に終わって今日から新学期
結局彼女と夏休みに最初に会えたのはピヴォワーヌのパーティだった。
そこでなんとか彼女のメーアドをげっとした。
最初は渋っていたが、雅哉のことで困ったら連絡して欲しいとかなんとか結構粘ってなんとか連絡先を手に入れた。粘り勝ちだ。会場の結構目立つところで話したからピヴォワーヌから学校中で噂になっているだろう。
その後ディナーに夏休みの間だけで二回一緒に過ごすことができた。
毎回毎回渋られるのだけれどなんとか彼女が折れてくれたおが二回だということなのだ。
メーアドを交換してから毎日のように彼女にメールをしている。
メールの内容を考えるのに結構時間を使ってしまうがそのくらいの時間は惜しくない。
今日は学校での最後の外堀を埋める。
ホームルームが終わり彼女のクラスに向かう。
近くにいた子に彼女を呼んでもらう。
教室を出てすぐの廊下で、事を起こす。
「ごきげんよう円城様。どうされましたか?」
彼女の挨拶をサラッと受け流して、彼女を壁側に誘導し、
ドン
彼女の顔の真横に手を落とす。
もともとあった注目は今の動作で完全に廊下にいる生徒の注目の的だ。
野次馬たちは固唾をのんで見守っている。
本当はうるさいはずの廊下に音はなく、ただ、彼女と僕の会話だけが響く。
「円城様?いったい何を?」
彼女は突然のこの状況を理解出来ていないらしい。
「吉祥院さん。いや、 麗華さん。」
廊下の野次馬のことなんか彼女の頭に残らないくらい衝撃的にしてあげよう。
「今の君の気持ちなんて知らない。どうでもいい。だけどーー」
そう、今の君の気持ちなんて知らない。気づくのにこんなにかかったんだ。今からアピールしても遅いかもしれない。だけど、この気持ちだけは、---
「卒業までに惚れさせる。」
そう、言い切ったときの彼女は何を言われているのか理解出来ていなかったようだ。
だから自分の気持ちを表すように僕はーー
「好きだよ。ずっと前から。愛している。」
そう言って僕は彼女の唇に自分の唇を落とした。
いくら彼女でもこれだけやれば僕の気持ちの本気に気づくだろう。
待っていて
卒業までに絶対君の心を捕まえるから